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II. 夏期行動

Ⅲ. 昭和基地越冬経過

1.2 各月の概要

1.2.1 全般

【2 月】1 日、昭和基地管理棟前の広場において野木観測隊長並びに平川しらせ副長立会いの下、55 次隊との 越冬交代式を行い、基地の施設管理、運営および観測・設営業務を引き継いだ。前日の事前全体会議で確認した 越冬内規案に基づいて、越冬業務と生活を開始した。引き続き、残留支援を依頼した一部の 55 次越冬隊員、56 次夏隊員および「しらせ」支援員と協力して夏期作業を継続し、15 日午後に最終便の観測隊ヘリコプターを見送 った。以降、56 次越冬隊 26 名による基地観測・設営作業を進めつつ、越冬体制を整えた。当初予定通り 20 日に 越冬成立式、福島ケルン慰霊祭を実施し、その後に開催した第 1 回全体会議によって越冬内規を正式決定した。

21 日と 22 日は、越冬交代後、初の休日日課としていたが、ブリザードのため、一部の隊員は 21 日から 22 日に かけて悪天時対策の作業を進めることとなった。22 日から 24 日にかけて今次初の外出注意令と外出禁止令を発 令した。23 日には、第 1 回安全対策・危機管理委員会を開催し、56 次隊の消防体制、ブリザード時の体制につい て再確認した。観測・設営・生活の当月報告と翌月計画に関しては、25 日から 26 日に開いた各部会およびオペ レーション会議を経て 28 日の第 2 回全体会議に諮った。再び、27 日からのブリザードによって外出注意令を発 令した。28 日の午前中には第 2 回全体会議に引き続き、計画停電の反省会と停電時の対応、午後に第 1 回の消防 訓練とその反省会を開催し、安全対策・危機管理の体制を固めつつある。

【3 月】26 人による通常の越冬生活のリズムを定着させるとともに、2 月後半に続いたブリザードへの対応で 遅れていた、基地内外での安全・円滑な活動を行うための諸組織、規則・指針等の最終整備とその本格運用をめ

ざす月となった。2 日に第 2 回安全対策・危機管理委員会、4 日に第 1 回南極教室・テレビ中継委員会、5 日に第 1 回除雪対策委員会、6 日に第 1 回沿岸旅行準備委員会、10 日に第 1 回ハラスメント対策委員会をそれぞれ開催 し、各委員会が早急に対応すべき懸案事項について検討し、実施日程と責任者を確認したうえで、全体に周知し、

順次実行に移した。各棟の安全・防火対策として、13 日に調理隊員による各棟非常食の配布を終え、16 日から 19 日にかけて、安全対策・危機管理委員会の委員長(越冬隊長)と副委員長(設営主任)、同補佐(建築・土木 隊員)による、基地内の全施設と建築物の巡回、消防施設、建屋内の施設配置、電気配線および危険物などの確 認・点検と取りまとめを行った。この結果に基づき、さらに詳細な各棟への非常用物品と通信設備の分散配置計 画を検討している。野外観測支援隊員と医療隊員、機械隊員による室内外での南極安全講習会も開始し、16 日、

19 日、25 日に野外装備、野外行動一般、医療に関する講習を行った。また、21 日と 24 日には、全隊員を 2 班に 分けて東オングル島の島内散策を行い、野外活動時の個人装備の活用方法と地図・地形の見方を訓練した。27 日 からは、5 日間の予定で、野外観測支援隊員、機械隊員および越冬隊長による、雪上車とスノーモービルの運転 講習会および西オングルへのルート工作訓練を全隊員向けに行う予定であったが、悪天のため、初日のみ実施し、

残りの 4 日間は 4 月に順延となった。なお、この野外訓練と合わせて、基地内に残る隊員が少ない状況での火災、

停電、野外レスキューへの対応ができるように、毎回バックアップの人員配置を検討し、本格的な野外活動時期 に向けた準備とした。第 2 回消防訓練は、自然エネルギー棟を火元と想定して 26 日に実施した。前回の反省を踏 まえて、作業手順と指揮系統の改善を行い、初のホース展張による放水訓練を行った。この訓練と施設点検の結 果を、防火・消火指針の最終版に反映させることとした。29 日には、今月の活動内容と残された課題を確認する ためのオペレーション会議を行った。その後、30 日午前に、観測部会、設営部会、生活部会および全体会議を開 催し、観測・設営・生活の各部会の 3 月報告と 4 月計画について報告・確認した。30 日の全体会議では、越冬隊 内規の修正や各委員会で議論された規約・指針についても確認し、これらに則って、4 月以降の活動を行うこと とした。残る未整備の指針・規約等については、基地内の施設点検のデータや人員配置を検討したうえで最終確 定する作業を進めている。気象面では、2 月 28 日からの B 級ブリザード、9 日から 10 日の C 級ブリザードをはさ む前後には、強風と視界不良が続き、外出注意令を発令した。他にも気象が生活に与えた影響は大きく、毎週、

雪やふぶきの日が続き、基地施設の事前・事後点検と除雪作業に多くの時間を割くこととなった。休日日課にこ れらの作業が重なることも多く、適宜、代休の設定も行った。

【4 月】1 日から 2 日の A 級ブリザード(1 日から 3 日に外出禁止令・注意令)、9 日の C 級ブリザード(8 日か ら 10 日に外出注意令)、16 日から 17 日の B 級ブリザード(16 日から 17 日に外出注意令)、21 日の C 級ブリザー ド(21 日から 22 日に外出注意令)、26 日から 27 日の B 級ブリザード(26 日から 28 日に外出注意令)の計 5 回 のブリザードで、合わせて 13 日間の外出制限令が発令され、その前後の点検・除雪作業を含めると、約 20 日間 をブリザード対応に費やす月となった。これらの作業の合間を縫いながら、極夜期の基地生活や本格的な野外活 動に向けたハード・ソフト両面の環境整備に努めた。各棟の安全・防火対策としては、今月からの消防訓練の中 心課題を基地主要部の消火と位置づけ、16 日に第 3 回の消防訓練を、管理棟・厨房からの出火を想定して実施し た。この訓練で、屋外の 130kl 水槽からのホース展張による管理棟 1 階・受水槽への給水と、消火散水栓からの 放水を組み合わせることで、管理棟内の効率的な本格消火体制を確立することができた。初期消火に使用する消 火器については、24 日に基地内すべての点検・入れ替えを行い、南極観測センターが示した新しい配置案に沿っ た移動作業を完了した。基地居住区の生活環境改善に向けた取り組みとして、各居室の室温を調査するとともに、

発電棟から通路棟への暖気の通風システムの構築や居住棟への冷気遮断・保温用カーテンの設置を行い、ボイラ ー燃料の節約と厳冬期に向けた居住棟の低温対策を進めている。野外活動に向けた準備では、3 月の悪天のため 順延していた、全隊員向けの雪上車・スノーモービルの運転講習会および西オングルへのルート工作訓練を、11 日、13 日、15 日、18 日、20 日に実施した。小人数の隊の特性を生かして、全隊員が十分に時間をとれるように、

毎回 4 名の隊員に対して丸 1 日間の個別指導を行った。冬期総合訓練で実施した実践的なルート工作訓練の経験 は、この訓練で有効に生かされた。また、この野外活動訓練における隊員の不在状況を利用して、火災、停電、

野外レスキュー時におけるバックアップの人員配置・分担内容を毎回個別に検討し、どの部門の隊員が不在にな っても対応できる体制を整備・確認した。2 日、7 日、14 日には、室内の南極安全講習会として、野外における 救急医療の方法の習得および南極の気象特性と観点望気に関する講義・実習を実施した。今月の活動内容と残る 諸課題を確認するための、定例オペレーション会議および観測部会・設営部会・生活部会・全体会議は、ブリザ ード後点検と除雪作業を優先するため、当初予定を遅らせ、それぞれ 30 日と 5 月 1 日に開催を延期した。その他

にも、悪天時には、効率の良い時間活用を行うように、休日日課の変更や始業時間開始を遅らせるなど、臨機応 変に対応している。

【5 月】上旬までは、ブリザードが続き、3 回の外出制限令や除雪作業が続いた。しかし、中旬以降は、比較的 穏やかな天候が続き、これまで遅れていた野外作業や昭和基地周辺露岩域における観測を開始することができた。

各棟の安全・防火対策では、20 日に、基地主要部の倉庫棟からの出火を想定して、第 4 回消防訓練を実施した。

この訓練では、初期消火と本格消火の間に使用するガス圧消火装置の操作訓練をはじめて取り入れた。また、25 日には、昭和基地において「入院加療を必要とする怪我人の発生」を想定して、遠隔医療を含む、国内と連携し た緊急時対応訓練を実施した。野外活動に向けた南極安全講習会として、5 日と 26 日に、全隊員を対象にレスキ ュー訓練を実施し、落下時の自己脱出や引き上げ方法を習得した。アウトリーチ活動では、南極・北極科学館の ライブトークを含む 5 件の南極教室が行われた。このうち 3 件は、小人数で対応可能な、ビデオ通話システムを 効果的に活用した簡易型で実施した。7 日、14 日、25 日には、宿泊を伴う野外行動計画を審議する臨時オペレー ション会議、28 日には月末の定例オペレーション会議を開催した。全体会議は 29 日に実施し、今回から観測部 会、設営部会、生活部会をまとめて組み込み、会議時間の効率化をはかった。なお、ブリザード中の 12 日には、

発電装置 2 号機の部品不具合を原因とする全停電事故が発生したが、約 40 分で復電し、基地の維持に支障はなか った。

【6 月】吹雪やブリザードが少なく、ミッドウインター祭やアウトリーチ活動、設営を中心とした屋外の作業 を着実に進めることができた。各棟の安全・防火対策では、6 日に第 2 回除雪対策委員会を開催し、極夜期にお ける除雪作業の方針と留意事項を策定・確認した。また、12 日には、第 5 回消防訓練を行い、先月と同様に倉庫 棟からの出火を想定して、初期消火、ガス圧消火装置、本格消火の手順に関する問題点を解消するように努めた。

野外活動に向けた南極安全講習会として、5 日に、レスキュー隊要員向けの訓練を実施し、野外で実践的な救助 方法を習得した。アウトリーチ活動では、3 日と 30 日に 2 件の南極教室を実施した。10 日には、第 2 回南極教室・

テレビ中継委員会を開催し、隊員から希望が出ている、ビデオ通話システムを用いた今後の簡易型南極教室の追 加実施に対応するために、今後の手続き方法等について検討した。なお、22 日の第 12 回設営シンポジウムにお いては、ビデオ通話システムで中継し、このシステムの現状に関する発表に隊長が協力した。ミッドウインター 祭は、18 日の前夜祭を皮切りに 22 日まで開催し、この準備のための実行委員会を月の初めから適宜開催した。

29 日には月末の定例オペレーション会議、30 日に観測・設営・生活部会を含む全体会議を実施した。

【7 月】度重なる低気圧の接近で 6 回のブリザードが到来し、合計 11 日間の外出制限令が発令された。直後の 除雪作業も加わり、13 日の極夜明けから予定されていた様々な屋外作業が中止や短縮となって滞った。そのため、

今後の野外観測を含む観測設営計画を進める上で時間的に厳しい状況であることを認識する月となった。6 日に は、S16・内陸旅行準備委員会と沿岸旅行準備委員会を合同で開催し、7 月から 12 月までの沿岸及び内陸の野外 観測計画と 57 次隊夏期観測の準備協力の行程を検討した。この中で、今後の作業や観測の優先順位を明確にして、

効率よく計画を立てる必要性を確認した。基地の安全・防火対策の活動としては、24 日に、第 5 回消防訓練を行 う予定であったが、ブリザード後の除雪対応を優先したため、今月は基地主要部の消火器の配置確認と消火器の 使用方法の確認作業にとどめた。また、建築隊員、機械設備隊員による建物の個別安全点検については、実施で きる時間の見通しが立たないため、今後は、各施設管理責任者に、注意すべき要点を伝えるとともに、各責任者 が日々確認を行い、施設の不具合を発見した場合は、建築・機械担当隊員に報告することで対応することとした。

13 日には、野外活動に向けた南極安全講習会の一環であるレスキュー訓練の総仕上げとして、レスキュー隊員が リーダーとしてメンバーを指導する形で野外救助訓練を実施した。また、18 日には、野外における GPS の取り扱 いとナビゲーション方法に関する訓練を行った。4 日、10 日、17 日には、事故例・ヒヤリハット集の勉強会を開 催し、海氷上と氷床上で起こった雪上車・重機・橇の操作に関わる事故例について解説・議論した。さらに、19 日には、通信の要領と海氷上行動に関する指針を全隊員で検討し、野外行動における共通ルールを確認した。ア ウトリーチ活動では、9 日、14 日、15 日、23 日に、テレビ会議システムを用いた南極教室を実施した。また、こ れに加えて、ビデオ通話システムを用いた簡易型南極教室を 26 日に 1 件実施した。13 日と 23 日に宿泊旅行の計 画を審議するための臨時オペレーション会議、30 日に月末の定例オペレーション会議、31 日に観測・設営・生活 部会を含む全体会議を実施した。

【8 月】通常の基地設備維持業務、観測業務に加えて、限られた人員で、多くのアウトリーチ活動、除雪作業、

野外観測旅行に向けたルート工作、雪上車・橇の整備・修理等の作業を並行して進めなければならない月となっ