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II. 夏期行動

2. 夏期観測

2.1 重点研究観測

2.1.2 南極海生態系の応答を通して探る地球

2.1.2.1 炭酸系の空間分布観測(AJ02-56-01) 笹野 大輔・佐藤 智子

【概要】

海鷹丸船上において航走観測を実施し、大気・海洋表面のCO2およびCH2分圧、海洋表面の溶存酸素濃度を連続 的に測定する。適宜海水くみ上げポンプより採水し、全炭酸濃度および全アルカリ度のサンプルを取得する。ま た、CTDを用いた定点観測において、ニスキンボトルによる全炭酸濃度および全アルカリ度の採水、および溶存 酸素センサーRINKOによる観測を行い、これらの鉛直的な分布を把握する。

【実施経過】

フリーマントル出港後の2015年1月12日(UTC)から大気・海洋表面のCO2およびCH4分圧を連続的に観測した。

海水試料は、船底部からポンプで汲み上げ、シャワー型平衡器に通じて、これと平衡になった空気中のCO2および メタン濃度をキャビティリングダウン分光測定器(CRDS)で測定し、pCO2とpCH4をそれぞれ求めた。大気試料は フォアマスト上部から取り込み、同様にCRDSを用いて測定した。また、海洋表面の溶存酸素濃度は、研究用海水 をオーバーフローさせた容器に酸素センサーRINKO-Iを浸す事により観測を行った。これらの観測は、ホバート 入港前の2015年2月3日(UTC)まで行った。

基礎観測6点を含むCTD観測点18点において、全炭酸濃度および全アルカリ度のサンプルを採水した。

これらのサンプルは海鷹丸の帰航後、気象研究所にて分析を行う予定である。溶存酸素センサーRINKOを用い た観測は、CTD観測を行った全点で行った。

【問題点・課題】

特になし。

2.1.2.2 長期係留系の揚収(セディメントトラップ、ADCP等)(AJ02-56-02) 今野 賢・佐藤 智子

【概要】

南大洋の石灰質動物プランクトン(有殻翼足類、有孔虫類)の季節変化の再確認のため、昨年度12月(JARE 55) に投入された長期係留系を回収する。

【実施経過】

観測点M03で切り離し装置を作動させ、深層係留系(セディメントトラップおよびADCP等, 図Ⅱ.2.1.2.2-1)

の回収を行った。セディメントトラップのボトルは3 機すべてが正しく作動しており、合計78 本の試料が得ら れた。

【問題点・課題】

特になし。

図Ⅱ.2.1.2.2-1 回収した長期係留系の構成

2.1.2.3 海洋微生物群集および植物プランクトン群集の鉛直分布観測(AJ02-56-03) 佐藤 智子

【概要】

南大洋東経110度線上の基本観測点において溶存無機炭酸濃度が異なる5深度から採水を行い、原核生物群集の 生物多様性評価のための試料を取得する。

また、上記基本観測点および昨年度投入した長期係留系設置地点における複数深度から植物プランクトンの種 組成解析用の試料を取得する。

【実施経過】

基本観測点(KC1, KC2, KC3, KC4, KC5, KC6)において5深度(0, 50, 100, 300, 500 m)から試料用海水約8 Lを採水した。表層はバケツ採水を実施し、それ以外の深度はCTD-RMSによる採水を行った。その際、大型のプラ ンクトンを除くため、試料用海水は200 µmナイロンメッシュでプレ濾過を行った。その後、濾過海水(<200 µm)

は3種類のサイズ分画(0.2-<2.0, 2.0-<20, 20-<200 µm)にメンブレンフィルターを用いて濾過・分類した。各々 のサイズ分画のメンブレンフィルターはRNA安定化溶液に浸潤し、-25℃で保存した。また、原核生物群集の生物 量推定用試料として、ナノサイズ分画(2.0-<20 µm)のメンブレンフィルターをホルマリン溶液(3%, v/v)で 固定し、-25℃で保存した。

上記基本観測点および昨年度投入した長期係留系設置地点(M03)の計7点において9深度(0, 10, 25, 50, 75, 100, 125, 150, 200 m)から植物プランクトンの種組成解析用の海水300 mLを採水した。表層はバケツ採水を実 施し、それ以外の深度はCTD-RMSによる採水を行った。採水後の試料は中性ホルマリン溶液(1%, v/v)で固定し、

室温で保存した。

【問題点・課題】

特になし。

2.1.2.4 動物プランクトン群集の鉛直分布および有殻翼足類生態調査(AJ02-56-04) 鈴木 聖宏・佐藤 智子

【概要】

南大洋に生息する有殻翼足類を採集するために、がま口ネットによる動物プランクトン採集を実施した。

【実施経過】

東経110度線上の5地点(C00、KC5、M03、C03、C07)において、がま口ネットを用いて浅層鉛直的な動物プラ ンクトンの採集を行った(表Ⅱ.2.1.2.4-1)。C07地点において荒天に伴い、がま口ネットが破損したために一 時中断になったものの、すべての観測を行うことができた。また、大型有核翼足類を良好な状態で採取できた場 合、酸性化環境で船上飼育し、貝殻の成長様式ならびに形成過程の観察を実施する計画であったが、荒天のため 海表面が安定せず、大型有核翼足類を飼育実験に用いる程度採集することが困難であった。

【問題点・課題】

荒天により、C07地点での観測中にがま口ネットが破損してしまった。より丈夫なネットの使用が望まれる。

また、南緯60度以南を航行中、18日間中13日において荒天のため、大型有殻翼足類をたも網を用いて採集するこ とが困難であった。

表Ⅱ.2.1.2.4-1 がま口ネットによる観測記録

※1 やり直し ※2 荒天により一時中断