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声調交替

ドキュメント内 漢語福清方言の記述言語学的研究 (ページ 52-63)

第一章 音論

1.5 音声実現

1.5.2 声調交替

母音の交替は声調が交替することに伴って行われる。したがって、声調交替について先に 記述する。議論に先立って、同じ海口鎮の声調交替について取り扱った林文芳(2008)につい て紹介する。

林文芳(2008)は海口鎮の声調交替について記述したものである。海口鎮の声調交替につい て、二音節と三音節のものを取り上げて分析している。二音節のものは更に重ね型と非重ね 型に分けている。林文芳(2008:61)がまとめた声調交替の規則は以下のようになる(18は旧入声

字を表している)。

1.4:林文芳(2008)における声調交替規則

陰平 [53]

陽平 [44]

上声 [32]

陰去 [11]

陽去 [42]

陰入 [2]

陽入 [5]

11 18 2 3 55 57 6 7 8

11 44+53 44+53 44+53 44+32 24+28 24+11 24+42 24+2 44+5

18 55+53 44+53 44+44 44+32 11+11 11+11 44+42 11+2 44+5

2 55+53 44+53 44+44 44+32 11+11 11+11 44+42 11+2 44+5

3 11+53 11+53 11+24 11+32 24+11 24+11 24+42 24+2 11+5

55 55+53 44+53 44+44 53+32 53+11 53+11 53+42 53+2 44+5

57 55+53 44+53 44+44 53+32 53+11 53+11 53+42 53+2 44+5

6 55+53 44+53 44+44 44+32 11+11 11+11 44+42 11+2 44+5

7 5+53 4+53 4+44 5+32 5+11 5+11 5+42 5+2 4+5

8 5+53 4+53 4+44 4+32 2+11 2+11 4+42 2+2 4+5

以下では、筆者が調査した海口鎮の声調交替のデータを提示する。先行研究との違いは随 時指摘する。

51+51→44+51:

51+51の組み合わせにおいては、第二音節の声調に合わせて、第一音節は高下降調51が高

平調44に交替する。

/thiu51/〈抽〉→[thiu44ʨhieŋ51]〈抽签〉「くじ引きする」

/tseŋ51/〈针〉→[tseiŋ44ʨhia51]〈针车〉「ミシン」

/kiŋ51/〈金〉→[kiŋ44ŋua51]〈金瓜〉「かぼちゃ」

/kha51/〈骹〉→[kha44ӡia51]〈骹车〉「自転車」

/siŋ51/〈心〉→[θiŋ44ŋaŋ51]〈心肝〉「心臓」

/u51/〈乌〉→[u44kui51]〈乌龟〉「亀」

なお、全濁声母だった旧入声字が統合され、現代福清方言では陽平51調として実現される。

その旧入声字が第一音節に位置する場合では、上記の交替規則にも従う。林文芳(2008)では、

両者を区別し、陽平調の音節は交替後44調になるのに対して、元入声字は交替後55調にな るとしている。しかし、筆者の調査データでは、両者が交替後において、顕著な違いが見ら れない。

以下に、語彙例を示す。

28 原文のまま。本文で挙げられた声調交替例から24+11であると推測される。

/pa51/〈白〉→[pa44ŋuo51]〈白玉〉「白い玉」

/lɔ51/〈落〉→[lɔ44βaŋ51]〈落班〉「退勤する」

/iɔ51/〈药〉→[yɔ4451]〈药膏〉「軟膏」

/luɔ51/〈录〉→[luɔ4451]〈录音〉「録音する」

44+51→44+51:

44+51の組み合わせにおいては、第一音節がそのまま高平調44を保持し、結果的に交替し

ないこととなる。また、〈辣椒〉のように、第一音節が入声字の場合においても同様である。

/phue44/〈皮〉→[phue44u51]〈皮肤〉「肌」

/phiu44/〈瓢〉→[phiu44œŋ51]〈瓢羹〉「スプーン」

/mieŋ44/〈棉〉→/mieŋ44ŋua51/〈棉花〉「綿」

/maŋ44/〈暝〉→[maŋ44muɔ51]〈暝晡〉「夜」

/tsha44/〈柴〉→[tsha44ɾɔ51]〈柴刀〉「なた」

/laʔ44/〈辣〉→[laʔ44ʨiu51]〈辣椒〉「唐辛子」

43+51→21+51:

43+51の組み合わせにおいては、第一音節の中下降調43が低下降調21に交替する。

/pieŋ43/〈扁〉→[pieŋ21naŋ51]〈扁担〉「天秤棒」

/tu43/〈赌〉→[tu21ðuɔ51]〈赌输〉「賭ける」

/tshiu43/〈手〉→[ʨhiu2151]〈手巾〉「タオル」

/siu43/〈小〉→[θiu21ma51]〈小麦〉「小麦」

/khɔ43/〈考〉→[khɔ21tɕy51]〈考书〉「受験する」

/hɔ43/〈好〉→[hɔ21ðia51]〈好食〉「おいしい」

42+51→44+51:

42+51の組み合わせにおいては、第二音節の声調に合わせて、第一音節は中下降調42が高

平調44に交替する。

/tiɛŋ42/〈电〉→[tieŋ44ŋøŋ51]〈电工〉「電気工」

/tua42/〈大〉→[tua4451]〈大公〉「曾祖父」

/toŋ42/〈炖〉→[tuŋ4451]〈炖药〉「薬を煎じる」

/sɔi42/〈坐〉→[θoy44hia51]〈坐车〉「車に乗る」

/siɔŋ42/〈上〉→[θyɔŋ44paŋ51]〈上班〉「出勤する」

/e42/〈味〉→[i44tɕiŋ51]〈味精〉「味の素」

21+51→44+51:

21+51の組み合わせにおいては、第二音節の声調に合わせて、第一音節は低下降調21が高

平調44に交替する。また、〈搭车〉や〈乞食〉のように、第一音節が入声字の場合において も同様である。

/tɔ21/〈桌〉→[tɔ44kha51]〈桌骹〉「机の脚」

/tshai21/〈菜〉→[tshai44ɾɔ51]〈菜刀〉「包丁」

/ka21/〈教〉→[ka44tɕy51]〈教书〉「授業をする」

/tshiɔŋ21/〈唱〉→[ʨhyoŋ4451]〈唱歌〉「歌う」

/taʔ21/〈搭〉→[taʔ44hia51]〈搭车〉「乗車する」

/khøʔ21/〈乞〉→[ch44θia51]〈乞食〉「乞食」

51+44→44+44:

51+44の組み合わせにおいては、第二音節の声調に合わせて、第一音節は高下降調51が高

平調44に交替する。また〈食力〉のように、第二音節が入声字の場合においても同様である。

/lɔ51/〈落〉→[ɾɔ44ɾoŋ44] 〈落堂〉「授業が終わる」

/sia51/〈食〉→[θia44ɾiʔ44] 〈食力〉「疲れる」

/kiŋ51/〈金〉→[ciŋ44ɲy44] 〈金鱼〉「金魚」

/kieŋ51/〈肩〉→[cieŋ44nau44]〈肩头〉「肩」

/hua51/〈花〉→[hua44βiŋ44] 〈花瓶〉「花瓶」

/iŋ51/〈烟〉→[iŋ44nøŋ44] 〈烟筒〉「煙突」

44+44→44+44:

44+44の組み合わせにおいては、第一音節はそのまま高平調44を保持し、結果的に交替し

ないこととなる。第一音節が〈学堂〉のような入声字で始まるものに関しても交替しない。

また、〈羊肉〉のように、第二音節が入声字の場合においても同様である。

/pui44/〈肥〉→[pui44ɾyʔ44]〈肥肉〉「脂身」

/phue44/〈皮〉→[phue44ɛ44]〈皮鞋〉「革靴」

/ŋy44/〈鱼〉→[ɲy44uɔŋ44]〈鱼丸〉「魚肉で作った団子」

/ŋuɔŋ44/〈原〉→[ŋuɔŋ44nai44]〈原来〉「元来」

/hoʔ44/〈学〉→[hoʔ44toŋ44]〈学堂〉「学校」

/iɔŋ44/〈羊〉→[yɔŋ44nyʔ44]〈羊肉〉「羊肉」

43+44→21+35:

43+44の組み合わせは、両音節の声調が交替するパターンである。第一音節は中下降調43

が低下降調21に交替する。そして第二音節は高平調44から新たな声調35に交替している。

福清方言では、これが唯一、第二音節の声調が交替するパターンである。ただし、〈老实〉や

〈□肉〉のように、第二音節が入声字の場合においては、第一音節は低下降調21に交替する が、第二音節の声調は交替しない。以下、両音節を示す。

/puɔŋ43/〈本〉+/tsieŋ44/〈钱〉→[puɔŋ21ʒieŋ35]〈本钱〉「元金」

/laŋ43/〈澜〉+/khœ44/〈□〉→[laŋ21khœ35]〈澜□〉「痰」

/tsui43/〈水〉+/lɛ44/〈泥〉→[tsui21ɾɛ35]〈水泥〉「セメント」

/tshau43/〈草〉+/ha44/〈虾〉→[tshau21a35]〈草虾〉「川えび」

/lɔ43/〈老〉+/siʔ44/〈实〉→[lɔ21θiʔ44]〈老实〉「おとなしい」

/seŋ43/〈□〉+/lyʔ44/〈肉〉→[θeŋ21ɾyʔ44]〈□肉〉「肉の赤身」

42+44→44+44:

42+44の組み合わせにおいては、第二音節の声調に合わせて、第一音節は中下降調42が高

平調44に交替する。また〈旧历〉や〈闹热〉のように、第二音節が入声字の場合においても 同様の結果を得た。

/paŋ42/〈病〉→[paŋ44ŋa43]〈病哑〉「口がきけない人」

/tua42/〈大〉→[tua44løŋ44]〈大侬〉「大人」

/tshiɔŋ42/〈象〉→[ʨhyɔŋ44ɲi44]〈象棋〉「将棋」

/siɔŋ42/〈上〉→[θyoŋ44toŋ44]〈上堂〉「授業に出る」

/ko42/〈旧〉→[ku44ɾeʔ44]〈旧历〉「旧暦」

/lau42/〈闹〉→[lau44ieʔ44]〈闹热〉「にぎやか」

21+44→44+44:

21+44の組み合わせにおいては、第二音節の声調に合わせて、第一音節は低下降調21が高

平調44に交替する。第一音節が〈铁锤〉や〈集邮〉のような入声字でも高平調44に交替す る。また、〈喙舌〉や〈骨头〉のように、第二音節が入声字の場合においても同様の結果を得 た。

/poŋ21/〈放〉→[puŋ44maŋ44]〈放暝〉「放課する」

/tsiɔ21/〈借〉→[ʨyo44ʨieŋ44]〈借钱〉「借金する」

/thiɛʔ21/〈铁〉→[thieʔ44thui44]〈铁锤〉「金槌」

/tseʔ21/〈集〉→[tɕiʔ44iu44]〈集邮〉「切手収集」

/tshue21/〈喙〉→[tɕhui44ɾieʔ44]〈喙舌〉「舌」

/kɔʔ21/〈骨〉→[koʔ44thau44]〈骨头〉「骨」

51+43→44+43:

51+43の組み合わせにおいては、冯爱珍(1993)では、両音節ともに交替し、44+53のように

実現するとしている。例として〈山顶〉を挙げている。海口鎮の福清方言を扱った林文芳(2008) においても同様だった。例は〈番火〉と〈清楚〉であった。しかし、筆者の調査データでは、

異なる結果となった。51+43 の組み合わせにおいては、第一音節は高下降調 51 が高平調 44 に交替する。第二音節の声調は交替することはない。

/tiŋ51/〈钉〉→[tiŋ44ɲiaŋ43]〈钉囝〉「釘」

/tshia51/〈车〉→[tɕhia44ɾieŋ43]〈车碾〉「車輪」

/tshaŋ51/〈青〉→[tsh44ŋuo43]〈青果〉「果物」

/saŋ51/〈山〉→[θaŋ44niŋ43]〈山顶〉「山頂」

/huaŋ51/〈番〉→[huaŋ44ŋue43]〈番火〉「マッチ」

/tshiŋ51/〈清〉→[tɕh44ӡu43]〈清楚〉「はっきりする」

44+43→44+43:

44+43の組み合わせにおいては、第一音節はそのまま高平調44を保持し、結果的に交替し

ないこととなる。また、〈目滓〉のように、第一音節が入声字の場合においても同様である。

/thoŋ44/〈糖〉→[th44ɲiaŋ43]〈糖囝〉「飴」

/thau44/〈头〉→[thau44ɾɔ43]〈头脑〉「頭脳」

/la44/〈拉〉→[la44ɾieu43]〈拉尿〉「小便する」

/siaŋ44/〈城〉→[θiaŋ4443]〈城底〉「地名」

/kau44/〈猴〉→[kau44iaŋ43]〈猴囝〉「サル」

/meʔ44/〈目〉→[meʔ44tsai43]〈目滓〉「涙」

43+43→21+43:

43+43の組み合わせについて、冯爱珍(1993)の記述では、第一音節と第二音節の声調がとも

に交替し、21+53として実現するとしている。一方の林文芳(2008)では、第一音節のみが交替 するという結果であった。筆者の調査でも、同様で結果であった。つまり、第一音節は中下 降調43が低下降調21に交替する。しかし、第二音節の声調は交替しないという結果となっ た。

/mi43/〈米〉→[mi2143]〈米粉〉「ビーフン」

/tsui43/〈水〉→[tsui35ɾøŋ43]〈水桶〉「バケツ」

/lɔ43/〈老〉→[lɔ21ʨhy43]〈老鼠〉「鼠」

/sɛ43/〈洗〉→[θɛ21chi43]〈洗齿〉「歯を磨く」

/y43/〈雨〉→[y21ðaŋ43]〈雨伞〉「雨傘」

/ie43/〈椅〉→[ie21iaŋ43]〈椅囝〉「いす」

42+43→44+43:

42+43の組み合わせについては、冯爱珍(1993)では、陽去が陰平(41→53)に交替するとして

いる。一方の林文芳(2008)では、第一音節は第二音節の声調に合わせて、高平調の44調に交 替するとしている。筆者の調査データにおいても林文芳(2008)と同様の結果が得られた。

/pa42/〈爸〉→[pa4443]〈爸妮〉「両親」

/paŋ42/〈病〉→[paŋ44ɲiaŋ43]〈病囝〉「つわりになる」

/puɔŋ42/〈饭〉→[puɔŋ44thøŋ43]〈饭桶〉「能無し」

/te42/〈地〉→[ti44th43]〈地毯〉「絨毯」

/tiɛŋ42/〈电〉→[tieŋ4443]〈电脑〉「パソコン」

/ŋe42/〈耳〉→[ɲi44iaŋ43]〈耳囝〉「耳」

21+43→44+43:

21+43 の組み合わせについては、冯爱珍(1993)では、第一音節の声調は陰去から陰平(21→

53)へ交替するとしている。一方の林文芳(2008)では、第一音節は第二音節の声調に合わせて、

高平調の44調に交替するとしている。筆者の調査データにおいても林文芳(2008)と同様の結 果が得られた。また〈铁铲〉や〈熨斗〉のように、第一音節が入声字の場合においても同様 な結果であった。

/thieu21/〈跳〉→[thiu44u43]〈跳舞〉「ダンスする」

/lo21/〈露〉→[lu44ӡui43]〈露水〉「露」

/tsɔ21/〈做〉→[tsɔ44ɾai42]〈做事〉「用事をする」

/kuɔ21/〈过〉→[kuɔ44tsui43]〈过水〉「ゆすぐ」

/thiɛʔ21/〈铁〉→[thieʔ44ʨhiaŋ43]〈铁铲〉「シャベル」

/oʔ21/〈熨〉→[uʔ44tau43]〈熨斗〉「アイロン」

51+42→35+42:

51+42の組み合わせにおいては、第一音節は第二音節の声調に合わせて、高下降調51が交

替し、新たな声調35調が発生する。第一音節が元入声字〈绿豆〉の場合において、同様の結 果が得られた。

/teŋ51/〈灯〉→[teŋ35phau42]〈灯泡〉「電球」

/thiaŋ51/〈听〉→[thiaŋ35ua42]〈听话〉「話を聞く」

/tshaŋ51/〈生〉→[tsh35ŋoŋ42]〈生分〉「人見知り」

/siŋ51/〈心〉→[θiŋ35ӡɔŋ42]〈心脏〉「心臓」

/hiaŋ51/〈兄〉→[hiaŋ35nie42]〈兄弟〉「兄弟」

/luɔ51/〈绿〉→[luɔ44ɾau42]〈绿豆〉「緑豆」

44+42→44+42:

44+42の組み合わせにおいては、第一音節は高平調44を保持し、結果的に交替しないこと

となっている。また、〈木耳〉や〈读书〉のように、第一音節が入声字の場合においても同様 の結果となる。

/muɔŋ44/〈门〉→[muɔŋ44ŋo42]〈门户〉「戸」

/tu44/〈徒〉→[tu4442]〈徒弟〉「弟子」

/ŋa44/〈牙〉→[ŋa44ʨhieŋ42]〈牙签〉「爪楊枝」

/uɔŋ44/〈黄〉→[uɔŋ44nau42]〈黄豆〉「大豆」

/muʔ44/〈木〉→[muŋ44ŋe42] 〈木耳〉「きくらげ」

/siʔ44/〈实〉→[θiʔ44tsai42]〈实在〉「実に」

43+42→35+42:

43+42の組み合わせにおいては、第一音節は交替し、新たな声調35調が発生する。

/pɔ43/〈保〉→[pɔ35ho42]〈保护〉「守る」

/mɛ43/〈买〉→[mɛ3542]〈买卖〉「商売」

/tsa43/〈炒〉→[tsa35puɔŋ42]〈炒饭〉「チャーハン」

/sia43/〈写〉→[θia35tse42]〈写字〉「字を書く」

/koŋ43/〈讲〉→[koŋ35ŋua42]〈讲话〉「話す」

/khɔ43/〈考〉→[khɔ35ɾø42]〈考虑〉「考える」

42+42→44+42:

42+42の組み合わせにおいては、第一音節は第二音節の声調に合わせて、中下降調42が高

平調44に交替する。

/mɛŋ42/〈慢〉→[meŋ44mɛŋ42]〈慢慢〉「ゆっくり」

/tɔi42/〈袋〉→[toy44tɔi42]〈袋袋〉「袋」

/tɛŋ42/〈垫〉→[teŋ44tɛŋ42]〈垫垫〉「シート」

/tsø42/〈自〉→[ʨy44ɾoŋ42]〈自动〉「自動」

/sia42/〈谢〉→[θia44ðia42]〈谢谢〉「ありがとう」

/huaŋ42/〈犯〉→[huaŋ44ӡɔi42]〈犯罪〉「犯罪」

21+42→44+42:

21+42の組み合わせにおいては、第一音節は第二音節の声調に合わせて、低下降調21が高

平調44に交替する。また、〈细腻〉や〈□嚏〉のように、第位置音節が入声字の場合におい ても、同様の結果となる。

/phau21/〈炮〉→[phau44ɾyɔŋ42]〈炮仗〉「爆竹」

/tai21/〈戴〉→[tai4442]〈戴帽〉「帽子を被る」

/tshieu21/〈笑〉→[ʨhiu44ua42]〈笑话〉「笑い話」

/tshieu21/〈树〉→[ʨhiu44ŋɛ42]〈树□〉「枝」

/sɛ21/〈细〉→[θɛ44ɾe42]〈细腻〉「遠慮する」

/haʔ21/〈□〉→[haʔ44tshe42]〈□嚏〉「くしゃみ」

51+21→21+21or35+21:

51+21の組み合わせにおいては、冯爱珍(1993)では、新派の発音について、旧派と区別し、

“古入声字来源的阴平,在所有声调前面,一律变为55调,没有21调一读「旧入声字由来の 陰平は、全ての声調の前において、一律に55調に交替し、21調に読まれることがない」”(p.38) と述べている。一方の林文芳(2008)では、旧入声字由来の51調が異なる交替パターンを見せ、

二つの状況があるとしている。筆者の調査データにおいても林文芳(2008)と同様の結果が得 られた。具体的に元入声字の場合では、第一音節は高下降調51から低下降調21に交替する。

一方、元入声字ではないものに関しては、新声調35が発生する。

/pa51/〈白〉→[pa21ӡai21]〈白菜〉「白菜」

51/〈落〉→[lɔ21a21]〈落价〉「値下がり」

/lɔ51/〈落〉→[lɔ21θuɔʔ21]〈落雪〉「雪が降る」

/pau51/〈包〉→[pau35ӡai21]〈包菜〉「キャベツ」

/ki51/〈机〉→[ci35khe21]〈机器〉「機械」

/kyŋ51/〈斤〉→[cyŋ35muaŋ21]〈斤半〉「750g」

44+21→21+21:

44+21の組み合わせにおいては、第一音節は第二音節目の声調に合わせて、高平調44調が

低下降調21調に交替している。第一音節が〈辣菜〉のような入声字の場合においても低下降 調21調に交替している。また、〈头发〉のように、第二音節が入声字の場合においても同様 の結果が得られた。

/phue44/〈皮〉→[phue21ɾai21] 〈皮带〉「ベルト」

/løŋ44/〈侬〉→[løŋ21ŋa21]〈侬客〉「客」

/tshioŋ44/〈墙〉→[tɕhyoŋ21mia21]〈墙壁〉「壁」

/iɔŋ44/〈铅〉→[yɔŋ21meʔ21]〈铅笔〉「鉛筆」

/laʔ44/〈辣〉→[laʔ21tshai21] 〈辣菜〉「辛い漬物」

/thau44/〈头〉→[thau21uɔʔ21]〈头发〉「頭髪」

43+21→35+21:

43+21の組み合わせにおいては、第一音節は下降調43調が新声調35調に交替している。

ドキュメント内 漢語福清方言の記述言語学的研究 (ページ 52-63)