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位置関係を表す名詞

ドキュメント内 漢語福清方言の記述言語学的研究 (ページ 117-120)

第二章 名詞句と名詞句にまつわる問題

2.6 位置関係を表す名詞

また、両親のいとこに対する呼び方は以下の通りである。

両親のいとこ:

piu35pa21〈表伯〉「両親の男性いとこ」「年上」「名称と呼称が同じ」。

piu21mu43〈表姆〉「表伯の妻」「名称と呼称が同じ」。

piu35tsøʔ21〈表叔〉「両親の男性いとこ」「年下」「名称と呼称が同じ」。 piu21siŋ43〈表婶〉「表叔の妻」「名称と呼称が同じ」。

piu21ku51〈表姑〉「両親の女性いとこ」「名称と呼称が同じ」。

piu21ku35liɔŋ42〈表姑丈〉「表姑の夫」「名称と呼称が同じ」。

最後に、義理の父と母の名称と呼称を示す。それぞれ男性が妻の両親、女性が夫の両親に 対する名称と呼称は以下の通りである。

妻の両親:

tiɔŋ44løŋ44〈丈侬〉「妻の父」「名称」、呼称は妻と同じ呼称を用いる。

tiɔŋ2143〈丈妮〉「妻の母」「名称」、呼称は妻と同じ呼称を用いる。

夫の両親:

44kuaŋ51〈依倌〉「夫の父」「名称」、呼称は名称と同じか、夫と同じ呼称を用いる。また、

夫は父に対して、妻と同じように〈依倌〉と呼ぶこともある。

ta44ia51〈□□〉「名称」、呼称は夫と同じ呼称を用いる。

(166) tɔ44kha51 ie21kha51 lu44lai44kha51 桌骹 椅骹 露台骹

「机の下」 「椅子の下」 「ベランダの下」

(164)のle〈里〉は基本的に「ものの表面」を意味する。空間を持つものを表す名詞に付加

した場合には「中」を表すこともある。(165)のtԑ43〈底〉は基本的に物体の「中」を意味す る。tԑ43〈底〉が付加される名詞は(165)のtiaŋ43「鍋」、tshuɔ21「家」のような空間を持った物 体が一般的で、tsiu43「手」のようなあまり空間を持たない名詞にtԑ43〈底〉を付加したtsiu2143

「手の中」は「お金を所有」、「部下を持つ」や「秘密が握られる」などの抽象的な意味をし か表さない。実際このような例が少ない。

le〈里〉とtԑ43〈底〉はともに「中」を意味することであるが、le〈里〉は空間を持った物

体のどこを特に特定することがなく、物体の「中」を意味する。それに対して、〈底〉はその 語の意味の通り、物体の「奥、底」を意味することである。

したがって、単純にある物体の内部に存在することを表現する場合には、一般的に(167a) のように、le〈里〉が選択される。(167b)のようにtԑ43〈底〉を用いると不自然になる。一方、

物体の「底」を意味する際には、(168a)のように tԑ43〈底〉を用いるのが自然で、(168b)のよ

うにle〈里〉を用いることができない。

(167) a. phuai21 tioʔ44 tiaŋ43le . 配 着 鼎里

おかず ある 鍋の中

「おかずは鍋の中にある。」

b. *phuai21 tioʔ44 tiaŋ4343. 配 着 鼎底

おかず ある 鍋の底

「おかずは鍋の底にある。」

(168) a. hɔ3521 toŋ44 tiaŋ2143 . 好乇 □ 鼎底

いいもの 残る 鍋の底

「いいものは鍋の底に残る。」

b.*hɔ3521 toŋ44 tiaŋ43le . 好乇 □ 鼎里

いいもの 残る 鍋の中

「いいものは鍋の中に残る。」

(168a)は福清方言のことわざである。麺類などの料理は往々にして、具などが下に沈むの で、後に食べる方が得するというような意味である。

43〈底〉やkha51〈骹〉はまだ完全に接尾辞化しておらず、本来の声調を保っている。kha51

〈骹〉に関しては、重複して位置関係を表すことがある。以下の(169)に発話例を示す。

(169) toi44tɔi42 tioʔ44 hyʔ44 tyʔ44ie43 kha44kha51 . 袋袋 着 许 竹椅 骹骹

ある あれ 竹の椅子

「袋はあの竹の椅子の下にあるよ。」

2.6.2 二音節のもの

普通話では、〈前〉「~の前」、〈后〉「~の後ろ」、〈外〉「~の外」などは、一音節のままで 名詞に付加して使用することが可能である。しかし、これらのものは福清方言では単独では 位置関係を表すことができない。もっとも「~の前」を表す位置関係の名詞seŋ44〈前〉は名 詞に付加して、語彙化しているものがある。(170)に例を示す。

(170) tsau44seŋ44 miŋ44seŋ44 灶前 面前

「台所」 「手土産」

(170)以外に位置関係を表す場合には、seŋ44〈先〉は基本的にほかの要素を付加して、位置

関係を表す。以下、位置関係を表す二音節の名詞を(171)に提示する。

(171) a. kԑ21liŋ43 a214335sie21

□顶 下底 底□

「~の上に」 「~の下に」 「~の中に」

21mԑŋ43 ŋia21lau51 底面 外□

「~の中の方に」 「~外に」

b. seŋ21lau43 a21lau43 pieŋ44lau43 先兜 后兜 边兜

「~の前に」 「~の後ろに」 「~の隣に」

c. tsɔ21peŋ5121peŋ51 iu44peŋ51 tsiaŋ44meŋ51 左边 倒边 右边 正边

「~の左に」 「~の左に」 「~右に」 「~右に」

tøŋ44meŋ51

laŋ44meŋ5144peŋ51 peʔ44peŋ51 东边 南边 西边 北边

「~の東側に」 「~の南側に」「~の西側に」 「~の北側に」

(171a)に示したのは、それぞれ一つしかないものである。(171b)に示したのは、同じ tau43

〈兜〉を付加したものである。(171c)はpeŋ51〈边〉を付加したもので、数としては最も多い。

(171b)における「~の後ろに」を表すa21lau43〈后兜〉の〈后〉は音韻的にはau42である。

後部要素と母音が重複するため、単母音aとして実現していると考えられる。

(171c)の「~の左に」と「~の右に」はそれぞれ2通りの表現が存在している。tɔ21peŋ51

tsiaŋ44peŋ51は名詞修飾にも用いられる。例えば「左手」と「右手」はそれぞれ tɔ21meŋ21tsiu43

〈倒边手〉とtsiaŋ21meŋ21tsiu43〈正边手〉と表現される。

二音節の位置関係を表す名詞を用いた発話をいくつか取り上げる。

(172) huʔ44tsiu5121liŋ43 khuŋ44khe2144 ɔ43. 福州 □顶 空气 好 福州 上 空気 NEX 良い

「福州の上では空気はよくない。」

(173) ŋuaʔ4435sie21 huŋ35sɔʔ21 thu44 huŋ43 o lau43 . 我 底势 粉刷 都 粉 去 了

1SG 中 壁塗り 皆 塗る ASP ASP

「私の家の中では内装は全部やったのだ。」

(174) tsieʔ4435mԑŋ21 sia51 44 ieʔ44 ha . 此 底面 食 会 热 □

ここ 中 食べる AUX 熱い SFP

「ここ(中)で食べるのは熱いね。」

(175) iʔ44 koŋ43 tsu44 51 tsieʔ44 ŋia21lau51 sia51 . 伊 讲 就 □ 此 外兜 食

1SG 言う すぐに 置く ここ 外 食べる

「ここ(外)において食べるって。」

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