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2.3 オーストラリアのCACGシステム

 オーストラリアにはJIIG・CAL AUSTRAHA社が開発したシステムがある。この 会社はウェスタンオーストラリア州クレアモント(Claremont)に本社があり、国内 及びニュージーランドに9つの支社がある。なお、本部は英国にある。JIIG・CAL、

はJob Ideas&Information Generator, Computer Assisted Llearningの略号であ る。このシステムは1980年代にJIIG−CAL AUSTRALIAとエジンバラ大学のキャ

リアリサーチセンターが共同で研究開発し、1991年に最初のオーストラリア版を発 刊した57。開発の中心人物はS.J. Clossである58。2001年現在ではオーストラリ ア版とニュージーランド版があり、いずれかのヴァージョンを1枚のCD−ROMか

ら選択し、スタンドアロン型及びネットワーク型のパーソナルコンピュータにイン ストールできるようになっている。また、トライアルヴァージョンの使用も可能で ある。オーストラリア版にはCareer VoyageとCareer Compassがあるが、筆者が 入手したCD・ROMの都合上、Career Voyageについてのみ紹介を行うこととする59。

なお、Fig.2.39がCareer Voyageのオープニング画面である。

●L

  Interest Guide

   クライエント(ユーザー)が職業上の活動に関する120の質問の回答を入力    すると、職業興味のプロフィールが示される。

  Job Suggestions

   仕事の条件に関する好みや,仕事に生かそうと思う才能・技能・悪条件のもと    での対応の可否・健康状態等をクライエントが自己評定して入力すると、適    職リストやその職業情報が示される。

 クライエントはInteres七Guideから始め、その後Job Suggestionsに進む。入力 などに要する標準的な時間は各々15−20分、両方で30・40分である。中断して、後 で途中から再開することも可能である。

 このシステムには650以上の職業が収録され、そのデータは毎年更新されている。

対象は青少年(15−18歳)及び成人(18歳以上)であり、企業の従業員や再雇用者、

長期失業者、障害者、社会復帰をめざす求職者もユーザーとして想定している。こ のソフトウェアは、生徒・学生や求職者などクライエントが単独(self help)で使う のではなく、Fig.2。40に示すように助言者とともに活用することを推奨している。

STAGE 1 導入(Introduction)及び概要

仕事のレベルの選択(大学卒業レベルから特別な ウ育・訓練を必要としないレベルまでの5肢選択)

職業興味に関する質問に回答を入力

クライエントと助言者にレポートを作成・出力

STAGE2

クライエントは仕事の要素の選択項目を入力

仕事の情報や適合度得点を含む20の適職のレポ [トの作成・出力

STAGE3

仕事の調査探求

キャリアアドバイザーとともに行動計画の立案

:Fig.2.40 Career Voyage利用手順

また、オーストラリアやニュージーランドの学校・大学・TAFE60・政府・企業・コ ンサルタント業などで使用され、そこで働くキャリアアドバイザー、キャリアカウ ンセラー、キャリアコンサルタントなどから高い評価を受けている。これらのキャ リアの専門家のためにシステム及びソフトウェアパッケージの使用に関する講習会

(workshop)も準備されている61。 Synergetics Rehabilitation&Vocational Services によると、毎年約25万人の人々がこのシステムを利用しているという。62

2.3.2 導入(Introduction)

 クライエントがCareer Voyageを活用するとき初めに出会うのが、導入の部分で ある。まず、登録フォームが出るので、それに名前・会社名・パスワードを入力す る。Career Vbyageをスタートさせると、インフォメーションの画面が現れて、「以 前にCareer Voyageを使ったことがあるか」聞いてくる。【Yes】をクリックして、次 画面でユーザーナンバーを入力すると、インデックス画面が現れる。Fig.2.41左は、

前回使用の際にInterest Guideは完了したがJob Suggestionsは開始していないと いうことである。2回目以降は、前回の続きがら再開することができる。また、前 回入力した内容を変更することも可能である。一方、インフォメーションの画面で

【No】をクリックすると、 Fig.2.41右のソフトの概要のシートが現れ、次画面で名 前を入力して次に移る。

Fig.2.41 Career Vbyageの導入部分のシート

次はクライエントが【Ybung People】か【Adults】を選択する。前者は15・18歳であり、

60TAFE(Technical and Further Education)はオーストラリアの州立の職業訓練機関(専門学 校)である。

61JIIG・CAL AUSTRALIAのパンフレット乃左加80αθ53〃bz潅0磁0/Oarθθ10ゐofoθ 620nline(2001)http:〃www.cygnus.uwa.edu.au/〜gaianet/sci/scirvs.htm1

69

この年代は義務教育終了、後期中等教育(senior secondary)の日三期にあたる63。後者 は18歳以上である。18歳は中等教育を終了後、就職したり、大学・カレッジ・TAFE など高等教育機関に進学する年齢である。なお、Ybung PeopleかAdultsかによっ てInterest Guideで入力する項目が若干異なるが、これについては後述する。

 以上は事務的な入力・登録であるが、以後はクライエントの意向や考えが伴う実 質的な入力・選択の部分に入っていく。その第1は、仕事の技能レベル(熟練度)

と成人向けの教育訓練のレベル(学歴・卒業資格・訓練期間)であり、5つのレベ ルから選択することが求められる。この5つのレベルの詳細はTable 2.18の通りで あり、選択したレベルに応じてJob Suggestionsで提示される職業(適職)が全く 異なってくる。したがって、この部分の入力は重要で、特にHigh Schoolなど中等 教育在学生徒にとっては、キャリアアドバイザーやキャリアカウンセラーなどの助 言が重要であると思われる。

Table 2.18 入職レベル

Level Qualifica七ion  Level of skills Training for adults 1 通常は不問 非熟練〜半熟練  数ヶ月の実地訓練(OJT)

教育より実務能力 雇用主やTAFEが実施する短期講習

2 ときどき必要  半熟練〜熟練 訓練期間1年以下。

TAFEでの短期入門コースなど

3

TAFE必要

熟練〜専門技術 訓練期間2−3年+パートタイムの 研修。フルタイムの短期講習も可。

4 TAFE不可欠  専門家補助,専門的 訓練及び研究期間2−4年程度

5 大学等卒業資格 専門家 学位や高等教育(ときに大学院)の 卒業資格が必要。高等教育は社会人 入学資格も利用可。

2.3.3  1nterest Guide

 次にクライエントはInterest Guideに進む。ここでは人々が仕事の中で行うこと がらについてどう感じるかを回答(入力)する。【とても嫌い(Strong Dislike)】、[嫌 い(Dislike)】、1どちらでもない(Not Mind)]、[好き(Like)1、[とても好き(Strong Like)】

の5件法である。次ページのFig.2.42に、[Ybung People]、:Levels of entryが[Leve1

3]に設定したときの入力画面を示した。以後各シートで、クライエントの設定が画 面の左上に【Y3】のように示される。質問は各シート6問、全20シートで合計120

問ある。[Y3}の質問項目をTable 2.19に示す。

63オーストラリアの教育制度は州によって異なるが,6歳から15・16歳まで(1−10年生)が 義務教育である。小学校は6歳から6・7年続くが,ウェスタンオーストラリア州以外ではほと んどの子どもが5歳で小学校に入学する。したがって,15歳には初めの進路分化の時期を迎える。

Fig.2.42 1nterest Guideの入力画面 Table 2.19 1nterest Guideの質問項目(Y 3)

001トラックの荷物を積み降ろしする 002家畜に餌を与える

003映画館で人々を席に案内する

004食事のためにきれいにテーブルを並べる

005病気で出かけることができない人々のために買物に行く 006古い建物を取り壊す

007スーパーマーケットのカウンターや棚に商品をたくさん並べる 008藁を動物園のおりの中に敷く

009散歩のため車椅子で人々を外に連れて行く 010ホテルの宿泊客を部屋に案内する

011ドリルで道路を掘り起こす 012娯楽センターで両替を行う 013植物を植える

014店で贈り物を包む 015電話で伝言を受け付ける 016ライトバンに家具を積む

71

017商品を陳列棚に並べる 018郵送する手紙を封筒に入れる 019赤ちゃんを世話するのを手伝う 020ペット店で動物を世話する 021道路にあいた穴を補修する 022粘土で陶器を作る

023ライトバンでアイスクリームを売る 024孤独なお年寄りと雑談する

025鶏やアヒルの世話をする

026遊園地のショーに人々が参加するのをすすめる 027パン屋で丸いパンやケーキをデコレーションする 028障害のある子どもが服を着るのを手伝う

029映画館でプログラムや軽食を売る 030予約を待つ人々と雑談する 031温室で育てている植物に水をやる 032建築現場で一輪車を押す

033服をきれいにしてアイロンをかける 034クロークで人々のコートを受け取る 035機械に油や潤滑油を差す

036患者を見守り、手当てが必要なとき看護婦に伝える 037野菜を栽培する        〆

038事務所で手紙を整理保管する

039ホテルに滞在する人々のためにタクシーに電話をかける 040病気の人の部屋を整頓する

041駅の改札で切符をチェックする 042倉庫で木枠の箱を積む

043銀や真鍮の装飾を磨く 044庭の落葉を掃除する 045鉄道の線路を補修する

046公共のビルで人々のためにドアをあける 047駐車場でチケットを発行して料金を徴収する 048家具のほこりをとり磨く

049苗木がもっと大きくなるように大きい鉢に植えかえる 050病院で患者に食事を出す

051店に出荷する服を箱に詰め込む 052舗装用の敷石を敷く

053子どもたちの食事時間を監督する 054旅行代理店でチラシを配る

055人々にいつ食事が出されるかを知らせる