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 逆に、ミスマッチの場合はFig2.37のシートが現れて、システムがミスマッチと 判断した理由が示される。図の例では、初めにユーザーが好みの職業として人文科 学の教師(Teacher,Arts)を選択した。その後Interests・Abilities・Work Valuesの 検査を行った。Interestsの検査結果と人文科学の教師の興味(lnterests)面の属性を 比較したものが右上のシートであり、Abilitiesの検査結果と人文科学の教師の能力

(Abilities)面の属性を比較したのが左下のシートであり、Work Valuesの検査結果 と人文科学の教師の価値(Work Values)面の属性を比較したのが右下のシートであ る。このいずれのシートにおいても検査結果と好みの職業の属性に唯一つの共通項 もなく、完全なミスマッチ状況を示している。

生徒の職業理解が不足しているケースなどが考えられる。教師やカウンセラーはそ ういった個々の生徒の状況を把握したり、結果をどう受けとめているかを確認して、

適切な示唆を与えることが重要である。その中には、もう一度検査をやり直すよう 指示したり、コンピュータは万能ではないことを話すことも含まれよう。実際、Self helpを標榜しているJOBS2でもCareer Explorationの最終段階において次のメッ セージをユーザーに向かって流す。

 (1)これであなたの旅は終わり?(End of your journey?)

 (2)いや、これは旅の始まりにすぎません。(This is only the beginning!)

 (3)次にあなたは何をすべきかわかりますか?

 (4)先生や両親、身内の人と話してみてください。

 (5)職業に就いて働いている人たちと話してみてください。

 (6)キャリアに関係する情報をさらに調べてみてください。

 (7)今後の教育プランをいくつか立ててみましょう。

 (8)あなた個人の興味、能力、仕事に関連する価値を学ぶことを続けてください。

これらはまさに教師やカウンセラーなど周りにいる者が働きかけていくことである。

 さて、JOBS2はFig.2.38の画面が出た後に終了する。左の画面ではCareer Explorationの検査結果やユーザーが印刷の指示をしておいた個別の職業情報をプ

リントアウトすることができる。

Fig.2.38 印刷指示画面(左)とシステム終了画面(右)

2.2.3 JOBS2の評価

 ここからは、JOOBS2を実際にモニタリングしてみた評価をCareer Exploration を中心に行ってみたい。

 第一に操作性である。操作のガイドは短文のインストラクションと映像及び音声 のガイドによってわかりやすく行われる。外国人である筆者にとっても操作が非常 に容易であった。また、入力シートではBGMも流れ、ゲーム感覚で回答していく ことができる。また、内容面にも関連するが、Interestsモジュールでは30問ずつ の質問に回答すればよいのでユーザーの負担が少ない。Abilities及びWork Values

のモジュールでは1枚のシートの中で入力が済むのでなお負担が少ない。おそらく 検査の信頼性とユーザーの負担とのバランスを考慮した上でのぎりぎりの線なので あろう。検査問には、つなぎや扉のシートが現れるので、ユーザーが今どの位置に いるのか、この後は何をするのかわかりやすい。

 紙筆の進路適性検査と比較してCACGシステムの長所としては、その場で検査結 果が出ることと何度もやり直しがきくというところであろう。前者については、

Interestsの入力後にユーザーの興味に合う職業領域の判定が示されるまで約25秒 かかる。しかし、その間もつなぎのシートが画面に出るので待たされているという 感覚はほとんどない。また、Interests・Abilities・Work Values及び3つの情:報を 総合した適職リストが画面に出るまでの時間はほんの数秒である。後者については、

一旦個人情報を入力しておけば、IDナンバーのみの入力で前回の入力画面がロード され、必要に応じて入力し直すことも容易である。

 第二に内容面である。職業情報については既述したように、詳細かつわかりやす い内容である。ただ、欲を言えば、掲載されている写真が1枚だけなのでもっと枚 数があった方が良いと感じる。また、動画やインターネットへのアクセスが考慮さ れるとなお良いと思う。もっと重要なのは職業の収録数である。200品種というの

は少ないと感じる。しかしながら、複数の静止画や動画、収録職業数ともCD・ROM を保存媒体としている段階では自ら限界があるだろう。媒体にDVDを使用すれば 情報量は増やせるが、価格や使用できるコンピュータ環境に影響するので難しいと

ころであろう。

 さて、JOBS2は理論的な基盤がしっかりしており、開発経過からも信頼性の高い システムであると思われる。しかし、大きな弱点として、ユーザーの教育レベル及 び教科学習の修得状況は考慮に入れていない。教科学習の修得状況(成績)の方は しかたないとしても、教育レベルを考慮に入れていないということは、小学校4年 生から大学院生や社会人まで同じ結果が示されるということである。シンガポール では早期から徹底した能力別コース編成が行われ、各コースによって進路も異なる ので、JOBS2のようなシステムを使用する際は教師やカウンセラー等がユーザーの

レベルに応じた活用やフォローをしなくてはならないであろう。

 次に指摘したいことはユーザーの極端な回答入力へのシステムの対応である。

Career Explorationはユーザーの自己評定にもとづいて判定が行われる。In七eres七s の計60の質問に全て【NO]で回答した場合でもTable 2.17の結果が示されてしまう。

Table 2.17 全回答がNOの場合のInterestsの判定結果

1■terest Profile Very Highly Related  Highly Related        Occupation       Occupation

Related Occupation Practical     Engineer, Electrical  Architect, Landscape  Actor

Investigative  (1職種)      Biotechnologist    Builder

Creative      など21職種      など26職種

65

これはシステム上の欠陥と言わざるをえない。その後、Abili七iesやWork Values の回答状況にもよるが、最終部分での総合的な判定でも適職リストが示されてしま

う。つまり、JOBS2にはユーザーの極端な回答入力に対するチェック機能がないの である。プリントアウトされた資料にもユーザーの回答が示されていないので、本 人以外の者(たとえば教師)がチェックする術がない。AbilitiesやWork Values のモジュールにはこのような心配はないが、lnterestsモジュールについてはこの部 分の改訂が望まれる。

2.3 オーストラリアのCACGシステム

 オーストラリアにはJIIG・CAL AUSTRAHA社が開発したシステムがある。この 会社はウェスタンオーストラリア州クレアモント(Claremont)に本社があり、国内 及びニュージーランドに9つの支社がある。なお、本部は英国にある。JIIG・CAL、

はJob Ideas&Information Generator, Computer Assisted Llearningの略号であ る。このシステムは1980年代にJIIG−CAL AUSTRALIAとエジンバラ大学のキャ

リアリサーチセンターが共同で研究開発し、1991年に最初のオーストラリア版を発 刊した57。開発の中心人物はS.J. Clossである58。2001年現在ではオーストラリ ア版とニュージーランド版があり、いずれかのヴァージョンを1枚のCD−ROMか

ら選択し、スタンドアロン型及びネットワーク型のパーソナルコンピュータにイン ストールできるようになっている。また、トライアルヴァージョンの使用も可能で ある。オーストラリア版にはCareer VoyageとCareer Compassがあるが、筆者が 入手したCD・ROMの都合上、Career Voyageについてのみ紹介を行うこととする59。

なお、Fig.2.39がCareer Voyageのオープニング画面である。

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