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4 石炭のバージ輸送における現状と問題点の調査

4.4 Pusher Barge System の導入による改善点

これまで整理してきた現状と将来に向けた

Mahakam

川における石炭輸送の課題・問題に ついては、輸送の方式を

TBS

から

PBS

に抜本的に変革することにより解決を図ることがで きるものと思料される(図 4-16参照)。

本件においては、現地調査の結果を踏まえ、PBS のタグとバージを試設計した。それぞ れの主要目および仕様を表 4-2から表 4-4に示すとともに、一般配置図を図 4-17および図

4-18

に示す。ここではバージの載貨重量を

10,000DWT

とし、それに伴いタグの馬力を

Samarinda

地方条例(巻末の参考資料

4)を基に 2,800PS

とした。なお、タグについては、

十分な

Air Draft

が確保できない

Mahkota 1

橋も容易に航過できるよう、橋通過時のみブリッ

ジの高さを下げられるよう設計した。

以下には、PBSの特徴を踏まえた改善点を示す。

(神戸市

Web

サイト)

図 4-16

PBS

の例

表 4-2

PBS

のタグ(2,800PS)の主要目

表 4-3

PBS

のタグ(2,800PS)の仕様

表 4-4

PBS

のバージ(10,000DWT)の主要目

主要目 備考

全長 (m) 30.00

垂線間長 (m) 28.80

型幅 (m) 9.60 Moulded 型深さ (m) 4.30 Moulded

喫水 (m) 3.70 Design Loaded

総トン数 (t) 400

備考 (HP) 1,400

(kW) 1029

(set) 2

シャフト (line) 2 Solid shaft

プロペラ (set) 2 4-bladed solid propeller 速力 (kt) 12.5 Trial max.

Vertical 4 stroke cycle

Dieselengine with reverse-reduction gear 主機

主要目 備考

全長 (m) 115.00

型幅 (m) 24.40 Moulded 型深さ (m) 6.00 Moulded

喫水 (m) 5.00 Design Loaded 載貨重量トン (t) 10,000

図 4-17

PBS

のタグ(2,800PS)の一般配置図

50

図 4-18

PBS

のバージ(10,000DWT)の一般配置図

4.4.1

操縦性能の向上

PBS

はバージとタグを曳航ロープではなく機械的に連結するため、船団の総延長は

TBS

に比べ

60%程度の規模となる(図 4-19

参照)。また、機械的に直接連結され、一体化され

るため、一般的な自航船舶と比べても遜色ない操縦性能を得ることができる。

そのため、屈曲した水路や急流、そして可航幅の狭い箇所の航行も可能となることから、

バージ輸送船団の高速化やバージの大型化が実現可能となるとともに、パイロット強制区間 の可航時間の拡大や上流部の炭鉱開発の可能性を高めることに繋がる。

また、現状の

TBS

では航行環境が厳しいとされる

Mahakam

川においては、操船者の意図 通りに速力や横流れ(Drift)などの制御が可能となることから、大型石炭船を含む他船や流 域に存在する構造物との衝突回避も容易となり、安全性が格段に向上する。

図 4-19

TBS

PBS

の船団総延長比較(8,000DWTバージ)

4.4.2

大型化の実現

Mahakam

川における石炭輸送においては、以下の点から輸送バージの大きさが、主に経

験則により制限されている。

全長は屈曲箇所および可航幅の狭い箇所を航行するため

91.4m(300ft)に制限

型幅は

Mahakam

川の最小可航幅が

80m

であることから

24.4m(80ft)制限

バージの喫水は上流部および河口部の浅水域を航行するため最大

5m

程度に制限 このうち、幅については、現行の許可値

80ft

を増加させる場合、跨川橋(Mahkota 1橋)

を架け替え、橋脚幅を改善する必要があり、また喫水制限を緩和させるためには定期的かつ 広範囲にわたり浚渫する必要があることから、主にコスト面で大きな課題がある。従って、

現実的に改善の余地があるのは全長のみとなる。

全長については図 4-20に示すとおり、PBSは

10,000DWT

の石炭を積載できるよう長さ を拡大しても船団の総延長が

139m

程度、12,000DWTのバージでも

162m

程度と概算され、

従来の

TBS

が概ね

191m

であるのに対しても全長を縮小することが可能となる。

図 4-20

PBS

の総延長(イメージ)

4.4.3

速力の向上

現状の

TBS

は、バージ制御の困難さから平均速力が

4

ノット程度と低速航行を強いられ ている。今回、試設計した

PBS(主機:1,000PS×2)の場合、8

ノットでの航行が可能とな るため、輸送効率は大幅に向上する。

但し、現地でのヒアリング調査から、Mahakam 川を航行する船舶については、航走波が 川岸で生活する住民に及ぼす影響を最小限に抑えるべく、航行速力は

6

ノット程度まですべ きとの情報も得られていることから、

PBS

の運航速力については今後の検討課題と言える。

4.4.4

燃費の向上

一般的に、TBS はタグとバージを結ぶ曳航ロープなどによるエネルギー損失により、タ グがバージと直接連結する

PBS

よりも大きな馬力を必要とすると言われている。

この点に関しては、

BPPT

が水槽実験を実施しており、表 4-5に示すように所定の速力を 得るのに必要とする馬力は、PBSの方が

TBS

よりも

15%程度少ないと報告している。これ

を基に速力が

7

ノットの場合の燃料消費量を概算すると、PBSの方が

TBS

よりも

1

時間あ たり

22kg

程度少ないことになる。年間の稼働率を

75%(270

日)とした場合には、PBSと

TBS

の使用燃料の差は約

143t

となり、2011 年

7

月末の

MDO(Marine Disel Oil)の相場

(USD1,000/t)から費用を換算すると

USD143,000

にも達する。(表 4-6参照)

更に、河川屈曲部を航行する際、TBS はバージの横流れ(Drift)を制御するため、直進 航行時よりも大きな馬力を必要とすることから、Mahakam 川を上流から下流まで航行する 際の燃料消費量の差は更に拡大するものと思料される。

なお、この点について正確な数値を得るためには、現地における実船での検証実験が必要 となることから、今後の課題といえる。

表 4-5 所定速力に要する馬力の比較

表 4-6 所定速力時における燃料消費量

※ 燃料消費量(g/h)=馬力(kW)×200g/kWh

Speed (kt) 7 8 9 10

Pusher & Barge System

(PBS) (kw) 589 870 1,066 1,907

Tug & Barge System

(TBS) (kw) 700 1,024 1,262 2,258

Ratio (%) 84.1% 85.0% 84.5% 84.5%

Speed (kt) 7 8 9 10

Pusher & Barge System

(PBS) (kg/h) 117.8 174.1 213.2 381.3

Tug & Barge System

(TBS) (kg/h) 140.1 204.8 252.4 451.5

Difference (kg/h) ▲ 22.3 ▲ 30.7 ▲ 39.2 ▲ 70.2