11 環境・社会配慮
11.4 相手国の環境社会配慮関連法規の概要
11.4.1
環境配慮関連法規11.4.1.1
環境影響アセスメント(AMDAL)の関連法規1997年に制定された「環境管理法」(Law No. 23/1997 concerning Environmental
Management)第15条では、環境に重大な影響を与える可能性のある全ての事業・活動に対
して環境アセスメント(AMDAL)文書の作成が要求されている。AMDAL文書は、環境ア セスメント準備書(KA-ANDAL12
)、環境影響評価書(ANDAL)、環境管理計画書(RKL)および環境モニタリング計画書(RPL)、要約という5種類の文書から構成される。
その後、
2009
年10
月に成立した第32
号の新しい「環境保護管理法」(Law No. 32/2009 on12 2009
年の第32
号法律「環境保護管理法」では、KAと簡略されている。Environmental Protection and Management.)は上述の法律に取って代わることとなった。新法
は、環境計画の策定、及び合理的な環境利用・開発・維持・回復・監視・管理の強化を通 じて、環境的に持続可能な発展を遂げることを制定の趣旨として指摘し、環境保護と管理 について、透明性、参加型、説明能力及び公平性などの原則を特に強調するのが特徴的で ある。また、新法は、すべての事業・活動に対して、環境に重大な影響を与える可能性のある
ものが
AMDAL
の実施が必要と記載すると同時に、環境に重大な影響を与える可能性がないものについても、環境管理取組(Upaya Pengelolaan Lingkungan/UKL)と環境モニタリン グ取組(Upaya Pemantauan Lingkungan /UPL)を必要とすることが明記されている。
AMDAL
の手続きは、Government Regulation No. 27/1999により規定されており、そのうちの第
3
条にAMDAL
実施の基本原則が示されている。(巻末の参考資料6
参照)なお、AMDAL
に関連する法規のリストは巻末の参考資料7
のとおりである。国内環境管理の基本となる環境管理法は前述したように
2009
年10
月に改定されたが、それに続いて
AMDAL
プロセス等の詳細規則も順次改定していく予定としている。環境省 へのヒアリングによると、2011 年中に、AMDAL 実施の作業を請け負うコンサルティング 会社の登録及びコンサルティング会社と個人の資格に関する具体的な規定(これまでなか った)を公表する見込みである。また、環境省によれば、環境管理法が改定された後には、AMDAL(又は UKL・UPL)が全く実施されていない既存プロジェクトにおいても UPL・
UKL
を作成させるよう求める法律の制定を検討している。これに関連して、現在地方レベ ルにて事業・活動調査を実施しており、事業・活動インベントリ作成を進めているとのこ とであった。11.4.1.2 AMDAL
の実施対象プロジェクトAMDAL
実施を義務付けるプロジェクトの種類・規模についてはState Minister of
Environment Decree No. 17/2001
にて規定されていたが、State Minister of Environment DecreeNo.11/2006
にて改訂されており、以下のようなプロジェクトにAMDAL
が要求される。(1) 環境に影響を及ぼす可能性のある活動
巻末の参考資料
8
参照。ただし、以下のような状況に当てはまる事業の場合には、リス トから除外される(第7
条)。この場合、環境大臣は専門家の意見を参考にして決定を行う。なお、リストは
5
年に1
度、改定される。①科学技術的評価に基づき、活動による影響が対処可能である場合
②実際の活動による環境への影響はない場合
(2) (1)に含まれていない活動
(1)に含まれない活動だが、巻末の参考資料 8
に示している場所に接する土地での活動(3) (1)にある活動より規模は小さい
(1)にある活動より規模は小さいが、プロジェクトの性質、規模、周辺の自然環境を考慮
すると影響が大きいと思われる活動である場合であり、県知事、市長、またはジャカルタ 特別州知事がAMDAL
を必要と判断する活動(4) (1)に含まれていない活動だが、STEP1~5
のスクリーニング実施(1)に含まれない活動だが STEP1~5
のスクリーニング実施により、他関連省庁などからAMDAL
実施を提案され、環境大臣がAMDAL
を必要と判断する活動STEP1:立地に関するスクリーニングを行う(巻末の参考資料 10-①)
。STEP2:活動に関するスクリーニングを行う(巻末の参考資料 10-②)
。“YES”がある場合、AMDAL
作成が求められる可能性がある。STEP3:STEP1
及びSTEP2
の“YES”項目について、以下の点を考慮して大きな影響があるか否かを判断する。
①影響を受ける人数
②影響を受ける面積
③影響を受ける期間と強度
④その他の影響を受ける環境要素
⑤累積影響
⑥可逆性・不可逆性
STEP4:過去 10
年間において、同種の活動が以下の現象を引き起こしたかどうか調査する。
①常に同様の悪影響を与えている。
②活動により引き起こされる悪影響を緩和する技術、方策などがない。
STEP5:STEP4
に該当する場合、AMDALが必要となる。11.4.2
社会配慮関連法規11.4.2.1
用地取得の関連法規インドネシアの土地は、1960 年に制定された「土地基本法」(Law No.5/1960 concerning
Basic Agrarian Law)が基本となって管理されている。開発プロジェクトにおいては、
Presidential Decree No.55/1993
にて公共目的の用地取得手続きについて定めていたが、これに代わって
2005
年に「公益のための用地取得大統領令」(Presidential Decree No.36/2005)を発布されている。これにより、政府は民間主体による用地取得を促進しようとしたもの
の、営利目的での強制的な用地取得を認めるものとして、社会からの抗議行動を招いた。
そこで ①対象となる重要公共物を
21
から7
に限定、②土地所有権の剥奪に関する規定を 削除、③補償に関する規定を新たに設けるなどの改正を施し、2006 年に改正大統領令(Presidential Decree No.65/2006)として再公布された。用地取得に関する関連法規のリスト と概要は巻末の参考資料
11
に示している。11.4.2.2
先住民族の関連法規と政策(1) 関連法規
インドネシア既存の法規の中、先住民族に関連する主なものは巻末の参考資料
12
に整理 されている。これらの法規には、部落社会の伝統と文化の多様性の尊重を提唱する2000
年 版憲法をはじめ、森林法(1999年第41
号)、地方政府法(1999年第22
号)、人権法(1999 年第39
号)、沿岸・小島嶼管理法(2007年第27
号)などの法律、農地改革と天然資源管理 に関する議会法令(2001年第9
号)、孤立された部落社会の社会福祉指導に関する大統領法 令(1999年第111
号)、孤立された部落社会地位向上措置の実施ガイドラインに関する社会 福祉大臣法令(2002年第6
号)、村落社会伝統と社会文化価値の保護と発展に関する内務大 臣の法令が含まれている。(2) 保護・育成政策
インドネシア政府の先住民族に対する保護・育成政策は、前述した「孤立された部落共 同体の社会福祉指導に関する大統領法令」(1999年第
111
号)、及び「孤立された部落共 同体地位向上措置の実施ガイドラインに関する社会福祉大臣法令」(2002年第6
号)の2
つの法規に示されている。この2
つの法令の詳細な内容について巻末の参考資料13
が参照 される。これらの法令を踏まえて、社会福祉省は地方政府や大学と連携して、個々の「孤立され た」先住民部落を年度毎に選定し、それぞれ
3
年間を期限とする支援プログラムを実施し ている。このような3
年間プログラムでは、初年度には現状の調査、二年目には農業用の 設備、家屋と村落インフラ施設の提供、三年目には技能養成にかかる研修・教育を支援活 動の内容とする。13
しかし、現行のインドネシア先住民族に関する法規では、先住民族の社会サービスネッ トワークにアクセスできるように社会福祉的な指導を強化するような内容が中心となり、
用地取得や非自発的住民移転の発生による先住民族への影響に対する特別な保護と支援措 置が未だ定められていない。