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4 石炭のバージ輸送における現状と問題点の調査

4.2 効率性の観点からの現状調査

じられており輸送効率は高くない。また、積載量を減らす必要がある場合には、荷主との契 約を遵守できない場合もあることから、バージ運航会社はやりくりに苦慮している。

4.2.3

低い堪航性

TBS

では、タグが曳航ロープ(ワイヤまたはホーサー)を使用してバージを牽引する。

洋上で風浪が高まった場合などには、タグとバージがそれぞれ別の波に乗り、両者の距離が 常に変化する。距離が離れる場合には曳航ロープに過度な負荷が掛かるため、その負荷が曳 航ロープの許容荷重を超えた場合には破断することもある。破断した曳航ロープは大変危険 なため、風浪が高まった場合には速力を落とすことが一般的である。

従って、気象に恵まれている河川を航行中には大きな問題となることは少ないものの、河 口を出て、外洋を航行する場合、堪航性の低い

TBS

は一般的な自航船に比べて輸送効率を 低下させる可能性が高い。

4.2.4

母船到着および荷役可能時間に向けた時間調整の必要性

現在の石炭輸送システムにおいては、

TBS

によって

Mahakam

川から運び出された石炭は、

河口沖合の洋上(Muara Jawaまたは

Muara Berau

海域)において、母船(大型石炭船)に積 替えられている。

しかし、積替え(荷揚げ)が港で行われるのとは異なり、石炭を輸送して来るバージと石 炭を輸送して行く母船との間で時間調整が必要となっている。石炭輸送バージとしては、当 該海域への母船の到着が遅れた場合のみならず、母船が到着していても先船(先に石炭を積 み替えているバージ)がある場合には、時間を調節する必要がある。大半の曳航式バージは 錨を有していないため、沖待ち(洋上に投錨して船位を保持する)することが困難である。

そのため、

Mahakam

川流域では川岸にバージを寄せ、時間を調整している光景が散見され、

輸送効率の低さが伺い知れる(図 4-12参照)。

図 4-12 川岸に係留し母船の到着を待つ

TBS

4.2.5 STS

での石炭積替えの効率の低さ

Muara Jawa

および

Muara Berau

海域では、洋上で港湾施設等に係留することなく、STS

(Ship to Ship:両船間)で荷役が行われている。

荷役方式には、フローティングクレーンを利用する方法と、大型石炭船が持つクレーンを 使用する方法がある(図 4-13および図 4-14参照)。また、フローティングクレーンによる 荷役には、グラブのみを利用する方式と、グラブでの荷揚げとコンベヤでの積込みを組み合 わせた方式の

2

種類がある。荷役効率は、前者が時間あたり

400~500t

であるのに対して、

後者は

1,300t

程度と圧倒的に高い。

しかし、一般的に、陸上の貯炭基地においては、バージと大型石炭船がそれぞれ安定した 港湾施設に係留できることから、荷役効率はバージからの荷揚げが毎時

1,000t

以上、大型 石炭船への積込みが毎時

3,000t

以上と

STS

での荷役と比して格段に高い。また、陸上施設 を利用する場合、石炭輸送バージと大型石炭船との間で、荷役時間を調整する必要がないこ とから、STSと比較した荷役の総合的な効率性は更に高まる。

図 4-13 フローティングクレーンによる荷役

(グラブとコンベヤを組み合わせた方式)

図 4-14 大型石炭船のクレーンによる荷役

4.2.6

季節ごとに変化する洋上の石炭積替え海域

STS

での荷役においては、フローティングクレーンを利用する場合も、本船クレーンを利 用する場合も、すべてが浮体であるため、荒天により波高が高まると各々が個別周期で動揺 し、荷役は困難となる場合もある。

そのため、Mahakam 川河口域においては季節ごとに荷役を行う海域を使い分けている。

前述の通り、気象・海象が穏やかな乾季(概ね

1~6

月)には

Muara Jawa

海域、やや海の荒 れる雨季(概ね

7~12

月)には

Muara Berau

にて荷役を行っている(図 4-2参照)。

しかし、Muara Jawa海域は

Mahakam

川河口から至近であるのに対して、Muara Berau海

域は

Mahakam

川河口より

37

マイルほど北上する必要がある。約半年間の間、Mahakam川

を利用して石炭を輸送するすべての石炭輸送バージが

Muara Berau

を往復するのみに

1

日を 要することから、効率は低い。

また、その輸送距離の増大に伴い、往復に要するバンカー費用、船員費や増加日数分の用 船料といったコストが

1

トンあたり

1

ドル必要と言われている。実際のところ、Mahakam 川を利用して石炭を輸送する荷主(炭鉱)またはバージ運航会社は、石炭の積替え海域が

Muara Jawa

から

Muara Berau

に移るだけで年間

3,000

万ドル程度を要していることが報告さ

れている。そのため、現地バージ運航会社などからは、通年での

Muara Jawa

における石炭 積替えに対する要望が聞かれた。