i 文字の習得 65 選んだ場合も,教科書での学習文字を中心ICした場合でも,平均正答:率ltcあま
り差がみられないこと,むしろ,現実の生活そのままという観点から一つのま とまった新聞記事(社会面一6年2学期)そのままを読窪せた場合など,90%
を越えるという例もみられた。新聞によく出る文字の読みがよくできたという ことは,〜つには新聞で使用度の高い文字は,中学年以降,学校でも多く学習 している文字であること,及び,一般にも多く用いられ,目に:ふれる機会が多 いことにもよろう。6年最:十時の3学期末には,いわゆる教育漢字881字の全 数の読み書き調査を実施したが,読字平均正答率91.5%(平均読字数806宇)
で,かなり高率を示している。 表3−12881字テスト結果と学年配当漠字 この91.5%の正答漢字を文部省学
年配当漢字によって配分すると,次の ようである。
学警の順序に多少の出入はあった
が,習得結果としては,4年用漢字までは,そのほとんど大体が習得できる 7翼, 5。6年用渉茎字, ことに二6年用漢 字にまだ末習得の分が残されているこ
学年配当による
隊鞍匪答峯
1年用漢字 ( 46字)
2年用漢字 (105字)
3年用漢字(187宇)
4年用漢字(205字)
5年用漢字(194字)
6年用漢字(144字)
45.1 iO3.9 181.4 196.7 177.5 103.2
98.0 99.0 97.e 96.0 91.2 71.7
a=この調査の隠は,学年配当はまだ決まつ ておらず,漢字提韻の順序や内容もまち まちであった。
とがわかる。これを取得平均正答率と,学年用漢字との関係でみると,習得の 状況がさらにはっきりする。
表3−13学年配当漢字による881字読字テスト結果の分布
平均正答率
% 100%
90%台(99.9〜90.0)
80%台
66 第3編 言語要素の習得 台
30% 台 20%
台 10%
50%以上(50〜玉00)
50%以ま二 (0〜49.9)
各学年配畜字数
874 7 881
1
46 1 105 46 105
186 i 187
204
ユ
205
−一
224・
Q/ Q/1 11
134
4・ 4・−k
平均正答率60%台以下の文字を具体的にみよう。
6G%台
3年用 4年〃
5年〃
6年〃
決
をロ
必達列
単比許久統例似
を を を を を ぜ
門門就納派系拡状授善逆 耕革益訳認推混創補災至 減山詞否策態奮処厳未払 率著
50%台
を を 5年用 象増居:蚕肥
6年〃
40%台
4年用
30%台5年用 6年〃
20%台
3年用
5年〃ま うき
拝勧採是供
包
快預 魚欠
*は実験学校及び,協力校(H校)が共通に得た%の字を示す。
50%以下の字をみると,
① 比較的児童の生活に関係のない字一蚕,肥,是,拝,包など ②音訓整理の関係から誤って読む字一山(サカナと読む)cf。書字正答 率80%
③ 問題として提出した音騨を別にしたらもっと正答できそうな一一
快,預,欠(訓でだした),居(音でだした),象(ショウで出した)など一 ④ 類似字形と誤って読む字一丁,例,列などそれぞれ,成果のあがらない因子が推測され,発問のしかたによっては,もっ と正答率が高くなる字も出そうである。なお,881字読字調査の場合は,なる べく読みのカが誘発さ丸ないように,単語中心に問題をつくったのであって,
Σ 文字の習得 67 現実の文字を読む生活の中では,文脈に即して読むから,語い理解ともつなが
るので,現実面では,この結果は,総体的に上回る傾向があろう。(1年用漢 字が,100%読めなかった理由としては,漢数字をはじめ,初歩的な文字でも 他の上級の漢字と組み合わして提出された場合があって,そのために答えられ
なかったという例も少なからずある。)
なお,高学年も後期ごろに:なると,一般読書からの影響から,当用漢字も,
多少は読めるようになっている。当用嘆字の全数調査を実施したわけではない が,たまたま実施した標準読書力診断テスト(阪本D式)の読字テスト中の当 用漢字28字(枝暇筋療宅潮瀬怪秘驚黙掲労相背捕依誉奇軟妨江畔孔汚覧特薦)
などの字なら,平均して,30%程度はよめる(宅・怪・頭・療・依・枝・秘な どなら5G%以上は読める)ことがわかった。なお,高学年ごろに児童が誠む 書物は,小説,物語,伝記,科学,探検,探偵ものなどや,教養書,趣味の本 など範囲も広くなり,その使用語いの範囲も拡大され,とうてい教育漢字のワ ク内だけではまかなわれなくなるから,当用漢字に接する場合が非潅に多くな るわけで,文字に:よっては,当用漢字でも,自然習得の度合の高いものが相当 数あるのではなかろうかと思われる。
もっとも,881字調査で,読みの最高は879字最:低は477字というように,
個年差も相当高く,また実験学校のように:,都会的な環境の地域では,傾向的 に読字力が高く(比べて,書字力は低い)なるという地域差も認められるが,
書字力の習得と比べてみた時,児童の漢字読字力は比較的順調に発達している ように思われる。
2)漢字を書く力の発達 1年入学蒔の漢字力のテストで,読める漢字が少 なかったが,書ける漢字はもっと少なく,1字も書けないものが23人もいた。
しかし,漢字学習が始められ読みの力がつき始める1年終末時には,一躍,平 均正答率48.6%tkでに上昇する。2年では,新しく,かたかな文字学習が加わ
るから,漢字を書く力はあまりのびず,学習した漢字の40%は書けるようにな っている。この漢字習得状況はその後もほとんど同じ状況で,読みは5年ごろ から発達度を増すのlc対し,書きでは,時に下降渋滞を示すこともある。これ
68 第3編 言語要素の習得
は,読むカは,一度学習し,覚えることができれば,あとは,比較的その記憶 が安定し,定着するのに:対し,書く力は,学習して覚えても,その後,くり返 して書くことをしないと忘却してしまう,すなわち習得度が不安定で定着しに
︐
くいからである。それと,読む生活は,この時期あたりから,課外の読書とし て,急速に拡充発展するのに対し,書く生活では,それほど必然性がない。し たがって,生活にあまり密着していない文字など,反復練習する機会がないか ら,すぐ正しく書くことを忘れてしまうのであって,書きとりの練習が必要と されるのも,このためであろう。漢字を書く力のこのような性質のために,学 習した漢字でも,そのいくつかは,未習得のままで,次の学年に進む。その学 年でも同じことが繰り返されて,未習得の漢字は累積され,習得すべき漢字の 質国内はだんだん多くなる。しかも,学年が進むにつれて,漢字の字形も複雑 になり,むずかしくなり,特殊な文字も多くなる。というのが,中学年から高 学年にかけての漢寧を書く上での問題点であろう。学習した文字の平均正答率 は40〜50%近くであるが,新聞・雑誌(児童)などで多く出されている文字・
ではどうかを5年中調べたところ,新聞に多く出る字などで,20%台になっ ている。たとえ.ば,責任・義務・経済など,読みは,それぞれ80%を超えて いる(経済は60%前後)のに:対し,書く方は,責任(貴8.2,任8.2),義務二
(義6.王,務2。0),経済(経2.0,済0)という正答率である。また,調査時期 にあたるころの新聞によくでた「人工衛墨」「観測」「実験禁止」なども,次表 表3−14新聞記事からの文字テスト結果(読み・書き)
i人工衛劉観測繁劇禁止
読 み (%)
書 き (%)
100 100 100 100
87.8 69.4 2.0 44.9
83.7 81.6 8.2 10.2
89.8 93.9 57.1 26.5
87.8 87.8 6.1 16.3
のように書くカはいたつて低い。この時期の児壼は,すでに読めるが書けない という漢字を相当量もっていることになる。高学年の段階で,児童の漢字書字 力はどの程度で,どのような旧事と様糧をもっているかというと,6年1・2学 期の書字カテスト結果から,ほぼ推察される。6年玉学期の書字力テストで は,文部省が昭和31年度に行なった全国学力調査の漢字カテストをそのまま
工 文字の習得 69 実施したが,その結果は,
問題(→ 平均正答率 77.5%(字として) 69.O%(語として)
問題(二)平均正答率58.2%(字として) 42.3%(語として)
注1 問題(一)は小学校独自の開題 問題(二)は小・中学校共逼の問題
として作成されている。したがって結果竜(一)の方が高い。
注2 字としてみた場合よりも,語としてみた場合の方が,正答率は低くなる。
上のように比較的書字力の低い実験学校で,従来の書字力テストよりもかなり 好成績であるし,また,文部省の全国調査結果と比較しても,よくな一,てい
る。しかし,問題全体の正答率 に開きはあっても,問題の中の それぞれの文字(語)の正答順 位は,一,二の例を除いては,
振とんど岡じで,ここに,
考えられそうである。なお,
日記に出てくる字を書かせたが,
57.1%)で,
字全数調査の時には,
いる。
問題(一)
問題に)
箋験学校 69.0 42.3
爽験協力 学校平均 67.9 46.7
全国平均
文部省
48.2 32.9
省物椥
離
59.8
この学年の段階での書ける漢字というようなものが 6年2学期では,児童の書く生活を考えて,学級 これも平均65.0%(字として 語としては
5年生までに見なかった好成績であった。6年3学期末の881
平均正答字数577.1字,平均正答率65.5%をおさめてこの65.5%の正答漢字を学年配当漢字によって配分すると,
る。
衰3−15 881字テスト結果と学年配当漢字:(書き)
学年配当による
隠答字姦 平 均ヤ答率
1年薦漢字 (46字) 43.3 94.1 2年用漢字 (105字) 100.1 95.3 3年用漢字 (187字) 164.4 87.9 4年用漢字(20坤) 147.7 72.0 5年用漢字 (194字) 107.2 55.3 6年用漢字 (144掌) 60.4
4L9
次のようであ
読みほど正答率は高くない がここでも,4年を境いにし て,学年配当漢字による漢字 の習得分布がみられる。この 取得平均正答率と学年用漢字 との関係をみると,習得の状 況がわかる。