E 表記法の習得 157 これらの長音も,漢字使用に伴ない,次第に隠れることは,今まで見てきた
例と國様であり,調査語が少なかったので,それほど顕著に発達の状況がつか めなかった。ただ「いうこと」に関しては,「ゆうこと」と書くものが多く,
それが
158 第3編 言語要素の習得
平均1
86.1P
86.81 ,3.71 92.3へ 60 9 方 へ
え
へか
ちうる
55.3 うちへ 72.9 方 へ 83,3
うちへ 方 へ
66.0 62.3
平判
60.g1 55・i
78.1 i 64.2は
嘉隷はか86・・ 宮ぼくe [t 93。6 たまは 93.6
=・ 一Fン100.0 は
私 は ぼくは たまは
二 =L 一一トン は
97.9 91.7 89.6 97.9
私 は 98.1 ぼくは 98.1 たまは 92.5
二 =x 一一トン
98.1は
平場
s6.ii ,s.71 ,4.31 96.7えわお うん
かえる 89.6 かわいい 82.5 おd二つたカ、 96.2
72.4 厭
うんどうか95.1 い
うんどうか97.0 い
かわいい 91.6
やぢ
か お 42.6
(彦頁) (51.1)
カ》オついい 93.7 rうuわいい 90.6
*実験学校乙学級の結果 **()内は顔と漢字で書いた率
中学生になっても,「へ]を「え」と書く(作文など)ものが,見受けられ るが,これらの傾向は,「へ」の表記能力の実状を裏書きしていると思われる。
「は」がいちばん早く,定着するようである。なお,低学年後期ごろの段階で は,お(96.2)こったかお(72.4)など,語頭にあるおと語尾(末)にあるおとで は,正答率が違っている。これなどは,語尾のおと助詞のおの形式的類似から の類推かとも思われ,この期の文法的な知識の末熟さが露呈されている。な お,かなづかいで問題の多い,「え・わ・お・う・ん」などは,学年が進むに つれて,漢字に隠れる部分が多くなる。「かわいい」など,6年で正答がさがっ ているのは,漢字がき,可愛い(1.7)のほか,漢字で書こうとして誤った,「可 いい」などによる例もある。
3)じ・ぢ,ず・つ
かなづかいのうち,じとち,ずとつの使い分けは,成人でも迷い,誤る場合 があるくらいであるから,児童には,むずかしく,6年生になっても,「近づ
ll 表記法の習得 159 いて」など,30%足らずのできである。もっとも反対に,「…つつ」と書く$
のも同じ程度ほどはいて,両者の混乱度を示している。しかし,傾向的には,
5年より6年への発達が認められ,この硯象は,協力学校にも共通に見られる。
表3−46 じ・ぢ・ず・つの表記力(5〜6卑)(実験・協力学校)
15(箋輪劉6(紅摺
じぢ
ず
づ
ぶみ
じめん 18.8
(地颪1) (81.2)
(ぢめん 2.1)
ちぢんで 47.9 cf
面起で嗣
・一一р遠 つ 50.0
(つつ 35。4)
ぷホ
じめん 35。8
僅薯11:1)
ちぢんで 58.5
(ちじんで)37.7
・・クつ 69.S 1
(つつ 28.3)
壽かついて3L31近づいて・・,8
(癖鵠)(獄謡)
ド(翻鍛劉6(潮溜
じぢ
ず
づ
じめん 28.8
(地藤) (67.7)
ちぢんで 47.6
一ずつ 75.1
ちかづいて26.2
じめん 47.6
ちぢんで 59。1
・・クつ 79.9
ちかづいて86.4
3 送 り が な
小学校の児童の表記力のうちで送りがなが問題になるようになるのは,漢字 使用が,だんだん身につき始める中学年になってからである。作文などでも,
漢字をよく使う,特にすぐれたものは除いて,多くのものは学習したはずの漢 字でもなかなか書こうとしないから,送りがなの誤りがぼつぼつ團立ち始める のは,中学年の後期ごろである。4年の3学期に実施した,表記能カテスト で,送りがなの刺激語を予想して,聴写テストを行なったところ,かながきに
されて,テスyの意図がじゅうぶんIC果たせなかった例もある。5年以降は,
活用語尾のある語などあらかじめ漢字を提示して,問題とする送りがなが出る ようにつとめたので,かながきの問題はある程度解消した。(もっとも,5年以 降では,かながきにすべき表記さえ,他面では漢字で書く傾向も見えている。
【例〕 きょうく今β〉 きのう・昨日〉)
上のような状況をふまえて4年から6年まで,送りがな表記で,正しいとさ
160 第3編 言語要素の習得
れている形をとることが,学年の進むにつれて少しずつ上昇している半面,活 用語尾のある場合,
4年 5年 6年 以前より送らなくなる (【例】,下る 14.9% 56.2% 62.3%)
以前より多く送りすぎる(〔例】,帰える 10.4% 24.5%)
というよ5に,誤ることも上昇していて,いちがいに発達をいうことはできな い。もっとも,誤りの形が多くなる,多種になるということも,消極的な意味 での送りがなの発達とみられないこともない。
表3−47 送りがなの表記力(海用語尾のあるもの)
5 薙 3 学 期
(正 答) (誤答)(正割(誤割(正割(誤答) 4年 3学 期
6年 2 学 鰐8賜48叫 餌 9 2 鳥53 7 5 6た て た て に だ て る いてたで つ けつqD つ つ し び ん つ ち つい つん えた かす る行ら行 行 出 遊 遊 言 落 近ず打飛 考い 出ま 帰
踊招 諺二三翻幻 一旬幻 髄 だ た ん るを て いえ る旗徹 麟幕纂鋸か 獅鄭↑9教 羅
コ2 3 泊 コ 6 2 4 2門12 6 1 4 381 3 9 8 9 9 5 9619 7 5 9賜㎎88呪 ㎎ 7 3 冤33 ︒1 8 .︑たてま⑧ て に だ て る いてたで つ けつ つきたし び ん つ ち つい つん えた かす る行行固し鐵 遊 遊 書 落 近ず打飛 考い 繊ま 帰
擁4 擁 9 β 誘 5 ︒166 6 14 21 10 8 2 るるい 匪て て で 落つ で ま な行行 遊落お考た 飛 行 大
33 9 β 3 論 9 5 コ 3鴻58 8 8 1 6 4 5 7 43巧聡 4 3 2 3 1 2 2 48美G Oてて て で る つ た で ま らなつ つ し ん ち えた つ ん きたたき行行 出 遊 落 考い 打 飛 漉し見大
饗 用 語 尾 の あ る も の
84.9
47.2 86.8
90.6
28.3
58.5 56.6 39.6
77.4
54.7
69.8
行たら 13.2 行て 5.7 行た 1。9 鐵て 5.7
言て 3.8
落る 47.2 落 t5.王
打た 7。5 飛で 17.0
β 4フ60 9 5え つ たがたえ いんいがたつ三つ考い考
黙為…5
帰 1.9
言うこ 41.7と 大きな 83.3 遠くの 83。3 少し 41.7
言こと
遠の
1【 表詑法の習得 4.2言うこ 41.5 と
大きな 88.7大な t6.7遠くの 60.4遠の 少し 83.0少
161
4只︶巨O
Q/407
*(1)②(3)は問題文中ic同じ語が重禺した場合の順序を示す。
表3−48 送りがなの表記力(活用語尾のないもの)
4年3学 期 5年 3学 期 6年2学 期
活用鑑㎎尾のないもの 私 枝 お使い
IO.6
8.5 2.1
私くし 10.6 私たくし2.1 私し 2.1 枝だ 2.1 お使かい2.1
私 核 お使い
50.0
14.6 33.3
お手伝い6.2
陣に37・・
私くし 35.4
私 私し 2.1
おf吏力〉い10.4
お使 4L7
慧伝・・2
お手伝 6.2 寒に 10.4
24.5
お使い 35.8
お手伝い9.4 寒さに 69.8
私くし60.4 私し 5.7
お使かい5.7 お使 34.0
慧伝…
お手伝 9.4
婁きミ1(二 30.2
なお,児童の送りがなの誤りの実態をみると,整理表でもわかるように,一 種の傾向があるようである。
活用語尾のある語では,語幹の音の少ないもの,とくに一音は送りがなを省 く傾向がある。
行って→行て 行った→行た 行ったら一一〉行たら
行きました→行ました 打った嚇打た 飛んで→飛で
落ちる吟吊る一→落
cf大きな→大な 少し→少 遠くの→遠の
もっともこのうち,行って,打ったなど,促音を含むものは,ひらがながきの 場合でも,低い段階では促音を脱落させやすいから,単純に送りがなの間題として解釈できない面もあろうが,他の場合からの類推として,一応そのように 解釈できる。逆に語幹が二三以上になると,語幹の分まで送る傾向があるの は,一音での送りがなの型にひかれるからであろうか。
[例】帰る→帰える。なお,学年が進むにつれて,送りがなの意識がついて くるということも言えそうで,「私くし」「帰えるi「考んがえる,考がえる!
162 第3編 霧語要素の習得
など,学年の進むにつれて,多く送る傾向もあるようであるb大きな,還く の,少しなど,形容動詞や副詞の場含は,2音でも,逆ic送りがなを省く場合 の方が,多く送りすぎる例よりも多い。
活用語尾のない語への送りがなの誤りはこれと対照的である。「私」など,
四音であるから,音数からいって,活用語尾のある語(用雪)に類推させると,
「し」,「しく」「たくし」などを送りたくなるらしく,学年が進むにつれて,そ の度が多くなっている。もっとも,この場合にも,「お使い」「お手伝い」がそ れぞれ,「お使」「お手伝」になるかと思えば,「寒さ」が「寒」になる場合も あるなど,一一概に言えない。結局,送りがなの表記は,漢字使用の活発にな る,中・高学年に:,意識がつき始めるが,しかし,まだ正しい使画法は身につ かず,多く送ったり,必要のものまで送らなかったり,定着しない状態であ る。ことに,小学校の段階では,文法知識が不備のため1・c,語に,活用語尾の あるものとないものとの区別がある。用語の活用の型,送りがなとしての慣用 の型,送りがなの法則などを知って,知識的な立場から送りがなを送るという よりも,語の音数や感じなどに,教科書や一般よみものなどのパターンを想起 して送るなどという場合の方が多いようで,送りがな表記力の発達は,むし ろ,中学校の段階で問題にすべきであると思われる。
(なお,協:力学校でのテスト結果をみても,多少の出入りはあっても,実験 学校と共通の傾向を示していることがわかる。)
表3−49送りがなの表記力(協力学校)
問題
学年
5年3学期 (協力5校)
を行った(1)
行って(2)
行った(3,
出して 遊びに 遊んだ 雷って 落ちる 近づいて
71.2%
71.3 46.2 76.2 64.8 73.8 44.4 30.3 16,9
6年2学期
(協力7校)
90.6%
91.6
79.5 83.0 71.4 90.4 45.6 86.4
5年3学期 (協力5校)
大きな 遠くの 少 し 私 枝 お使い お手伝い 寒 さ
92.2%
72.7 61.9
62.5 60.4 24.7 10.5 61.7
6年2学期
(協力7校)
83.1%
58.3 73.1
47.6
38.1 8.3 72.6
打った 25.8 飛んで 49.5 考えついた 65.1 出かけ揆す 66.7
}}潜る 67,2
83.6
68.1
亙 表記法の習得 163
*(1>(2)(3)は問題文【二i−1に同種の語が重繊した揚合の}碩序を示す。
4 か た か な
1)かたかなの語の表記 かたかな書字力のところ(58ページ)で,かたか なを書く力は,文字一字ずつが書けない,誤るということもあるが,それより
も,促音や,拗・長音を含むかたかなの語が正しく書けない,誤って書くこと のほうが多いのであって,むしろ,かたかな語表記力の聞題にあると述べた が,同一児童を継続して調査した場合,この考察がたしかめられた。
下衷は,実験学級にかたかな語の書字カテスト(高学年では表記力テスト)
を実施した結果であるが,これによると,
義i3−50 ヵ、たヵ》な言吾表三号プ」一二華表 (2〜6年)
2年3学期 4 語 キャラメル ニ ース
ユ
チョurレb一ト フ ツ ハ平 均
i
正答率
% 47.8 39.1 37.0 32.6
39.1 1
3年1学期 4 語 キャラメル
ニ 一 ス
ユ
チョコレー・ト フ ツ ハ辱菖
ム↓遷づ
年2 購 3 正答
% 78.7 29.8 51.1 66.0
57.5