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使用電圧の区分 離 隔 距 離

60,000V 以下のもの 2m

60,000V を超えるもの 2m に,使用電圧が 60,000V を超える 10,000V 又はその端数ごと に 12cm を加えた値

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イ それぞれの特別高圧架空電線の使用電圧が35,000V以下の場合において,1の特 別高圧架空電線がケーブルを使用するもので他の特別高圧架空電線が特別高圧絶 縁電線又はケーブルを使用するものであって,相互の離隔距離が50cm以上である とき。

ロ それぞれの特別高圧架空電線の使用電圧が35,000V以下の場合において,特別高 圧絶縁電線を使用するものであって,相互の離隔距離が1m以上であるとき。

ハ それぞれの特別高圧架空電線の使用電圧が35,000Vを超え60,000V以下である場 合において,ケーブルを使用するものであって,相互の離隔距離が1m以上である とき。

1.5.3 規定の制・改正の経緯

解釈第128条【特別高圧架空電線相互の接近又は交さ】(第1項第三号イ,ロ及びハ)

の制・改正の経緯について,当該規定を制定した大正8年の「電気工作物規程」の制定時 までさかのぼって整理したため,この概要を以下に説明する。

大正8年 ○ 電圧が15,000V以下の場合について近接または交さする場合の施設条 件(最小接近距離6尺:1.818m以上)を新たに規定した。

昭和47年 ○ 35,000V以下の特別高圧架空電線にケーブルを使用する場合の相互の 離隔距離を規定した。

・0.5m以上

昭和57年 ○ 特別高圧絶縁電線を使用する35,000V以下の特別高圧架空電線と他の 特別高圧架空電線との接近又は交さの場合の離隔距離について規定し た。

・ケーブルと特別高圧絶縁電線の離隔距離:0.5m以上 ・特別高圧絶縁電線相互の離隔距離:1.0m以上

平成9年 ○ 35,000Vを超え60,000V以下の特別高圧架空電線にケーブルを使用する 場合の離隔距離を追加した。

・1.0m以上

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表1 特別高圧架空電線相互の接近又は交さ(第 1 項第三号イ,ロ及びハ)に関する規定の 主な制・改正経緯

制・改正年 条 文 規定内容 備 考

大正 8 年

「 電気 工 作 物 規 程」

第 50 条,

細則 38 条

○ 電圧が15,000V以下の場合について近接または交さする 場合の施設条件(最小接近距離6尺:1.818m以上)を新たに 規定

昭和 47 年

「 電気 設 備 に関 す る 技術 基 準」

第 137 条

○ 35,000V以下の特別高圧架空電線にケーブルを使用する 場合の相互の離隔距離を規定

・50cm

特別高圧架 空電線がケ ーブルであ る場合の離 隔緩和

昭和 57 年

「 電気 設 備 に関 す る 技術 基 準」

第 137 条

○ 特別高圧絶縁電線を使用する35,000V以下の特別高圧架 空電線と他の特別高圧架空電線との接近又は交さの場合の 離隔距離について規定

・ケーブルと特別高圧絶縁電線の離隔距離:50cm以上

・特別高圧絶縁電線相互の離隔距離:1.0m以上

特別高圧架 空電線が特 別高圧絶縁 電線である 場合の離隔 緩和

平成 9 年

「 電気 設 備 に関 す る 技術 基 準 の 解 釈」

第 128 条

○ 35,000Vを超え60,000V以下の特別高圧架空電線にケー ブルを使用する場合の離隔距離を追加

・1.0m以上

離隔緩和規 定(ケーブ ル)の適用 電圧を拡大

詳細は,添付資料1「解釈第128条【特別高圧架空電線相互の接近又は交さ】(第1項 第三号イ,ロ及びハ)制・改正の概要と理由」を参照のこと。

1.5.4 規定内容の根拠

解釈第128条【特別高圧架空電線相互の接近又は交さ】(第1項第三号イ,ロ及びハ)

の規定内容の根拠に関して,概要を以下に説明する。

(1)使用電圧が35,000V以下の場合で電線にケーブルを使用する場合の離隔距離

(第1項第三号イ)

ア それぞれの特別高圧架空電線にケーブルを使用する場合の離隔距離〔50cm〕

○「35kV以下の架空電線路(ケーブル)に関する技術基準改正案(昭和45年9月 電

気技術基準調査委員会)」の改正理由で「架空ケーブルの電圧は技術的に

は,100kVまで十分可能であるが,現時点における実績,必要性などから今回は

実用度の高い35kV以下を主体に改正案を作成した」と記載されている。また, 「ケ

ーブルの離隔距離については,ケーブルは単独で必要な絶縁強度を有しており,

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さらに金属製のしゃへい層を接地することにしているので,あえて離隔距離を 定めなくとも十分安全であるが,あまり接近すると接触による損傷,作業時の 支障などを生ずることが考えられるので,建造物に対して高圧架空ケーブルに 準じた離隔距離を規定している。」と記載されている。(本改正案では離隔距離 を40cmと記載)

以上のことから,最終的に離隔距離が50cmに決定された根拠としては,高圧 に加えて低圧の規定(低圧架空ケーブル:0.3m,高圧架空ケーブル:0.4m)にも準 ずることとし,電圧区分ごとに10cmずつの差を設けて特別高圧架空ケーブルの 離隔距離を0.5mと定めたと推定される。

表2

イ 特別高圧架空電線の他方に特別高圧絶縁電線を使用する場合の離隔距離〔50cm〕

○「改正点解説付 電気設備技術基準(昭和57年2月20日 日本電気協会)」によれ ば, 「特別高圧絶縁電線は,相互が混触しても絶縁破壊を起こさないだけの絶縁 性能を有していることが実験により確かめられているので,特別高圧絶縁電線 とケーブルとの離隔距離をケーブル相互の場合と同様50cmとし,特別高圧絶縁 電線相互の離隔距離が,裸電線相互の2.0m,ケーブル相互の50cmとの整合性を考 慮し1.0mと規定された。」と記載されている。

以上のことから,離隔距離50cmの根拠としては,ケーブル相互の場合と同様と して規定したものと推定される。

(2)使用電圧が35,000V以下の場合でそれぞれの電線に特別高圧絶縁電線を使用する場 合の離隔距離(第1項第三号ロ) 〔1m〕

○「電気設備に関する技術基準改正案(昭和54年6月 電気技術基準調査委員会) 」参 考資料3「特別高圧絶縁電線と他物との離隔距離」の「特別高圧絶縁電線の離隔距 離上の位置づけ」で「 (中略) 絶縁電線は被覆絶縁物により十分な絶縁性能を 有しているので,万一,人が接触した場合においても感電事故となる危険性はな い。しかし,絶縁物の損傷や劣化を考えた場合,ケーブルと同等の評価をするこ とはできない。 (中略) 絶縁電線の離隔距離を考える場合は,裸線とケーブル との中間的格付けで論ずることができると言えよう。 (中略) 人が通常近寄ら ないような場所では,他物に接触しない距離だけ保っておけば,十分といえる。 」 と記載されている。また,同資料の「人の近寄らない箇所の離隔距離」で「 (中 略) 架空電線および対象物それぞれの揺れや,伸びがあっても確保されていなけ

35kV以下の

特別高圧 高 圧 低 圧

ケーブル 0.5m 0.4m 0.3m

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ればならない値であるから,基準上は「接触しないこと」のみを規定しておけば 十分である。しかし,現行基準では低高圧絶縁電線においても0.3~0.8m程度の離 隔距離を定めているので,これとの整合性を考慮して設定することが好ましい。

(中略) 次の諸点を考慮して1.0mとすることが妥当と考えられる。

①ケーブルを用いた低圧架空電線,高圧架空電線,35kV以下の特別高圧架空電線 は,いずれも安全性について同等であるにもかかわらず,現行基準では0.3m

(低圧) ,0.4m(高圧),0.5m(特別高圧)と10cmずつの差を設けている。ま た絶縁電線についても0.6m(低圧) ,0.8m(高圧)と,電圧区分により20cmの 離隔差を設けている。

②上記の延長線上で考えると特別高圧絶縁電線の場合は1.0mとなり,これは端 数もなく,裸電線の2.0mの1/2,ケーブル0.5mの2倍と,管理上も極めて都合 が良い。」

表3

35kV以下の

特別高圧 高 圧 低 圧

裸 線 2.0m 1.2m 1.0m 絶 縁 電 線 1.0m 0.8m 0.6m ケ ー ブ ル 0.5m 0.4m 0.3m

と記載されており,これらの考え方から,離隔距離1mと決定したと推定される。

(3)使用電圧が35,000Vを超え60,000V以下である場合でそれぞれの電線にケーブルを 使用する場合の離隔距離(第1項第三号ハ) 〔1m〕

○「電気設備に関する技術基準改正理由書(平成8年9月 電気技術基準調査委員会 送電専門委員会)」別冊-2「電線にケーブルを使用する特別高圧架空電線路の施設 条件の見直しについて」によれば,「電圧上昇に伴う離隔拡大の考え方」で「電圧 が大きくなる程,万一の事故時における社会に与える影響は大きくなることから,

電圧上昇に応じて離隔を拡大するのが妥当と考える。」と記載されており, 「離隔 距離決定の考え方」では「35kV以下の離隔をベースに電圧上昇に対しては裸電線 に準じて離隔を大きくする。」と記載されている。

第136条【特別高圧架空電線と低高圧架空電線等との接近または交さ】の離隔距

離決定の考え方については, 「35~60kVの離隔を35kV以下の0.5mに相当するものを

1.0m,(中略),60kVを超えるものは裸電線と同様の方法で算定する。」

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表4

特別高圧架空電線(ケーブル)

60kV超過 35kV超過

60kV以下 35kV以下

低高圧架空 電線等

裸 線

2.0mに60kVを超える10kV 又はその端数ごとに12cm を加算

2.0m 1.2m 絶縁電線

・ ケーブル

1.0mに60kVを超える10kV 又はその端数ごとに12cm を加算

1.0m 50cm

と記載されており,第137条【特別高圧架空電線相互の接近又は交さ】の離隔距離 決定の考え方もこれに準ずると記載されている。よって,これらの考え方から,

離隔距離1mを決定したと推定される。

1.5.5 コメント

本条文は,特別高圧架空電線と他の特別高圧架空電線が接近または交さする場合に他 の電線を損傷するおそれがなく,かつ,接触,断線等によって生じる混蝕による感電ま たは火災の防止を図る趣旨から,電圧や電線の種類に応じて離隔距離を規定したもので ある。

現状において,実運用上の問題は生じていないが,今後も規定の趣旨を踏まえ,必要 に応じて,見直しすることが望ましい。

以上

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