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平成22年度電気設備技術基準関連規格等調査報告書

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(1)

平成22年度

電気設備技術基準関連規格等調査

報告書

平成23年1月

社団法人 日本電気協会

技術基準適合評価委員会

(2)

目 次

ま え が き

第一章 平成 22 年度 技術基準適合評価委員会の概要

Ⅰ-1 1.背景と経緯 Ⅰ-1 2.技術基準適合評価委員会の活動内容 Ⅰ-1 3.調査・検討の方法 Ⅰ-2 4.平成 22 年度の検討実施項目 Ⅰ-2 5.平成 22 年度委員会の開催状況 Ⅰ-3 6.平成 22 年度の調査検討結果の反映 Ⅰ-4 7.その他 Ⅰ-4

第二章 平成 22 年度 委員会検討項目の概要

Ⅱ-1 1.特別高圧架空電線と工作物等との接近又は交さに係る規定(裸電線との離隔距離に係 る部分を除く。) Ⅱ-1 2.電熱装置に係る規定の根拠調査 Ⅱ-1 3.解釈に引用されている JIS 規格の調査 Ⅱ-1

第三章 平成 22 年度 委員会の調査・検討の詳細

Ⅲ-1-1 1.特別高圧架空電線と工作物等との接近又は交さに係る規定(裸電線との離隔距離に係 る部分を除く。) Ⅲ-1-2 1.1 特別高圧架空電線と建造物との離隔距離について 解釈 第 124 条 【特別高圧架空電線と建造物との接近】(第 1 項及び第 2 項) Ⅲ-1-2 1.2 特別高圧架空電線と道路等との離隔距離について 解釈 第 125 条 【特別高圧架空電線と道路等との接近又は交さ】(第 1 項及び第 2 項) Ⅲ-1-19 1.3 特別高圧架空電線と索道との離隔距離について 解釈 第 126 条 【特別高圧架空電線と索道との接近又は交さ】(第 1 項~第 4 項) Ⅲ-1-29 1.4 特別高圧架空電線と低高圧架空電線等との離隔距離について 解釈 第 127 条 【特別高圧架空電線と低高圧架空電線等との接近又は交さ】(第 1 項及び第 3 項) Ⅲ-1-44

(3)

1.5 特別高圧架空電線と他の特別高圧架空電線との離隔距離について 解釈 第 128 条 【特別高圧架空電線相互の接近又は交さ】(第 1 項第三号イ,ロ 及びハ) Ⅲ-1-61 1.6 特別高圧架空電線と他の工作物との離隔距離について 解釈 第 129 条 【特別高圧架空電線と他の工作物との接近又は交さ】(第 1 項) Ⅲ-1-75 1.7 特別高圧架空電線が対象物の下方に施設する場合の水平離隔距離について 解釈 第 124 条 【特別高圧架空電線と建造物との接近】(第 5 項) 解釈 第 125 条 【特別高圧架空電線と道路等との接近又は交さ】(第 4 項) 解釈 第 129 条 【特別高圧架空電線と他の工作物との接近又は交さ】(第 3 項) Ⅲ-1-89 1.8 特別高圧架空電線と植物との離隔距離について 解釈 第 131 条 【特別高圧架空電線と植物との離隔距離】(第一号) Ⅲ-1-107 2.電熱線に係る規定の根拠調査 Ⅲ-2-1 2.1 フロアヒーティング等の電線装置の施設に係る規定について 解釈 第 228 条 【フロアヒーティング等の電熱装置の施設】 Ⅲ-2-1 2.2 パイプライン等の電熱装置の施設について 解釈 第 229 条 【パイプライン等の電熱装置の施設】 Ⅲ-2-24 2.3 電気温床等の施設に係る規定について 解釈 第 230 条 【電気温床等の施設】 Ⅲ-2-42 3.解釈に引用されている JIS 規格の調査について Ⅲ-3-1 3.1 調査の背景 Ⅲ-3-1 3.2 調査対象 Ⅲ-3-1 3.3 調査・検討概要 Ⅲ-3-1 3.4 結論 Ⅲ-3-1 (発変電) JIS B 8210 「蒸気用及びガス用ばね安全弁」 JIS C 1736-1 「計器用変成器(電力需給用)-第 1 部:一般仕様」 (配電) JIS A 5373 「プレキャストプレストレストコンクリート製品」 JIS G 3112 「鉄筋コンクリート用棒鋼」 JIS H 3300 「銅及び銅合金の継目無管」 (使用設備) JIS G 3452 「配管用炭素鋼鋼管」 JIS G 3456 「高温配管用炭素鋼鋼管」

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JIS K 6920-2 「プラスチックポリアミド(PA)成形用及び押出用材料-第 2 部:試験片の作り方及び諸性質の求め方」

(参考資料)

参考資料1 平成 22 年度技術基準適合評価委員会 委員名簿 参考-1 参考資料2 数値規定の根拠 未調査条文一覧 参考-2 参考資料3 電気設備の技術基準の解釈改正案 解釈 第 49 条 【ガス絶縁機器等の圧力容器の施設】 参考-3 解釈 第 18 条 【器具等の電路の絶縁耐力】 参考-4 解釈 第 60 条 【鉄筋コンクリート柱の構成等】 参考-5 解釈 第 9 条 【低圧ケーブル】 参考-7 解釈 第 228 条 【フロアヒーティング等の電熱装置の施設】 参考-8 解釈 第 229 条 【パイプライン等の電熱装置の施設】 参考-9 解釈 第 235 条 【滑走路灯等配線の施設】 参考-10

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ま え が き

この報告書は,経済産業省が一般競争入札に付した「平成 22 年度 電気設備技

術基準関連規格等調査」事業を社団法人 日本電気協会が受注し,

「技術基準適合

評価委員会」において,調査・検討・審議した結果を取り纏めたものである。

報告書は次の内容で構成されている。

第一章は,

「技術基準適合評価委員会」の概要である。委員会が最初に発足した

そもそもの経緯と背景に触れながら,活動内容や調査・検討の方法等を説明してい

る。

第二章は,平成 22 年度の検討項目の概要を取り纏めている。結論・調査検討の

結果を簡潔に説明している。

第三章は,裏付けとなるデータ・添付資料とともに,結論・調査検討の結果をよ

り詳細に説明している。

本報告書が,

「電気設備に関する技術基準を定める省令」及び「発電用火力設備

に関する技術省令」に携わる各位の発展に寄与できれば幸いである。

平成 23 年 1 月

社団法人 日本電気協会

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Ⅰ-1

第一章 平成 22 年度 技術基準適合評価委員会の概要

1.背景と経緯

平成 9 年 3 月,電気事業法に基づく「電気設備に関する技術基準を定める省令」及び「発 電用火力設備に関する技術省令」は,次の事項を目的とし大幅に改正された。(以下,2つ の省令を総称し「技術基準」という。) (1) 公正中立な民間規格をできる限り活用し,内外を問わず,優れた技術,低コストの 資機材を事業者が適切に導入できること (2) 技術革新の進展に迅速かつ弾力的に対応できる基準の整備を図ること 上記により技術基準は機能性化され,達成すべき性能,目的のみが記載されることとな った。 この改正により,従来記述されていた具体的な資機材及び施設方法は,設置者の自主的 な判断に委ねられるものとして技術基準から削除されたが,経済産業省は電気事業法に基 づく各種の行政処分に当たって,行政運用における公正性の確保及び処分の相手方の権益 確保の観点から,平成 9 年 5 月,「技術基準の解釈について」(以下「解釈」という。)を制 定し,行政手続法の規定に基づく審査基準等として,具体的な資機材及び施設方法を公表 した。 この解釈は,技術基準に定める技術的要件を満たすべき事項をできる限り具体的に示し たものであるが,これに限定されるものではなく,十分な保安水準の確保が達成できる技 術的根拠があれば技術基準に適合すると判断されるものである。 技術基準の運用に当たっては,解釈に記載されていない資機材又は施設方法を試みる者 に対して,それらが技術基準に適合するかどうかを,経済産業省原子力安全・保安院が確 認・判断しているが,この基となる調査検討が(社)日本電気協会に依頼された。 これを受け,(社)日本電気協会は,学識経験者からなる「技術基準適合評価委員会」を 設置し,平成 9 年度より調査検討を実施している。

2.技術基準適合評価委員会の活動内容

技術基準適合評価委員会の調査検討項目の概要は下記のとおりである。 (1) 技術基準への適合性評価 解釈に記載されていない資機材または施設方法が技術基準に適合するか否かを判断 するため,詳細な調査及び厳格な検討を行い,公平な判断を行った結果を報告するこ と。

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Ⅰ-2

(2) 解釈に記載されている数値等の根拠調査 技術基準への適合性評価を迅速に行うため,また,解釈に対応する問合せに対して 技術的観点から説明するため,あらかじめ現行解釈における考え方,根拠等を調査し 報告すること。 (3) 解釈に引用されている JIS 規格の調査 改正・廃止された JIS 規格(以下「旧 JIS」という。)を引用している解釈条文につ

いて,最新・移行先の JIS 規格(以下「新 JIS」という。)の内容を確認し,新 JIS を 引用することの妥当性について調査し報告すること。 運用にあたっては,専門性を考慮して火力,発変電,送電,配電,通信,使用設備の各 作業会を設置し,委員会において評価を行うための基礎資料等を作成・提案している。 平成 22 年度は,事業内容から発変電,送電,配電,使用設備の4作業会が活動した。

3.調査・検討の方法

技術基準適合評価委員会の具体的な運営方法は下記のとおりである。 (1) 原子力安全・保安院の要求仕様に基づき,作業会が調査・検討の進め方に係る基礎 資料を作成するとともに本委員会を開催し(1 回目),検討項目を紹介する。本委 員会では,適合性評価の視点や調査検討方法について意見交換を行う。 (2) 1回目の委員会で示された方向性に基づく調査資料等が出来次第,本委員会を開催 し(2 回目),検討を行う。本委員会は,必要に応じて追加資料の提出等を作業会 に求める。 (3) 本委員会を開催し(3 回目),技術基準への適合性,あるいは解釈の根拠等につい て評価を行う。なお,審議・検討の状況に応じて委員会・作業会を追加開催する。

4.平成 22 年度の検討実施項目

平成 22 年度は,技術基準への適合性評価に係わる審議案件 1 件及び解釈 10 条文に記載 されている数値根拠調査を実施した。また,改正又は廃止された JIS 規格を引用している 解釈の条文見直しのため,当該 JIS 規格の調査を行った。 これらはいずれも原子力安全・保安院の一般競争入札に対して(社)日本電気協会が応 札し,受注したものである。なお,原子力安全・保安院には以下の日付にて報告を行って いる。

(8)

Ⅰ-3

(1)技術基準への適合性評価(平成 23 年 1 月 28 日報告:別冊報告書) ・太陽電池発電設備で使用される直流ケーブルについて (2)解釈に記載されている数値等の根拠調査に関する項目(平成 23 年 1 月 28 日報告) ① 特別高圧架空電線と工作物等との接近又は交さに係る規定について(裸電線との離 隔距離に係る部分を除く。) a.解釈 第 124 条【特別高圧架空電線と建造物との接近】 b.解釈 第 125 条【特別高圧架空電線と道路等との接近又は交さ】 c.解釈 第 126 条【特別高圧架空電線と索道との接近又は交さ】 d.解釈 第 127 条【特別高圧架空電線と低高圧架空電線等との接近又は交さ】 e.解釈 第 128 条【特別高圧架空電線相互の接近又は交さ】 f.解釈 第 129 条【特別高圧架空電線と他の工作物との接近又は交さ】 g.解釈 第 131 条【特別高圧架空電線と植物との離隔距離】 ② 電熱装置に係る規定について a.解釈 第 228 条【フロアーヒーティング等の電熱装置の施設】 b.解釈 第 229 条【パイプライン等の電熱装置の施設】 c.解釈 第 230 条【電気温床等の施設】 (3)解釈に引用されている JIS 規格の調査(平成 23 年 1 月 28 日報告) a.JIS A 5373:2010 「プレキャストプレストレストコンクリート製品」 b.JIS B 8210:2009 「蒸気用及びガス用ばね安全弁」 c.JIS C 1736-1:2009 「計器用変成器(電力需給用)-第 1 部:一般仕様」 d.JIS G 3112:2010 「鉄筋コンクリート用棒鋼」 e.JIS G 3452:2010 「配管用炭素鋼鋼管」 f.JIS G 3456:2010 「高温配管用炭素鋼鋼管」 g.JIS H 3300:2009 「銅及び銅合金の継目無管」 h.JIS K 6920-2:2009 「プラスチック-ポリアミド(PA)成形用及び押出用材料 -第 2 部:試験片の作り方及び諸性質の求め方」

5.平成 22 年度委員会の開催状況

平成 22 年度における本委員会は,以下の日程で計 3 回開催した。(委員会メンバー参考 資料 1 参照) 表.1.5.1 委員会開催状況 開催年月日 第 1 回 本委員会 平成 22 年 7 月 1 日 第 2 回 本委員会 平成 22 年 10 月 25 日 第 3 回 本委員会 平成 22 年 12 月 21 日

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Ⅰ-4

表.1.5.2 委員会検討状況 検討項目 委員会検討状況 第 1 回 第 2 回 第 3 回 1 技術基準への適合性評価 ① ② ③ 2 解釈に記載されている数値等の根拠調査 ① ② ③ 3 解釈に引用されている JIS 規格の調査 ① ② ③ 委員会検討状況欄の○内の数字は,何回目の審議であるかを示す。

6.平成 22 年度の調査検討結果の反映

解釈に引用されている JIS 規格の調査について 「解釈に引用されている JIS 規格の調査」の報告において,第 3 回本委員会の審議 結果に基づき,調査を実施した解釈条文の規定例及び解説の記載例を参考として添付 し,原子力安全・保安院へ報告した。 a.解釈 第 49 条:ガス絶縁機器等の圧力容器の施設 JIS B 8210:2009 「蒸気用及びガス用ばね安全弁」 b.解釈 第 18 条:器具等の電路の絶縁耐力 JIS C 1736-1:2009 「計器用変成器(電力需給用)-第 1 部:一般仕様」 c.解釈 第 60 条:鉄筋コンクリート注の構成等 JIS A 5373:2010 「プレキャストプレストレストコンクリート製品」 JIS G 3112:2010 「鉄筋コンクリート用棒鋼」 d.解釈 第 9 条:低圧ケーブル JIS H 3300:2009 「銅及び銅合金の継目無管」 e.解釈 第 228 条:フロアヒーティング等の電熱装置の施設 JIS G 3452:2010 「配管用炭素鋼鋼管」 f.解釈 第 229 条:パイプライン等の電熱装置の施設 JIS G 3452:2010 「配管用炭素鋼鋼管」 JIS G 3456:2010 「高温配管用炭素鋼鋼管」 g.解釈 第 235 条:滑走路灯等配線の施設 JIS K 6920-2:2009 「プラスチックポリアミド(PA)成形用及び押出用材料 -第 2 部:試験片の作り方及び諸性質の求め方」

7.その他

解釈に記載されている数値等の根拠調査は,参考資料2に取り纏めたように未検討の条 文が複数あることから,継続的に調査する必要がある。

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Ⅱ-1

第二章 平成 22 年度委員会検討項目の概要

この章では,平成 22 年度委員会において検討・評価が行われた事項について,その検討 の概要を示す。

1.特別高圧架空電線と工作物等との接近又は交さに係る規定の根拠調査(裸

電線との離隔距離に係る部分を除く。

(表 2.1.1 参照) 次の解釈について制改正の経緯及び根拠を調査し,コメントを付記した。 (1)解釈 第 124 条【特別高圧架空電線と建造物との接近】 (2)解釈 第 125 条【特別高圧架空電線と道路等との接近又は交さ】 (3)解釈 第 126 条【特別高圧架空電線と索道との接近又は交さ】 (4)解釈 第 127 条【特別高圧架空電線と低高圧架空電線等との接近又は交さ】 (5)解釈 第 128 条【特別高圧架空電線相互の接近又は交さ】 (6)解釈 第 129 条【特別高圧架空電線と他の工作物との接近又は交さ】 (7)解釈 第 131 条【特別高圧架空電線と植物との離隔距離】

2.電熱装置に係る規定の根拠調査

次の解釈について制改正の経緯及び根拠を調査し,コメントを付記した。 (1)解釈 第 228 条【フロアーヒーティング等の電熱装置の施設】(表 2.2.1 参照) (2)解釈 第 229 条【パイプライン等の電熱装置の施設】 (表 2.2.2 参照) (3)解釈 第 230 条【電気温床等の施設】 (表 2.2.3 参照)

3.解釈に引用されている JIS 規格の調査

(表 3.1.1 参照) 解釈に引用されている JIS 規格のうち,改正・廃止されているものについて,最新・ 移行先の JIS 規格の内容を確認し,個別の電技解釈条文における具体的な対応案につい て検討した。対象条文及び JIS 規格は下記のとおり。 (1)解釈 第 49 条【ガス絶縁機器等の圧力容器の施設】 JIS B 8210:2009 「蒸気用及びガス用ばね安全弁」 (2)解釈 第 18 条【器具等の電路の絶縁耐力】 JIS C 1736-1:2009 「計器用変成器(電力需給用)-第 1 部:一般仕様」 (3)解釈 第 60 条【鉄筋コンクリート柱の構成等】 JIS A 5373:2010 「プレキャストプレストレストコンクリート製品」 (4)解釈 第 60 条【鉄筋コンクリート柱の構成等】 JIS G 3112:2010 「鉄筋コンクリート用棒鋼」

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Ⅱ-2

(5)解釈 第 9 条【低圧ケーブル】 JIS H 3300:2009 「銅及び銅合金の継目無管」 (6)解釈 第 228 条【フロアーヒーティング等の電熱装置の施設】 解釈 第 229 条【パイプライン等の電熱装置の施設】 JIS G 3452:2010 「配管用炭素鋼鋼管」 (7)解釈 第 229 条【パイプライン等の電熱装置の施設】 JIS G 3456:2010 「高圧配管用炭素鋼鋼管」 (8)解釈 第 235 条【滑走路灯等配線の施設】 JIS K 6920-2:2009 「プラスチック-ポリアミド(PA)成形用及び押出用材料 -第 2 部:試験片の作り方及び諸性質の求め方」

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Ⅱ-3

表 2.1.1 平成 22 年度検討項目の概要

項 目 内 容 検討項目 特別高圧架空電線と工作物等との接近又は交さに係る規定について (送電作業会) 関連規定 電気設備技術基準の解釈 第 124 条【特別高圧架空電線と建造物との接近】 第 125 条【特別高圧架空電線と道路等との接近又は交さ】 第 126 条【特別高圧架空電線と索道との接近又は交さ】 第 127 条【特別高圧架空電線と低高圧架空電線等との接近又は交さ】 第 128 条【特別高圧架空電線相互の接近又は交さ】 第 129 条【特別高圧架空電線と他の工作物との接近又は交さ】 第 131 条【特別高圧架空電線と植物との離隔距離】 検討の背景 電気設備の建設・保守にあたっては,技術基準に適合した設備とするため,解 釈に記載されている規定値を遵守する必要がある。この規定値の根拠について は,解釈の解説に記載があるものの,必ずしも明確になっていないため,これら の根拠について調査を実施する必要がある。 今回はその中で「特別高圧架空電線と工作物等との接近又は交さ」の規定につ いて,根拠調査を実施した。 規定の概要 (1) 特別高圧架空電線と建造物(第 124 条) <特別高圧架空電線が建造物と第1次接近状態に施設される場合> [35,000V 以下の特別高圧架空電線と 124-1 表の建造物の造営材] (第 1 項第二号) ○ 離隔距離 ・ 124-1 表の建造物の造営材の区分及び電線の種類に応じた値以上 124-1 表 建造物の 造営材の区分 電線の種類 離隔距離 上部造営材 特別高圧 絶縁電線 上部造営材の上方においては 2.5m,上部造営 材の側方又は下方においては 1.5m(電線に人 が容易に触れるおそれがないように施設ずる 場合は 1m) ケーブル 上部造営材の上方においては 1.2m,上部造営 材の側方又は下方においては 50cm その他の 電線 3m その他の 造営材 特別高圧 絶縁電線 1.5m(電線に人が容易に触れるおそれがないよ うに施設する場合は 1m) ケーブル 50cm その他の 電線 3m

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Ⅱ-4

[35,000V を超える特別高圧架空電線と建造物](第 1 項第三号) ○ 離隔距離 ・ 建造物の造営材の区分及び電線の種類に応じ,124-1 表の離隔距離の 値に 35,000V を超える 10,000V 又はその端数ごとに 15cm を加えた値 以上 <35,000V 以下の特別高圧架空電線が建造物と第2次接近状態に 施設される場合> [35,000V 以下の特別高圧架空電線と 124-1 表の建造物の造営材] (第 2 項第二号) ○ 離隔距離 ・ 124-1表の建造物の造営材の区分及び電線の種類に応じた値以上 (2) 特別高圧架空電線と道路等(第 125 条) <特別高圧架空電線が道路等と第 1 次接近状態に施設される場合> [特別高圧架空電線と道路等](第 1 項第二号) ○ 離隔距離 ・ 125-1 表の使用電圧の区分に応じた値以上 125-1 表 使用電圧の区分 離隔距離 35,000V 以下のも の 3m 35,000V を超える もの 3m に,使用電圧が 35,000V を超える 10,000V 又はその端 数ごとに 15cm を えた値 ○ 離隔距離緩和 ・ 特別高圧絶縁電線を使用する使用電圧が 35,000V 以下の特別高圧架 空電線と道路等との水平離隔距離が 1.5m 以上の場合 ・ ケーブルを使用する使用電圧が 35,000V 以下の特別高圧架空電線と 道路等の水平離隔距離が 1.2m 以上の場合 ・ ケーブルを使用する使用電圧が 35,000V を超える 100,000V 未満の特 別高圧架空電線と道路等との水平離隔距離が 2m 以上の場合 <特別高圧架空電線が道路等と第2次接近状態に施設される場合> [特別高圧架空電線と道路等](第 2 項第二号) ○ 離隔距離 ・ 125-1 表の使用電圧の区分に応じた値以上 (3) 特別高圧架空電線と索道(第 126 条) <特別高圧架空電線が索道と第1次接近状態に施設される場合> [特別高圧架空電線と索道又は索道用支柱](第 1 項第二号) ○ 離隔距離 ・ 126-1 表の使用電圧の区分に応じた値以上

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Ⅱ-5

126-1 表 使用電圧の区分 離隔距離 35,000V 以下のも の 2m(電線が特別高圧絶縁電線である場合は 1m,ケーブル である場合は 50cm) 35,000V を超え, 60,000V 以下のも の 2m(電線がケーブルである場合は 1m) 60,000V を超える もの 2m(電線がケーブルである場合は 1m)に,使用電圧が 60,000V を超える 10,000V 又はその端数ごとに 12cm を加 えた値 <特別高圧架空電線が索道と第2次接近状態に施設される場合> [特別高圧架空電線と索道又は索道用支柱](第 2 項第二号) ○ 離隔距離 ・ 126-1 表の使用電圧の区分に応じた値以上 <特別高圧架空電線が索道と交さする場合> [特別高圧架空電線が索道の上に施設](第 3 項第ニ号) ○ 離隔距離 ・ 126-1 表の使用電圧の区分に応じた値以上 <特別高圧架空電線が索道と接近する場合> [特別高圧架空電線が索道の下方に施設する場合](第 4 項) ○ 離隔距離 ・ 特別高圧架空電線は索道の下方において水平離隔距離で索道の支柱 の地上の高さに相当する距離以内に施設しない ・ 特別高圧架空電線と索道との水平距離が 3m 以上の場合において,索 道の支柱の倒壊の際に索道が特別高圧電線と接触しないとき,特別高 圧架空電線と索道又はその支柱との離隔距離は,特別高圧架空電線が 索道と第1次接近状態に施設される場合に準ずる (4) 特別高圧架空電線と低高圧架空電線等(第 127 条) <特別高圧架空電線が低圧架空電線等と第1次接近状態に施設される場合> [35,000V 以下の特別高圧架空電線と 127-1 表の低高圧架空電線等又は これらのものの支持物](第 1 項第二号) ○ 離隔距離 ・ 127-1 表の電線の種類に応じた値以上

(15)

Ⅱ-6

127-1 表 低高圧架空電 線等又はこれ らのものの支 持物の区分 特別高圧電線 の種類 離隔距離 低圧架空電線 又は低圧若し くは高圧の電 車線 特別高圧絶縁 電線 1.5m(低圧架空電線が絶縁電線又はケーブ ルである場合,1m) ケーブル 1.2m(低圧架空電線が絶縁電線又はケーブ ルである場合,50cm) その他の 電線 2m 高圧架空電 特別高圧絶縁 電線 1m ケーブル 50cm その他の 電線 2m 架空弱電流電 線等又は低高 圧架空電線等 の支持物 特別高圧絶縁 電線 1m ケーブル 50cm その他の 電線 2m [35,000V を超え 60,000V 以下の特別高圧架空電線と低高圧架空電線等 又はこれらのものの支持物](第 1 項第三号) ○ 離隔距離 ・ 2m(特別高圧架空電線がケーブルである場合であって,低高圧架空電 線が絶縁電線又はケーブルであるときは,1m)以上 [60,000V を超える特別高圧架空電線と低高圧架空電線等又は これらのものの支持物](第 1 項第四号) ○ 離隔距離 ・ 2m(特別高圧架空電線がケーブルである場合であって,低高圧架空電 線が絶縁電線又はケーブルであるときは,1m)に 60,000V を超える 10,000V 又はその端数ごとに 12cm を加えた値以上 <特別高圧架空電線が低高圧架空電線等と第2次接近状態に 施設される場合> [特別高圧架空電線と低高圧架空電線等又はこれらのものの支持物] (第 2 項第二号,第三号) ○ 離隔距離 ・ 特別高圧架空電線と低高圧架空電線等又はこれらのものの支持物と の離隔距離は,特別高圧架空電線が低高圧架空電線等と第1次接近状 態に施設される場合の規定に準ずる ・ 特別高圧架空電線と低高圧架空電線等との水平離隔距離は,2m 以上

(16)

Ⅱ-7

<特別高圧架空電線が低高圧架空電線等と交さする場合> [特別高圧架空電線が低圧架空電線等の上に施設](第 3 項第二号) ○ 離隔距離 ・ 特別高圧架空電線と低高圧架空電線等又はこれらのものの支持物と の離隔距離は,特別高圧架空電線が低高圧架空電線等と第2次接近状 態に施設される場合の規定に準ずる <特別高圧架空電線が架空弱電流電線又は低圧若しくは高圧の架空電線と 交さする場合>(第 3 項第三号) ○ 離隔距離 ・ 特別高圧架空電線の両外線の直下部に D 種接地を施した引張強さ 8.01kN 以上の金属線又は直径 5 ㎜以上の硬銅線を架空弱電流電線又 は低圧若しくは高圧の架空電線との離隔距離は 60cm 以上 <各種ケースにおける保護網を施設する場合>(第 4 項第三号) ○ 離隔距離 ・ 保護網と低高圧架空電線等との垂直離隔距離は 60cm <特別高圧架空電線が架空弱電流電線等又は低圧若しくは高圧の架空電線と 接近する場合> [特別高圧架空電線は,架空弱電流電線等又は低圧若しくは高圧の架空電線 の下方において水平距離でこれらのものの支持物の地表上の高さに相当 する距離以内に施設する場合の緩和](第 5 項第二号) ○ 離隔距離 ・ 特別高圧架空電線と架空弱電流電線等若しくは低圧若しくは高圧の 架空電線又はこれらのものの支持物との離隔距離は,特別高圧架空電 線と索道と第1次接近状態に施設する場合に準ずる (5) 特別高圧架空電線と他の特別高圧架空電線(第 128 条) <特別高圧架空電線が他の特別高圧架空電線と接近状態又は交さして 施設される場合> [特別高圧架空電線と他の特別高圧架空電線](第 1 項第三号) ○ 離隔距離 ・ 128-1 表の使用電圧の区分に応じた値以上 128-1 表 使用電圧の区分 離隔距離 60,000V 以下のも の 2m 60,000V を超える もの 2m に,使用電圧が 60,000V を超える 10,000V 又はその端 数ごとに 12cm を加えた値

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Ⅱ-8

○ 離隔距離緩和 ・ それぞれの特別高圧絶縁電線の使用電圧が 35,000V 以下の場合で,ひ とつの特別高圧架空電線がケーブルを使用するもので他の特別高圧 架空電線が特別高圧絶縁電線が特別高圧絶縁電線又はケーブルを使 用するものであって,相互の離隔距離が 50cm 以上の場合 ・ それぞれの特別高圧架空電線の使用電圧が 35,000V 以下の場合で,特 別高圧絶縁電線を使用するものであって,相互の離隔距離が 1m 以上 の場合 ・ ケーブルを使用する使用電圧が 35,000V を超える 60,000V 以下の特別 高圧架空電線において,相互の離隔距離 1m 以上の場合 ・ ケーブルを使用する使用電圧が 60,000V を超える特別高圧架空電線に おいて,相互の離隔距離が 35,000V を超える 60,000V 以下の特別高圧 架空電線の離隔距離の値に使用電圧が 60,000V を超える 10,000V 又は その端数ごとに 12cm を加えた値以上の場合 <特別高圧架空電線が他の特別高圧架空電線路の架空地線と接近状態 又は交さして施設される場合>(第 2 項) ○ 離隔距離 ・ 特別高圧架空電線と架空地線との離隔距離は,126-1 表の電圧の種類 に応じた値以上 (6) 特別高圧架空電線と他の工作物(第 129 条) <特別高圧架空電線が他の工作物との第1次接近状態に施設される場合> [35,000V 以下の特別高圧架空電線と他の工作物](第 1 項第一号) ○ 離隔距離 ・ 129-1 表の他の工作物の区分及び電線の種類に応じた値以上 129-1 表 他 の 工 作 物 区分 電線の種類 離隔距離 造 物 の 上 部 造営材 特別高圧絶縁 電線 上部造営材の上方においては 2m,上部造営 材の側方又は下方においては 1m ケーブル 上部造営材の上方においては 1.2m,上部造 営材の側方又は下方においては 50cm その他の 電線 2m 造営物の上部 造営材以外の 部分又は造営 物以外の工作 物 特別高圧絶縁 電線 1m ケーブル 50cm その他の 電線 2m

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Ⅱ-9

[35,000V を超え 60,000V 以下の特別高圧架空電線と他の工作物] (第 1 号第二号) ○ 離隔距離 ・ 2m(上部造営材の上方にある場合を除き,特別高圧架空電線がケーブ ルを使用する場合は,1m)以上 [60,000V を超える特別高圧架空電線と他の工作物](第 1 項第三号) ○ 離隔距離 ・ 建造物の造営材の区分及び電線の種類に応じ,[35,000V を超え 60,000V 以下の特別高圧架空電線と他の工作物]の離隔距離の値に 60,000V を超える 10,000V 又はその端数ごとに 12cm を加えた値以上 <特別高圧架空電線が他の工作物と第2次接近状態に施設 又は他の工作物の上方で交さして施設される場合> ○ 離隔距離 ・ 特別高圧架空電線が他の工作物と第1次接近状態に施設される場合 に準ずる (7) 特別高圧架空電線が対象物(建造物,道路等及び他の工作物)の下方に 施設する場合の水平離隔距離(第 124 条第 5 項,第 125 条第 4 項,第 129 条第 3 項) ○ 離隔距離 ・ 相互の水平離隔距離は 3m 以上 ・ 相互の離隔距離は,特別高圧架空電線が対象物と第1次接近状態に施 設される場合に準ずる (8) 特別高圧架空電線と植物(第 131 条) <特別高圧架空電線と植物> ○ 離隔距離 ・ 131-1 表の使用電圧の区分に応じた値以上 131-1 表 使用電圧の区分 離隔距離 60,000V 以下のも の 2m 60,000V を超える もの 2m に,使用電圧が 60,000V を超える 10,000V 又はその端 数ごとに 12cm を加えた値 ○ 離隔距離緩和 ・ 高圧絶縁電線を使用する使用電圧が 35,000V 以下の特別高圧架空電 線と植物との離隔距離が 50cm 以上の場合

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Ⅱ-10

規定の経緯 規定の根拠 推定根拠 (1) 規定の制定・改正の経緯 離隔距離に関する規定は,昭和 47 年,昭和 57 年及び平成 9 年の改正において 従来の規定内容が緩和された。 ・ 昭和 47 年 :使用電圧が 35kV 以下の特別高圧架空電線にケーブルを 使用する場合の離隔距離の緩和 ・ 昭和 57 年 :使用電圧が 35kV 以下の特別高圧架空電線に絶縁電線を 使用する場合の離隔距離の緩和 ・ 平成 9 年 :使用電圧が 35kV を超える特別高圧架空電線にケーブル を使用する場合の離隔距離の緩和 (2) 規定内容の根拠 各規定値の根拠についての調査結果を以下に示す。 ① 既に規定のあった低高圧架空電線と工作物等の離隔距離との整合性を 考慮し,この値に裕度を見込み決定したものと推定される ② 人体測定を行った結果に裕度を加え,人が触れる危険がない(背伸び や手を伸ばしても届かない)距離等で規定している ③ 35kV を超える架空ケーブルであっても,それ以下のケーブルと基本的 特性は変わるものではなく,今後も適用の増加が見込まれることから 追加したとされているが,数値根拠となる資料は見当たらない ④ ケーブルとの整合性を考慮し,低圧架空電線に多心型電線を使用する か又は低高圧電車線の場合は 1.5m,その他の場合及びこれらの支持物 との離隔距離は 1.0m と規定している ⑤ 35kV 以下の離隔をベースに電圧上昇に対しては裸電線に準じて離隔を 大きくするとの考え方より,35kV~60kV の離隔を 35kV 以下の 0.5m に 相当するものを 1.0m と規定している ⑥ 架空弱電流電線等の切断による跳ね上がり混触事故の防止には水平離 隔距離 2.0m 以上を確保すれば十分とされたものと推定される ⑦ 対象物からの落下物により,特別高圧架空電線への障害を防止するた め,一定の水平離隔距離を規定したものと推定される ⑧ 特別高圧架空電線に高圧絶縁電線を使用する場合には,かなりの絶縁 耐力を期待できるが経年劣化など若干不明な点もあるので,実際上支 障がない値として規定している 今回の調査条文である第 124 条から第 131 条(第 130 条除く)に規定されてい る調査対象数値(過去に調査済の数値は未記入)を取り纏めると下表のとおりに 取り纏めることができる。 この表に記載している数値に対して,個々の根拠となる上記の番号を《 》で 付する。

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Ⅱ-11

【根拠調査対象規定値】 対象工作物 特別高圧架空電線の種類 ケーブル 特別高圧絶縁電線 35kV 以下 35kV 超えるもの 35kV 以下 (1)建造物 [上部造営材]《①,②》 上方:1.2m 側方,下方:50cm [その他造営材]《①,②》 50cm ― [上部造営材]《②》 上方:2.5m 側方,下方:1.5m ( 人 が 容 易 に 触 れ る 恐 れ が な い 場合は 1.0m) [その他造営材]《②》 1.5m (2)道路等 1.2m 《①,②》 2.0m 《③》 1.5m 《②》 (3)索道 50cm 《①》 1.0m 《①》 1.0m 《①》 (4) 低圧架空電 線又は低圧 若しくは高 圧の電車線 1.2m(低圧架空電線が 絶縁電線又はケーブ ル の 場 合 は 50cm ) 《①》 1.0m(低圧架空 電線が絶縁電線 又はケーブルの 場合)《⑤》 1.5m(低圧架空電線 が絶縁電線又はケ ー ブ ル の 場 合 は 1.0m) 《④》 低 高 圧 架 空 電 線 等 高圧架空電 50cm 《①》 1.0m 《④》 弱電流電線 等又は低高 圧架空電線 等の支持物 50cm 《①》 1.0m 《④》 水平離隔:2.0m 《⑥》 (5) 特別高圧 絶縁電線 50cm 《①》 ― 1.0m 《①》 電 線 相 互 ケーブル 50cm 《①》 1.0m 《⑤》 ― (6)他の工作物 [上部造営材]《①,②》 上方:1.2m 側方,下方:50cm [その他造営材]《①,②》 50cm 1.0m(上部造営 材の上方にある 場 合 を 除 く ) 《⑤》 [上部造営材]《②》 上方:2.0m 側方,下方:1.0m [その他造営材]《②》 1.0m (7)下方に施設 水平離隔:3.0m 《⑦》 (8)植物 ― ― 50cm(高圧絶縁電 線の場合) 《⑧》

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Ⅱ-12

表 2.2.1 平成 22 年度検討項目の概要

項 目 内 容 検討項目 電熱装置に係る規定について (使用設備作業会) 関連規定 電気設備技術基準の解釈:第 228 条 【フロアヒーティング等の電熱装置の施設】 検討の背景 技術基準の運用に当たっては,新技術,新システム等を活用した解釈に記載さ れていない資機材又は施設方法の技術基準への適合評価の判断を,的確かつ迅速 に行うことが要求される。 本調査の目的は,現行解釈の内容に関する考え方,根拠等を明確にして,解釈 に記載されていない資機材又は施設方法の技術基準適合性の判断し資すること である。 平成 12 年度から,資機材,工法の具体的技術要件を示した「解釈」の中で数 値規定がある条文を中心に根拠調査を実施することとした。 今回はその中で「フロアヒーティング等の電熱装置」の規定について,根拠調 査を実施した。 規定の概要 (1) 発熱線を道路,駐車場又は造営物の造営材に固定して施設する場合 <発熱線に電気を供給する電路の対地電圧>(第 1 項第一号) ・ 300V 以下 <発熱線接続用ケーブルの性能>(第 1 項第三号) ○ 絶縁体の厚さ ・ 耐熱ビニル混合物,架橋ポリエチレン混合物又はエチレンプロピレン 混合物:0.8 ㎜以上 ・ ブチルゴム混合物:1.1 ㎜以上 ○ 外装の厚さ ・ 耐熱ビニル混合物,架橋ポリエチレン混合物又はエチレンプロピレン ゴム混合物:1.2 ㎜以上 ・ ブチルゴム混合物:1.0 ㎜以上 ○ 完成品の試験 ・ 清水中に 1 時間浸した後,導体と大地の間に 1,500V の交流電圧を連続 して 1 分間加えたときこれに耐え,更に導体と大地の間に 100V の直流 電圧を 1 分間加えた後に測定した絶縁体の絶縁抵抗が別表第 7 に規定 する値以上のもの <発熱線の温度>(第 1 項第五号) ・ 80℃を超えないように施設 ・ 道路又は屋外駐車場に金属被覆を有する発熱線を施設する場合は, 120℃以下 (2) コンクリートの保温のための施設する場合 <発熱線に電気を供給する電路の対地電圧>(第 2 項第一号) ・ 300V 以下 <発熱線相互の間隔>(第 2 項第三号) ・ 5cm

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(3) 電熱ボード又は電熱シートを造営物の造営材に固定して施設する場合 <電熱ボード又は電熱シートに電気を供給する電路の対地電圧> (第 3 項,第 4 項) ・ 150V 以下 (4) 道路又は屋外駐車場に表皮電流加熱装置を施設する場合 ○ 小口径管の温度 ・ 120℃を超えないように施設 ○ 発熱線の温度 ・ 120℃を超えないように施設 ○ 絶縁体の厚さ ・ 別表第 19 に適合 ○ 外装の厚さ ・ 別表第 20 に適合 ○ 完成品の試験 ・ 清水中に 1 時間浸した後,導体と大地の間に別表第 21 に規定する試験 電圧を連続して 1 分間加えたときこれに耐え,更に発熱体と大地との 間に 100V の直流電圧を 1 分間加えた後に測定した金属平板上にケーブ ルを 2m 密着させ,導体と接地板との間に 228-1 表の使用電圧区分に応 じ,同表の試験電圧まで除々に電圧を加え,コロナ放電量を測定した とき,放電量が 30 ピコクーロン以下 228-1 表 使用電圧の区分 試験電圧 600V を超え 1,500V 以下 1,500V 1,500V を超え 3,500V 以下 3,500V 規定の経緯 規定の根拠 推定根拠 電熱器の施設は,大正 8 年「電気工作物規程」制定で新たに規定した。昭和 7 年改正では,屋内で使用する家庭用電気器具の規定のなかに電熱器を含め,昭和 38 年改正で,屋側又は屋外の電熱装置の施設方法を新たに規定した。 その後,昭和 43 年改正で屋内のフロアヒーティングの施設方法及び屋側又は 屋外のロードヒーティング及びコンクリート養生線の施設方法を新たに規定し た。 (1) 道路,駐車場又は造営物の造営材に固定して施設 ○ 発熱線に電気を供給する電路の対地電圧(第 1 項第一号) ・ 「電気設備の技術基準(昭和 47 年)」によると,「大規模なロードヒー ティングでは電源その他で不経済になる場合があるとの理由から,対 地電圧を 300V 以下にした。」と記載されている。なお,上限値の 300V は第 2 項(コンクリート養生線)第一号との整合を図ったものと推定 される。 ○ 発熱線接続用ケーブルの性能(絶縁体及び外装の厚さ)(第 1 項第三号) ・ 電気用品の技術上の基準を定める省令別表第一と整合する。なお,解 説によれば「普通の電線であると発熱線に接続する部分及びその近く が発熱線の熱の伝導により電線の絶縁物が劣化し危険が生ずるので, 電線の種類を限定した。その構造は導体が,絶縁体及び外装が発熱線

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Ⅱ-14

と同様のものを用いている。」である。 ○ 発熱線の施設温度(第 1 項第五号) ・ 解説によれば「電熱線の絶縁物が熱により劣化又は軟化することを防 止するため」であり,「絶縁物の急激な劣化又は軟化をまねかない程度 のものとして 80℃をとっている。」とある。 ・ 上限値を 120℃とした根拠となる資料は見当たらない。 (2) コンクリートの保温のための施設 ○ 電熱線に電気を供給する電路の対地電圧(第 2 項第一号) ・ 「電気工作物規程(昭和 40 年)」によると,交流の低圧電圧の範囲を 300V 以下から 600V 以下に改正したことを受け,本号の規定を低圧か ら 300V に表現を改めた。 ・ 解説に「低圧で十分用足りるため必要以上に高い電圧とすることを禁 止するもの」とあるものの,上限値を 300V とした根拠となる資料は見 当たらない。 ○ 発熱線相互の間隔(第 2 項第三号) ・ 解説によれば「局部的に過熱することを避けるため,適当に間隔をと ることを要求している。」とあるが,下限値を 5cm とした根拠となる資 料は見当たらない。 (3) 電熱ボード又は電熱シートを造営物の造営材に固定して施設 ○ 電熱線に電気を供給する電路の対地電圧(第 3 項第一号) ・ 解説によれば,「ルーフヒーティングは木造建築物などの屋根に施設 し,融雪効果を高めるために屋根の造営材の中に組み込まれて施設し たりすることが多い。」とある。 ・ 「電気設備の技術基準(昭和 40 年)」から 600V 以下に改正した際の解 説に「電圧による危険性を考慮しなければならない住宅内の電路(中 略)は各条文において対地電圧 150V 以下と規制」したとある。 ・ 解釈第 162 条第 2 項で住宅の屋内電路(電気機械器具内の電路を除く) の対地電圧を 150V 以下(同項第一~第四号を除く)と規定しているこ とが,本号で上限値を 150V とした理由と関連性があるものと推定され る。 (4)表皮電流加熱装置の施設 ○ 電熱線に電気を供給する電路の対地電圧(第 4 項第一号) ・ 第 229 条【パイプライン等の電熱装置の施設】第 3 項第一号の解説に 「短い距離の場合には低圧でよい」とあり,パイプラインと比較して 短距離であることから低圧としたものと想定されるが,上限値を 300V とした根拠となる資料は見当たらない。 ○ 小口径管及び発熱線の温度(第 4 項第三号,第四号) ・ 解説によると「道路や屋外駐車場の路面の積雪や氷雪の防止が目的で あることから,発熱線の温度は,120℃以下に限定している。」とある ものの,上限値を 120℃とした根拠となる資料は見当たらない。

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表 2.2.2 平成 22 年度検討項目の概要

項 目 内 容 検討項目 電熱装置に係る規定について (使用設備作業会) 関連規定 電気設備技術基準の解釈:第 229 条 【パイプライン等の電熱装置の施設】 検討の背景 技術基準の運用に当たっては,新技術,新システム等を活用した解釈に記載さ れていない資機材又は施設方法の技術基準への適合評価の判断を,的確かつ迅速 に行うことが要求される。 本調査の目的は,現行解釈の内容に関する考え方,根拠等を明確にして,解釈 に記載されていない資機材又は施設方法の技術基準適合性の判断し資すること である。 平成 12 年度から,資機材,工法の具体的技術要件を示した「解釈」の中で数 値規定がある条文を中心に根拠調査を実施することとした。 今回はその中で「パイプライン等の電熱装置」の規定について,根拠調査を実 施した。 規定の概要 (1) パイプライン等に発熱線を施設する場合 <発熱線に電気を供給する電路の対地電圧>(第 1 項第一号) ・ 低圧 <発熱線の温度>(第 1 項第五号) ・ 発火温度の 80%を超えないように施設 (2) 直接加熱装置を施設する場合 <発熱線の温度>(第 2 項) ・ 発火温度の 80%を超えないように施設 <発熱体に電気を供給する電路の対地電圧>(第 2 項第一号) ・ 交流の低圧 <パイプライン等>(第 2 項第三号) ○ 絶縁体の厚さ ・ 0.5 ㎜以上 ○ 発熱体相互のフランジ接合部及び発熱体とベント管,ドレン管等の附 属物との接続部分に挿入する絶縁体の厚さ ・ 1 ㎜以上 ○ 完成品の試験 ・ 発熱体と外被との間に 1,500V の交流電圧を連続して 1 分間加えたとき これに耐えるもの (3) 表皮電流加熱装置の施設 <発熱線の温度>(第 3 項) ・ 発火温度の 80%を超えないように施設 <発熱体に電気を供給する電路の対地電圧>(第 3 項第一号) ・ 交流の低圧又は高圧 <発熱線の性能>(第 3 項第四号) ○ 発熱線の温度 ・ 120℃を超えないように施設

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○ 絶縁体の厚さ ・ 別表第 19 に適合 ○ 外装の厚さ ・ 別表第 20 に適合 ○ 完成品の試験 ・ 清水中に1時間浸した後,導体と大地の間に別表第 21 に規定する試験 電圧を連続して 1 分間加えたときこれに耐え,更に発熱体と大地との 間に 100V の直流電圧を 1 分間加えた後に測定した絶縁体の絶縁抵抗が 別表第 7 に規定する値以上のもの ・ 使用電圧が 600V を超えるものにあっては,接地した金属平板上にケー ブルを 2m 密着させ,導体と接地板との間に 228-1 表の使用電圧区分に 応じ,同表の試験電圧まで除々に電圧を加え,コロナ放電量を測定し たとき,放電量が 30 ピコクーロン以下 228-1 表 使用電圧の区分 試験電圧 600V を超え 1,500V 以下 1,500V 1,500V を超え 3,500V 以下 3,500V (4) 発熱線を送配水管又は水道管に固定して施設する場合 <発熱線に電気を供給する電路の対地電圧>(第 4 項) ・ 300V 以下 <発熱線接続用ケーブルの性能>(第 4 項第二号) ○ 絶縁体の厚さ ・ 耐熱ビニル混合物,架橋ポリエチレン混合物又はエチレンプロピレン ゴム混合物:0.8 ㎜以上 ・ ブチルゴム混合物:1.1 ㎜以上 ○ 外装の厚さ ・ 耐熱ビニル混合物,架橋ポリエチレン混合物又はエチレンプロピレン ゴム混合物:1.2 ㎜以上 ・ ブチルゴム混合物:1.0 ㎜以上 ただし,外装の上にポリアミドを 0.2 ㎜以上の厚さに被覆するものに あっては,0.2 ㎜を減じた値 ○ 完成品の試験 ・ 清水中に 1 時間浸した後,導体と大地の間に 1,500V の交流電圧を連続 して 1 分間加えたときこれに耐え,更に発熱体と大地との間に 100V の 直流電圧を 1 分間加えた後に測定した絶縁体の絶縁抵抗が別表第 7 に 規定する値以上のもの ○ 発熱線の温度 ・ 120℃を超えないように施設 規定の根拠 推定根拠 解説第 229 条は,石油類,食品類,化学薬品類の加熱及び送配水管やドレンパ イプの凍結防止を目的に,電気による発熱を利用する電熱装置について昭和 51 年に規定された。

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電熱装置は,発熱線をパイプライン等に沿わせる方式,パイプライン等に直接 電流を流す直接加熱装置,表皮電流加熱装置(セクト法)に区別され,それぞれ に対して規定している。また,発熱線を被加熱管に沿わせる方式で,比較的小口 径,短い長さのドレンパイプ,送配水管の凍結防止装置に対しても規定している。 (1) パイプライン等に発熱線を施設 ○ 発熱線に電気を供給する電路の対地電圧(第 1 項第一号) ・ 使用電圧を制限している規定であり,保安上は電圧を低くすることが 望ましいが,パイプライン等の口径が大きく,長さが長いものになる と,電源その他で不経済となる場合があるので低圧と規定している。 ○ 発熱線の温度(第 1 項第五号) ・ パイプラインから原油や重油等の液体が漏洩した場合,加熱温度がこ れらの液体の発火温度より高いと火災のおそれがあるので温度制限を 実施した。 ・ 被加熱液体の 80%を限度としたのは,労働省産業安全研究所編「向上 電気設備防爆指針(ガス蒸気防爆)」に防爆機器の容器外面の温度上昇 限度として,発火点の最小値の 80%を限度としており,これらを参照 した。 (2) 直接加熱装置を施設 ○ パイプライン等の規格(第 2 項第三号) ・ 絶縁体の厚さは,使用する絶縁物が電線等に使用されるものの中から 選定され,厚さは JIS C 8364 でバスダクトの絶縁被覆の最小値が 0.5 ㎜以上となっている。 ・ 接続部に挿入する絶縁体の厚さに関する根拠となる資料は見当たらな い。 ・ バスダクトの完成品に対する試験方法(JIS C 8364)を参照したも のと推測されるが,根拠となる資料は見当たらない。 (3) 表皮電流加熱装置を施設 ○ 発熱線に電気を供給する電路の対地電圧(第 3 項) ・ この方式による電熱装置は,小口径管の外被には電位が現れるが,同 時に逆起電力の作業により総体的には人体に危険な電流を流す電位と はならず,したがって発熱線の耐電圧と耐熱が保証されるときは高い 電圧を使用することができる。短い場合には低圧でよいが,長距離の 場合には高圧が経済的に有利となるので,使用電圧は低圧と高圧に規 定された。 ・ 発熱線の温度は,フロアヒーティング等の電熱装置の施設(第 228 条) を引用していることから,道路や屋外駐車所の路面の積雪や氷結の防 止を目的に 120℃以下に限定している。 ・ 高圧発熱線の絶縁体厚さは,架橋ポリエチレン又はプロピレンゴム混 合物については,高圧ケーブルの絶縁体の厚さに基づいて規定してお り,けい素ゴム混合物については,口出し用けい素ゴム絶縁ガラス編 組電線(JIS C 3324)の絶縁体厚さ+0.5 ㎜の厚さとしている。 ・ 完成品の根拠となる資料は見当たらない。

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(4) 発熱線を送配水管又は水道管に固定して施設する場合 ○ 発熱線に電気を供給する電路の対地電圧(第 4 項) ・ 使用電圧を制限している規定であり,対象が小口径,短距離のもので あるので使用電圧を 300V 以下と規定したが,300V の根拠となる資料 は見当たらない。 ○ 発熱線接続用ケーブルの性能(第 4 項第四号) ・ 発熱線の絶縁体及び外装の仕様は,JIS C 3651「ヒーティング施設 の施工方法」の附属書で規定されているが,数値の根拠となる資料は 見当たらない。なお,JIS ではブチルゴム混合物の外装の厚さについ ての規定はなし。さらに,完成品の試験においては,1,500V の交流試 験後の 100V の直流試験の試験はない。 ・ 発熱線用の絶縁物の気遊撃な劣化又は軟化を招かない程度のもとして 80℃としている。また,解説において,床面の仕上げ材は床上におか れた物が損傷又は火災を生じないよう 80℃としていることの記載があ り,火災防止の観点からも 80℃としたと推定される。

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表 2.2.3 平成 22 年度検討項目の概要

項 目 内 容 検討項目 電熱装置に係る規定について (使用設備作業会) 関連規定 電気設備技術基準の解釈:第 230 条 【電気温床等の施設】 検討の背景 技術基準の運用に当たっては,新技術,新システム等を活用した解釈に記載さ れていない資機材又は施設方法の技術基準への適合評価の判断を,的確かつ迅速 に行うことが要求される。 本調査の目的は,現行解釈の内容に関する考え方,根拠等を明確にして,解釈 に記載されていない資機材又は施設方法の技術基準適合性の判断し資すること である。 平成 12 年度から,資機材,工法の具体的技術要件を示した「解釈」の中で数 値規定がある条文を中心に根拠調査を実施することとした。 今回はその中で「電気温床等の電熱装置」の規定について,根拠調査を実施し た。 規定の概要 (1) 電気温床等を施設する場合 <電気温床等に電気を供給する電路の対地電圧>(第 1 項第一号) ・ 300V 以下 <発熱線の温度>(第 1 項第四号) ・ 発火温度の 80%を超えないように施設 (2) 発熱線を空中に施設する電気温床等の場合 <発熱線>(第 2 項) ○ 発熱線の相互間隔 ・ 3cm(箱内に施設する場合は,2cm)以上 ・ 発熱線を箱内に施設する場合であって,発熱線相互の間に 40cm 以下ご とに絶縁性,難燃性及び耐水性のある隔離物を設ける場合委は,その 間隔を 1.5cm まで減ずることができる ○ 発熱線と造営材との離隔距離 ・ 2.5cm 以上 ○ 発熱線と箱の構成材との離隔距離 ・ 1cm 以上 ○ 発熱線の支持点間距離 ・ 1m 以下 ・ 発熱線の相互間隔が 6cm 以上の場合は,2m 以下 (3) 発熱線をコンクリート中に施設する電気温床等の場合 <発熱体に電気を供給する電路の対地電圧>(第 3 項) ・ 300V 以下 <発熱線の温度>(第 3 項) ・ 80℃を超えないように施設

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Ⅱ-20

規定の根拠 推定根拠 昭和 34 年に「電気工作物規程」により,野菜,水稲,甘藷等の育苗,草加, 果実等の栽培又は養蚕,ふ卵,育すうなどの用途に用いられる電熱装置について 規定している。 その後,昭和 38 年の改正では,寒冷地などの家畜小屋などの暖房用として, 発熱線をコンクリート内に埋め込む工事方法が追加された。 また,昭和47年の改正では,電気温床線の水中,泥中等に施設する場合の基 準を整備した。 更に,昭和 61 年の改正では,発熱線の離隔について,今まで規定されていた 弱電流電線に追加して,光ファイバケーブルに関する取扱いを規定するととも に,管の厚さが 2 ㎜以下の合成樹脂製電線管の仕様について中止し,現在に至っ ている。 (1) 電気温床等を施設 ○ 電気温床等に電気を供給する電路の対地電圧(第 1 項第一号) ・ 従来の「電気工作物規程」では,低圧の範囲を 300V 以下としており, これを準用したと推定される。(昭和 40 年までは,300V ではなく,低 圧と規定していた。)また,制定時及び改正時の解説によれば,動力等 他の用途の電源(200V 回路からの供給も考慮)を利用することにより 電気の多角利用ができる点を考慮し,使用上の便宜を図って 300V 以下 としたと記載されている。 ○ 発熱線の温度(第 1 項第四号) ・ 制定時の解説によれば,発熱線のビニル被覆が熱により急激な劣化を 招かないために,目安として発熱線の表面温度が 80℃を超えないよう に温度制限を設けたものである。ビニル製品の多くが,常用耐熱温度 の上限が 80℃前後となっているが,これを根拠に表面温度の上限を 80℃に設定されたかどうかの根拠となる資料は見当たらない。なお, 解釈第 228 条の解説において,仕上材又は床上に置かれた物が損傷又 は火災を生じないように 80℃としている。 (2) 発熱線を空中に施設する電気温床等の場合直接加熱装置を施設 ○ 発熱線の規格(第 2 項第一号) ・ 制定時の解説によれば,「がいし引き工事(解釈第 175 条)に準じた工 事方法を要求しているが,発熱線相互等の間隔等を緩和している。」と されているが,かいし引き工事(解釈第 175 条)において,電線相互 の間隔は 6cm 以上と定められているものを,どのような解釈で「3cm」 「2cm」「40cm」「1.5cm」に緩和した根拠となる資料は見当たらない。 ・ 制定時の解説によれば,「がいし引き工事(解釈第 175 条)に準じた工 事方法を要求している。」とされており,がいし引き工事(解釈第 175 条)の「電線と造営材との離隔距離は,使用電圧が 300V 以下の場合は 2.5cm 以上,300V を超える場合は 4.5cm(乾燥した場所に施設する場 合は,2.5cm)以上であること。」とさだめられていることから,2.5cm の値はこの条文を準用したものと推定される。 ・ 発熱線と箱の構成材との離隔距離に関する根拠となる資料は見当たら ない。

(30)

Ⅱ-21

・ 制定時の解説によれば,「がいし引き工事(解釈第 175 条)に準じた工 事方法を要求しているが,発熱線相互等の間隔等を緩和している。」と されているが,かいし引き工事(解釈第 175 条)では,「電線相互の間 隔は 6cm 以上」「電線の支持点間の距離は,電線を造営材の上面又は側 面に沿って取り付ける場合は,2m 以下であること」とされており,た だし書き以降は,がいし引き工事を準用した物となっているが,第 230 条においては,電熱温床線の電線相互の間隔が 3cm 以下となっている ことから,支持点間の距離も単純に半分の 1m としたと推定されるが, 根拠となる資料は見当たらない。

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Ⅱ-22

表 3.1.1 平成 22 年度検討項目の概要

JIS 規格 解釈条文 結論 JIS B 8210 蒸気用及びガス用ばね安 全弁 第 49 条 ガス絶縁機器等の圧力容器の 施設 ・ 新 JIS の引用が可能 ・ 解説の見直しは不要 JIS C 1736-1 計器用変成器(電力需給 用)-第1部:一般仕様 第 18 条 器具等の電路の絶縁耐力 ・ 新 JIS の引用が可能 ・ 解説の見直しは不要 JIS A 5373 プレキャストプレストレ ストコンクリート製品 第 60 条 鉄筋コンクリート柱の構成等 ・ 新 JIS の引用が可能 ・ あわせて解説の見直 しが必要 JIS G 3112 鉄筋コンクリート用棒鋼 第 60 条 鉄筋コンクリート柱の構成等 ・ 新 JIS の引用が可能 ・ 解説の見直しは不要 JIS H 3300 銅及び銅合金の継目無管 第 9 条 低圧ケーブル ・ 新 JIS の引用が可能 ・ 解説の見直しは不要 JIS G 3452 配管用炭素鋼鋼管 第 228 条 フロアヒーティング等の電熱 装置の施設 ・ 新 JIS の引用が可能 ・ 解説の見直しは不要 第 229 条 パイプライン等の電熱装置の 施設 ・ 新 JIS の引用が可能 ・ 解説の見直しは不要 JIS G 3456 高圧配管用炭素鋼鋼管 第 229 条 パイプライン等の電熱装置の 施設 ・ 新 JIS の引用が可能 ・ 解説の見直しは不要 JIS K 6920-2 プラスチック‐ポリアミ ド(PA)成形用及び押出用 材料‐第2部:試験片の作 り方及び諸性質の求め方 第 235 条 滑走路灯等配線の施設 ・ 新 JIS の引用が可能 ・ 解説の見直しは不要

(32)

Ⅲ-1-1

第三章 平成22年度委員会の調査・検討の詳細

この章では,平成22度委員会において検討・評価が行われた事項について,その検討の 詳細を示す。 (検討項目) 1.特別高圧架空電線と工作物等との接近又は交さに係る規定の根拠調査 2.電熱装置に係る規定の根拠調査 3.解釈に引用されているJIS規格の調査

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Ⅲ-1-2

1.特別高圧架空電線と工作物等との接近又は交さに係る規定(裸電線との離

隔距離に係る部分を除く。

)の根拠調査

1.1 特別高圧架空電線と建造物との離隔距離について

解釈第124条【特別高圧架空電線と建造物との接近】

(第1項及び第2項)

1.1.1 検討の背景 電気設備の建設・保守にあたっては,技術基準に適合した設備とするため,解釈に記 載されている規定値を遵守する必要がある。この規定値の根拠については,解釈の解説 に記載があるものの,必ずしも明確になっていないため,これらの根拠について調査を 実施する必要がある。 今回はその中で「特別高圧架空電線と建造物との接近」に関する規定のうち,特別高 圧架空電線が特別高圧絶縁電線又はケーブルである場合の規定について,根拠調査を実 施した。 1.1.2 規定の概要 解釈第124条【特別高圧架空電線と建造物との接近】(第1項及び第2項)は,特別高 圧架空電線と建造物が接近する場合の規定である。 第1項は,特別高圧架空電線が建造物と第1次接近状態に施設される場合を規定してい る。 第2項は,35kV以下の特別高圧架空電線が建造物の上方又は側方において,水平距離 で3m未満に接近して施設される場合(第2次接近状態)を規定している。 本条文に関する規定の概要は,以下のとおりである。 (省令第29条:電線による他の工作物等への危険の防止) 電線路の電線又は電車線等は,他の工作物又は植物と接近し,又は交さする場合に は,他の工作物又は植物を損傷するおそれがなく,かつ,接触,断線等によって生じ る感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。 (解釈第124条:特別高圧架空電線と建造物との接近[第1項及び第2項]) 特別高圧架空電線が建造物と第1次接近状態に施設される場合は,次の各号によるこ と。(省令第29条関連) 一 (略) 二 使用電圧が35,000V以下の特別高圧架空電線と124-1表の左欄に掲げる建造物の 造営材との離隔距離は,同表の中欄に掲げる電線の種類に応じ,それぞれ同表の 右欄に掲げる値以上であること。

(34)

Ⅲ-1-3

124-1表 建造物の造 営材の区分 電線の種類 離隔距離 上部造営材 特別高圧 絶縁電線 上部造営材の上方においては2.5m,上部造営材の側方又は 下方においては1.5m(電線に人が容易に触れるおそれがな いように施設する場合は1m) ケーブル 上部造営材の上方においては1.2m,上部造営材の側方又は 下方においては50cm その他の電線 3m その他の 造営材 特別高圧 絶縁電線 1.5m(電線に人が容易に触れるおそれがないように施設す る場合は1m) ケーブル 50cm その他の電線 3m 三 使用電圧が35,000Vを超える特別高圧架空電線の建造物との離隔距離は,建造物 の造営材の区分及び電線の種類に応じ,それぞれ前号に規定する値に,35,000Vを 超える10,000V又はその端数ごとに15cmを加えた値以上であること。 2 使用電圧が35,000V以下の特別高圧架空電線が建造物と第2次接近状態に施設され る場合は,次の各号によること。(省令第29条関連) 一 (略) 二 特別高圧架空電線と建造物との離隔距離は,前項第二号の規定に準ずること。 1.1.3 規定の制・改正の経緯 解釈第124条【特別高圧架空電線と建造物との接近】(第1項及び第2項)の制・改正の 経緯について,当該規定を制定した大正8年の「電気工作物規程」制定時までさかのぼ って整理したため,この概要を以下に説明する。 大正 8年 ○ 電圧が15kV以下で建造物が送電線と水平距離10尺以内に施設される 場合の施設条件の中で10尺(3.03m)以上と規定された。 大正14年 ○ 単位を尺貫法からメ-トル法に変更された。(10尺→3m) 昭和 7年 ○ 電圧が15kVを超える場合の離隔値を5mと規定された。(15kV以下3m) 昭和29年 ○ 離隔値を35kV以下と35kV超過に区分して規定された。(35kV以下3m, 35kV超過5m)

(35)

Ⅲ-1-4

昭和34年 ○ 35kV超過の離隔値を電圧値に応じ算定する規定方法に変更された。 (3mに35kVを超える10kV又はその端数毎に15cmを加えた値) 昭和40年 ○ 電気設備に関する技術基準制定に伴い第133条【特別高圧架空電線と 建造物の接近】として条文化された。 昭和47年 ○ 20kV以下級架空ケーブルの進展により,架空ケーブル工事の基準を定 めたことに伴い,35,000V以下の特別高圧架空ケーブルの場合の建造物 との離隔距離の緩和が新たに規定された。 昭和57年 ○ 35,000V以下の特別高圧架空電線路の電線として特別高圧絶縁電線を 使用する場合の建造物との離隔距離の緩和が新たに規定された。 平成 9年 ○ 条文構成の変更に伴い第133条→第124条へ変更された。また合わせて 第1項第二号(35,000Vを超えるものを除く)と第1項第三号が第1項第二 号に統合された。 ○ 使用電圧が35kVを超える電線路にケーブルを使用する場合が追加さ れた。 表1 特別高圧架空電線と建造物との接近(第 1 項及び第 2 項)に関する規定の主な制・改正経緯 制・改正年 条 文 規定内容 備 考 大正 8 年 「 電 気 工 作物規程」 第 50 条, 細則 38 条 ○電圧が15kV以下で建造物が送電線と水平距離10尺以内に施 設される場合の施設条件の中で10尺(3.03m)以上と規定 大正 14 年 「 電 気 工 作物規程」 第 50 条, 細則 38 条 ○単位を尺貫法からメ-トル法に変更 ・10尺→3m 昭和 34 年 「 電 気 工 作物規程」 第 99 条 ○35kV超過の離隔値を電圧値に応じ算定する規定方法に変更 ・3mに35kVを超える10kV又はその端数毎に15cmを加えた値 昭和 40 年 「 電 気 設 備 に 関 す る 技 術 基 準 を 定 め る省令」 第 133 条 ○電気設備に関する技術基準制定に伴い,【特別高圧架空電線 と建造物の接近】を条文化

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