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八 小口径管(ボックスを含む。)には,使用電圧が 300V 以下のものにあってはD種接 地工事,使用電圧が 300V を超えるものにあってはC種接地工事を施すこと。 (省令第 1 0 条,第 11 条関連)

2.1.3 規定の制・改正の経緯

電熱器の施設について,大正8年「電気工作物規程」制定で新たに規定したが,昭和7 年改正まで使用場所を明記していなかった。昭和7年改正では屋内で使用する家庭用電気 器具の規定のなかに電熱器が含まれ,昭和38年改正まで屋側または屋外の施設方法につ いて個別に規定していなかった。

昭和38年改正で,屋側または屋外の電熱装置の施設方法を屋内と同様にすることを明 記し,屋側または屋外のロードヒーティングおよびコンクリート養生線の施設方法を新 たに規定した。その後,昭和43年改正で屋内のフロアヒーティングの施設方法の規定を,

および屋側または屋外のルーフヒーティングの施設方法の規定を,それぞれ追加した。

昭和47年改正で「フロアヒーティング等の電熱装置の施設」へ名称を変更するととも に,フロアヒーティングとロードヒーティング,コンクリート養生線,ルーフヒーティ ングの施設方法をとりまとめるとともに,フロアヒーティングおよびロードヒーティン グの発熱線の供給電圧上限とロードヒーティングの発熱線の温度上限をそれぞれ緩和し た。その後,昭和57年改正で表皮電流過熱装置の施設方法の規定を追加した。

平成9年の技術基準の全面改正に伴う解釈制定で,JIS及び旧告示を解釈規定に取り込

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み,以後は可能な限り最新のJISを取り込み解釈を改正することとし,現在に至っている。

制・改正の経緯,及びその概要を整理したので以下に説明する。

大正 8年 ○「電気工作物規程」の制定により,電熱器具の施設方法を新たに規定した。

(本則第111条,細則第66条)

昭和 7年 ○「電気工作物規程」の改正により,屋内で使用する家庭用電気器具の一つ として,電熱器の施設方法を規定した。 (本則第131条,細則第90条)

昭和38年 ○「電気工作物規程」の改正により,電熱装置を屋内に施設する方法(第167 条)と屋側または屋外に施設する方法(第178条の8) ,およびコンクリート 養生線の施設方法(第188条第2項)をそれぞれ規定した。

昭和40年 ○「電気設備に関する技術基準を定める省令(以下, 「電気設備の技術基準」)」

を制定し,電熱装置を屋内に施設する方法(第218条)と屋側または屋外に 施設する方法(第231条) ,および工事用,排水用,農事用等の臨時工事(第 244条)にコンクリート養生線の施設方法を,それぞれ規定した。なお,絶 縁抵抗の測定義務および記録の保存期間については,改正電気事業法の主 旨である自主保安の原則に鑑み,また技術基準としては適当ではないとい う理由から,削除された。

昭和43年 ○「電気設備の技術基準」の改正により,電熱装置を屋内に施設する方法(第 218条)にフロアヒーティングの施設方法の規定を,屋側または屋外に施設 する方法(第231条)にロードヒーティングの施設方法の規定を,それぞれ 追加した。

昭和47年 ○「電気設備の技術基準」の改正により,第243条の名称を「フロアヒーティ ング等の電熱装置の施設」とし,フロアヒーティングとロードヒーティン グ,コンクリート養生線,ルーフヒーティングの施設方法をとりまとめた。

あわせて,フロアヒーティングおよびロードヒーティングの発熱線の供給 電圧上限を300Vに緩和した。また,ロードヒーティングの発熱線の温度上 限を120℃に緩和した。

昭和57年 ○「電気設備の技術基準」の改正により,表皮電流過熱装置の施設方法の規 定を追加した。

昭和61年 ○「電気設備の技術基準」の改正により,ロードヒーティングの施設場所と

して,道路に農道その他交通のはげしくない道路及び横断歩道橋まで拡大

した。

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平成 9年 ○「電気設備の技術基準」の全面改正に伴う「電気設備の技術基準の解釈(以 下, 「解釈」)」の制定より,JIS及び旧告示を解釈規定に取り込んだ。また,

通商産業局長の特認規定を削除した。

平成19年 ○「解釈」の改正により,引用されているJISに対応する最新のJISの内容を 確認し,以後は可能な限り最新のJISを取り込むことで改正した。

詳細は,添付資料1「解釈第228条【フロアーヒーティンング等の電熱装置の施設】制・

改正の概要と理由」を参照のこと。

2.1.4 制定内容の根拠

解釈第228条【フロアーヒーティング等の電熱装置の施設】の規定内容の根拠に関して,

概要を以下に説明する。

(1)第1項第一号

「電熱線に電気を供給する電路の対地電圧は,300V以下であること。」とある。

ロードヒーティングは当初,火災の危険がないため感電のみを考慮し昭和44年「電 気設備の技術基準」改正までは対地電圧150V以下とするよう規定していたが,昭和 47年「電気設備の技術基準」改正で大規模なロードヒーティングでは電源その他で 不経済になる場合があるとの理由から,対地電圧を300V以下にするよう,規定内容 を緩和した。ただし,解説によれば,保安上は150V以下であることが望ましいとさ れている。

なお,上限値の300Vは第2項(コンクリート養生線)第一号との整合を図ったも のと推定されるが,根拠となる資料は見当たらない。

(2)第1項第三号ロ(ロ),ハ(ロ)

発熱線に直接接続する電線の絶縁体の厚さについては「耐熱ビニル混合物,架橋 ポリエチレン混合物,又はエチレンプロピレンゴム混合物を使用するものにあって は0.8mm以上,絶縁体にブチルゴム混合物を使用するものにあっては1.1mm以上であ ること。」,外装の厚さについては「絶縁体に耐熱ビニル混合物,架橋ポリエチレ ン混合物又はエチレンプロピレンゴム混合物を使用するものにあっては1.2mm以上,

絶縁体にブチルゴム混合物を使用するものにあっては1.0mm以上であること。ただ し,外装の上にポリアミドを0.2mm以上の厚さに被覆するものにあっては,0.2mmを 減じた値とすることができる。」とあり,電気用品の技術上の基準を定める省令(以 下,「電気用品技術基準」)別表第一と整合するものである。

なお,「解説 電気設備の技術基準(平成21年3月31日 文一総合出版)」の解 説(以下,「解説」という。)によれば「普通の電線であると発熱線に接続する部 分およびその近くが発熱線の熱の伝導により電線の絶縁物が劣化し危険が生ずる ので,電線の種類を限定した。その構造は導体が軟銅線で,絶縁体および外装が発 熱線と同様のものを用いている。」とある。

完成品の耐電圧試験に関する数値根拠となる資料は見当たらない。

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(3)第1項第五号

「発熱線は,その温度が80℃を超えないように施設すること。ただし,道路又は 屋外駐車場に金属被覆を有する発熱線を施設する場合は,発熱線の温度を120℃以 下とすることができる。」とある。根拠については,解説によれば「電熱線の絶縁 物が熱により劣化または軟化することを防止するため」であり,「絶縁物の急激な 劣化又は軟化をまねかない程度のものとして80℃をとっている。」とある。また,

「ただし書の道路または屋外駐車場は,屋内の場合のような床上に置かれた物が損 傷又は火災を生じる心配が少ないので,MIケーブル又は金属被覆を有する発熱線

(外装が銅管又は鋼管で絶縁物が無機物又はけい素ゴム混合物のもの)を使用する 場合には120℃まで認めている。」とある。

なお,本号ただし書で上限値を120℃とした根拠となる資料は見当たらない。

(4)第1項第八号

「発熱線又は発熱線に直接接続する電線の被覆に使用する金属体には,使用電圧 が300V以下のものにあってはD種接地工事,使用電圧が300Vを超えるものにあって はC種接地工事を施すこと。」とあり,解釈第29条(機械器具の鉄台及び外箱の接 地)第1項と同じ電圧区分に応じた接地工事を適用している。

(5)第2項第一号

「発熱線に電気を供給する電路の対地電圧は,300V以下であること。」とある。

昭和40年「電気工作物規程」改正で交流の低圧電圧の範囲を300V以下から600V以下 に改正したことを受け,本号の規定を低圧から300Vに表現を改めた。

なお,解説に「低圧で十分用が足りるため必要以上に高い電圧とすることを禁止 するもの」とあるが,本号で上限値を300Vとした根拠となる資料は見当たらない。

(6)第2項第三号

発熱線をコンクリートの中に埋め込んで施設する場合を除く発熱線相互の間隔 について「5cm以上」とあり,解説によると「局部的に加熱することを避けるため,

適当に間隔をとることを要求している。」とあるが,本号で下限値を5cmとした根 拠となる資料は見当たらない。

(7)第3項第一号

「電熱ボード又は電熱シートに電気を供給する電路の対地電圧は,150V以下であ ること。」とある。解説によると「ルーフヒーティングは木造建築物などの屋根に 施設し,融雪効果を高めるために屋根の造営材の中に組み込まれて施設したりする ことが多い。従って,火災防止の観点から特に規定される」ものである。

なお,昭和40年「電気設備の技術基準」改正で交流の低圧電圧の範囲を300V以下

から600V以下に改正した際,「解説 電気設備の技術基準(昭和40年10月10日 東

京図書㈱)」の第3条の解説に「電圧による危険性を考慮しなければならない住宅

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