(2) 生活排水用の集中的な二次処理施設への支援においては、当該国の同セクターの全体 的な状況を把握したうえで、プライオリティに応じて実施していく(首都圏や既存地方
1. 事業概要と主要計画/実績比較 1.1 事業地
2.2 運営・維持管理にかかる評価 2.2.1 維持管理体制
2.2.4 高速道路の有料化
表
2.6
における「台キロ」は、東部臨海地域内の一日当り交通量と走行距離を乗じた値 である。東部臨海開発計画による道路事業が全て実施された場合(①)と全て実施されなか った場合(④)を比較すると、④では①の8
割未満の交通量しか実現しないこととなる。同 計画による道路事業が実施されなければ、残りの道路交通需要を処理できなかったことと なり、レムチャバン港や多数の工業団地の輸送需要に悪影響を与え、東部臨海地域の発展 を大きく阻害したと予想される。また、平均速度のシミュレーション結果からも、同様の結論が得られている。④では、
①に比較して、道路が未整備なための渋滞などにより、7 割程度の平均速度しか出すこと ができない。東部臨海開発計画の道路事業が実施されなかった場合、東部臨海地域の道路 の利便性が大きく低下したであろうといえる。
更に、東部臨海開発計画による道路事業の内、 円借款事業のみが実施された場合(③)と 全事業が実施された場合(①)、および円借款事業を除いた事業だけが実施された場合(②)と 全事業が実施されなかった場合(④)を比較すると、いずれも、シミュレーション結果の交 通量および平均速度にほとんど変化がない。この結果からは、東部臨海開発計画で整備さ れた域内の道路網の中で、円借款で整備された事業が極めて重要な役割を果たしているこ とが窺える。
東部臨海地域の道路網で最も交通量が多い幹線は、チョンブリ・パタヤ道路、国道
36
号 線、国道344
号線である。チョンブリ・パタヤ道路は同地域を南北に縦貫する高速道路で、それ以南の国道
36
号線は、北西〜東南に同地域を横断する一般国道である。 また、国道344
号線はチョンブリ・パタヤ道路以北で同地域を北西〜東南に横断する一般国道である。この
3
本の基幹となる道路の内、円借款は、チョンブリ・パタヤ道路と国道344
号線の2
本の整備を支援していることから、上記の様なシミュレーション結果が得られたものと思 われる。速道路網調査」による提言も受け、全国
4,150km
の計画が1997
年に閣議承認されている6。Motorway
は、今後数十年間にわたって順次建設されていく予定だが、長期間にわたり高速道路網を計画的に整備していくには、多額の建設費用、維持管理費用を安定的に確保する ことが必要となってくる7。このような観点から、1998年
12
月に全面開通したバンコク・チョンブリ道路およびバンコク東部外環状道路では、維持管理費用と建設費用の一部を回 収することを念頭に、料金徴収を開始した。なお、チョンブリ・パタヤ道路については、
この高速道路網計画の最初の事業として位置付けられているにもかかわらず、無料で供用 を開始して
5
年が経過している。既に、沿道に近隣の住宅等からアクセスする私道が建設 されているところもあり、フルアクセスコントロールによる有料化のためには、追加的な 投資や近隣住民との調整が必要になるなど困難が伴う状況になっている。この経験からは、道路の有料化にあたっては、道路開通時点から有料化しておくことが重要であるといえよ う。
2.3 事業効果 2.3.1 定量的効果
(1) チョンブリ・パタヤ道路の交通量
チョンブリ・パタヤ道路の
1997
年における日平均交通量は、表2.7
に見るとおりである。レムチャバン市へのアクセス道路であるセクション
3
の交通量が非常に多く、同道路がレ ムチャバン港および工業団地関連の貨物および旅客輸送に大きな役割を果たしていること が窺える。特に、重車輌率が約40%と高率であることには、同道路が貨物輸送に果たす役
割の重要性が表れている。また、東部臨海地域を南北に結ぶ区間であるセクション2
では、同区間を並行して走る
2
つの一般国道を合わせた同地域南北交通量の約56%をチョンブ
リ・パタヤ道路が占めており(表2.4)、同道路は東部臨海地域道路網の最重要幹線として機
能している。表
2.7
チョンブリ・パタヤ道路の日平均交通量(1997年)単位:台、%
セクション 日平均交通量 重車輌率
①チョンブリ・バイパス 28,461 37.7
②チョンブリ・バイパス〜レムチャバン・インターチェンジ 28,890 40.1
③レムチャバン・インターチェンジ〜レムチャバン工業団地 57,779 40.1
④レムチャバン・インターチェンジ〜国道36号線(一般国道部分) 16,131 31.9 出所:PCR
6 タイにおける有料道路は、これまで、タイ高速道路交通公社(ETA)が運営するバンコク首都圏内の高速 道路網(Urban Expressway System)とDOHによる都市間国道の一部があった。DOH所管の都市間一般国道 については、1970年代前半からバンコクより北に延びる国道32号線を有料化し、1980年代前半から同じ くバンコクより東に延びる国道34号線を有料化していた。タイ政府は、1994年に一般国道からは料金を 徴収しないとの政策を決定し、これら一般国道からの料金徴収は廃止された。今後、DOH所管の都市間 道路の料金徴収は、Motorwayと呼ばれる高速道路のみとなる。
7 なお、ここでの議論は、高速道路の各路線間の費用および収入を内部補助するプール制を推奨している わけではないことに留意が必要である。より厳密な費用と便益の関係の明確化という立場にたてば、路線 毎に独立した費用の回収を行うことが最適な選択となる。また、ネットワークとしての機能を発現するた めに、ネットワークの一部を路線間で内部補助することが妥当な場合もあり得る。ある特定の高速道路網 の建設において、路線間の内部補助が必要が否かは、それぞれの道路網毎に慎重に検討されるべきもので あると考えられる。
(2) 東部臨海地域全体の道路交通に対する円借款事業の効果
表
2.6
のシミュレーション結果に見るとおり、東部臨海開発計画によって新設・拡幅さ れた道路事業が実施されなかった場合、同事業が実施された場合の8
割未満の交通量と7
割の平均速度に留まっていたと試算されている(1997 年時点)。また、チョンブリ・パタヤ 道路を中心とする円借款事業のみが実施されなかった場合でも、全道路事業が実施された 場合の8
割未満の交通量と7.5
割の平均速度に留まったと試算されており、チョンブリ・パタヤ道路の建設が東部臨海地域全体の道路交通に与えた効果の大きいことが窺える。
(3) チョンブリ・パタヤ道路の経済的内部収益率(EIRR)
アプレイザル時には、走行費節約効果および走行時間節約効果を便益として、EIRRが計 算されていた。アプレイザル時と同様の前提で
EIRR
を再計算したところ、13.5%となった。
実績がアプレイザル時よりも低いのは、維持管理費が当初想定よりも大きくなっているこ となどによる。
アプレイザル時1) 実績
便益 走行費節約効果
走行時間節約効果 同左
費用 建設費
維持管理費 同左
プロジェクトライフ 完成後16年 完成後16年
EIRR 18% 13.5%
注 :1) 第16次円借款アプレイザル時
2.3.2 定性的効果
(1) 東部臨海地域の産業開発を下支えする効果
チョンブリ・パタヤ道路を中心とした東部臨海地域の道路網は、レムチャバン港におけ る取扱い貨物の陸上輸送、および同地域に立地する各種工場の原材料や製品の陸上輸送を 担うことを通じ、同地域の産業開発を下支えしてきた。前述のシミュレーション結果に見 た、東部臨海開発計画による道路網整備が無ければ実現しなかったであろう道路交通量を 考慮すると、これら道路網整備が、東部臨海地域の産業開発に大きな役割を果たしたと考 えられる。
(2) 東部臨海地域と他地域の間のスムーズな道路輸送ルートの確保
一般国道とは別の高速道路として建設されたチョンブリ・パタヤ道路は、1998年に完成 したばかりのバンコク・チョンブリ道路およびバンコク東部外環状道路と連結し、一体と なった高速道路網として、東部臨海地域からバンコク首都圏の間、およびバンコク首都圏 をバイパスしてタイ北部・東北部方面へのスムーズな道路輸送ルートの確保に貢献してい くものと思われる。
タイ「東部臨海開発計画 鉄道事業」
評価報告:1999年 9月 現地調査:1998年
11
月事業要項
事業名 サタヒップ・マプタプット
鉄道建設事業 クロン19・ケンコイ鉄道建設事業
借入人 タイ国有鉄道(SRT)
保証人 タイ王国
事業実施機関 タイ国有鉄道(SRT)
交換公文締結 借款契約調印 貸付完了 貸付承諾額 貸付実行額 調達条件
1988年9月 1988年9月 1997年1月 3,002百万円 2,826百万円
一般アンタイド(コンサルタント部分 は部分アンタイド)
1990年2月 1990年2月 1999年12月1)
8,158百万円 7,370 百万円2)
一般アンタイド・(コンサルタント部分 は部分アンタイド)
貸付条件 金利 2.9 %
償還期間30年 (うち据置10年)
金利 2.7 % 償還期間30年 (うち据置10年) 注 :1) 予定。
2) 1999年8月末現在。
参 考
(1) 通貨単位:バーツ
(2) 為替レート、消費者物価指数(CPI)
為替レート、消費者物価指数の推移
1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 B/$ 27.2 26.3 25.7 25.3 25.7 25.6 25.5 25.4 25.3 25.1 24.9 25.3 31.4 41.4
$/¥ 238.5 168.5 144.6 128.2 138.0 144.8 134.7 126.7 111.2 102.2 94.1 108.7 120.9 130.9
¥/B 8.8 6.4 5.6 5.1 5.4 5.7 5.3 5.0 4.4 4.1 3.8 4.3 3.9 3.2
CPI% 2.4 1.9 2.5 3.8 5.4 6.0 5.7 4.1 3.3 5.1 5.8 5.8 5.6 8.1
出所:IIF、IFS ¥/Bレートは上記より算出
(3) 略語
・
DOH
:Department of Highways(
運輸通信省道路局)・
ICD:Inland Container Depot(コンテナ貨物の内陸中継基地)
・
SRT: State Railway of Thailand(
タイ国有鉄道)・
PAT:Port Authority of Thailand (タイ港湾公社)
・
NESDB
:National Economic and Social Development Board(国家経済社会開発庁)・
OESB
:Office of Eastern Seaboard Development Committee(
東部臨海開発部)事 業 地
(1)全国路線図
ラオス チェンマイ
サワンカローク バーンダラ
ミャンマー
ノーンカイ
ウボンラチャタニ ブアヤイ
タノンチラ ナコンラチャシマ ケンコイ
クロン19
アランヤプラテート バンスー
チャチェンサオ シラチャ
マプタプット サタヒップ
バンコク スバンブリー ナムトック
ノーンプラドック
カンボジア
バーントゥンボー バーントゥンボー
キリラッタニコムナコーンシータマラートナコーンシータマラート
カオチュントン カオチュントン トゥンソン
ガンタン ハジャイ
パダンブサール パダンブサール
スンガイコロック スンガイコロック
サタヒップ・マプタプット鉄道
シラチャ・レムチャバン鉄道
レムチャバン
クロン19・ケンコイ鉄道
鉄道路線図 1.北線
2.北東線
3.東線
4.東−北線 5.南線 6.支線
バンコク−チェンマイ(752km)
2.1 バンパチ−ウボンラチャタニ(485km)
2.2 タノンチラ−ノーンカイ(358km)
2.3 ケンコイ−プアヤイ(250km)
3.1 バンコク−アランヤプラテート(262km)
3.2 チャチェンサオ−サタヒップ(133km)
3.3 シラチャ−レムチャバン(9km)
3.4 カオチチャン−マプタプット(24km)
クロン19−ケンコイ(82km)
5.1 バンスー−タリンチャン(14km)
5.2 トンブリ−スンガイコロック(1,144km)
6.1 バーンダラ−サワンカロック(29km)
6.2 ノーンプラドック−スバーンブリ(78km)
6.3 ノーンプラドック−ナムトック(131km)
6.4 バーントゥンポー−キリラッタニッコム(31km)
6.5 トゥーンソン−カンタン(93km)
6.6 カオチュントン−ナコーンシータマラート(35km)
6.7 ハジャイ−パダンベサール(44km)
6.8 メークロン線
6.8.1 ウォンウィアンヤイ−ハジャイ(33km)
6.8.2 バーンレーム−メークロン(34km)