1.10.1 サービス内容について
電子事務局とは,事務手続きや事務サービスを可能な限り情報技術を用いて電子的に実現することである.現 在,京都大学においては,大学使命の効率的推進,大学事務の経費削減,学生,地域住民又は一般社会人等への サービス向上を図り,社会的な説明責任を果たすことが求められており,情報技術の側面から大学事務の高度化・
効率化を目指すために,電子事務局推進室は平成16年11月に発足した.その後,電子事務局構想の推進の基盤シ ステムである全学事務用グループウェアを平成17年8月に導入し,本学の職員(一般職(一)及び事務補佐員・
派遣職員等)を対象として本格的なサービスの提供を開始した.平成19年12月には全教職員(学外非常勤講師,
短期雇用者,TA/RA/OAを除く)が利用できるように全学事務用グループウェアの環境を拡張し,京都大学全学 グループウェアとしてサービスの提供を開始した.京都大学全学グループウェアには,電子メール機能,掲示板 機能,回覧板機能,文書共有機能及び施設予約機能等があり,これらの機能を用いた学内の情報共有,情報流通の 促進を行っている.
1.10.2 サービス提供の体制について
電子事務局推進室は平成16年11月に情報環境部情報企画課に設置され,財務部,施設・環境部,学生部の協 力を得て,室長1名,室員4名の体制で始まった.
電子事務局を推進する学内体制として,全学体制で進めるために電子事務局担当理事を1名おき,電子事務局推 進室は理事の指揮・命令のもと,事務情報化を進めていくこととした.また,電子事務局担当理事のもとに電子 事務局推進会議を開き,事務本部各部の部長,一部部局の事務部長及び一部教員を構成員として3回開催し,電 子事務局の推進に係る基本指針を策定した.さらに,電子事務局関係システムの開発,実施,普及を円滑にする ため,各部局に電子事務局推進リーダーをおき,電子事務局推進室と連携・協力体制を築いた.
また,全学事務用グループウェアのベンダーである日本IBM(株)と共同研究契約を取り交わし,電子事務局 の開発及び評価に取り組んでいる.具体的には,京都大学は◯1対象業務のノウハウ提供,◯2要件定義,◯3ワーク フロー設計・開発を担当し,日本IBM(株)は◯1業務分析,◯2要件定義に関する共同作業,◯3ワークフロー設計・
開発に関する共同作業を担当している.
図1.10.1:電子事務局推進体制
1.10.3 サービスの提供状況について
全学用グループウェア ユーザー数は,現在約10,000名であり,全教職員(学外非常勤講師,短期雇用者,TA/RA/OA を除く)がユーザーとして利用している.事務系職員(一般職(一)と事務補佐員,派遣職員等)は電子メール 機能を使用できるユーザーで,運用形態の異なる事務系以外の教職員は電子メール機能のみが使用できない簡易 版ライセンスにてメール・スケジュール以外の殆どの機能が使用できる環境を構築した.全教職員が同一基盤上 のグループウェアを利用できるようになり,全学的な情報共有・情報流通,事務の合理化・効率化を促進する環境 が整った.
グループウェアの機能の中でも,電子メール機能と掲示板機能は数多くのユーザーに利用されている.電子メー ル機能は,グループウェアの全メールユーザーが最初からアドレス帳に登録されており,本人にアドレスを確認 することなくメールを送信することができ,ユーザーに非常に好評である.メール機能を保持しないユーザーに ついても,既存の外部メールアドレスを登録することが可能で,グループウェアの各種機能のメール連携機能を 利用できる環境とした.掲示板機能は,全学掲示板と各部局掲示板の2種類あり,ユーザーが情報の種類により 全学又は所属部署の掲示板を使い分けて情報を発信することが可能となっている.加えて,平成19年12月の事 務系職員以外の教職員ユーザー追加に併せて,教員のみ,職員のみ,全教職員の3パターンでの公開範囲を選択 できる機能を追加した.(各コンテンツへの総アクセス数は平均で1日約290,000件利用されている.)また,回覧 板機能は確実に相手に連絡事項が伝わったかを確認することが可能であり,文書共有機能は職員全員が共有すべ き文書データ等を1カ所で管理・利用可能であるので必要不可欠な機能となっている.施設予約機能は,登録さ れた会議室等について,ユーザー及び管理者の誰もが簡便に予約や承認を行うことが可能で,電話連絡や台帳管 理の業務が軽減されている.全教職員が使用できる環境となったのが平成19年12月であり,これから全学的に 効果がでてくるものと考えるが,現時点での主な利用状況としては,全学掲示板掲載:1日平均10件,回覧板掲 載:1日平均5件,全学用施設予約(事務本部会議室):登録されている会議室6室は70%〜90%以上の予約状 況,Notesメール(journalデータ)1日平均:約10,000通:約740MB,全学用文書共有:全ユーザーから閲覧可 能なファイル数は844件,部局内文書共有:各部局内ユーザーのみ閲覧可能なファイル数は343件,部局内施設 予約については医学部付属病院及び医学部が使用しており会議室等が16室で50%程度の予約状況となっている.
特に施設予約については会議室の台帳管理も不要で,申込者側からはリアルタイムに空き室状況の確認と予約が 行えるといった双方の利便性及び事務効率の向上が顕著である.また,文書共有においてはいつでも必要な書類 を利用できるという利便性及びペーパーレス化の促進が確実に実行でき,掲示板の利用についても以前は事務本 部等からの通知をメールに再編集して送るか,紙ベースのコピーを配布するという手間を掛けていたことを,徐々 に掲示板の利用という方向で労力と紙資源の削減に寄与できている.その他の機能についても同様の状況ではあ るが,各機能の利用を検討している部局もあり,今後の利用促進と併せて,細かな分析を今後行っていく.
統合認証システム 事務系職員が利用していた全学事務用グループウェアの安全かつ安定的な運用を実現するた めに全学事務用グループウェア用統合認証システムを,事務系以外の教職員向けに簡易ポータル用認証システム を運用・利用していたが,平成20年2月に別々に管理されていたこれらの認証システムを統一した.併せて異な る体系であったユーザーIDを同一体系に統一して教職員ユーザーの認証形態を一元化し,利便性とセキュリティ レベルを向上させるとともに管理コストも削減した.
1.10.4 業務改善の取組み状況について
全学用グループウェア メールユーザーが自分のメール内の文書の検索を行うメール検索機能,教員ユーザーが グループウェアのメールアドレスを検索するNotesメールアドレス検索機能,メール容量(300MB)の拡張要望 に対応するメールのバックアップ機能,施設予約の機能拡充など機能の充実を図り,ユーザーの利便性と業務の効 率化を向上させた.
ペーパーレス会議システム ペーパーでの資料配布を廃止し,会議用資料の準備効率化を図るとともに,サーバー 上に時系列で資料の整理を行うことにより,必要時に閲覧できる情報共有が可能となるペーパーレス会議システ ムを導入し,本稼動に向けての検証及びシステムの拡張を行った.
電子申請システム 申請書類の配布・回収業務は,紙ベースで行われており,その事務に多大な業務負荷がかかっ ている.申請書類のペーパーレス化により,申請処理の短縮や時間的制約を受けることのない申請を可能とする 電子申請システムを導入し,本稼動に向けての検証を行った.
統合認証システム 新たに平成19年10月に「出張旅費システム」,平成20年1月に「就業管理システム」とシ ングル・サインオンにて認証連携を行い,順次運用を展開している.
図1.10.2:統合認証システム構成図
1.10.5 今後の業務改善の計画について
統合認証システム 引き続き全学統合認証システムとの連携に向けた検討を進めていく.
電子申請システム 引き続き電子申請システムの拡張運用及び機能改修に向けた検討を進めていく.
電子決裁システム 決裁を電子化することにより,紙ベースで行っている決裁と比べて,紙を減らし省資源化が できる.また書類搬送が不要であるため,遠隔地間であっても瞬時に決裁が可能となる.なお決裁状況が常に把 握できるので,回付文書の滞留を防ぐことができ,迅速な決裁が可能となる.
文書管理システム 紙文書と電子文書を一元的に管理することにより,学内文書の情報共有と再利用が促進され る.また閲覧権厳の設定も可能であるため秘匿性にも優れ,なおかつ文書の検索性が向上するので,情報公開に も迅速に対応することが可能となる.
1.10.6 これまでの活動と今後について
電子事務局構想を実現すべく平成16年11月に電子事務局推進室が発足し,初期の取り組みとしてグループウェ アを用いた教職員の利便性と事務の合理化・効率化を実現するためのインフラ構築に取り組んできた.
本学と日本IBM(株)とで電子事務局に関しての共同研究契約を締結し,通常であれば1ユーザーとしては実 現が難しい各種の有益なアプリケーションの開発・改修を実現してきており,それらの機能の成果として,2次ア ドレス帳や委員会機能等の新機能の追加,加えて従来から使用していた事務系職員ユーザーのライセンス体系と