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業務改善の取組み状況について

1.2 コンピューティングサービス

1.2.4 業務改善の取組み状況について

スーパーコンピュータシステムの効率的な運用

大型計算機システムは,不足する維持費を利用者から利用負担金として徴収している.要求される処理性能と あいまって消費電力は増大する傾向にあり,利用者サービスを安価な利用負担金で保証するために効率的な運転 に努力している.スーパーコンピュータの効率的な運転を行なうためには,計算ノード内の複数のプロセッサに ジョブを効率よく割付けることと,複数ある計算ノードを計算需要に応じて運転することが最大の課題であり,さ らに,空調機の運転を計算ノードと連動させることで不必要な電力の削減を行なっている.2006年度にプログラ ム開発をしたスーパーコンピュータシステムのスケジューラを2007年度も引続き運用し,導入前の2005年度よ り16ポイント高い72%のノード稼働率,6ポイント高い82%のCPU稼働率を実現した.スーパーコンピュータ のノード稼働率およびCPU稼働率を図1.2.5に示す.

図1.2.5:スーパーコンピュータのノード稼働率とCPU稼働率

利用負担金改定による法人収入分の利用者還元

2005年度より,従来国庫もしくは法人収入分としてメディアセンターが利用できなかった科学研究補助金等の 負担金収入の一部を利用することが可能になり,2007年度もこれを原資として利用者に還元する方策を検討し,

2006年度に実施した利用負担金の改定による還元として,並列化係数の変更による利用負担金の引下げを継続し た. また,小口利用者への還元を目的とする1口5万円で3倍の利用を認める負担金算定の特例制度である個人 定額制度や,大規模計算需要の利用者への還元を目的とする1口100万円で5倍の利用を認める負担金算定の特 例制度である大口定額制度を実施した.2007年度の個人定額制度は32名,大口定額制度は26グループの利用で あった.

スーパーコンピュータの教育利用

これまで学術研究目的に利用が限定されていた利用規程を見直し,2005年度からスーパーコンピュータ利用し た授業を行えるように試行している.

2007年度のスーパーコンピュータの教育利用状況を表1.2.11に示す.全学共通科目の授業での利用が前期2講 義,後期1講義あり,情報学研究科の大学院教育での利用が後期1講義あった.今後,スーパーコンピュータの 教育利用を推進していくためには,各キャンパスの講義室や演習室におけるスーパーコンピュータの利用環境の 整備も必要であると考える.

スーパーコンピュータ利用の共同研究制度による利用者支援

スーパーコンピュータ利用の共同研究制度として,40歳未満の若手研究者(学生を含む)向けの若手研究者奨励 枠と,大口定額制度を利用して大規模な演算を必要とする研究グループとの共同研究を行なう大口定額利用枠を 設けた.

2007年度のスーパーコンピュータ共同利用研究制度の若手研究者奨励枠の採択した課題を表1.2.12に,大口定 額利用枠で採択した課題を表1.2.13に示す.若手研究者奨励枠は9課題,大口定額利用枠は5課題を採択した.若 手奨励採択9件のうち,学内が5件,学外が4件,また,9件のうち5件が新規利用であり,2006年度と同様に 若手研究者の中でスーパーコンピュータ利用による研究のニーズの高いことがわかった.

表1.2.11:教育利用状況

講義名 担当教員 申請数

前期 コンピュータネットワーク入門(全学共通科目) 高倉准教授 12 コンピュータ概論Aの実習(全学共通科目) 金澤教授 13 後期 応用情報学特論の実習(情報学研究科) 金澤教授 5 スーパーコンピューティング入門の実習(全学共通科目) 岩下准教授 8

合 計 38

表1.2.12: 2007年度スーパーコンピュータ共同利用研究制度(若手研究者奨励枠)

氏 名 所 属 課 題

寺川寿子 東京大学大学院理学系研究科    地球惑星科学専攻

CMTデータインバージョン法による日本列島周辺域の 地震発生応力場の解析

川畑弘 京都大学大学院工学研究科     電子工学専攻

縮環ポリマーの量子化学的設計とホール移動度の定性 的評価

徳永健 京都大学       ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー

量子化学計算に基づく分子ベースの量子セルラーオー トマトン(MQCA)の動作解析と理論設計

長谷川淳也 京都大学大学院 工学研究科     合成・生物化学専攻

発光タンパク質の光機能制御に関する分子設計:高精 度理論化学計算によるアプローチ

田中満 京都工芸繊維大学大学院工芸科学 

研究科 機械システム工学部 狭窄血管血流内の血栓の運動

藤井勝之 南山大学数理情報学部情報通信学科 人体を伝送路として利用したウェアラブルデバイスの 伝送メカニズム究明のための大規模数値電磁界解析 柴野佑紀 京都大学大学院工学研究科 分子工学

専攻光有機化学分野(今堀研究室) 新規機能性π電子化合物の光物性・電子構造相関 高木洋平 海上技術安全研究所       

CFD研究開発センター Large-eddy Simulationによる船体周りの流場解析 土岡俊介 京都大学数理解析研究所     

柏原正樹研究室

例外型リー環の研究,および標数2に特化した線型代 数ライブラリの作成

表1.2.13: 2007年度スーパーコンピュータ共同利用研究制度(大口定額利用枠)

氏 名 所 属 課 題

木田重雄 京都大学工学研究科       

機械理工学専攻・流体物理学分野 歳差回転球体内の流れの精密解析 淡路敏之 京都大学大学院理学研究科    

地球物理学教室 非静力雲解像大気海洋結合モデルの開発 仲西功 京都大学大学院薬学研究科    

医薬品理論設計学講座

フラグメント分子軌道法により得られたタンパク質−

薬物間相互作用エネルギーのCounterpoise補正 大村善治 

臼井英之 京都大学生存圏研究所 地球放射線帯における相対論的電子の加速過程,及び ホイスラーモード・コーラス放射の励起過程の理解 野田 進 京都大学工学研究科       

電子工学専攻 フォトニック結晶を用いた光機能素子の電磁界解析

新たな利用制度の検討

計算機利用のための全国共同利用施設として,新たな利用制度の検討を引続き行なっている.2006年度に検討 した部局定額制度は,当該部局長と学術情報メディアセンター長との契約により部局単位での利用による割引制 度で,1口100万円単位で1口当り登録利用者30名,利用は5倍までの利用を認める利用制度だが2007年度は 申請が無かった.

2004年度から試行している機関定額制度は,他大学の計算サーバ機能を学術情報メディアセンターのスーパー コンピュータが担い,サービスする新たな大型計算機システムの利用制度で,2007年度も引続き愛媛大学との間 で契約,実施した.

先端研究施設共用イノベーション創出事業への参画

2007年度より文部科学省がはじめた「先端研究施設共用イノベーション創出事業」に東京大学を代表として7 全国学術情報基盤センター群として応募,7月に採択された.

本センターでは,8月22日に第一回公募説明会(7社,11名参加)を開催し,9月19日に本センター利用希望 の4社について大型計算機システム共同研究企画委員会によりヒアリングを実施した.9月26日に全国共同利用 情報基盤センター長会議の下部組織であるイノベーション事業委員会が開催され, 各大学のセンターでのヒアリ ング結果及び応募書類を精査のうえ18件が採択された.本センター利用希望で採択されて企業,課題を表1.2.14 に示す.利用開始は10月1日である.なお,本センターでの企業によるスーパーコンピュータ利用を受入れるに 当り,京都大学の教員との共同研究契約を条件とし,新たにスーパーコンピュータ利用のための共同研究制度を設 けた.また,2008年度の第一回公募説明会を2月14日に開催(4社,6名参加)し,3月10日には本センター利 用希望の3社についてヒアリングを実施した.2008年度第1期に本センター利用希望で採択された企業,課題を 表1.2.15に示す. 利用開始は4月1日である.

表1.2.14: 2007年度第1期 京都大学採択課題一覧

会 社 課 題

国際電気通信基礎技術研究所 音声言語コミュニ ケーション研究所

音声翻訳のための音声言語データの収集とモデル化の並列 処理

松下電器産業株式会社 システムエンジニアリング センター

大規模EMCシミュレーション

日本アイ・ビー・エム株式会社 東京基礎研究所 大規模エージェントベースシミュレーションの性能評価 ソニー株式会社モノ造り技術センター 技術開発室 大規模電磁界解析の高速化/高精度化の検討

表1.2.15: 2008年度第1期 京都大学採択課題一覧

会 社 課 題

株式会社 村田製作所 故障解析センタ 遷移金属酸化物における酸素欠陥に関する研究 国際電気通信基礎技術研究所 音声言語コミュニ

ケーション研究所

音声翻訳のための音声言語データの収集とモデル化の並列 処理

NECソフト株式会社VALWAYテクノロジーセン ター

核酸のフォールディングシミュレーションによる特異的結 合分子の探索

1.2.5 次期スーパーコンピュータについて

1.2.5.1 仕様策定と調達

次期スーパーコンピュータの仕様策定に当っては,まず,2006年から現有スパコンの利用状況,ジョブの傾向 分析,大口利用者に対するアンケートおよびヒアリングなどスーパーコンピュータの利用,需要動向の調査を実 施し,最新の計算機の技術動向の調査も行った.これらの調査結果を踏まえて,次期スーパーコンピュータは,1)

「選定」から「創造」へ,2)最先端技術を京大センターへ,3)高い価格・電力・面積/性能比,4)京大センター 固有の応用への対応,5)他大学との協力の5項目の方針を融合して仕様策定を行った.また,現在スーパーコン ピュータを設置している学術情報メディアセンター北館は,耐震補強工事が計画されているが,サービスしてい るスーパーコンピュータをはじめとする全国共同利用大型計算機システムは長期間のサービス休止が出来ず,さ らに,工事のために移設するにも移設場所,移設経費が必要となるため2007年度中に,耐震補強工事が行われる 工学部7号館に計算機のスペースを確保して,次期スーパーコンピュータを導入設置し,この4年のレンタル期 間に学術情報メディアセンター北館の改修工事を終えて,2012年に導入予定のスーパーコンピュータは再び北館 に設置するという計画が認められ7号館の耐震改修工事にあわせて計算機室の設計などを行った.