1.6 遠隔講義支援サービス
1.6.4 業務改善の取組み状況について
1.6.4.1 利用者からの意見・要望
遠隔講義支援サービスの課題として,システムの改善,支援体制の改善など,様々な課題があげられる.2007 年度に遠隔講義を利用した教員,及び,支援したTAにアンケートを取った.以下はアンケートに「現状に満足 (特に意見はなし)」以外の回答をまとめたものである.
システムの使い勝手について 教員の意見は以下のとおり.
• システムのファンの音が大きい.宇治の(高精細遠隔講義)システムは特にうるさい.
• 黒板(白板)を使用できる範囲が狭い.
• PC画像をもっと鮮明に送れるように(原色・デジタルで)して欲しい.
• 授業の始まりに,システムがハングし,10分程度の再立ち上げ中,遠隔側に講義ができなかった.こうした システム不安定による影響を最低限に抑える方法が必要.また,遠隔側の受講者人数が少ないため申し出し 難い点があるが,少なくとも出席を取れるよう,遠隔側にTAが必要.
TAの意見は以下のとおり.
• 接続が切断されたときのマニュアルが不完全.MeetingPerfeの登録手続きが面倒.もう少しルーチン化でき ると思います.
• ファイルサイズの問題があるとは思いますが,講義ファイルをメール等で送信してもらって,日本側でアッ プロードする手続きが面倒である上,日本側で受け入れ態勢ができてなかった時に講義直前にばたばたする.
• Docuworksのインストールがいるため,システムを使うためのPCを選ぶ.
• 音質が悪いときがあり,相手側の発言が聞き取れない
• 講義中に接続が切れるなど,安定性に問題がある
• 開始・終了にかかる時間が長い
支援体制について
教員の意見は以下のとおり.
• TAのシステム対する習熟度が低くトラブル時の対応に時間がかかった.
TAの意見は以下のとおり.
• トラブル対応時のマニュアルやTAへの教育が不十分であれば,突発的なトラブルに対応しきれないと思いま す.実際講義中にトラブルが発生し,スタッフに来ていただいたことが何度もありました(2006年度前期).
利用説明,マニュアル,報告などについて
教員からは特になし.TAの意見は以下のとおり.
• マニュアルを素早く見れるようにして欲しい.
• 終了報告はメールでもできるようにして欲しい.
• 私がTAを担当した時期とは違うかもしれませんが,2007年前期の段階ではまだ不十分であった.教室で 行うルーチンワークについては説明が十分でしたが,トラブルシューティングはまだ不十分であったと思い ます.
• ウェブの報告ページがあることを知らなかった.
意見・要望のまとめ
これらの意見,要望をまとめると,(1)既存システムの使いにくさ,不備に関するもの,(2)TAの教育や質に関 するもの,が目立った.次節でも述べるが,各々は対処の難しい問題である.現在はモニタリングの強化や次期 システムに向けた調査・検討などをその対策としている.
1.6.4.2 2007年度の業務改善状況
2007年度の業務改善の取り組みは以下のようになっている.
システムの整備: 1.6.1.2節で紹介した新しいシステムの運用を開始した.それにより,(1)桂キャンパスに国際遠 隔講義が可能な部屋が整備され,既に利用されている,(2)ネットワークカメラを設置することにより遠隔 講義の障害対応が迅速に行えるようになった,(3)小型DVTSシステムを導入することにより,遠隔講義や 中継の場所の選択肢が広がった.既に講義,中継等で何度も利用されている.
システムの改良: 既存システムの不備については,遠隔講義毎のTA報告や上記アンケートなどからフィードバッ クを得ている.高精細遠隔講義システムの改修が必要な案件は,予算措置がなされなかったため先送りとなっ ているが,(1)遠隔講義以外で教室設備を利用する者の後始末が悪いこと,(2)教室照明の不具合でスクリー ンが見えにくい,等の苦情については学科や研究科に申し入れ,その対策を施すことを約束してもらった.
サービス支援体制: 2007年度から小泉助教,神野氏(非常勤職員)を加え,5名の体制で支援を行っている.しか し,勤務時間の長さや責任体制を考えると常勤の職員が不足している状況が続いており,今後の対応が望ま れる.
1.6.5 中期計画期間を通じた活動の自己評価
1.6.5.1 関連する中期計画の項目
中期計画の項目中で遠隔講義支援サービスに関連するのは,主に次のような項目となる.
(a) 専門家でなくても使いやすい遠隔講義システムを設計し,実証実験を進める.全学的な予算処置が可能であ れば,設計したシステムを全学的に普及させてゆく.
(b) 遠隔講義・会議・討論システムの整備と保守・管理・運営を担当する全学的な業務サービス体制を整備する.
(c) 遠隔講義の運用に必要な研修,運用人員の管理などの支援体制を整備する.
各々について,これまで行ってきた活動とその自己評価について述べる.
1.6.5.2 遠隔講義のシステム設計・構築・導入
遠隔講義・会議の需要に応えて,下記にあげるようなシステムの導入または導入支援を行ってきた.
• 高精細遠隔講義システムの運用開始(2004)
• 可搬型遠隔講義システム(2004)
• 工学研究科地球系の高精細遠隔講義システム(2005)
• 講義アーカイブシステム導入(2005-6)
• 大学コンソーシアム京都(キャンパスプラザ)への遠隔講義システム(2006-7)
• 国際遠隔講義のための拡張(工学研究科地球系 桂キャンパス)(2006-7)
• 国際遠隔講義のための拡張(工学研究科地球系 吉田キャンパス)(2007-8)
これらのシステムの多くは,独自の設計で,導入時点で利用可能な機器を複雑に組み合わせたものである.そ のため,操作の際には実施形態毎に機器に関する知識が必要である.そのため,(1)遠隔講義システムの遠隔制御 化,(2)遠隔講義システムの利用支援などを行ってきた.
(1)に関しては,少数のスタッフで遠隔講義を管理できるよう,ネットワークを通じて遠隔講義システムの制御 や管理が行えるようなシステム改良と開発を行ってきた.各々の機器を可能な限り(ネットワークに接続できるイ ンタフェースを持っている限り)遠隔から操作できるように,PCとの接続や制御プログラムの開発等である.現 時点では,単位を付与する講義では遠隔教室側のTAを省くことを認めていないが,TAの操作を遠隔側で代替し たり補助したりすることが可能になっており,トラブルが起った場合の原因究明も比較的スムーズに進むように なった.ネットワークカメラの設置によって,遠隔講義システムが動作していない場合でも各教室の状況を把握 することが容易になっている.
(2)に関しては,講師用マニュアル,TA用操作マニュアル,スタッフ用資料を整備するとともに,講師説明会
(事務職員も対象とする),TA講習会等を行って,遠隔講義の説明を行ってきた.つまり,遠隔講義を行うために
は,準備の仕方,機器の利用方法,講義の進め方その他,種々のコツがあるため,これらを含めた遠隔講義支援 を行ってきた.また,講義時間には常に一名以上のスタッフがTAから連絡がとれる場所で待機することにしてお り,IRC(チャット)等を用いて,TAから連絡を受けられる体制にある.また,TAが講義時間終了時にWWWで簡 単な報告を記述すれば,スタッフ全員に状況が報告されるようになっている.
これらの対応と並行して,次期の遠隔講義システムの検討も行っている.従来より高画質で操作性の良い映像 伝送システムや遠隔会議,講義システムも市販され始めているため,このようなシステムを京都大学のニーズに 合わせて再設計したり導入することを検討するとともに,素人でも使いやすいシステムとなるようなユーザイン タフェースの要求仕様を検討している.一部の結果を概算要求等として申請しているが,現時点ではまだ採択さ れておらず,今後の予算措置が望まれる.
1.6.5.3 遠隔講義・会議・討論システムの業務サービス体制
サービス業務については,図1.6.4(a), (b)のように業務フローを整理してきており,ほぼこの通りに支援が行わ れていることを確認している.遠隔講義を行う主体は研究科や学部であるため,問い合わせや依頼を受けて支援 を始めることになるが,ここからわかるように,相談,準備に多くの労力が必要とされている.定型的なサービ スの部分が定常的に行われるように技術職員が常駐し,また,それ以外の部分には柔軟に教員が対応するような 体制を整えつつある.
また,遠隔講義の支援に課金することに対する全学の合意が得られていないため,遠隔講義支援サービスは,
サービスの対価を基に運営するシステムとはなっていない.ただし,遠隔会議・イベント中継等の支援について は,課金の議論が進んでおり,一部ではあるが,受益者負担のシステムが整うことになる.これらの点については 引き続き学内で議論していく予定である.
なお,人員的な体制については次節で述べる.
(a)業務フロー概要 (b)遠隔講義の支援フロー/
図1.6.4:遠隔講義支援サービスの業務フロー
1.6.5.4 遠隔講義の運用に必要な支援体制の整備
2004年度の時点では,教員5名による支援体制でサービスが行われた.この体制で遠隔講義の支援を行うと教 員の教育・研究の支障となるため,2005〜2007年度にかけて情報環境部の技術職員を加えてきた.2007年度以降 は,教員3名,技術職員2名(内非常勤職員1名)の体制でサービスを行っている.しかし,勤務時間の長さや責 任体制を考えると常勤の職員が不足している状況が続いており,今後の対応が望まれる.
また,サービス業務を行う人員や費用が慢性的に不足しているため,TAの活用を積極的に行ってきた.遠隔講 義には必ずTAをつけることを条件とした上で,2004年度から学期毎にTAの講習会や教員への説明を行ってい る.これにより,最初の1,2回の講義のみスタッフが手伝えば,残りはTAで対応できるような体制が整ってき ている.しかし,若干名ではあるがTAの習熟度が低いとの意見もあり,その対策を施す必要がある.TA個人に 対して個別の学習指導や訓練ができるほどの労力が確保できないため,マニュアルをより一層整備するとともに,
緊急時にすぐにスタッフがかけつけられる体制を整えることが重要である.そのためにも上記ネットワークカメ ラの設置は大きな助けとなっている.
さらに,人員の不足に対処するためには,情報環境部の他サービス担当のスタッフに依頼したり,外部から非常 勤の形で雇用したり,専門的知識を持ったTAを教育するなどの方法をとる必要がある.そのためには,サービス 業務の各項目にはどのようなスキルとどの程度の時間が必要とされるか,また,各スタッフはどのスキルを持って いるか等の整理ができていることが望ましい.これまでは,機器の操作方法など,個別の対応が要求される項目 に対して文書化を進め,Web等を用いてスタッフや支援者で共有することを進めてきた.大半の機器をその内容 に従って操作することが可能になっている.