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1.6.2  研究アプローチについて 

  本研究では、私が「行政職員(一般職員)」としての立場と「研究者」の立場の両方で「商 店街プロジェクト(協働)」に参加した。この「行政職員」の置かれている立場及び前提は、

「協働」に取り組むことに熱心ではない組織(地方自治体)、あるいは「協働」することが 業務に位置づけられていない組織に所属しているということである。従って、行政がプロ ジェクトに参加できるように、行政内部でプロジェクトの位置付けを調整したり、自身の プロジェクトにおける役割を所属する部署の所掌事務に沿って限定したりするなどの調整 を行った。従って、プロジェクトにおいては、「行政職員」と「研究者」の役割について切 り分けを行っている。しかし、プロジェクト3年目からは私が商店街をどうしても関連づ けることができない部署へ異動となってしまったため、さらに5年目でからは市役所を退 職したため、プロジェクトに「行政職員」の常時の参加はなくなってしまった。そうした 中においても、行政職員だからこそ持っていたノウハウや知見などを生かすことができた ため、その効果の部分を抜き出して「行政が参加した協働」とみなして評価に加えること としている。 

  プロジェクトにおいては、「デジタルメディア」を積極的に利活用して、目的に向けて成 果物や事象、変化などを新しくつくり出すことに力点を置いて参加している。 

  なお、研究を実社会に生かしたいとの考えから、行政の役割について最後に提案を行っ ている。特に「協働」を生み育てるために、現在行政内部におけるバリアについて、私が 所属していた市役所の中からその整理を行い、その改善に向けた提案を行っている。提案 は、「協働」に取り組むことに熱心ではない組織(地方自治体)、あるいは「協働」するこ とが業務に位置づけられていない組織を想定しており、今後「協働」がまちに広く生まれ 育つために、行政内における実務や組織に必要なこと、行政職員が取り組みやすい方法に ついて焦点をあてて考察を行っている。 

 

については、自治体の地域コミュニティやNPO、住民との関係づくりの必要性について述 べている。 

  特に、行政組織について問題点を指摘し、組織の改編や職員意識の転換等、自治体組織に ついて考察を行っていることは、本研究において行政の課題を抽出し、提案を行う上で示唆 が多い。 

 

1.7.2  デジタルメディアを活用した「協働」に関する関連研究について 

  飯盛[飯盛  2006]は、『地域情報化プロジェクトにおける協働メカニズムの探求』の中 で、佐賀市におけるプロジェクトを通じて、地域情報化プロジェクトにおける「協働」の メカニズムを明らかにすることを試みている。「地域情報化」とは、情報技術を活用して、

地域の生活や、教育、産業、医療などの問題解決を行うものとしている。 

  地域情報化プロジェクトは、企業や自治体と違い、地域の多様な人々のボランタリーな活 動であり、何らかの命令や強制、報酬によって運営されているわけではない。そのため地域 情報化プロジェクトにおける協働のメカニズムを洞察することは、「協働」をもたらす要素 の本質に迫ることができるものと考えている。 

  佐賀市に設立された、デジタル教材を活用した地域のための起業家育成スクール「鳳雛 塾」、富山市に設立された、インターネット上の学びの共同体「市民塾」の2事例から観察、

インタビューをもとに分析を行っている。 

  明らかになった点の一点目は、両塾ともコアメンバーと一般メンバー(月に数回の一方 向の定時連絡が中心)とによって構成されており、新事業の立ち上げには一般メンバーか ら情報が提供されて立ち上がっていることである。二点目は、「協働」を果たしているメン バー間において、参加した理由も、新事業を推進している場合も、必ずしも目的や価値観 の共有が図られているわけではないことである。三点目は、役割形成の重要性である。 

  これらから、地域情報化プロジェクトとは、情報技術によるコミュニケーションによっ て多くの人々の参集を実現し、そのつながりを維持しつつ、資源を供与することによって、

社会貢献を目指すソーシャル・アントレプレナーを輩出するプラットフォームとして機能 していることを推察している。 

  当該研究の課題として、研究対象が2事例のみだったことのほか、当該研究では協働のメ カニズムを探求することに主眼が置かれ、具体的なプラットフォーム設計については、示唆 される論点を提示したのみといったことを挙げている。 

  また飯盛はその後、「地域情報化」が、地域再生の起爆剤になることの提案を行っている。

この「地域情報化」により、「協働」に必要な要素「言葉や文脈が共有されるプラットフォ ーム」「信頼」「インセンティブ(参加への動機)」が創出されるとしている。「地域情報化」

による縁と従来の地域のよさとが融合して、地域における新しい「もやい」、地域イノベー ションへつながる可能性を秘めていると述べている[國領・飯盛  2007]。 

  本研究におけるケーススタディを進め考察する上で、特にメンバー間における意識、役割 形成について示唆が多い。本研究では、特に「協働」における行政の役割に視点を置いて考 察を行いたい。