学習室を続ける中で、子どもたちの状況観察から次の5点をこれまでの成果と考えてい る。
一点目は、学習意欲・学業成績の向上、高校への合格である。学校の授業から遅れてし まったことへのフォローの役割を果たしているといえるだろう。二点目は、学習室が子ど もたちの相談の機会の場にもなっていることである。先生や保護者には言いづらいこと、
進路の相談から今日の学校でのできごとまで、部活動や友達がなかなかできない東北の子 どもたちにとって学習室が相談や話し相手の場として機能している。三点目に、子どもた ちと直に継続的に向き合うことにより、その様子や変化を捉えやすく、状況によってはス クールカウンセラーや臨床心理士等、専門機関へつなげる連携窓口として機能しているこ とだ。私が行政職員だった当時、教育委員会に在籍していたこともあり、必要な機関を知 っていたり、また、「守りたい・子ども未来プロジェクト」ネットワークに相談し、専門 機関や専門家を紹介していただいたりしているところである。四点目に、学習室が同郷の 子どもたちが集まる励まし・安堵の場となっていることである。ここに来ることで前を向 けるようになった、励みになった、という声を保護者を通じて聞くことが多い。ほとんど の子どもたちが通い出すとそのまま継続して通っている。学習室ではお互いのがんばりが 見えるように、輪になって学習をしている。学年が離れていて声をかけづらかったり、引 っ込み思案の子であったりしても、ほかの子どもたちの様子をつぶさに見てとれるように している。五点目に、学習室が子どもたちにとって将来の目標設定の機会となっているこ とである。大学進学など考えたこともなかった中学3年生たちが、現在は高校生となり、
大学の進路を考え、就きたい職業もはっきりとしてきた。日常大学生たちと接し、機会の あるごとにキャンパスに行ったり、帰りの会に大学生たちが子どもたちに向けてメッセー ジを込めたスピーチをしたりしていることも功を奏しているのかもしれない。
なお、これまでメールで保護者とやり取りをしたものの中から、学習室の効果に関する ものを抜き出し、まとめたものが次の表 8.1 である。
表8.1:保護者からの声にみる効果
ここに見られるように、子どもたちの学習意欲の向上が保護者の声から見ても捉えられ ている。また、子どもたちは学習室に来るのを楽しみにしていることも伺うことができる。
子どもたちにとって学習室の場が励みになっているだけでなく、保護者自身にとっても励 みにつながっている。さらに、子どもの変化を見ることが、保護者にとって子どもへの理 解を深めることにつながり、親子関係を深めることにつながったとの声も伺うことができ る。長引く避難生活、見知らぬ土地で御苦労をされている中での声かもしれない。
上記の声は学習室に積極的に関わろうとする保護者からの声であり、だからこそ私との メールでのやり取りも行われ、肯定的な意見が多く寄せられているが、保護者によって学 習室に対するスタンスや温度差はさまざまである。しかしながら、学習室に通う子どもた ちは増加の一途をたどり、ほとんどの子どもたちがやめることなく通い続けていることを 考慮すると、学習室の目的が理解されていると同時に、期待されていると考えることがで きるのではないだろうか。