まず、活動に際して必要なポイントとして最も多く挙げられているのが、「多くの人の出 会い・参加・交流」だ。連携して知恵や力を出し合うことが発展につながっていくとされ ている。滋賀県長浜市の「黒壁」プロジェクトでは、当初はメンバーのほとんどが当該地 以外の住人だったという。「新たな視点、地域資源の発見、機能や役割の読み替え」「情報 共有と情報発信」「リーダーやヒーロー」の必要性についてもポイントとして挙げられてい る。また、市民や村民の「意識」もポイントとしても挙げられている。市民・村民全員の
「意識と発想の変化」「当事者意識を持った行動」の必要性だ。
残念ながら、これらの中にポイントの中に行政の役割や活躍は挙げられていない。行政 は地域や市民から期待されていないのだろうか。「多くの人の出会い・参加・交流」や「新 たな視点、地域資源の発見、機能や役割の読み替え」、「情報共有と情報発信」、「市民意識 の変化」が地域社会に必要であれば、今後行政もそのために活躍ができるのではないだろ うか。デジタルメディアもそのためのツールとして利活用ができるのではないだろうか。
行政に対しては、「地域特性と住民の声を踏まえた明確なビジョンの策定、必要な社会イ ンフラ整備、振興をサポート」することについての要望がみられる。税収の増加が見込ま れない現在、行政はこれまでとは異なるビジョン、インフラの捉え方、サポートを提示す る必要があるのではないだろうか。
「地域の『困った』という声が持ち込まれたとき、自らリスクをとり、自発的に問題解 決しようとするコミュニティ、それが『新たな公(ニューパブリック)』なのだ」といった コメントや「地域の連なりが社会であり、目の前にある地域の課題を解決していくことが、
社会全体の課題を解決することになる」、といったコメントに見られるように、私たちがめ ざす方向性は、すでにいくつかの地域の取組の中から示されている。それを社会全体に広 げるしくみが求められているといってよいのではないだろうか。
2.1.2 全国における行政が先導した協働の取組事例について
全国における「協働」の事例として、総務省「平成21年度地方行政改革事例集」26の中 から、行政が主導した「協働」の取組について、事例の中から成果と課題について考察を 行う(表2.2)。
26 総務省「平成 21 年度地方行政改革事例集(平成 21 年 12 月末現在)」
http://www.soumu.go.jp/iken/100125̲jirei.html(閲覧日:2013 年 1 月 7 日)
総務省「平成 21 年度地方行政改革事例集(平成 21 年 12 月末現在)」から作成
表 2.2:行政が主導した全国における「協働」の事例
これらの取組内容をみると、事業提案等によるモデル事業実施(6事例)、公共施設の市 民団体への運営管理委託(4事例)、自治体総合計画策定に際しての市民意見の反映(2事 例)といった事業が多く見られる。成果としては、公共施設におけるコスト削減やサービ スの向上につながったこと、地域課題の掘り起こし・発見、行政職員や市民の意識の変化・
モチベーション向上につながっていることが多く挙げられている。課題としては、継続性、
他部署との連携、より多くの市民の参加等が挙げられている。
内容としては、これまで行政が単独で実施してきた業務に市民意見を反映したものや、
モデル事業として新たに委託するものなどが大部分であり、これまでの行政と市民との関 係、つまり、行政が市民の意見や要望を聞く、といったスタンスや、委託受託といった 関係性をそのまま持ち込んだものがほとんどである。しかしながら、市民の参加によって それらの成果は新規事業の創出や事業改善につながっているばかりでなく、市民、行政双 方のモチベーションの向上・意識変化にも寄与していることが伺える。横方向の連携、よ り多くの市民の参加、活動の広まりや継続性について課題として挙げられている。