3.1 日本におけるデジタルメディアの利活用状況について
3.1.1 日本におけるデジタルメディアの普及
日本が最先端のICT国家となることを目指し、2001(平成13)年1月に「高度情報通信 ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)」が施行されてから10年以上が経過し、世界最先 端のICTインフラ構築を成し遂げた。
日本のインターネット普及状況について見てみると、日本のインターネットの人口普及率 は2011(平成23)年末で79.1%となっている(図3.1)。しかし、主要先進国と比較して、
その普及率が高いとは言えない状況である(図3.2)。
34 総務省「情報通信白書平成 24 年版」
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ (2012年9月13日閲覧)
図 3.1:我が国のインターネット利用者数 及び人口普及率の推移(個人)
出典:総務省「平成 24 年版情報通信白書」
図 3.2:インターネット人口普及率の 国際比較(2010 年)
出典:総務省「平成 24 年版情報通信白書」
この理由の一つとして、特に高齢者層(55-64歳あるいは65-74歳)及び低所得者層におけ る普及率の低さが要因となっている(図3.3)。
国民の情報メディアに対する認識は、特に20代ではインターネットの比重が高く、文書 系メディアでは、楽しみとしての重視度や話題性において、ソーシャルメディアが新聞・雑 誌を上回っていることが報告されている。
2011(平成23)年7月、地上デジタル放送が完全移行され、スマートテレビの国際標準 化及び普及・開発に向けた基本戦略の策定が総務省で進められている。また、スマートフォ ンの普及を日本経済成長のバネに活用することが提示されている。
3.1.2 公共分野におけるデジタルメディアの利用状況について
「公共分野」におけるインターネット利活用の事例として、公的機関への個人によるイン ターネットを介したやり取りの比率、学校におけるインターネット環境の整備状況を取り上 げて各国を比較すると、日本は双方とも他国に比べて下位に位置している(図3.4)。 「行政」「医療」「教育」における主要ICTサービス、「電子申請サービス」「税申告・納税 サービス」「健康管理サービス」「遠隔健診サービス」「オンライン教材」「eラーニング」の 利用状況をみると、「税申告・納税サービス」が11.2%と最も高く、他は全て10%未満であ り、いずれも低調な状況にある(図3.5)。利用しない理由は「従来のやり方に満足している、
困っていない」が最も多く、利用していない者にとって、これまでの方法を積極的に変える ようなメリットを感じていないことを見て取ることができる。
図 3.3:インターネット利用状況の国際比較(世代別及び所得別)
出典:総務省「平成 24 年版情報通信白書」
自治体におけるICTを活用したまちづくりの取組については、取組を進めている自治体
(既に取組を推進している自治体及び具体的に検討している自治体の合計)は5.7%にとど まっているが、一方で関心を有している自治体が65.9%など、肯定的な回答をした自治体 は約7割に及んでおり、ICTを活用したまちづくりに対する自治体の期待は高い(図3.6)。 ICTを活用したまちづくりの導入希望分野としては、「安全・安心分野」(40.9%)、「ヘルス ケア、教育その他生活分野」(34.2%)、「農林水産業、地場産業分野」(29.8%)を挙げる 自治体が多い(図3.7)。
図 3.4:公的機関への個人インターネット アクセスと学校インターネット整備度
出典:総務省「平成 24 年版情報通信白書」
図 3.5:公共 ICT サービスの利用状況
出典:総務省「平成 24 年版情報通信白書」
図 3.6:ICT を活用したまちづくりの取組状況
出典:総務省「平成 24 年版情報通信白書」
図 3.7:ICT を活用したまちづくりの 導入希望分野
出典:総務省「平成 24 年版情報通信白書」
自治体がICTを活用したまちづくりを進める際の課題については、「予算措置の困難さ」
(49.9%)といった予算面での制約の意見が多く、「客観的データがないことによる住民の 理解や参加の困難さ」(39.6%)や「効果の確認にあたっての事例の少なさ」(30.8%)と いった、効果の見える化や参加の仕方を重要な課題として指摘する意見も多かった。
3.1.3 日本における情報通信政策の動向
政府は、2001(平成13)年1月に「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本 法)」を施行するとともに、「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)」 を設置し、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策を行っている。
2010(平成22)年5月、新たな国民主権の社会を確立することを目的に、①国民本位の 電子行政の実現、②地域の絆の再生、③新市場の創出と国際展開を重点戦略(3本柱)とし て「新たな情報通信技術戦略」を、2011(平成23)年8月には「新たな情報通信戦略 工 程表改訂版」を策定した。
また、同年6月にIT戦略本部企画委員会に「情報通信技術利活用のための規制・制度改革 に関する専門調査会」を設置し、ICTの利活用を阻む規制・制度・慣行を特定し、それを見 直すための提言を盛り込んだ報告書を取りまとめた。
同年8月には電子行政、医療情報化、ITS(高度道路情報システム:Intelligent Transport System)の各分野についてのタスクフォースを、2012(平成24)年3月には「IT防災ライ フライン推進協議会」及び「政府情報システム刷新有識者会議」を設置した。
3.1.4 公共におけるデジタルメディアの利活用と課題
2011年(平成23年)のG8ドーヴィル・サミットでは、インターネットがG8で初めて 議題となり、各国首脳から、行政の透明性向上、経済成長や雇用促進の源泉としての役割に ついて触れられ、首脳宣言においては「インターネットは、世界経済、その成長及びイノベ ーションの主要な推進力となっている。我々の国々がデジタル経済から十分な恩恵を受ける ためには、我々は、クラウドコンピューティング、ソーシャル・ネットワーキング、及び草 の根出版といった、我々の社会においてイノベーションを推進しており、かつ、成長を可能 としている新たな機会を捉える必要がある。」と世界経済の成長を牽引する原動力であるこ とが首脳間で確認された35。
政府では電子行政や医療、防災など複数の分野でICTを活用した政策を立ち上げているが、
地方自治体ではその活用が十分に行われているとはほど遠い状況にある。ブロードバンド環 境や携帯電話が国民に普及した現在、地方自治体レベルでいかに地域の課題解決のためにデ
35 外務省「G8 ドーヴィル・サミット」概要
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/summit/deauville11/g8̲sk̲gai.html(閲覧日:2013 年 1 月 30 日)