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調査対象者の情報

9.  第 5 章のまとめ

2.2  調査対象者の情報

トリエを間仕切りした個別の制作スペースで活動している。個展や企業から受注した仕 事を行い、アーティストと呼ばれるような人もいれば、自身が大切にする日々の行動か ら生まれる関係性が作品として紹介される人もおり、多様な表現のあり方が受容されて いる。施設への訪問者も多いため、多様な人との関わりの中で発展的な活動を行える環 境にある。 

 

  福岡市にある NPO 法人が運営する施設Ⅱは、市において障がいのある人の創作活動 を中心に活動を行うパイオニア的な存在であり、全国的にも名前が知られている。障が いのある人のことを「メンバー」、支援員を「スタッフ」と呼び、互いに人として築く 関係性を大切に運営が行われている。「メンバー」一人ひとりの個性に合った表現形態 について支援者もアイディアを考え、絵画、陶芸、木工などのほか、ラジオ番組を作っ てインターネットで配信したり、お寺でライブを開いたり、ユニークな活動を展開して いる。設立されて 20 年あまりになるが、近年は支援員の入れ替わりが多くあり、長く 勤める支援員と新任の支援員の間で、情報や意識の共有に課題がある。 

 

  福岡市にある社会福祉法人が運営する施設Ⅲは、市内で知的障がい者の支援施設とし て 30 年以上の歴史ある通所施設であり、障がいのある人を「仲間」、支援員を「職員」

と呼んでいる。農園や下請け作業、レクリエーションなどが中心だった活動内容に、創 作活動を取り入れて 10 年あまり経つ。創作活動は多様な作業・活動メニューの一つで あり、活動グループによって比重は異なるが、週に数時間の創作活動メニューが組まれ ている。創作活動を立ち上げた支援員の退職に伴い、新たな体制で創作活動を継続して いるが、施設としての活動の位置付けや目標などが支援者間で共有されておらず、混乱 した状況に課題がある。 

 

  また、支援員の 13 名の内 6 名は芸術系の学校出身者や、美術や音楽などの活動を行 った経験があり、内 7 名は福祉系の学校出身など芸術系の活動に施設で勤務し始めて から携わるようになった人である。 

  よって、19 名の調査対象者(F-X)を、A 群:  アート関係者(F-K)、SA 群「支援員(アー ト)(L-Q)、SW 群:  支援員(福祉)(R-X)の 3 群に分類した(表 6.3)。また、障がいのある人 の創作活動に関わり始めた時期を聞き、表 6.3 には、各群において関わる期間が長い調 査対象者から順に整理した。調査対象とした支援者は、関わり始めて半年未満の人から 40 年に渡る人まで様々であった。 

  また、調査対象者には、匿名での調査結果の公表について同意を得た。 

 

2.3  調査手順 

  調査対象者または施設に調査趣意書を送り、許諾を得た後調査を行った。調査のステ ップは次の通りであった。 

 

-ステップ 1:   

  説明用の資料をもとに本研究の趣旨や調査の流れに関し説明。 

 

-ステップ 2:   

  「創作過程に関するアンケート」調査用紙を渡し主観評価の記入。 

 

-ステップ 3:  

  各項目について主観評価の回答をもとにしたインタビュー。 

 

-ステップ 4:   

  「回答者の基本情報と意識に関するアンケート」調査用紙を渡し主観評価の記入。 

  呼称に関するインタビュー。 

 

-ステップ 5:   

  項目表や本研究に関する意見や感想について半構造化インタビュー。 

 

  また、インタビュー内容は録音の承諾を得、終了後に文字起こしを行った。所要時間 は 1 人に付き 1 時間程度であった。 

 

2.4  分析方法 

  主観評価について、調査対象者の各回答と合計値、また、群ごとの平均値を記載する 欄を項目表の右側に設けた。合計値の大小の比較や、平均値に関し各群の間で回答に大 きな差(1 点以上)のあった項目に着目し、調査対象者が重視する・しない傾向のある項 目、各群において重視する傾向が分散している項目について考察した。 

 

  各調査対象者が、障がいのある人の創作活動に関わる期間を月数に換算した「関係月 数」と、項目の主観評価の回答に相関があるかを見るため、ピアソンの積率相関分析を 用い解析を行った。 

 

  調査対象者の専門領域の違いと、各項目の主観評価の群ごとの平均値の間に統計的に 有意な差があるかを一要因三水準の対応のない分散分析を用い、解析を行った。 

 

  「創作過程に関するアンケート」についてインタビュー調査の回答は文字起こしを行 い、主観評価で特徴的な結果が出た項目に関して、質的データもあわせて考察した。 

 

  調査のフィードバックとして得た回答は、内容を意味により分類し群ごとに整理した。 

 

  意識調査に関しては、主観評価の結果を項目表で行った分析と同様、関係月数との相 関を解析するためピアソンの積率相関分析と、調査対象者と群ごとの平均値の間に統計 的に有意な差があるかを調べるための分散分析を行った。また、アートに関して得られ たインタビューの回答に関しては、文字起こしを行った回答の内容を整理して表にまと めた。さらに、内容を分析し分類した上で、著者調査の結果にならいコーディング(見出 し付け)を行った。また、各呼称の理解の仕方に関して第 5 章で確認した 5 名の著者の 回答と比較し、一致の度合いを示す表を作成した。