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活用方法・可能性:  支援者の専門領域における意見

  全ての群で、各専門領域での項目表を活用方法について意見があったが、必要 ないとする意見もあった。具体的には下記のような意見があった。 

 

A 群:  アート関係者 

      ・社会の中での自身のあり方について考えること(F) 

      ・マップ化することによる体系化、合意形成の際の指標(H) 

    ・ひとつの項目をテーマにしたトークイベント、研究会、哲学カフェなどの実施(I)      ・社員研修(I) 

    ・障がいのある人や支援員の意識、支援方法の把握(J)      ・支援員の芸術に対する状況や意識の段階を知る(J)      ・メディアへの視点の提供(K) 

 

  「社会の中で自身のあり方について考えること」には、「集団の中でどう他者と 関係を結ぶべきかということについする示唆は非常に大きくなるはずだ」「社会と 切り離して二者関係の中で、この一つひとつを考えることは難しい」「社会を目の 前にしたときに、われわれはどういう人間であるべきかということが、見え隠れ しているような気がする」(F)という意見があった。 

  「マップ化することによる体系化、合意形成の際の指標」には、「文化政策、文 化と福祉、文化と教育、まちづくりなど領域を横断して、文化が社会に果たす役

割を考えたり、言語化して提言したりするとき、立場によって、ロジックやボキ ャブラリーが変わるので、体系的な、マッピングのような形で整理できるとすご くありがたい」「政策とか施策レベルで、合意形成しようとする際、それぞれが、

全体の中の自身の立ち位置がわかる」(H)という意見があった。 

  「ひとつの項目をテーマにしたトークイベント、研究会、哲学カフェなどの実 施」には、「障がいのある人の表現活動に、私たちが何を求めるか、ということだ と認識できた」「哲学によって価値判断はすごく変わること、私は、何を考えてい るのかという話しになるのが面白いところ」「人と人が向き合うときに何を大事に しているのかという、根源的な話にまで近づけると改めて思った」「項目を一個一 個掘り下げて考える場を持ことは活用法としてありえる」(I)という意見があった。 

  「社員研修」には、「現場でこんなことが、考えていくポイントですよね、とい うことで使わせてもらうことはあるかも」(I)という意見があった。 

  「障がいのある人や支援員の意識、支援方法の把握」には、画商として障がい のある人の作品を取り扱う上で、「障がいのある人たちや、指導者支援者の人たち がどのような意識でどんな方法で作品を作っているのかを見ておきたい」(J)とい う意見があった。「支援員の芸術に対する状況や意識の段階を知る」には、地域で 芸術文化事業を進める上で、「人々の意識の中の芸術へのハードルやバリアを低く し、表現したり発表したりすることを日常化したいという思いがある」ことから、

障がいのある人の制作や作品を取り扱う際、「特に支援者の意識が変わってほしい と感じることはよくあるので、価値判断というか、支援者の状況や段階を知る上 では非常に役立つと思う」(J)という意見があった。 

  「メディアへの視点の提供」には、ギャラリー運営者として、障がいのある人 の作品を展示する際、「取材記者に、取材の視点についての提案として、まとめた 書類として渡すと、障がいについてだけでなく、そのような視点を持って記事に してもらえる」(K)という意見があった。 

 

  このように、アート関係者から、項目表の活用方法や可能性に関し多様な意見 が得られた。項目表の回答を考えることは、社会との関係を考えることと切り離 せず、自身の他者との関係の結び方や人としてのあり方を考えることにつながる という意識があることがわかった。また、結果がマッピングのような形で整理さ れることで、領域を横断した合意形成の際に、各人が自身の視野の範囲が全体の どこに位置しているかという理解に活用できるということに対する意識もあった。

項目一つ一つに回答することが、自分自身の考え方を深く認識することと結びつ

いており、多様な人が集まり議論するテーマとして活用できることや、障がい福 祉の現場で研修する際に活用できるできるという意識を持っていた。さらに、作 品の背景にある障がいのある人や支援員の意識や制作時の状況を知るのに活用し たいという、画商としての意識もみられた。芸術に対し支援員が持っている意識 やその段階がどのようなものか把握することに活用できるという、地域で芸術文 化事業を進める上での意識や、メディアへの露出の際に、説明するツールとして の活用ができるという、ギャラリー運営者としての意識もみられ、各専門領域や 立場に沿った見解があることがわかった。 

  これらから、アート関係者は、単に便宜的な活用だけでなく、項目表の問いが 自分自身のあり方への問いとして作用する面を持つことを指摘していた。また、

各人の専門領域において多様な活用の可能性を上げていた。 

 

SA 群:  支援員(アート) 

・スタッフミーティング(N)(P) 

・他のスタッフの考え方を知る(M)(O) 

・スタッフのマネジメント(L) 

・よくわからない(Q)   

  「スタッフミーティング」には、「1つの項目に対してそれぞれ持つ考え方の共 有や説明、議論をするツールになったらいい」(N)、「定期的なスタッフ同士の話 し合いでチェックしたり、新しくチームを持つときのみんなの意識の共有に使っ たりできるといい」(P)という意見があった。 

  「他のスタッフの考え方を知る」では、「かしこまったことは苦手な人が多いの で、項目を噛み砕いた表現にして口頭で確認し、僕自身が把握するという使い方。

上司の本音もききたい」(M)「うちの職員に実施をしてみたい。まず考え方を知り、

必要なことを確認したい。それに応じて勉強会をしたり、アート活動の方針をつ くりあげたりできるといい」(O)という意見があった。 

  「スタッフのマネジメント」には、他の支援員を管理する立場にある支援員が、

「主観評価をつけるときに、どういう事例を知っているか、何を思い浮かべてい るかで、多分変わってくると思う」「それを踏まえて、もっと知って欲しことや、

みんなで揃えた方がいいポイントを見つけたりできると思う」「自分の考えを伝 えるとき、意外と背景や目的が伝わってないことがあるので、項目表にそって説 明すると言葉にしやすいし、科学的な感じでいけると思う」(L)という意見があっ

た。 

 

  このように、支援員(アート)から、項目表の活用方法や可能性に関し、現場での 活用方法・可能性について意見が得られた。創作(アート)担当のスタッフという立 場から、スタッフ間の議論や意識の共有に活用したいという意見や、他の支援員 の意識を把握しその後の動きに活用したいという意見があった。また、現場を管 理する立場から、経験の浅い支援員の現在の理解度を項目に対し思い浮かべる事 例のバリエーションで把握し、その上で指導のポイントを絞ることや、論理的な 説明に活用できるという考えがあった。 

  これらから、支援員(アート)の回答には、自身の考えを他の支援員と共有するこ とに課題を感じている点に特徴があった。しかし、他の支援員の意識や考えてい ること、すれ違っているポイントや自身の考え方を伝える際の説明の仕方に困難 さを感じており、その解消に何らかのかたちで項目表が活用できることを可能性 としてあげていた。 

 

SW 群:  支援員(福祉) 

・スタッフミーティング(S)(U)(V)(W) 

・創作ミーティング(S)(V) 

・支援計画への反映(U) 

・支援員のスキルアップ(U) 

・現場で意識する視点のセルフチェック(X) 

・施設ごとに持つ雰囲気の理由を探る(T) 

・現状では必要ない(R)   

  「スタッフミーティング」には、「時間とか余裕があれば、全部やっていったら、

A さんに対して、このスタッフはこう考えているんだ、私はこうだとか。それぞ れのメンバーに対して、すごい明確な違いが出ると思う」(W)「個人にとって、こ こを重視したほうがいいんじゃないの、っていうときに使ったら、共通認識がし やすいと思う」(S)という意見があった。 

  「創作ミーティング」には、「創作授産会議で、どういう方向性に行くか考え方 がそれぞれ違う」「大きな柱、方向性があれば、そこに向かってそれぞれがやって いることがわかり、安心して進める」「これを使って共有し、法人としての大きな 目標が見つかればいいと思う」(V)という意見があった。「支援計画への反映」に

は、「支援計画にあげると振り返ことができる。日々の支援にかえってくると思う」

(U)という意見があった。 

  「支援員のスキルアップ」には、「今ここが意識できているから、こうしてみよ うとか、職員間で話して、次のステップアップにもなると思う」(U)という意見が あった。 

  「現場で意識する視点のセルフチェック」には、「実際に現場で意識するポイン トが、ちょっと変わるといいなと思う」(X)という意見があった。 

  「施設ごとに持つ雰囲気の理由を探る」には、「何となく持っている、いろいろ な施設のイメージはある。この調査の結果を踏まえて施設を見たら、そこの雰囲 気の理由がわかるような気がするので、結果を見たい」(T)という意見があった。 

  「現状では必要ない」には、「個人の意識や感じ方を重視していない。個人は個 人の感覚でやっていったらいい」「ご本人(障がいのある人)も人間があったら、私 たちも人間。私たちのもさしではできていない」(R)という意見があった。 

 

  このように、支援員(福祉)から、項目表の活用方法や可能性に関し、現場での活 用方法・可能性について意見が得られた。一人ひとりの障がいのある人に対する、

支援者間の認識の仕方や重視するポイントの差異を互いに把握したり、共通認識 を持ったりすることに活用できるということに対する意識があった。個別の項目 の考え方から、大きな柱となるような大切にしたいことを見つけ出して共有し、

組織として向かうべき方向性をつくることに活用したいという考えを示してい た。また、支援計画に反映させることで、日々の支援を意識的なものにすること に活用できるということや、項目表をガイドに各支援員が意識しているところ・

していないところを先輩支援員と確認し自身でも把握して次の目標を立てるこ とで支援員の成長に活用できるという考えがあった。経験が浅い中で、意識する ポイントの例として活用できるという意見もあった。さらに、施設ごとに調査結 果に特徴的な傾向が出る可能性を指摘し、その特徴的な傾向と施設に対して感覚 的に感じられる雰囲気とのつながりについて探ることに活用できる点に関する 指摘もあった。また、無理に支援員間の意識を揃える必要はなく、多様な考えを 持った人が多様な感じ方で人間として接していくとことの大切さを感じている ことから、項目表の必要性を感じないという意識もあった。 

  これらから、支援員(福祉)の回答には、支援員(アート)と同じようにスタッフミ ーティングへの活用が挙げられているが、その目的は、障がいのある人について のより深い理解や、支援員間において一人ひとりの障がいのある人に対する認識