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主観評価調査結果: 2 つの項目表

  2 つの項目表をもとに作成した調査用紙(付録 5.1、5.2 を参照)を使用し、著者へ 6 件 法を用いた主観評価調査を実施した。その結果を示した表 5.6、5.8 に関し、高い項目 (合計 18 点以上)を薄い橙色で着色し、評価の低い項目(合計 10 点以下)を薄い青で着色 した。また、著者間で評価に 4 点以上の落差が生じた箇所を太字で囲んだ。この調査で は 5 名中 4 名の著者の結果が得られた。4 名が 5 点満点で評価したので、合計は 20 点 満点から0点まで得点の可能な幅があった。 

  また、著者間で主観評価の結果に相関関係が見られるかピアソンの積率相関分析で解 析し、表 5.7、5.9 に結果をまとめた。 

 

4.1  「障がいのある人についての項目表」に関する主観評価調査結果 

  5 名の著者に対し「あなたは、障がいのある人についてどの項目を重視していますか」

と問い、得られた主観評価の結果を表にまとめた(表 5.6)。評価の数値について顕著な 特徴が出た項目が明らかになった。また、各著者間で回答結果に相関がみられるか検定 をおこなった(表 5.7)。 

 

1)   「素材・道具(選定):  素材・モチーフ、道具・画材の選定について主体性があるか」

(合計 19 点)、「創作行為の特徴:  独自の創作行為があるか」(合計 18 点)の 2 項目に 関して、主観評価の合計が 18 点以上あり高い評価を得ていた(表 5.6)。つまり、こ

の二つの項目は著者から重要視されていることがわかった。 

 

2)   「既存の美術教育:  従来の美術教育や美術史からの影響があるか」(合計 5 点)、「完 成イメージ:  創作するものについて完成イメージを持っているか」(合計 10 点)の2 項目に関して主観評価の合計が 10 点以下であり低い評価を得ていた(表 5.6)。つま り、この二つの項目は著者から重要視されていないことがわかった。 

 

3)   著者によって評価の落差が大きな項目もあった。「既存の美術教育:  従来の美術教育 や美術史からの影響があるか」は保坂・服部、服部・福森の間、「完成イメージ:  創 作するものについて完成イメージを持っているか」は保坂・服部、保坂・今中の間 で、両項目とも 4 点以上の差が見られ評価の落差が大きい結果となった(表 5.6)。つ まり、これらの項目は著者によって、重視する度合いが大きく異なることがわかっ た。保坂・服部は共に美術の専門家であるが、両項目で評価に大きな差があったこ とが特徴としてあげられた。 

 

4)   保坂・福森の間で、有意な正の相関が見られた(表 5.7)。両者は、作品を評価する立 場・創作の場をつくる立場、美術・福祉など、基本的に対立する立ち位置をとるが、

「障がいのある人について」各項目を重視する度合いが全体を通して似ていること がわかった。 

 

   

   

4.2  「支援者が持つ意識についての項目表」に関する主観評価調査結果 

  5 名の著者に対し「あなたは、支援者がどの項目について意識を持つことを重視して いますか」と問い、得られた主観評価の結果を表にまとめた(表 5.8)。評価の数値につ いて顕著な特徴が出た項目が明らかになった。また、各著者間で回答結果に相関がみら れるか検定をおこなった(表 5.9)。 

 

1)   「環境(心的):  心のあり方に配慮した制作環境づくり(不安、制限、欲求など)」(合計 18 点)、「素材・道具(選定):  素材・モチーフ、道具・画材の選び方」(合計 19 点)など、

8 項目に関して、主観評価の合計が 18 点以上あり高い評価を得ていた(表 5.8)。つ まり、この 8 つの項目は著者から重要視されていることがわかった。 

 

2)   「完成イメージ:  創作するものの完成イメージを支援者が持つこと」(合計 8 点)、

「終わりの見極:  創作行為の終わりを支援者が判断すること」(合計 10 点)の2項目 に関して主観評価の合計が 10 点以下であり低い評価を得ていた(表 5.8)。つまり、

この二つの項目は著者から相対的に重要視されていないことがわかった。 

 

3)   著者によって評価の落差が大きな項目もあった。「既存の美術教育:  従来の美術教育 や美術史が創作過程に与える影響」は今中・福森の間、「環境(人的):  障がいのある 人と支援者がコラボレートすること」は服部・今中の間で、両項目とも 4 点以上の 差が見られ評価の落差が大きい結果となった(表 5.8)。つまり、これらの項目は著者 によって、重視する度合いが大きく異なることがわかった。 

 

4)   保坂・福森、今中・福森の間に有意な正の相関が見られた(表 5.9)。今中・福森は、

基本的に共通性の高い立ち位置をとるが、保坂・福森は、異なる立ち位置をとる。

共通性の高いい立ち位置の著者間においても、異なる立ち位置をとる著者間でも、

「支援者が持つ意識に関して」正の相関が見られることがわかった。 

 

   

   

   

4.3  主観評価調査まとめ 

  主観評価を用いた調査の結果から、各項目表に関し著者による評価の合計が高い項目、

低い項目、著者により落差が大きい項目について定量的に明らかにすることができた。

また、専門領域が異なる著者の間であっても、項目ごとの重要度を数値として客観的に 把握し、比較検討できることがわかった。しかし、調査の性質として、各項目に対し重 視するかしないかという視点での評価結果なので、重視する方向性がポジティブ・ネガ ティブどちらの方向か、また、同じ方向でも軸とする考え方の質にどのような差異があ るかは不明瞭なことに留意すべきである。 

  また、立ち位置が共通する・異なるにかかわらず、著者の間で正の相関が見られるこ とがわかった。 

  なぜそのような結果になったのか、またその意味について、インタビュー調査から得 られた定性的な回答をあわせ、次で考察を行う。