• 検索結果がありません。

解答

ドキュメント内 生物資源の基礎数学教材 (ページ 34-39)

答531図18.2

図 18.2 放射性炭素14の崩壊に関する数値解 (実 線)。点線,すなわち”analytic”と書かれている線は解 析解。

答532略。

答533図18.3

答534  式(18.8)から出発して式(18.7)まで変形し よう:

exp(αt 2 +1

2ln N0β α−N0β

)=

√ N0β α−N0βeαt/2

(18.35)

10 50 100 150 200

2 4 6 8

O t

N

α=1.0, β=0.005, N0=10 α=1.0, β=0.0, N0=10

図18.3 ロジスティック方程式の解。

となることを使うと,式(18.8)は,以下のようになる:

N = α 2β

{

N0β

αN0βeαt/2−√

αN0β N0β eαt/2

N

0β

αN0βeαt/2+√αN

0β N0β eαt/2

+ 1}

= α 2β

{ 2√

N0β αN0βeαt/2

N0β

αN0βeαt/2+√

αN0β N0β eαt/2

}

(18.36) ここで分子分母にそれぞれ

√(α−N0β)(N0β)eαt/2 (18.37) をかけると,

N = α 2β

2N0βeαt

(N0β)eαt+α−N0β (18.38)

= N0eαt

1 +N0β(eαt−1)/α (18.39) 以上の式変形を逆にたどればよい。

答536羊は狼に会うと喰われて減るのでマイナス,狼は 羊に会うと羊を喰って増えるのでプラスである。(β1, β2

はともに正であることに注意!)

答537 ∆S=S(t+∆t)−S(t)であることに注意すれば,

∆S =S(t+ ∆t)−S(t)≒α1S∆t−β1SW∆t 両辺を∆tで割って∆tをゼロに近づければ式(18.12) を得る。式(18.13)も同様。

答538図18.4。 答539図18.5。 答540例えば図18.6。

答541 羊が増えると, 狼の方程式の右辺第二項, すなわ ち羊を捕食することで狼が増える項が支配的になり, 狼 の増加速度が高くなる。しかし, 同時に羊の方程式では 第二項, すなわち狼に捕食される項が支配的になり, 狼 が増えるに従って羊の増加率は減少し, いずれマイナス に転じる。すると羊が減り始め, こんどは狼の方程式の 第一項, すなわち自然減少の項が支配的になり, 狼もい ずれ減少に転じる。そうして狼がある程度少なくなる と, こんどは羊の方程式の第一項, すなわち自然増加の 項が支配的になり,羊が増え始める。このくりかえし。

18.7 解答 27

2 4 6 8 10 12

5 10 15 20

O t

S, W S(t) W(t)

図18.4 ロトカ・ヴォルテラ方程式の解。

0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

5 10 15 20

O t

H

図18.5 ロトカ・ヴォルテラ方程式の解における生物 多様性。

2 4 6 8 10 12

5 10 15 20

O t

S, W S(t) W(t)

図18.6 ロトカ・ヴォルテラ方程式の解。β12= 0.4に変えた場合。

2 4 6 8 10 12

5 10 15 20

O t

S, W S(t) W(t)

図18.7 ロトカ・ヴォルテラ方程式の解。羊の変動に ロジスティック項が加わった場合。

2 4 6 8 10 12

5 10 15 20

O t

G, S, W grass sheep wolf

図18.8 ロトカ・ヴォルテラ方程式の解。3種の生物 の競合。grass (草), sheep (羊),wolf(狼)。

答542 dS

dt=α1S−β1SW−γS2 dW

dt =−α2W+β2SW 答543図18.7。

答544例えば,羊と狼に加えて,草(G)を考える。草は 羊に食べられ,羊は狼に食べられるとすれば方程式は,

dG

dt=α0G−β01GS dS

dt=−α1S+β10GS−β12SW dW

dt =−α2W+β21SW

例えば図18.8は, α012 = 1.0, β0110 = β1221 = 0.5, G(0) = 1, S(0) = 2, W(0) = 1の数

値解。

答545 E + S ⇄ ESという反応において,右向きの反

応でEが減少する速度はEはSと衝突する頻度に比例 する。従ってそれは[E][S]に比例する。比例係数をk+1

とすると,この反応による[E]の変化速度は−k+1[E][S]

となる(マイナスは「減少すること」を意味する)。また, 左向きの反応でEが増加する速度は, [ES]に比例する。

比例係数をk1とすると,この反応による[E]の変化速 度はk1[ES]となる。

また, ES → E + Pという反応において, ESが分 解することでEが増加する速度は, 同様に[ES]に比例 する。比例係数をk2とすると, この反応による[E] の 変化速度はk2[ES]となる。これらの2つの反応による 変化速度を足すと,式(18.21)を得る。

Pが生成する速度は, ES → E + Pという反応の速 度であり, それは上述のようにk2[ES]である。従って 式(18.22)が成り立つ。

答546 

(1) 略(2つの式から[E]を消去すればよい)。 (2) 略(式(18.24)を変形するだけ。中学数学)。 (3) 略(式(18.22)の[ES]に前小問の式を代入)。 (4) 略(式(18.26)の分子と分母をk+1で割る)。 答547略。

答548略。結果は図18.9

図18.9 バネにつけられて振動する物体の運動の数 値解。振幅が徐々に大きくなっているのは誤差のため (時刻の刻みを小さくすると改善する)。

答549略。結果は図18.10

図18.10 バネにつけられて振動する物体の運動(空

気抵抗つき)の数値解

一問一答

• 昨日の生物の授業でロジスティック方程式が出てき て感動しました。数学が他の分野でも役だっている ことを実感しました。

...「生物学」ではロジスティック方程式が持つ「生 物学的な意味」をしっかり勉強して下さい。

• ロトカ・ヴォルテラ方程式を描けて,感動しました。

... 私も昔,そうでした。意外に単純だよね。

• ロトカ・ヴォルテラ方程式が奇妙な形になりまし た。負の無限大に発散。

... 時間のきざみを小さくしてみてください。

• ロトカ・ヴォルテラって最初に連立微分方程式を考 えた人の名前ですか?

... Alfred J. Lotka(アメリカの統計学者)と

Vito Volterra(イタリアの数学者)だそうです

(Wikipediaより)。

パソコンすごっ!/ コンピューターで数学, 面白い! / 実際に問題をもっと解きたい時,何をしたらよい のでしょう。

... パソコン便利でしょ? もっと実際に問題を解き たいならば, 何か具体的な分野を系統的に勉強する のがよいと思います。気象学なんかオススメ。あ と,コンピュータで何かを予測する手法として,「モ ンテカルロ法」というものがあります。これは, こ こで学んだ「微分方程式を数値的に解く」というの とは全く別の方法。そちらも面白いので勉強してみ てください。

18.7 解答 29

• 今回のレポートはめっちゃ楽しかったです。/ エ クセルやって良かったです。「ペースト」ってなん だ!?って思っていた私も, もうグラフ書けるように なりました。課題つらかったけど,先生に感謝して います。ありがとうございます。

... 数学は,コンピューターを使うと,すごく楽しく, わかりやすくなります。

問題,少なくしてほしいです。

... 「若いうちの苦労は買ってでもせよ」

• そんなにたくさん勉強できません...

... だから本来, 大学生には, バイトなどやってる暇 は無いのです。

• 経済系に行こうと思っていて,物理学を受講してい なかった自分がなさけなくなりました。/ 物理とっ ておけば良かったと今さら思ってます。

... 物理学と直接は「無関係」な学問や仕事も,世の 中にたくさんありますが,物理学は多くの学問の基 礎です。ある程度の物理学は,教養としても大切で す。我々にとって切実な問題である気候変動やエネ ルギー問題などは,物理学が直接的に関わっていま す。民主主義の社会では,そのような問題について も市民(有権者)の判断が問われるのです。国の少 ない予算をこれらの「物理学的な」問題の対策に振 り向けるときに, それは他の事業, 例えば社会保障 や安全保障,教育等の事業とのトレード・オフにな ります。大型の科学予算を幹細胞の研究とニュート リノ物理学の研究のどちらに割り振るべきなのか? 原子力発電は続けるべきか? 高速増殖炉による核燃 料リサイクルは進められるべきか? 温室効果気体の 排出を規制する仕組みはうまくいくのか? そのよう な問題に対して,「自分にはよくわからないが,誰か がうまく考えて判断してくれるだろう」と皆が思っ てしまうと,どうなってしまうでしょうか?

• 「環境工学コースに進まないから」という理由で 基礎数IIを履修するかどうか悩んでいた自分がゴ ミに見えてきました。超色々な所で数学を使うし, 思ってたよりもずっと簡単なので。

... 私自身は環境工学コースの教員ですが,基礎数学 を, 環境工学コースに進む人だけのために授業しよ

うと思ったことは一度もありません。生物資源学類 は, どこのコースに行っても, 食糧問題や環境問題 などの, 人類にとって, とても重要な問題を扱いま す。その最前線に立とうとする若者に, できるだけ 強力で普遍的な「ものの見方」を授けてあげたいと 思って授業をしています。恐らく他の授業の先生方 も,それぞれそのように考えて授業されていると思 います。

今さらですが, 数学, 物理,化学etc...は総合的に勉 強する必要があるなと思いました。

... ていうか, 総合的に勉強する方が楽しいし, 効率 が良いのです。程度問題ですが, ご飯と同じで, あ まり好きなものばかりを選んで摂取すると, 良くな いのです。

• 数学リメディアル教材を完全に理解したいと思いま した。

... 完全に理解してください。でないと,本書を読む のは無理・無駄です。

• 自然(生物)的現象が数学的にきちんと表現できる ことを学び,改めて数学を学ぶことの大切さと数学 の素晴らしさを感じました!!

... 楽しんでくれてよかった。実際, 科学全体で, 数 学は驚くほど使われています。だから, 数学がわか れば, 科学の様々な分野を横断的に,しかも深く,理 解することができます。ただし,狭く限定された分 野だけを突き詰めようとしたら, 必ずしも数学はそ んなに「必要」ではありません。実際, 生物資源学 類にも「うちの研究室では数学は必要ないよ」とい う先生はたくさんおられます。それでもなお, 我々 が数学を勉強するのはなぜなのでしょうか? それは やはり,人間が根源的に持つ好奇心のせいだと思い ます。表面的に「そういうものだ」と割りきって飲 み込んでしまえば済むようなことを, あえて「きち んと理解したい」と思うことって, あるじゃないで すか。数学は,その好奇心を照らしてくれる光なの だと思います。

 あのファーブルは, 数学が大好きで, 昆虫を研究 するか数学を研究するか, 迷ったことすらあった そうです。ファーブルの昆虫記には, 数式は出て来 ませんから, 表面的には, ファーブルの昆虫研究に は数学は無用だったはずです。それでも, ファーブ

ルは,自分の昆虫研究に数学の考え方がとても役に 立った,と述べています。

31

第 19

線型代数 2: 線型空間

ここまでの話は高校数学の延長で,わりと理解・イメージし やすかっただろう。まあ,準備運動みたいなものだ。

さてここからいよいよ,本格的に大学の数学に入る。それは あまりに抽象的で,諸君は戸惑うかもしれない。大学の数学は そういうもので,辛抱が必要だ。とにかくよく読んで,定義を 覚え,反芻しよう。そのうち,光が差し込むようにわかってく る。「最初はわけわからなかったけど, 実は単純で簡単なこと だった」と思えるだろう。それまで辛抱するのだ。

繰り返すが, 定義は覚えねばならない。高校数学くらいな ら,イメージでわかるので,定義など「当たり前」過ぎて覚え るまでもない,むしろ「問題の解き方」を覚える方が効率が良 い,と思うかもしれない。そういう勉強法は,大学数学には通 用しない。何よりも定義が大切なのだ。わからなくなったら 定義に戻る,という癖を,徹底的に身につけなければ,大学の 数学を理解することはできない。

なお,ここからしばらくの間は,「数学リメディアル教材」

の第13章で学んだ概念や数学記号がたくさん出てくる。

19.1 「閉じている」とは

リメディアル教材の最初の部分で, 自然数から始まっ て複素数に至るまで,次第に「数」の概念を拡張し,定義 した。その結果, 実数どうしの四則演算(足し算・引き 算・掛け算・割り算)の結果(0で割る以外)は実数にな り,同様に,複素数どうしの四則演算の結果(0で割る以 外)は複素数になるのだった。

そのような状況を,数学では,「閉じている」と表現す る。正確に言うと, ある種の数の集合について, その集 合内の任意の2つをとりだして,ある種の演算を施した 時, その結果もその集合に含まれる, ということが確実 な場合,その集合はその演算について「閉じている」と いう(定義)。

演算とは, 2つのものから別の1つのものを作る規則 だ。例えば, 3+4=7という演算(足し算)は, 3と4と いう2つの数から7というひとつの数を作る。

自然数という「数の集合」は「足し算」という演算に 関して閉じているが, 「引き算」に関しては閉じていな かった。そこで,引き算に関して閉じるように拡張した のが整数だった。そして, 整数を割り算(0で割る以外)

について閉じるように拡張したのが有理数だった。

ドキュメント内 生物資源の基礎数学教材 (ページ 34-39)