答710 (1) スカラー場
(2) スカラー場(パスカルの原理)
答711 12+ 2×23+ 3 = 1 + 16 + 3 = 20
答712 (1×2×3,1 + 2 + 3,2×1 + 2×3) = (6,6,8) 答713 円錐の底面をxy平面に置き, その中心を原点 に置く。高さ方向にz軸をとる。xz平面による円錐の
ばならない。さらに,地軸の向きが太陽-地球間の方向に対して 一定でないことのせいで,±15分程度の変動がある(それを均 時差という)。それによれば,南中時刻は2月中旬に最も遅く, 11月上旬に最も早い。
*9「余弦」とはコサインのこと。
29.7 解答 151 断面の上縁(の片側)は, デカルト座標系で(0,0, h)と
(R,0,0)を通る直線である。その傾きは−h/R, 切片は hなので,この直線は
z=−h
Rx+h (29.52)
となる。従って, 底面上で原点からrだけ離れた位置 では, その上に−hr/R+hの高さに円錐の側面があ る。従って, 例えば, 図29.1の点P1 の上には, 高さ
−hr/R+hのところに円錐の側面がある。従って,四角 形P1P2P3P4の上には, 高さ−hr/R+hの角柱がある とみなせる。その角柱の体積∆V は,
∆V ≒(
−hr R +h)
r∆r∆θ (29.53)
となる(角柱の高さはP1, P2とP3, P4で同じではない が,四角形が微小ならほぼ一緒とみなせる)。円錐の体積 V はこの総和なので,
V =
∫ 2π 0
∫ R 0
(−hr R +h)
r dr dθ
=
∫ 2π 0
∫ R 0
(−hr2 R +hr)
dr dθ
=
∫ 2π 0
[−hr3 3R +hr2
2 ]R
0 dθ
=
∫ 2π 0
(−hR2 3 +hR2
2 )dθ
=
∫ 2π 0
hR2
6 dθ= 2πhR2
6 =πhR2 3 答714略。以下,ヒントのみ。
(1) x=rcosθ,y=rsinθをx2+y2に代入すればよい。
(2) 式(29.14)でg(r, θ) = e−r2 とおく。積分範囲Dは平 面全体だから,rが0から∞まで,θが0から2πまで である。
(3) r2 =sとして置換積分。sの式をrの式に戻すのを忘れ ないように。
(4) 前小問の結果を利用する。
(5) 式(29.19)を式(29.17)(の内側の積分のところ)に代入。
(6) 式(29.20)を計算するだけ。定数の積分だから超簡単。
(1/2)×(2π) =π。
(7) 式(29.15)で,e−x2−y2 =e−x2e−y2 とすれば,xに関す
る積分とyに関する積分を分離できる:
J=
∫ ∞
−∞
∫ ∞
−∞
e−x2e−y2dx dy
=
∫ ∞
−∞
(∫ ∞
−∞
e−x
2
e−y
2
dx) dy
=
∫ ∞
−∞
(∫ ∞
−∞
e−x2dx) e−y2dy
=(∫ ∞
−∞
e−x
2
dx)∫ ∞
−∞
e−y
2
dy
2行目から3行目の変形には,e−y2がxにとっては定数 なのでxに関する積分の外に出せることを使った。3行 目から4行目の変形には, xに関する積分全体が,yに とっては定数なのでyに関する積分の外に出せることを 使った。
(8) 定積分は,積分変数をどのような記号で書いても結果は 同じなので,式(29.22)のyに関する積分でyをxと書 き換えてよい。すると与式を得る。
(9) 式(29.21)と式(29.23)が等しいことから与式を得る。
(10) 式(29.24)の両辺の平方根をとればよい。すると右辺に
±がつくが,もともとe−x2 は常に正なので,その積分結 果は正のはず。従ってマイナスはありえない。
答715 (1)
(0,0,1)
(2)
(1,0,0)
(3)
( 1
√2, 1
√2,0)
(4)
( 1
√2,0, 1
√2 )
(5)
(− 1
√2,0, 1
√2 )
(6)
( 1 2√
2, 1 2√
2,
√3 2
)
(7)
(√
√3 2,
√3
√2,−1) (8)
(3 2, 3
2, 3
√2 )
答716
(1) r= 1, θ= π 2, ϕ= 0 (2) r= 1, θ= π
2, ϕ=π 2 (3) r=√
2, θ=π
4, ϕ= π 2 (4) r=√
3, θ= cos−1( 1
√3
)= 0.955 rad
≒54度, ϕ=π 4 (5) r=√
3, θ= cos−1(
− 1
√3
)= 2.186 rad
≒125度, ϕ= π 4 (6) r= 2, θ= π
6, ϕ= 2π 3 答717
(1) −−→OP1= (rsinθ1cosϕ1, rsinθ1sinϕ1, rcosθ1)
−−→OP2= (rsinθ2cosϕ2, rsinθ2sinϕ2, rcosθ2) (2) −−→OP1•−−→OP2=r2{sinθ1sinθ2(cosϕ1cosϕ2
+ sinϕ1sinϕ2) + cosθ1cosθ2}
=r2{sinθ1sinθ2cos(ϕ1−ϕ2) + cosθ1cosθ2} (3)
cosψ=
−−→OP1•−−→OP2
|−−→OP1||−−→OP2|
= sinθ1sinθ2cos(ϕ1−ϕ2) + cosθ1cosθ2
(29.54) (4) P1, P2の間の球面上の最短経路は,この2点を通る 大円上の弧P1P2であり,その長さは,rψである。
(5) 東京(北緯36度,東経140度)をP1, パリ(北緯49度,東経2度)をP2として, θ1= 90−36 = 54度,ϕ1= 140度, θ2= 90−49 = 41度,ϕ2= 2度
を式(29.54)に代入すると, cosψ ≒ 0.049。よっ てψ≒cos−10.049≒1.522ラジアン。よって, 弧 P1P2の長さは,rψ= 9700 km。
答718
(1) 辺P1P4 は, 半径r, 角∆θの円弧で近似できるか ら,その長さは近似的にr∆θに等しい。
(2) 辺P1P2は, 半径rsinθ, 角∆ϕの円弧で近似でき るから,その長さは近似的にrsinθ∆ϕに等しい。
(3) (略)前2問によって, P1P2P3P4の2辺の長さがわ かった。それらの辺は互いに直交しているので, そ
れらの長さを掛け合わせると,長方形P1P2P3P4の 面積を得る。
(4) 式(29.40)について, 被積分関数にϕが無いから, ϕに関する積分は, 単に2π倍に相当する。それに 注意すれば, S = 4πr2 は導けるはず(各自, 計算 せよ)。
答719略。
答 720 導出過程は略(各自考えて記述せよ)。答えは (√
3−1)/48 = 0.01525· · ·,すなわち約1.5パーセント。
答721 u=r, v =θとおいて,x=rcosθ, y=rsinθ だから,ヤコビアンは,
∂(x, y)
∂(r, θ) = det [∂x
∂r
∂x
∂y ∂θ
∂r
∂y
∂θ
]
= det
[cosθ −rsinθ sinθ rcosθ
]
= (cosθ)(rcosθ)−(−rsinθ)(sinθ)
=rcos2θ+rsin2θ=r(cos2θ+ sin2θ) =r (29.55) 従って,式(29.49)は,次式のようになる:
I=
∫
D
g(r, θ)
∂(x, y)
∂(r, θ)
dr dθ =
∫
D
g(r, θ)r dr dθ
■ 答 722 3 次元ユークリッド空間の各点 (x, y, z) が, u, v, wという3つの変数で,
x y z
=
x(u, v, w) y(u, v, w) z(u, v, w)
(29.56)
と表されるとしよう。ここで(x, y, z)はデカルト座標で ある。uがuからu+duまで変わり,vがvからv+dv まで変わり,wがwからw+dwまで変わるようなとき, 点(x, y, z)は,空間内で微小な平行六面体を描く。この 微小平行六面体は,以下の3つのベクトルで張られる:
x(u+du, v, w)−x(u, v, w) y(u+du, v, w)−y(u, v, w) z(u+du, v, w)−z(u, v, w)
=
∂x
∂udu
∂y
∂udu
∂z
∂udu
(29.57)
x(u, v+dv, w)−x(u, v, w) y(u, v+dv, w)−y(u, v, w) z(u, v+dv, w)−z(u, v, w)
=
∂x
∂vdv
∂y
∂vdv
∂z
∂vdv
(29.58)
x(u, v, w+dw)−x(u, v, w) y(u, v, w+dw)−y(u, v, w) z(u, v, w+dw)−z(u, v, w)
=
∂x
∂wdw
∂y
∂wdw
∂z
∂wdw
(29.59)
29.7 解答 153 従って, その体積dV は,
dV = det
∂x
∂udu ∂x∂vdv ∂w∂xdw
∂y
∂udu ∂y∂vdv ∂w∂ydw
∂z
∂udu ∂v∂zdv ∂w∂zdw
= det
∂x
∂u
∂x
∂v
∂x
∂y ∂w
∂u
∂y
∂v
∂y
∂z ∂w
∂u
∂z
∂v
∂z
∂w
du dv dw
(29.60) となる。3次元ユークリッド空間内の領域Dの体積V は,Dをこのような微小な平行六面体に無数に分割して, それぞれの微小体積dV を総和したものだから,
V =
∫
D
dV =
∫
D
det
∂x
∂u
∂x
∂v
∂x
∂y ∂w
∂u
∂y
∂v
∂y
∂z ∂w
∂u
∂z
∂v
∂z
∂w
du dv dw (29.61) となる。ここで出てきた行列式が3次のヤコビアンであ り,それを
∂(x, y, z)
∂(u, v, w) (29.62)
と書く。ここで, 三次元極座標を考え, u= r, v = θ, w=ϕとおくと,ヤコビアンは,式(29.34)より
∂(x, y, z)
∂(r, θ, ϕ) = det
∂x
∂r
∂x
∂θ
∂x
∂y ∂φ
∂r
∂y
∂θ
∂y
∂z ∂φ
∂r
∂z
∂θ
∂z
∂φ
= det
sinθcosϕ rcosθcosϕ −rsinθsinϕ sinθsinϕ rcosθsinϕ rsinθcosϕ
cosθ −rsinθ 0
=· · ·=r2sinθ (29.63) となる(諸君は省略せずに全部計算せよ)。すると, 式 (29.61)は,
V =
∫
D
r2sinθ dr dθ dϕ (29.64) となる。いま,領域Dとして,原点を中心とする半径R の球を考えると,rは0からRまで,θは0からπまで, ϕは0から2πまでの範囲を動くから,式(29.64)は,
V =
∫ 2π 0
∫ π 0
∫ R 0
r2sinθ dr dθ dϕ (29.65) となる。積分の順序を入れ替えると,式(29.43)に一致
する。 ■
一問一答
• 海の中の水圧の分布がスカラー場になるのがわかり ません。圧力は(単位面積当たりの)力だから, ベ クトルのような気がするのですが...
... 海中にいる潜水艦の上面には下向きの力が,下面には 上向きの力がかかるのです(そういう力に耐えるために, 潜水艦は, どちらから力がかかっても均等に耐えられる ような丸っこい形をしているのです)。このように,水圧 の力は, 面に垂直にかかります。つまり「水圧の力の向 き」は,「どういう面を想定するか」で決まるのです。水 圧そのものが向きを持っているのではないのです。
• 太陽天頂角,むずかしかったです。
... また考えてみてください。極座標と内積, 外積をう まく使えば, どんな微妙な状況の太陽方向も計算できま すよ。
• (極座標で)ϕをθにした方が2次元の極座標と記 号が一致して混乱がないのに。
... そうかもね。数学や物理学の慣習には,「こうだった らいいのに」と思うことが結構ありますね。例えば私は sinやcosは「三角関数」より「円関数」と呼ぶべきだ と思います。
155
第 30 章
ベクトル解析 2
30.1 ナブラ演算子と勾配・発散・回転
以前P.40あたりで学んだ,「演算子」について思い出 そう。「微分する」とか「係数をかける」等という,関数 x(t)に対する何らかの「操作」は,形式的にひとまとめ に書き換えることができる。例えば, P.41式(20.14)の ように,関数に対する微分や係数倍などの操作をまとめ たもののことを,「演算子」と呼ぶのだった。
さて, 次式で定義される∇ を ナブラ演算子 (nabla operator)と呼ぶ(ナ プ ラではなくナ ブ ラ):
∇=( ∂
∂x, ∂
∂y, ∂
∂z
) (30.1)
∇は, 偏微分の演算子を3つ,あたかも数ベクトルの ように並べたものである。ナブラ演算子を手書きすると きは,これはベクトル(みたいなもの)であることを示 すために,必ず太字で書こう(ナブラ記号を細字で書い てしまう人が実に多い)。
∇は,スカラー場やベクトル場を操作する演算子であ る。これを使って,これから「勾配」「発散」「回転」とい う3つの新しい概念を定義する。「それが何なんだ」と 思うかもしれないが, そのうちわかる。今は定義をしっ かり頭に入れよう:
まず, ∇ をスカラー場f(x, y, z) に掛ければ, 形式 的に,
∇f =( ∂
∂x, ∂
∂y, ∂
∂z
)f =(∂f
∂x,∂f
∂y,∂f
∂z
) (30.2) となる。その結果は,見てわかるように, 3つの成分を持 つ量,つまりベクトル場である。こうしてできるベクト ル場,すなわち
∇f (30.3)
のことを,「f の 勾配(gradient)」と呼ぶ。f の勾配は,
gradfと書くこともある。
例30.1 f(x, y, z) =x2+y2+z2のとき,
∇f = gradf = (2x,2y,2z) である。
● 問724 スカラー場f(x, y, z) = x2+ 2y3+zの勾 配を求めよ。
こんどは,∇をベクトル場 U(x, y, z) =(
u(x, y, z), v(x, y, z), w(x, y, z)) (30.4) に対して掛けてみよう。と言っても,∇は形式的には数 ベクトルの形をしているし,Uも数ベクトルなので, 単 純な「掛け算」はできないが,「ベクトルとベクトルの 掛け算」つまり内積や外積ならできそうだ。まず内積を やってみると,
∇ •U=( ∂
∂x, ∂
∂y, ∂
∂z
)•(u, v, w)
=∂u
∂x +∂v
∂y +∂w
∂z (30.5)
となる。その結果は,見てわかるように, 1つしか成分が 無い量, つまりスカラー場である。こうしてできるスカ ラー場,すなわち
∇ •U (30.6)
のことを,「Uの 発散(divergence)」と呼ぶ。Uの発散 は, divUと書くこともある。
● 問725 ベクトル場U(x, y, z) = (xyz, x+y+z,2x+
yz)の発散を求めよ。
次に,∇を式(30.4)のベクトル場Uに対して「外積」
してみると,
∇ ×U=( ∂
∂x, ∂
∂y, ∂
∂z
)×(u, v, w)
=(∂w
∂y −∂v
∂z, ∂u
∂z −∂w
∂x, ∂v
∂x −∂u
∂y )
(30.7) となる。その結果は,見てわかるように, 3つの成分を持 つ量, つまりベクトル場である。こうしてできるベクト ル場,すなわち
∇ ×U (30.8)
のことを, 「Uの 回転(rotationまたはcurl)」と呼ぶ。
Uの回転は, rotUとかcurlUと書くこともある。
● 問726 以下のベクトル場Uの回転を求めよ: U(x, y, z) = (xyz, x+y+z,2x+yz) (30.9)
さて, ここで学んだ「勾配」「発散」「回転」は, スカ ラー場やベクトル場にナブラ演算子を適当にかけたもの ではあるが, それにしても何やら意味あり気な名前であ る。実際, それぞれには名前にふさわしい「意味」があ るのだ。それを以後,ゆっくり見ていこう。