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解答

ドキュメント内 生物資源の基礎数学教材 (ページ 181-185)

やラプラシアンは,線型写像(線型微分演算子)である。

例えば, ナブラ演算子をスカラー場に作用させる演算,

つまりgradient(勾配)が線型写像であることを証明し

てみよう: 微分可能なスカラー場f(x, y, z)とg(x, y, z) があるとする。任意のa, b,∈Rについて,

∇(af+bg) =( ∂

∂x(af+bg), ∂

∂y(af+bg), ∂

∂z(af+bg))

=· · ·=a( ∂

∂xf, ∂

∂yf, ∂

∂zf) +b( ∂

∂xg, ∂

∂yg, ∂

∂zg)

=a∇f+b∇g

となる。これはP.53式(21.12)の性質を満たす。従っ て, gradientは線型写像である。

● 問748 以下は線型写像であることを示せ:

(1) divergence。

すなわち,ベクトル場Uに関して∇ •U。 (2) ラプラシアン。

すなわち,スカラー場f に関して△f。

31.8 解答

答737略。

答738略解:

(1) 0.1 kg h1m2 (2) 120 kg

(3) 水の密度は(温度にもよるが), 1g/cm3=1×103 kg

106 m3 = 1×103kg/m3 である。従って, 0.1 kgの水の体積は,

0.1 kg

1×103kg/m3 = 104 m3 すなわち, 0.0001 m3 h1 m2

(4) m3とm2は約分できて, mになるので, 0.0001 m3 h1m2=0.0001 m h1。また, 1 m=1000 mmな ので, 0.0001 m h1=0.1 mm h1。これを(1)の 結果と較べてみよう。単位は違うけど,数値は一致 しているではないか! これは, 1 kgの水を1 m2の 面に広げると厚さが1 mmになることが原因であ る。これは便利なので覚えておこう。

(5) 0.1 mm。 答739略。

答740

(1) 式(31.10)より, 1370×cos(π/6) = 1190 W m2 (2)

1190 J s1 m2

2.5×106 J kg1 = 4.76×104 kg s1 m2 水1 kgは1 m2の平面に伸ばしたら, 1 mmの厚さ になるので,上記のフラックスは,

4.76×104 mm s1に相当する。

答741

(1) 20/cos(π/4) = 28.3 mm h1

(2) 雨の降ってくる方向と斜面の法線ベクトルのなす角 は45−30 = 15度。

従って28.3×cos(15度) = 27.3 mm h1。 (3) 雨の降ってくる方向と斜面の法線ベクトルのなす角

は90−15 = 75度。

従って28.3×cos(75度) = 7.3 mm h1。 答742 

(1) 略(各自計算して確認せよ)。

(2) 略(各自計算して確認せよ)。地道に計算するだけ だが,微分操作に慣れない人にはつまずくことが多 い問題なので,ヒントを示しておく。発散をいきな り計算するのではなく,まず各成分に関する微分を 個々に計算しよう。r= (x2+y2+z2)1/2であるこ とに注意すると, x成分については,

∂x x r3 = ∂

∂xx(x2+y2+z2)3/2

= (x2+y2+z2)3/2+x∂

∂x(x2+y2+z2)3/2

= 1 r3 −x3

2(x2+y2+z2)5/2

∂xx2

=· · ·

1行目から 2行目への変形は「積の微分」の公式 を使った。2行目から3 行目への変形では(x2+ y2+z2)3/2 = 1/r3であることと, 「合成関数の 微分」の公式を使った。このように,微分の外に出 たx2+y2+z2は, 適宜,rを使って書き換えてい くと,処理が楽になる(例えば3行めの第2項にあ る(x2+y2+z2)5/2は1/r5 と書き換えられる)。

同様にy成分, z成分の偏微分も行なって, 最後に 足し合わせると, うまく約分などができて, 最後は 3/r3−3/r3= 0という形になる。

注: この問題は,物理学における,点電荷のつくる電 場の性質をあらわす。

答743

(1) dV =dx dy dz

(2) 面Aは十分に小さく,その付近ではuはほぼ一定で あるとみなせば,面A付近のUは,面A の中心点 (x−dx/2, y, z)でのUで代表される。一方, Uの 3つの成分のうち,vとwは面Aに平行な成分なの で,面Aへの流入量には関係しない。すると, 面A に流入する水量は,u(に単位時間をかけたもの)と 面Aの面積の積に等しい。従って,

f(A) =u( x−dx

2 , y, z) dy dz

(3) 前問と同様に考え,面A’の付近でのUを面A’の 中心点(x+dx2 , y, z)でのUで代表させる。ただし, 面Aのときと違って,面A’に水が流入するときは uがマイナスでなければならない。従って,

f(A’) =−u( x+dx

2 , y, z) dy dz

(4) この直方体に関して,単位時間内に面Aと面A’を 介する水の正味の流入量はf(A) +f(A’)になるの は自明。上の2つの式から,

f(A) +f(A’)

=( u(

x−dx 2 , y, z)

−u( x+dx

2 , y, z)) dy dz (5)

u(x−dx

2 , y, z) =u(x, y, z)−∂u

∂x dx

2 u(x+dx

2 , y, z) =u(x, y, z) +∂u

∂x dx

2 を上の式に代入すれば,

f(A) +f(A’) =−∂u

∂xdx dy dz (6)

f(B) +f(B’) =−∂v

∂ydx dy dz f(C) +f(C’) =−∂w

∂zdx dy dz

より,

f(A) +f(A’) +f(B) +f(B’) +f(C) +f(C’)

−(∂u

∂x+∂v

∂y +∂w

∂z

)dx dy dz

(7) divergenceの定義より,

= divU=∂u

∂x +∂v

∂y+∂w

∂z これを上の式に代入して,

f(A) +f(A’) +f(B) +f(B’) +f(C) +f(C’)

=−(divU)dV

ここでdV =dx dy dzを使った。

答744 

(1) 式(31.38)を線型近似すると, q≒C∆V∂T

∂t∆t

となる。この式を式(31.37)の左辺に代入すると, C∆V∂T

∂t∆t≒−divJ∆V∆t となる両辺を∆V∆tで割ると,

C∂T

∂t ≒−divJ

となる。∆tと∆V がともに0に近づけば近似の精 度は限りなく良くなるので,この≒=に置き換え てよい。すると与式を得る。

(2) 略(ヒント: 式(31.39)のJに式(31.35) を代入す ればよい)。

答745略。

答746 略。(∇ • ∇f を, ∇の定義と内積の計算規則で 展開するだけ)

答747 定常状態では, 場は時間に依存しないので, 式 (31.50)のcはtに依存しない。つまりtに関しては定 数関数とみなせる。従って,∂c/∂t= 0である。従って, 式(31.50)の左辺は0になり, 0 =K△cとなる。両辺 をKで割ると, △c = 0となり, 式(31.51)と同じ形の 方程式,つまりラプラス方程式になる。

答748略。

175

第 32

ベクトル解析 4

この章では,「ガウスの発散定理」と「ストークスの 定理」という2つの定理を学ぶ。この2つの定理は, ベ クトル解析という数学の中核である。これらは, 電磁気 学や流体力学,気象学,移動現象論など,生物資源学類で 必要な多くの物理学を理解する上で大きな手がかりにな る。

32.1 ガウスの発散定理

前章の31.5節では,微小な直方体について水の出入り を考えたが,こんどは,そのような微小な直方体が2つ, 隣接している状況を考えよう。

図32.1を見て欲しい。直方体1は点P1(x1, y1, z1) を中心に持ち, A, A’, B, B’, C, C’という面で構成され るとしよう。直方体2は点P2(x2, y2, z2)を中心に持 ち, D, D’, E, E’, F, F’という面で構成されるとしよう。

面A, A’, D, D’はx軸に垂直とし, 面A’と面Dは同 じ大きさ・同じ形で,互いにぴったりくっついていると する。

図32.1 微小な直方体が2つ隣接する。面A’と面D は,見やすいように隙間があいて描かれているが,実際 はぴったりくっついているものとする。

面B, B’, C, C’, E, E’, F, F’はそれぞれどこにあたる のかはあまり気にしないでよい。ここから後の話では, それらと面A,面D’が,「この2つの直方体をくっつけ

てできるちょっと大きな直方体」の表面を構成する, と いうことだけが大事なのだ。

さて,面X(XはA, A’,B, B’, C, C’のいずれか)を 通って単位時間内に直方体1に流入する水量をf(X)と 書き,面X(XはD, D’,E, E’, F, F’のいずれか)を通っ て単位時間内に直方体2に流入する水量をg(X)と書こ う。すると,式(31.31)より,

f(A) +f(A’) +f(B) +f(B’) +f(C) +f(C’)

=−(divU)1dV1 (32.1) g(D) +g(D’) +g(E) +g(E’) +g(F) +g(F’)

=−(divU)2dV2 (32.2) となる。ここで, 下つきの添字は, どの直方体につい てかを区別するものである。すなわち, dV1,dV2はそれ ぞれ直方体1, 2の体積である。(divU)1, (divU)2 は, それぞれ点P1, P2におけるdivUである。

さて,上の2つの式の各辺を足してみよう。左辺は, f(A) +f(A’) +f(B) +f(B’) +f(C) +f(C’) +g(D) +g(D’) +g(E) +g(E’) +g(F) +g(F’) となる。ところが, A’とDは,ぴったり接している。こ れらの面を介して, もし直方体1 から水が出ていれば それはそっくり直方体2に入るし, 逆も然り。従って, f(A’) =−g(D)である。従って, f(A’) +g(D) = 0で ある。従って,上の式は,

f(A) +f(B) +f(B’) +f(C) +f(C’)

+g(D’) +g(E) +g(E’) +g(F) +g(F’) (32.3) となる。これは,見て分かるように, 2つの直方体が合体 してできた, 少し大きな直方体の全ての面から単位時間 内に流入する水量の和である。

一方,右辺の和は,

−{

(divU)1dV1+ (divU)2dV2

} (32.4)

となる。式(32.3)と式(32.4)が等しいことから, 結局, この合体直方体について, 単位時間内に全表面から流入 する水量の和は, 各直方体について中心点での「水のフ ラックス」の発散に体積をかけたものの, 和に等しいこ とがわかる。

こういうことを,もっとたくさんの直方体1,2,· · ·, m の集合について考えよう。これらは互いに隣接しあっ て, 大きな立体を作るとする。その立体をΩと呼ぼう。

まるで積木細工やレゴブロックでお城や船ができるよう に, どんな形の立体も, たくさんの小さな直方体の集合 で構成できるだろう。そして,立体Ωの表面のことをΣ と呼ぼう*1

さて, この場合, 式(32.3)に対応するのは, 単位時間 内にその立体Ωの全表面Σから入ってくる水量の和に なる。Σはn個の微小な面から構成されるとし,それぞ れの面に番号をつける。k番目(kは1以上n以下の整 数)の面の面積をdSkとする。k番目の面を通って単位 時間内に立体に入ってくる水量は, その面の単位法線ベ クトル(面に垂直で長さが1のベクトルで,立体の内側 から外側に向かう方向)をnkとすると,式(31.16)より

−Uk•nkdSk (32.5)

になる(ここで,Ukは,k番目の面の中心におけるUで ある)。nk とUkが逆向きの時に流入になるから, マイ ナス符号がつくことに注意。式(32.5)を全ての面につ いて考えて,それらを足しあわせると,

n

k=1

Uk•nkdSk (32.6)

となる*2。ここでdSが限りなく0に近いことを思い出 すと,式(32.6)は,

Σ

U•ndS (32.7)

となる(面積分)。これが式(32.3)に対応する式である。

一方,式(32.4)に対応するのは,

−{

(divU)1dV1+ (divU)2dV2+· · ·+ (divU)mdVm

}

=−

m

k=1

(divU)kdVk (32.8)

*1このΣは,和の記号Σと,たまたま同じ記号だが,その意味は 別である。立体の表面のことをΣと呼ぶのは慣習である。「表 面」の英語はsurfaceであり,その頭文字Sに対応するギリシ ア文字だからΣを使うのだ。

*2この式のΣは和の記号である。

となる。dVk が限りなくゼロに近いことを思い出すと, これは,

divUdV (32.9)

となる。これが式(32.4)に対応する式である。式(32.7) と式(32.9)が等しいことから,次式が成り立つ:

ガウスの発散定理

✓ ✏

立体Ωの表面Σに関して,

Σ

U•ndS=

divUdV (32.10)

✒ ✑

これは,式(31.31)を拡張したものと言える。つまり,式

(31.31)は,微小な直方体について,「各面から出入りす

るフラックスの総和」が「発散かける体積」に等しいこ とを述べていたが, 式(32.10)は, それを「微小な直方 体」以外に拡張するのだ。この場合,「発散かける体積」

が,「発散の体積分」に変わるのである。

ガウスの発散定理, すなわち式(32.10)は必ず記憶せ よ。

注意1: ガウスの発散定理は単に「ガウスの定理」と 呼ぶこともある*3

注意2: 左辺の内積の•を書き忘れる人が多い。

注意3: ベクトルを太字で書かなかったり, ベクトル でないものを太字で書いたり, 混乱する人が多い。式 (32.10)では, 左辺のUとn, そして右辺のUが太字

(ベクトル)であり,それ以外は細字である。

注意4: 上の解説では, 水の流れを例にとったが, ガ ウスの発散定理は, 水の流れに限らず, 任意の微分可能 なベクトル場に対してなりたつ。なぜならば, どんなベ クトル場であっても, それを流速分布とするような水の 流れを仮想的に考えれば, 上の議論が成り立つからであ る。

注意5: 式(32.10)左辺の面積分は,文字どおり「面」,

*3ドイツの数学者ガウスは,「数学の王様」と呼ばれるくらい, 量の卓越した数学的発見を残した。ガウスの名前がついた定理 は,数学や物理学のさまざまな分野に存在する。 「ガウスの定 理」といってもたくさんあるので,どの定理かを明示するため に「ガウスの発散定理」と言ったりするのであろう。

32.2 回転(rotation) 177

ドキュメント内 生物資源の基礎数学教材 (ページ 181-185)