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解答

ドキュメント内 生物資源の基礎数学教材 (ページ 123-129)

26.7 解答

答665 略解

(1) 略(代入するだけ。なお, X はtを含まないから,

2/∂t2では定数とみなしてその前に出せる。同様 に, T はxを含まないから ∂2/∂x2 では定数とみ なす。)

(2) 略(式(26.4)の両辺をXT で割る。)

答666式(26.13)を書き換えると, (d

dt −iω)(d dt+iω)

T = 0 (26.82)

これは, (d

dt −iω)

T= 0, (d dt+iω)

T = 0 (26.83) という2つの方程式に分けることができる。これらは いずれも常微分方程式の変数分離法を使って解くこと ができ,解はそれぞれT =α1eiωt, T =α2eiωt とでき

る。式(26.13)は線型同次微分方程式なので, これらの

解の線型結合も解である。従って, 式(26.15)のように できる。

答667略(式(26.13)から式(26.15)を導出する過程を 再現すればよい。ただし,tをxに,T をXに,ωをω/c に読み替える。)

答668略(式(26.20)を式(26.1)の両辺にそれぞれ代入 して計算し,互いに等しくなることを示せばよい。実は 簡単。)

答669 略解

(1) 略(例えば,式(26.20)でa1=b1= 1,a2=b2= 0 とすれば, ψ1 になる。このようにそれぞれの式に ついて,a1, a2, b1, b2を適切に決めてやる)

(2) 三角関数の加法定理を使って, ψ21= cosωtcosωx

c + sinωtsinωx c

= cos(

ωt−ωx c

)= cos(cωt−ωx c

)

= cos(ωx−cωt c

)= cos(ω(x−ct) c

)

残りも同様。

答670

(1) 式(26.20)にx= 0を代入すると,

ψ(0, t) =b2(a1sinωt+a2cosωt) (26.84) となる。式(26.29)より,これがどんなtについても 0に等しい。それには,b2= 0となるか,a1=a2= 0となるしかない。ところが, もしa1=a2 = 0な ら,式(26.20)は恒等的に0になり, 仮定に反する。

従ってb2= 0である。

(2) 前小問の結果(b2= 0)より, 式(26.20)は次式のよ うになる:

ψ= (a1sinωt+a2cosωt)b1sinωx

c (26.85) これをtで偏微分すると,

∂ψ

∂t = (a1ωcosωt−a2ωsinωt)b1sinωx c となる。これにt= 0を代入すると,

∂ψ

∂t(x,0) =a1ωb1sinωx c

となる。式(26.28)より,これが恒等的に0に等し い。それには, a1 = 0又はω= 0又はb1= 0とな るしかない。ところが,もしω= 0なら,式(26.85) が恒等的に0になってしまい,仮定に反する。また, もしb1= 0となっても,式(26.85)が恒等的に0に なってしまい,仮定に反する。従って,a1 = 0とな るしかない。

答671式(26.31)にx=Lを代入すると, ψ(L, t) =AcosωtsinωL

c (26.86)

となる。式(26.30)より, これがどんなtについても0 に等しい。特に,t= 0とすれば,

ψ(L,0) =AsinωL

c = 0 (26.87)

となる。これが成り立つには,A= 0か, sin(ωL/c) = 0 である必要がある。ところがA = 0なら, 式(26.31) は恒等的に0になってしまい, 仮定に反する。従って sin(ωL/c) = 0 である。それが成り立つには, nを任 意の整数として, ωL/c =nπ であればよい。こうして 式(26.32)が得られた。これを変形すれば式(26.33)を 得る。

答672 略。

答673 略。(式(26.35)を式(26.1)の左辺と右辺にそ れぞれ代入して式変形し,両者が等しくなることを示す。

その他の条件についても, 素直に左辺に式(26.35)を代 入して式変形して右辺に到達することを示せばよい) 答674 

(1) n, mは1以上の整数で,n̸=mとする。

⟨ 1

√2, 1

√2

= 1 L

L

L

1

2dx=2L 2L = 1

⟨cosnπx

L ,cosnπx L

⟩= 1 L

L

L

cos2nπx L dx

= (途中計算略) = 1

⟨sinnπx

L ,sinnπx L

⟩= 1 L

L

L

sin2nπx L dx

= (途中計算略) = 1

⟨ 1

√2,cosnπx L

= 1 L

L

L

√1

2 cosnπx L dx

= 1

nπ√ 2

[sinnπx L

]L

L= 0

⟨ 1

√2,sinnπx L

= 1 L

L

L

√1

2 sinnπx L dx

=− 1 nπ√

2

[cosnπx L

]L

L= 0

⟨cosnπx

L ,sinnπx L

⟩= 1 L

L

L

cosnπx

L sinnπx L dx

= (途中計算略) = 0

⟨cosnπx

L ,sinmπx L

⟩= 1 L

L

L

cosnπx

L sinmπx L dx

= (途中計算略) = 0

⟨cosnπx

L ,cosmπx L

⟩= 1 L

L

L

cosnπx

L cosmπx L dx

= (途中計算略) = 0

⟨sinnπx

L ,sinmπx L

⟩= 1 L

L

L

sinnπx

L sinmπx L dx

= (途中計算略) = 0

(2)

f(x), 1

√2

=

⟨P0

√2 +

n=1

{Pncosnπx

L +Qnsinnπx L }, 1

√2

=

⟨P0

√2, 1

√2

⟩ +

n=1

Pncosnπx L , 1

√2

+

n=1

Qnsinnπx L , 1

√2

=P0

となる(ここで(1)で示した, 正規直交基底の性質 を使った)。一方,式(26.40)より,

f(x), 1

√2

= 1 L

L

L

f(x)

√2 dx (26.88) となる。これらをあわせて,式(26.43)が成り立つ。

式(26.44),式(26.45)も同様。

答675 (略解)注: ϕ(x)が奇関数であることに注意せよ。

(1) 式 (26.43) の f(x) を ϕ(x) とする。被積分関数 ϕ(x)/√

2は奇関数なので, 対称な積分区間での積 分は0。よってP0= 0。

(2) 式 (26.44) の f(x) を ϕ(x) とする。被積分関数 ϕ(x) cos(nπx/L)は奇関数なので (奇関数× 偶関 数は奇関数!), 対称な積分区間での積分は0。よっ てPn= 0。

(3) 式 (26.45) の f(x) を ϕ(x) とする。被積分関数 ϕ(x) sin(nπx/L)は偶関数なので(奇関数× 奇関数 は偶関数!), −LからLまでの積分は, 0からLま での積分の2倍に等しい。従って,

Qn = 2 L

L 0

ϕ(x) sinnπx

L dx (26.89)

となる。ϕ(x) = 0となる区間での積分は0なので 考える必要は無い。ϕ(x) =hとなる区間だけを取 り出して,

Qn = 2 L

5L/8 3L/8

hsinnπx

L dx (26.90)

となる。これを計算すると, Qn = 2h

(cos3nπ

8 −cos5nπ 8

) (26.91)

となる。これを三角関数の和積公式(リメディアル 教材参照)で変形すると,与式を得る。

26.7 解答 117 答676 略。(1)では, nが偶数のときsin(nπ/2) の中

身(nπ/2)がπの整数倍になるから, そのsinが0にな ることに注意。

答677 略。以下,ヒント。まず,よくあるのが,グラフに表 示されるxの値がおかしいとか,なぜかψ=xのグラフが表 示される,というケース: これは表計算ソフトでグラフを作る とき誤って「折れ線グラフ」などを選んでいる可能性が高い。

「散布図」を選ぶこと。

次によくあるのは,t= 2のときにグラフがおかしな形にな るケース: t= 2ではψが理論的には至る所で0になるため, 数値計算結果も, 0に近い値になる。それを計算機が勝手に気 をきかせて無理に拡大して表示してくれているのだ。このよ うな場合,縦軸(ψ軸)のスケールに2E-016などという数字 が現れるが,これは2×1016 というものすごく0に近い値 である。縦軸(ψ軸)のスケールを,他の時刻でのグラフと同 じように,例えば−1から1までに設定変更すれば,きれいな グラフになるはずだ。

答678 (略解)線型近似を使って,

J( x−∆x

2 , t)

≒J(x, t)−∂J

∂x(x, t)∆x 2 J(

x+∆x 2 , t)

≒J(x, t) +∂J

∂x(x, t)∆x 2

とできる。これらを式(26.55)に代入すれば, 与式を得 る。

答679 (略解)

(1) 線型近似を使って,

T(x, t+ ∆t)≒T(x, t) +∂T

∂t∆t となる。右辺のT(x, t)を左辺に移項すると,

T(x, t+ ∆t)−T(x, t)≒∂T

∂t∆t

となる。これを式(26.59)の右辺に代入して与式を 得る。

(2) 略(式(26.56)と式(26.60)の右辺どうしを等しい と置いて等式を作り, その両辺を∆x∆tで割れば よい。)

(3) 略(式(26.52)のJ を式(26.61)に代入し, 両辺に

−1をかける。)

(4) 略(式(26.62)右辺の最初の偏微分において,kを定 数として前に出す。)

答680略。(代入してから両辺をX(x)Y(t)で割る)

答681 (略解)

(1) 式(26.66)の両辺が−λに等しいことから, 1

Y

∂Y

∂t =−λ (26.92)

K X

2X

∂x2 =−λ (26.93)

となる。この第 1 式の両辺に Y をかけると式 (26.67)を得るし, 第2 式の両辺にX/K をかけ

ると式(26.68)を得る。各関数は1 変数関数なの

で, 偏微分記号を使い続ける必要は無い為, ∂をd と書きなおした。

(2) 式(26.67)を(常微分方程式の)変数分離法で普通に 解けば式(26.69)を得る。式(26.68)は式(26.12) の解法と同じ(ω2/c2がλ/Kになっただけ)。 (3) 式(26.69)と式(26.70)を式(26.65)に代入してヒ

ントに従えば与式を得る。

答682 (略解)

(1) 式(26.71)にx= 0を代入し,式(26.73)を使うと, ψ(0, t) =a2exp(−λt) = 0 (26.94) となる。これが任意のtに成立するので,特にt= 0 を代入すると,ψ(0,0) =a2= 0となり,a2 = 0を 得る。従って,式(26.71)は次式のようになる:

ψ(x, t) =a1exp(−λt) sin

√λ

Kx (26.95) これにx=Lを代入し,式(26.74)を使うと,

ψ(L, t) =a1exp(−λt) sin

√λ

KL= 0 (26.96) となる。これが任意のtに成立するので,特にt= 0 を代入すると,

ψ(L,0) =a1sin

√λ

KL= 0 (26.97)

が成り立つ。もしa1 = 0なら, この式は成り立つ が, 式(26.71)が恒等的に0になってしまい, あと でどんなに重ね合わせを使っても式(26.72)を満た すことができない。従って,上式が成り立つには,

sin

√λ

KL= 0 (26.98)

となる必要がある。それには, nを任意の整数と

して,

√λ

KL=nπ (26.99)

となることが必要。この式は

√λ K = nπ

L (26.100)

λ=K(nπ L

)2

(26.101) と変形できる。これらを式(26.95)に代入し,a1を Aと書きなおせば,与式を得る。

(2) 略(代入して計算せよ)。 答683略。

一問一答

• 困難なものを作るときには, それを要素に分けて, 解いて, 足して,近似するというのが,重ね合わせの 原理の利用法なのかなと思った。

... まさにそのとおり。歴史で習った, 植民地主義の「分 割統治」”divide and conquer”と同じ発想です(植民地 主義は負の遺産ですが)。それが可能な対象が「ベクト ル」なのです。

• なんか… 線型空間って終わりのないパズルをやって いるみたい。

... 発想の原点は単純で,「線型結合」なんだけどね。

• 今まで学んできた内容が, 次々とつながっていて面 白いと思いました。

... 線型空間と線型写像がわかれば,いろんなものをつな げていける。

• 2年生になったら物理を履修したいです。

... がんばれー。でも,基礎数IIまでマスターしたら,大 学初年級の物理は独学できるよ。自分に合った良い教科 書をこつこつ読んでいくことが大事。ただし, 高校物理 の本はやめたほうがよい。せっかく学んだ数学を使わず に, まだるっこしい説明に付き合わされるからね。最近 では, 琉球大学の前野昌弘先生が書かれた教科書が素晴 らしいと思います: 「よくわかる初等力学」/「よくわ かる電磁気学」/「よくわかる解析力学」/「よくわか る量子力学」いずれも東京図書。数学を恐れずに使うけ

ど, 物理的な発想やイメージも豊かに説明してくれてい ます。大学の講義の経験をたっぷり注いでいるようで, 多くの学生がつまずくところに入念な説明が用意されて います。ただし, なにぶん新刊なので, 誤植がたくさん あります。前野先生のホームページに正誤表が載ってい るので,それを確認してください。

津波が深い所では速く, 浅い所では遅くなる理由が 数学的に分かった気がする。

... それが, 沿岸部で波が高くなる理由です。沿岸部は 浅いので波が遅くなり, 後ろからどんどん波が覆いかぶ さってきちゃう。

• 津波がそれほど速いとは知らなかったです。

... 水深が大きいと,津波はむっちゃ速いです。逆に,津 波の速さからその場所の水深がわかる。

• 微分方程式を解けた時のエクスタシーはヤバい。笑 ... いや,ほんとやばいよね。

• 重ね合わせの原理の重要性がわかりました。

... そう言ってくれて嬉しいけど, この原理は, さらに もっと重要な概念なのです。

• 「線形」と「線型」の使い分けってあるんですか? ... 線型でも線形でもどっちでもOK。私は一応,線型で なるべく統一しています。

• 数学に分野は無いんですね。何にでもリンクするか ら便利だけど逆にややこしくなります。

... 数学に限らず, 「基礎学力」は何にでもリンクしま す。基礎学力なしに「幅広い視野」は無理です。

• 高校の時にベクトルと行列が大好きだったので抽象 的な概念を持つ線型代数の世界へ中々離陸できませ ん。具体的に考えようとしてしまう自分。

... 具体性と抽象性の間を行ったり来たりすることが大 事。幾何ベクトル以外の具体例(関数をベクトルと見る 見方とか)をたくさん考えて下さい。

• 波動もおもしろそうです。

... 面白いよ! 物理の核心には波動がたくさんあります。

物理以外でも, 波動に関連するような現象や概念はたく さんあります。

119

第 27

量子力学入門

これまで学んだ,線型空間,特に計量空間の理論は, 量子力 学, つまり分子や原子のスケールでの物質や光の挙動の原理 の,数学的な基礎である。量子力学は,化学や生化学の基礎理 論なので,生物資源学類でも大切な学問である。例えば,原子 や分子の量や構造を測定するときに使われる,赤外分光法や,

NMR (核磁気スピン共鳴)などの手法は,量子力学が無ければ

理解できない。諸君が「化学」「化学結合論」「基礎化学」など の科目で悩んだ(あるいは悩むであろう)ことの多くは,量子 力学である。

量子力学をきちんと理解するには,普通,物理学や化学の専 門の学部(学類)で,数学と物理学を基礎からみっちり2年間 ほど勉強しないと無理である。しかし,諸君はこれまで一生懸 命勉強してきたので,量子力学の「片鱗」を理解するくらいな らできる数学力を身につけている。

27.1 状態ベクトル

諸君が学んできた物理学は,「運動の3法則」(慣性の 法則, 運動方程式, 作用反作用の法則) を基本原理とし, それをもとに物体が「いつ,どこにいるか」を定めること が興味の対象だった。このような物理学を「ニュートン 力学」という。そしてその目標は, 運動方程式F=ma を微分方程式として解くことで達成されるのだった。

ところが,極微の世界になってくると,物体が「いつ, どこにいるか」が,必ずしも問題設定としてうまくない ことがわかってきた。たとえ話で説明しよう。

いま,君が非常にうまいラーメンを食べている。君は ラーメンに没頭し, 「ラーメンがうまい!」という幸せ で満たされている。そのとき君に携帯電話がかかり, 友 人から, 「おい, 明日提出の基礎数学のレポートできた か?」と聞かれたとする。とたんに君は憂鬱になる。「そ ういえばレポートまだできてない。やばい」...ラーメン のうまさを忘れて,君の頭はレポートのことでいっぱい になる。せっかくうまいラーメンを食ってたのに, 嫌な ことを思い出させた友人に腹が立つ。そうなると, ラー メンもそれほどうまくなくなってきた。聞かれる前は, それなりの心理状態(ラーメンうまい)にあったのに,

「レポートできたか」と聞かれることで別の心理状態(レ ポートやばい)になったのだ。

物体に「どこにいるか」と問うことは, この話に似て いる。君の心理状態が必ずしもレポートの出来具合で決 まるのではないように, 物体の状態は, 必ずしも「どこ にいるか」で決まるとは限らない。ところが「レポート できたか」と聞かれると, その瞬間, 君の心理状態は他 のこと(ラーメンのうまさとか)を忘れて急にレポート だけで決まるようになり, 「どこにいるか」と聞かれる と, その瞬間, 物体の状態はほかのことを忘れて「どこ にいるか」だけで決まるようになる。

なんだか不思議でわけわからない話だが, それは, 例 え話で無理に説明しようとしたからだ。量子力学を理解 するには, 例え話では無理で,多かれ少なかれ,数学が必 要になる。

量子力学では,物体の状態は,「Cを体とする計量空間 の要素(ベクトル)」で表すことができると信じる。そ れを「状態ベクトル」という。そして, 状態ベクトルは, どういうものかは具体的にはイメージできないが, その 物体の状態に関する全ての情報が含まれている, と信じ るのだ。なぜそうなるのかは誰にもわからないが, そう 信じて考えればとにかくつじつまがあうのだ! これは, ちょうどニュートン力学で,F=maという「運動方程 式」を固く信じていれば, 物体の運動をきっちり予測で きたのと同じような状況である。信じるものは救われ る。それが物理学の考え方である。しかし, これは世界 の認識のしかたとして, 大きな飛躍である。ニュートン 力学では「いつどこにいるか」を興味の対象としたのに, 量子力学では, 「状態ベクトル」を興味の対象とするの だ。

さて,状態ベクトルは計量空間の要素だというのだか ら, 当然, 全ての状態ベクトルを表現できる正規直交基 底があるだろう。それがどんなものなのかは知らない

ドキュメント内 生物資源の基礎数学教材 (ページ 123-129)