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解答

ドキュメント内 生物資源の基礎数学教材 (ページ 56-61)

20.6 解答 49 両辺積分して, x1 =a1e0tを得る。同様に, 右の

微分方程式について, x2 =a2e0tを得る。与え られた方程式の解は線型空間をなすから, ここで得 た解の線型結合も解である。従って,

x=a1e0t+a2e0t (6) 略。

(7) 略。

(8) 略。

(9) a = √

x20+ (v00)2 と し, ま た, sinδ = x0/a,cosδ = v0/(aω0)となるようにδを選べば, 与式のようになる(三角関数の合成)。

答567略。

答568

(1) A−→Bの反応速度は, Aの量に比例する。その比

例係数をk1 とすると, 式(20.44)が成り立つ*11。 B−→Cの反応では, Bの量(つまり[B])に比例す る速度でCが生成され, その比例係数はk2である から, 式(20.46)が成り立つ。さて, Bはk2[B]と いう速度でCに変化する(そのぶん[B]は減ってい く)が, 一方で, Aがk1[A]という速度でBに変化 する(そのぶん[B]は増えていく)。これらを合わせ て考えれば,式(20.45)が成り立つ。

(2) 略解: 式(20.45)の両辺をtで微分すると, 次式に なる:

d2[B]

dt2 =k1

d[A]

dt −k2

d[B]

dt

この式の, 右辺第1項のd[A]/dtを, 式(20.44)で 置き換えると,

d2[B]

dt2 =−k21[A]−k2

d[B]

dt

この式の,右辺第1項の[A]を,式(20.45)で消去す ると,

d2[B]

dt2 =−k1

(d[B]

dt +k2[B])

−k2d[B]

dt これを整理すると,式(20.47)を得る。

(3) 略(式(20.47)に演算子法の考え方を適用する。) (4) 略(演算子法)

(5) 式(20.49)において,t= 0とすると, [B](0) =a+b。

*11これがわからない人は「数学リメディアル教材」の第6章の中 の「化学反応速度論」の節を復習せよ。

ところが, [B](0)=0だから, a+b = 0。従って, b=−a。従って,式(20.49)は,

[B] =a(ek1t−ek2t) (20.72) となる。この両辺をtで微分すると,

d[B]

dt =a(−k1ek1t+k2ek2t) (20.73) この式にt= 0を代入すると, t = 0でd[B]/dt= a(−k1+k2)となる。ところが, 式 (20.45)より, t= 0のときはd[B]/dt=k1A0であるから,結局, t = 0でd[B]/dt=a(−k1+k2) = k1A0 となる。

従って,

a= k1A0

k2−k1

となる。これを式(20.72)に代入して, 式(20.50) を得る。

答569略。

答570略。

答571 (1)

2f

∂x2 = 2, ∂2f

∂y2 =−2 (20.74)

よって,

2f

∂x2 +∂2f

∂y2 = 0 (20.75)

(2)

2f

∂x2 = 2

x2+y2 − 4x2

(x2+y2)2 (20.76)

2f

∂y2 = 2

x2+y2 − 4y2

(x2+y2)2 (20.77) よって,

2f

∂x2 +∂2f

∂y2 = 4

x2+y2 − 4x2+ 4y2 (x2+y2)2 = 0

(20.78)

答572

∂f

∂x = −x

(√

x2+y2+z2)3

2f

∂x2 = −1 (√

x2+y2+z2)3 + 3x2 (√

x2+y2+z2)5 同様に,

2f

∂y2 = −1 (√

x2+y2+z2)3 + 3y2 (√

x2+y2+z2)5

2f

∂z2 = −1 (√

x2+y2+z2)3 + 3z2 (√

x2+y2+z2)5 従って,

2f

∂x2 +∂2f

∂y2 +∂2f

∂z2

= −3

(√

x2+y2+z2)3+ 3x2+ 3y2+ 3z2 (√

x2+y2+z2)5 = 0

答573

(1) f1(x, y)∈Xとする。すなわち,

2f1

∂x2 +∂2f1

∂y2 = 0 である。すると,

2(αf1)

∂x2 +∂2(αf1)

∂y2 =α(∂2f1

∂x2 +∂2f1

∂y2 )= 0 である。従って,αf1(x, y)∈X。

(2) f1(x, y)∈Xかつf2(x, y)∈X,すなわち,

2f1

∂x2 +∂2f1

∂y2 = 0, ∂2f2

∂x2 +∂2f2

∂y2 = 0 とする。すると,

2(f1+f2)

∂x2 +∂2(f1+f2)

∂y2

=(∂2f1

∂x2 +∂2f1

∂y2

)+(∂2f2

∂x2 +∂2f2

∂y2 )

= 0

である。従って,f1(x, y) +f2(x, y)∈X。 (3) (1)と(2)より, X は線型空間の2つの条件を満た

す。従ってXは線型空間。 ■ 答574〜2略。

答3 (発展) N0= 20のときの解は,図20.3の実線のよ うになる。一方, N0 = 10のときの解(図20.3の太い

1020 50 100 150 200 300 400

2 4 6 8

O t

N

α=1.0, β=0.005, N0=10 α=1.0, β=0.005, N0=20 Twice of the first line

図20.3 ロジスティック方程式の解(薄い点線以外)。

点線)を2倍したものは,図20.3の細い点線のようにな る。もしロジスティック方程式が線型同次微分方程式な ら, 実線と細い点線は一致するはずだが, 見て明らかな ように, 実際は一致しない。従ってロジスティック方程 式は線型同次微分方程式ではない。 ■

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第 21

線型代数 3: 線型写像と線型微分演算子

線型代数学の舞台は線型空間だが,そこで活躍する主役は2 つ: ひとつはベクトル,もうひとつは本章で学ぶ「線型写像」

という概念である。線型写像はシンプルな概念だが,とても適 用範囲が広い。微分や積分までもが線型写像とみなされてし まうのだ。それは,ベクトルの数学を,微分積分と融合すると いう離れ業をやってのけるのだ。

21.1 写像

ふたつの集合について, 片方の集合(ここでは集合X と呼ぼう)のそれぞれの要素に,もう片方の集合(ここで は集合Y と呼ぼう)の要素をひとつずつ対応させるよ うな対応関係のことを,「集合Xから集合Y への 写像 (mapping)」という。

例21.1 学食のメニュー(かつどん, ざるそば, 等)に は, それぞれ整数(円)で値段がついている。この場合,

「学食の値段」とは,「学食の全てのメニューからなる集 合」から「整数の集合」への写像である。(例おわり)

例21.2 諸君は, それぞれ, 出身高校を持っている。こ の場合,「出身高校」とは,「筑波大学生物資源学類の学 生からなる集合」から「世の中の全ての高校の集合」へ の写像である。(例おわり)

ここで,注意してほしいのだが,「集合Xから集合Y への写像」というとき,集合Xの要素にはかならず集合 Y の要素がどれか対応しなければならないが, その逆, つまり集合Y の要素にはかならずしも集合Xの要素は 対応していなくてもよいのだ*1

例21.3 21.1の続きを考える。学食では, かつどん は400円, ざるそばは300円, というように, 全てのメ

*1集合Y のどの要素にも集合Xの要素が対応しているような写 像を「全射」と呼ぶ。

ニューに整数(値段)がついていなければならないけど,

「−300円」とか「1億円」などという値段のメニューは, 学食にはふつう,存在しない。(例おわり)

例21.4 21.2の続きを考える。筑波大学生物資源学 類に卒業生を輩出していない高校も世の中にたくさんあ る。(例おわり)

もうひとつ注意してほしいのは,「集合Xから集合Y への写像」というとき,集合Xの要素に対応する集合Y の要素は, 必ず「ひとつだけ」でなくてはならない。

例21.5 21.3の続きを考える。ざるそばの値段が 300円と 400円という2つのケースがある, というの はダメである。商売としてダメというのではなく, 「写 像」という数学的な考え方に乗らないという意味でダ メ。(例おわり)

一方, 集合Y の要素に対応する集合X の要素は, 複 数あってもかまわない*2。ざるそばとざるうどんが同じ 値段300円であってもかまわないし,同じ高校を卒業し た複数の学生がこの学類に入学する, ということはよく ある。

「集合X から集合Y への写像」というときの「集合 Y」が数(整数,実数, 複素数などなど)の集合であるよ うな場合, 写像と言わずに「関数」と言うこともある。

つまり, 関数は写像の一種である。行き先が数であるよ うな写像を関数と言うのだ。上の例21.1では,「学食の 値段」は関数と言えるが,例21.2の「出身高校」は関数 とは言えない。

● 問577 写像とは何か?

*2集合Y の要素に対応する集合Xの要素が複数存在することが ないような写像を「単射」と呼ぶ。

● 問578 関数とは何か?

さて, 「ある写像f は, 集合X から集合Y への写像 である」ということを,

f :X →Y (21.1)

と書く*3。上の例21.1・例21.2では, 学食の値段:学食の全メニュー→Z

出身高校:生物資源学類の全学生→世の中の全高校 となる。ただし,実際のところ,写像の名前は,「学食の 値段」とか「出身高校」というようなものではなく,f と かgとか, アルファベットなどを使って, もったいぶっ て書くことが多い。しかしそのような場合は,

f :X →Y

と書いたところで, 具体的にどういうルールでX の要 素にY の要素を対応させるかがわかりづらくなってし まう。そこで, 具体的な対応のルールを以下のように 書く:

f :x7→y (21.2)

ここでxはXの要素であり, yはY の要素である。例 えば,「学食の値段」という写像をf と呼ぶならば,

f :学食のメニューのどれか7→そのメニューの値段 であるし,「出身高校」という写像をgと呼ぶならば,

g:生物資源学類学生のだれか7→その学生の出身高校 である。

このような対応関係は, 具体的に以下のように書くこ ともある*4

f(かつどん) = 400 g(桜木花道) =湘北高校

ここで注意して欲しいのだが,「写像」といったとき, 要素どうしの対応関係には, 何らかのわかりやすいルー ル(必然性)は,必ずしも必要ではない。ルールはどうで あれ, 対応しさえすれば写像なのだ。その具体的な対応 関係が,その写像の定義なのだ。

例21.6 21.1のように,学食のメニューに「円単位で

*3”:”は「コロン」と読む。ついでに言えば, ”;”は「セミコロン」

と読む。

*4この「桜木花道」は架空の生物資源学類生であり,「湘北高校」

は架空の高校である。

の値段」というルールでひとつずつ数字(整数)を対応 づけることができ, それは立派に写像となるのだが, そ れ以外にも, 「かつどんは−20」「ざるそばは5163」と いうように, 勝手にテキトーに数字を対応させても,そ れは写像と言ってよいのだ(ただし, いったん決めた対 応関係を変えてはならない)。(例おわり)

よくある質問5 7→の違いは何ですか? ... テキストを よく読んで下さい。→は集合どうしの対応関係を,7→は要素 どうしの具体的な対応関係を表す記号です。

さて, 本章の冒頭で述べたように, 数学の様々な概念 は, ここで学んだ集合と写像の考え方を使って表現し, 取り扱うことができる。

例21.7 足し算という概念は, 「2つの実数」に「ひと つの実数」を対応させる対応関係(写像)である。「2つ の実数のペア」からなる集合は,R2である*5から,結局,

「足し算」とはR2からRへの写像である。この写像を f と書くと,

f :R2→R (21.3)

であり,

f : (x, y)7→x+y (21.4)

であり,

f(x, y) =x+y (21.5)

である。(例おわり)

例21.8 3次元の数ベクトルの内積」という概念は,

「2つの(3次元)数ベクトル」に「ひとつの実数」を対 応させる写像である。「2つの(3次元)数ベクトルのペ ア」からなる集合は,R3×R3であるから*6,この写像を f と書くと,

f :R3×R3→R (21.6)

*5R2RRの直積。要するに2つの実数の組からなる集合。

わからない人は数学リメディアル教材で「直積」を復習せよ!

*6これをR6 と考えても構わない。ただし,「数字が3つ並んだ ものの2つのペア」と「数字が6つ並んだもの」の間には, 覚的な違いがある(数学的には違いは無いが)ので,その感覚を 表現したいときは,R3×R3と書くほうがわかりやすい。

21.2 線型写像 53

ドキュメント内 生物資源の基礎数学教材 (ページ 56-61)