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解答

ドキュメント内 生物資源の基礎数学教材 (ページ 147-156)

(1) 式(28.42)において,a=e2,b=e1,c=e3とおけ ば与式を得る。

(2) 式(28.42), 式(28.43), 式(28.44)で明らかなよう に,V は2つの変数(ベクトル)を入れ替えると,符 号が変わる。そのことを繰り返し使って,

V(e1,e2,e3) =−V(e2,e1,e3) =V(e2,e3,e1) V(e1,e2,e3) =−V(e1,e3,e2) =V(e3,e1,e2) 従って与式を得る。

(3) 前小問の証明過程で,次式も明らかになった:

V(e2,e1,e3) =V(e1,e3,e2) また,

V(e2,e1,e3) =−V(e2,e3,e1) =V(e3,e2,e1) 従って与式を得る。

(4) a = a1e1+a2e2+a3e3。これと式 (28.35), 式 (28.38)より,

V(a,b, c) =a1V(e1,b,c) +a2V(e2,b,c) +a3V(e3,b,c) (5) 前小問でaについてやったのと同様に,

b=b1e1+b2e2+b3e3 c=c1e1+c2e2+c3e3

についても式 (28.36), 式(28.37), 式 (28.39), 式 (28.40)を用いて展開すると,

V(a,b, c) =a1b1c1V(e1,e1,e1) +a1b1c2V(e1,e1,e2) +a1b1c3V(e1,e1,e3) +a1b2c1V(e1,e2,e1) +a1b2c2V(e1,e2,e2) +a1b2c3V(e1,e2,e3) +· · ·

+a3b3c3V(e3,e3,e3)

ここで, 式(28.34)より,V(e1,e1,e2)などのよう に同じベクトルが引数としてV に与えられると0 になるから,上の式の右辺で0にならずに残るのは e1, e2,e3 がひとつずつ引数としてV に与えられ

ている項だけである。従って,

V(a,b, c) =a1b2c3V(e1,e2,e3) +a1b3c2V(e1,e3,e2) +a2b1c3V(e2,e1,e3) +a2b3c1V(e2,e3,e1) +a3b1c2V(e3,e1,e2) +a3b2c1V(e3,e2,e1) 一方,式(28.42),式(28.43),式(28.44)より,

V(e1,e3,e2) =−V(e1,e2,e3) V(e2,e1,e3) =−V(e1,e2,e3) V(e2,e3,e1) =V(e1,e2,e3) V(e3,e1,e2) =V(e1,e2,e3) V(e3,e2,e1) =−V(e1,e2,e3) 従って,

V(a,b, c) =a1b2c3V(e1,e2,e3)

−a1b3c2V(e1,e2,e3)

−a2b1c3V(e1,e2,e3) +a2b3c1V(e1,e2,e3) +a3b1c2V(e1,e2,e3)

−a3b2c1V(e1,e2,e3) ここから与式を得る。

(6) 略(前小問より自明)。

答696 

(1) (a×b)•a=V(a,b,a)。これはP.133式(28.34) より0。(a×b)•b=V(a,b,b)。これもP.133式 (28.34)より0。

(2) 前小問より自明。

答697 本文の解説で明らかになったように, a×bの大 きさは,a,bが張る平行四辺形の面積に等しい。この平 行四辺形について,|a|を底辺とすると,高さは|b|sinθ。 従って,面積は底辺掛ける高さで|a||b|sinθ。

答698  (1)

b×a=

b2a3−b3a2

b3a1−b1a3

b1a2−b2a1

=−

a2b3−a3b2

a3b1−a1b3

a1b2−a2b1

=−a×b

28.5 解答 141 (2)

a×a=

a2a3−a3a2

a3a1−a1a3

a1a2−a2a1

=0 (3)

(a×b)•a=

a2b3−a3b2

a3b1−a1b3

a1b2−a2b1

•

 a1

a2

a3

= (a2b3−a3b2)a1

+(a3b1−a1b3)a2

+(a1b2−a2b1)a3

=· · ·= 0 (4)

(a×b)•b=

a2b3−a3b2

a3b1−a1b3

a1b2−a2b1

•

 b1

b2

b3

= (a2b3−a3b2)b1

+(a3b1−a1b3)b2

+(a1b2−a2b1)b3

=· · ·= 0 (5)

(a+b)×c=

(a2+b2)c3−(a3+b3)c2

(a3+b3)c1−(a1+b1)c3

(a1+b1)c2−(a2+b2)c1

=

a2c3−a3c2

a3c1−a1c3

a1c2−a2c1

+

b2c3−b3c2

b3c1−b1c3

b1c2−b2c1

=a×c+b×c (6)

(pa)×b=

pa2b3−pa3b2

pa3b1−pa1b3

pa1b2−pa2b1

=p

a2b3−a3b2

a3b1−a1b3

a1b2−a2b1

=p(a×b)

答699略。

答700行列式の大切な性質(3)より,第i列と第j列を 入れ替えると行列式は符号が変わるはずである。すな わち,

det[a1,· · · ,ai,· · · ,aj,· · ·,an]

=−det[a1,· · · ,aj,· · · ,ai,· · ·,an]

である。ところが,ai=ajなのだから,第i列と第j列 を入れ替えても行列は変わらないので, 行列式の値も変 わらないはずである:

det[a1,· · · ,ai,· · · ,aj,· · ·,an]

= det[a1,· · · ,aj,· · · ,ai,· · ·,an] 上の2式が等しいことから,

−det[a1,· · · ,aj,· · · ,ai,· · ·,an]

= det[a1,· · · ,aj,· · · ,ai,· · ·,an] となる。左辺を右辺に移項して2で割れば,

0 = det[a1,· · ·,aj,· · · ,ai,· · · ,an] となり,従って,

det[a1,· · · ,ai,· · · ,aj,· · ·,an] = 0 となる。

答701行列式の大切な性質(2)より, det[a1,a2,· · ·,ai+paj,· · ·,an]

= det[a1,a2,· · ·,ai,· · ·,an] +pdet[a1,a2,· · ·,aj,· · ·,an]

となる。ところが, det[a1,a2,· · ·,aj,· · ·,an] に着目 すると, 第i列と第j列に同じ列ベクトルaj が入って いる。問700 より,この行列式は0である。従って,

det[a1,a2,· · ·,ai+paj,· · ·,an]

= det[a1,a2,· · ·,ai,· · ·,an]

= detA

答702対角行列をAとし, その次数をnとする。

A=

a1 0 0 ... 0 0 a2 0 ... 0 0 0 . .. ... 0 ... ... ... . .. ...

0 0 0 ... an

と置く。第1列について, detは線型写像だから,

detA=a1det

1 0 0 ... 0

0 a2 0 ... 0 0 0 . .. ... 0 ... ... ... . .. ...

0 0 0 ... an

となる。同様に,第2列,第3列, ...について,それぞれ

detが線型写像であることを順に使うと,

detA=a1a2· · ·andet

1 0 0 ... 0

0 1 0 ... 0

0 0 . .. ... 0 ... ... ... . .. ...

0 0 0 ... 1

となる。右辺に現れた行列は単位行列だから, その行列 式は1である。従って, detA=a1a2· · ·anとなる。

答703

det

1 2 2 1 4 4 1 6 5

 (28.83)

↓ (2列)−2×(1列), (3列)−2×(1列)

=det

1 0 0 1 2 2 1 4 3

 (28.84)

↓ (1列)−(1/2)×(2列), (3列)−(2列)

=det

1 0 0

0 2 0

−1 4 −1

 (28.85)

↓ (1列)−(3列), (2列)+4×(3列)

=det

1 0 0

0 2 0

0 0 −1

 (28.86)

変形2

=2×(−1)×det

1 0 0 0 1 0 0 0 1

=−2 (28.87)

注: 式(28.85)で列基本変形を終了し, その時点での対

角成分を掛け合わせるだけでもよい。

答704第1列と第4列を入れ替え,第2列と第3列を入 れ替えると, 行列は単位行列になり, 行列式には(−1)2 がかかる。従って,行列式は1。

答705略。

ちなみに,この問題を, 統計解析ソフトRを使ってや る方法(コマンド)を以下に示す:

A<-rbind(c(1,2,2,1), c(2,5,4,-1), c(1,6,5,1), c(2,5,4,1))  (↑ 行列を定義)

det(A)

 (↑ 行列式を計算)

答706 略。ヒント: AA1 =Iの両辺の行列式を考え る。det(I) = 1である。

答707 略。ヒント: tQ=Q1の両辺の行列式を考え, 式(28.82)と式(28.81)を使う。

答708略(発展問題なので)。 答709略(発展問題なので)。

一問一答

• 別の列ベクトルにまた別の列ベクトルのスカラー倍 を加えても行列式の値が変わらないのは, 式の上で はわかりましたが,感覚的にはとても不思議です。

... よい質問です。2次の行列式で考えるとわかりやす い。その場合,行列式は平行四辺形の面積です。図28.7 を見て下さい。片方の列ベクトルにもう片方の列ベクト ルのスカラー倍を加えるという事は, 平行四辺形を, 高 さを変えずに歪ませることに相当します。面積は変わら ない。だから行列式も変わらない。

図28.7

• 太字で書くべきところとそうでないところで混乱し ています。

... 一般論を語る時のベクトルは太字。幾何ベクトルや 数ベクトルも太字。集合や関数や行列は細字。でもR やCは太字。

• 定義が多すぎて覚えるのに苦労する。

... その苦労はいずれ報われます。

143

第 29

ベクトル解析 1

ユークリッド空間(普通の平面や3次元空間)におけるベ クトルは,高校で学んだように,素朴な意味で「大きさと向き を持つ量」つまり幾何ベクトルである。それは例えば,力,変 位, 速度,加速度,風速,流速,電場,磁場などである。これら を扱うためには,幾何ベクトルの微積分に関する数学が必要に なる。それを「ベクトル解析」という。これは秋学期の「物理 学」で扱う電磁気学の基礎であり,水や熱などの「流れ」全般 に関わる基礎でもある。また,経済学で出てくる最適化問題と も,密接に関係している。

29.1 スカラー場とベクトル場

ユークリッド空間の一部の領域または全領域につい て,領域内の全ての点にそれぞれひとつの値がある(対 応する)ような概念(存在)のことを「場」という。例 えば「部屋の中の気温の分布*1」は, 部屋*2の中の各点 に, その点の温度が対応する概念であるから, 一種の場 である。だから温度分布のことを「温度場」と言うこと もある。温度はスカラー(大きさだけを持ち, 方向は持 たない量)である。このように値がスカラーであるよう な場を「スカラー場」と呼ぶ。

また例えば, 「部屋の中の風速の分布」は, 部屋の中 の各点に, その点での風速が対応する概念であるから, これも一種の場である。だから風速分布のことを「風速 場」と言うこともある。風速はユークリッド空間のベク トル(大きさと方向も持つ量)である。このように値が ベクトルであるような場を「ベクトル場」と呼ぶ。

場を数学的に扱うことを考えよう。まず, スカラー場 を考える。ユークリッド空間の点は, デカルト座標であ らわせば, (x, y, z)のようにR3の要素で表現できるし, スカラーはRの要素で表現できる*3。スカラー場は, 空

*1まぎらわしいが,これは「確率分布」の分布ではなくて,どこに どのくらいの大きさの値があるかという空間分布を意味する。

*2それは3次元ユークリッド空間の一部の領域である。

*3もちろんスカラーとして複素数を考えたければ,ここはRでは なくてCになるが,今は実数に限定して考えよう。

間の各点(x, y, z)にスカラーが対応するようなものだか

ら,R3からRへの写像と考えることができる。つまり, スカラー場は,

f(x, y, z) (29.1)

のように,R3からRへの写像(3変数関数)で表現され るのだ。

こんどはベクトル場を考えよう。ここでいうベクト ルとはユークリッド空間のベクトル, つまり「大きさと 方向を持った量」のことだから, 適当な基底を選べば, (u, v, w)のようにR3の要素で表すことができる。する と,ベクトル場は,空間の中の各点(x, y, z)に,ベクトル (u, v, w)が対応するものだから,R3からR3への写像と 考えることができる。つまり,ベクトル場は,

U(x, y, z) =(

u(x, y, z), v(x, y, z), w(x, y, z))

(29.2) というような, R3からR3への写像(3つの3変数関数 の組み合わせ, すなわち3変数ベクトル値関数) で表現 されるのだ*4

● 問710 以下の場は,スカラー場かベクトル場か? (1) 部屋の中の湿度の分布

(2) 海の中の水圧の分布

● 問711 スカラー場

f(x, y, z) =x2+ 2y3+z (29.3) について, (1,2,3)における値を求めよ。

● 問712 ベクトル場

U(x, y, z) = (xyz, x+y+z,2x+yz) (29.4) について, (1,2,3)における値を求めよ。注: Uは太字!

*4「U(x, y, z)」を「U= (x, y, z)」と誤解しないように。

物理学,特に電磁気学でよく出てくるのが,「電場」と

「磁束密度」である。それぞれは,以下のように定義され る: 空間の中に,微小な電荷qを持った粒子がvという 速度で運動しているとき, その粒子が受ける力Fが, あ る2つのベクトル場E,Bによって

F=qE+qv×B (29.5)

と表されるとき,Eを 電場,Bを 磁束密度,という。

EとBをまとめて電磁場と呼ぶ。

式(29.5)の右辺の×は外積(ベクトル積)である。

上の定義で,qを微小としたのは,以下の理由による: も しqが大きな値ならば, その電荷が, 周りの他の電荷に 影響を及ぼし, 電荷の分布の様子が変わってしまい, そ の結果, EやBも変わってしまう可能性がある。その 可能性を排除するために,qを微小としたのだ。実際は, 微小でない電荷であっても, EやBが既に決定してい る状態であれば,式(29.5)は成り立つ。

スカラー場やベクトル場は, 2次元ユークリッド空間

(つまり平面)で考えることもある。つまり,平面内の各 点にスカラーが対応するのが2次元のスカラー場であ り, それはR2からRへの写像(2変数関数)で表現さ れる。例えば,「物理学実験」の「等電位線」で扱った, 金属箔の面上の電位は平面のスカラー場である。

また,平面内の各点に平面ベクトルが対応するのがR2 のベクトル場であり,それはR2からR2への写像(2つ の2変数関数の組み合わせ)で表現される。例えば,「物 理学実験」の「等電位線」では,金属箔を流れる電流密度

(に箔の厚さをかけたもの)は平面のベクトル場である。

29.2 2 次元極座標上での積分

数学リメディアル教材で, 面積分や体積分を学んだ。

特に面積分では,平面をx軸とy軸に平行な線群によっ て微小な矩形*5に分割した。実は, これ以外にも面の分 割のやり方がある。例として, 極座標による面積分を学 ぼう。

図29.1のように,平面を,原点を中心とするいくつも の同心円と, 原点から四方八方に放射状に伸びるいくつ もの直線で分割する。隣どうしの同心円の間隔を∆rと し, 隣どうしの直線どうしのなす角を∆θとする。図の

*5「くけい」と読む。長方形のこと。

図29.1 2次元極座標の面積分

ように,点P1, P2, P3, P4を考える。それぞれの位置を 極座標で表すと,

P1:r, θ P2:r, θ+ ∆θ P3:r+ ∆r, θ+ ∆θ P4:r+ ∆r, θ

である。この4つの点を頂点とし,同心円と直線で囲ま れる「歪んだ四角形」を考えよう。平面は, このような 四角形(無論,場所によって向きも形も大きさも違うが)

で敷き詰められているとみなせる。

この「歪んだ四角形」は, ∆θが微小であれば,長方形 として近似できる。つまり, 本来は辺P1P2 と辺P4P3

は扇形の弧だからどちらもまっすぐではないし, P4P3

の方がわずかに長そうだが, ∆θ が微小であれば, これ らを同じ長さの直線と近似できそうだ。また, 辺P2P3

と辺P1P4は本来は平行ではないが, ∆θが微小であれ ば, これらを平行な直線と近似できそうだ。というわけ で, この四角形の面積∆Sは,辺P1P2の長さ(r∆θ)と 辺P1P4の長さ(∆r)を掛けて,

∆S ≒r∆r∆θ (29.6)

となる。

半径Rの円を, このようなやりかたで分割すると, そ の面積は,

θ

r

∆S≒∑

θ

r

r∆r∆θ (29.7)

となる。ここで∑

θは0≤θ≤2πの区間を分割する場

ドキュメント内 生物資源の基礎数学教材 (ページ 147-156)