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解答

ドキュメント内 生物資源の基礎数学教材 (ページ 192-196)

答749 

(1) Σは原点中心, 半径aの球面だから, その上の点

は, 原点からの距離がaである。従ってΣ上の点 (x, y, z)において, x2+y2+z2 = a2である。一 方, その点において, U = (x, y, z) なので, |U| =

√x2+y2+z2=√

a2=aである。

(2) 略(問729(3)でa= 1とすれば明らか)。

(3) 前小問より, Σ上ではどこでも, Uとnは平行で ある。従って, それらのなす角の余弦は1である。

従って,U•n=|U||n|=|U|=a。

(4)

Σ

U•ndS=

Σ

a dS=a

Σ

dS= 4πa3 (5) divU=∂x

∂x +∂y

∂y +∂z

∂z = 1 + 1 + 1 = 3 (6)

divUdV =

3dV = 3· 4πa3

3 = 4πa3

答750 

(1) x= 0の面Aでは,U= (0, y, z),n= (−1,0,0)で ある。従ってU•n= 0。従って与式が成り立つ。

(2) x= 2の面A では, U= (2, y, z), n= (1,0,0)で

ある。従ってU•n= 2。従って与式は

A

2dS= 2

A

dS= 2×15 = 30

となる(面A の面積が3×5 = 15であることを 使った)。

(3) y = 0の面B やz= 0の面Cでは,小問(1)と同 様に考えて,

B

U•ndS=

C

U•ndS= 0

である。また, y = 3の面B やz = 5の面C で は,小問(2)と同様に考えて,

B

U•ndS=

C

U•ndS= 30 である。従って,

Σ

U•ndS= 0 + 0 + 0 + 30 + 30 + 30 = 90 (4) divU= 3であり, Ωの体積は2·3·5 = 30なので,

divUdV =

3dV = 3×30 = 90 答 751 略 (それぞれ, 式(30.7) に代入して計算する だけ)。

答752

rot (ω×r) =

∂x

∂y

∂z

×

ω2z−ω3y ω3x−ω1z ω1y−ω2x

=

∂y1y−ω2x)−∂z3x−ω1z)

∂z2z−ω3y)−∂x1y−ω2x)

∂x3x−ω1z)−∂y2z−ω3y)

=

ω1−(−ω1) ω2−(−ω2) ω3−(−ω3)

=

 2ω1

2

3

= 2ω

答753

∇ ×(∇f) =

∂x

∂y

∂z

×

∂f

∂x∂f

∂y

∂f

∂z

=

∂y

∂f

∂z∂z

∂f

∂y

∂z

∂f

∂x∂x

∂f

∂z

∂x

∂f

∂y∂y ∂f∂x

=

2f

∂y∂z∂z∂y2f

2f

∂z∂x∂x∂z2f

2f

∂x∂y∂y∂x2f

=

2f

∂y∂z∂y∂z2f

2f

∂z∂x∂z∂x2f

2f

∂x∂y∂x∂y2f

=

 0 0 0

ここで, 高階の偏微分は順序を入れ替えても変わらない ことを使った(わからぬ人はリメディアル教材の最終章

32.6 解答 185 を見よ)。

答754

∇ •U=ux+vy+wz (32.68)

∇ ×U=

 wy−vz

uz−wx

vx−uy

 (32.69)

答755以下,偏微分を下付き添字で書き表す。

∇ •(∇ ×U) =∇ •

 wy−vz

uz−wx

vx−uy

=wxy−vxz+uyz−wxy+vxz−uyz = 0

答756略。

答757略。

答758  (1)









−→OA =r−a/2−b/2

−→OB =r+a/2−b/2

−→OC =r+a/2 +b/2

−→OD =r−a/2 +b/2

(32.70)

より,

−→AB =−→OB−−→OA =a

−→BC =−→OC−−→OB =b

−→CD =−→OD−−→OC =−a

−→DA =−→

OA−−→

OD =−b (2) 前小問より,−→

DC =−−→

CD =aかつ−→

AD =−−→

DA = bとなる。従って, −→AB =−→DC, −→BC =−→AD。どの向 かい合う2辺も平行なので, 四角形ABCDは平行 四辺形。

(3) 四角形ABCDの中心の位置ベクトルは, 1

4(−→OA +−→OB +−→OC +−→OD)

となる。これに式(32.70)を代入すると, r, すなわ ち点Pの位置ベクトルになる。

答759

(1) 辺ABの中点の位置ベクトルは,式(32.70)より

−→OA +−→OB

2 =r−b

2

となる。辺ABが十分小さければ, この付近でU はほとんど一定であり, ABの中点でのUで代表さ せれば,

IAB=U( r−b

2

)•−→AB =U( r−b

2 )•a

(2) 略(前小問と同様)。

(3) 略(前小問と前々小問の結果をたすだけ)。

(4) 与式のx成分に着目すると,全微分公式より, u(

r−b 2

)−u( r+b

2 )

≒u(r) +∂u

∂x (−b1

2

)+∂u

∂y (−b2

2

)+∂u

∂z (−b3

2 )

−{

u(r) +∂u

∂x (b1

2

)+∂u

∂y (b2

2

)+∂u

∂z (b3

2 )}

=−∂u

∂xb1−∂u

∂yb2−∂u

∂zb3=−(uxb1+uyb2+uzb3) となる。y成分,z成分も同様に計算すると,

v( r−b

2 )−v(

r+b 2

)=−(vxb1+vyb2+vzb3)

w( r−b

2

)−w( r+b

2

)=−(wxb1+wyb2+wzb3) となる。これらをまとめると,

U( r−b

2

)−U( r+b

2 )

=−

uxb1+uyb2+uzb3

vxb1+vyb2+vzb3

wxb1+wyb2+wzb3

(5) 前小問の結果を使う。

IAB+ICD

={ U(

r−b 2

)−U( r+b

2 )}•a

=−

uxb1+uyb2+uzb3

vxb1+vyb2+vzb3

wxb1+wyb2+wzb3

•

 a1

a2

a3

=−(uxa1b1+uya1b2+uza1b3

+vxa2b1+vya2b2+vza2b3

+wxa3b1+wya3b2+wza3b3)

(6) 前小問と同様に考えれば, IBC+IDA

={ U(

r+a 2

)−U( r−a

2 )}•b

=

uxa1+uya2+uza3

vxa1+vya2+vza3

wxa1+wya2+wza3

•

 b1

b2

b3

=uxa1b1+uya2b1+uza3b1

+vxa1b2+vya2b2+vza3b2

+wxa1b3+wya2b3+wza3b3

(7) 前小問と前々小問の結果から, I=IAB+IBC+ICD+IDA

=uy(a2b1−a1b2) +uz(a3b1−a1b3) +vx(a1b2−a2b1) +vz(a3b2−a2b3) +wx(a1b3−a3b1) +wy(a2b3−a3b2) (8) この式を整理すると,

I= (wy−vz)(a2b3−a3b2) +(uz−wx)(a3b1−a1b3) +(vx−uy)(a1b2−a2b1) (9)

a×b=

a2b3−a3b2

a3b1−a1b3

a1b2−a2b1

一方,式(32.69)より,

∇ ×U=

wy−vz

uz−wx

vx−uy

従って,前小問の式は, I= (rotU)•(a×b) とかける。

(10) 平行四辺形ABCDはベクトルa, bで張られるか ら,a×bの大きさは, この平行四辺形の面積dSに 等しい。また, a×bの向きは, a,bの両方に垂直 で, かつ,aからbへ右ネジをまわすときに右ネジ が進む向きであるが, それは平行四辺形ABCDに 垂直で, かつ, 右ネジをA →B→ C→ D の向き にまわすときに右ネジが進む方向と一致する。従っ て,a×bはndSに等しい。

(11) (9)(10)より自明。

答760略。

答761略。

一問一答

• 基本的には化学コース一本で考えているのですが, 2年次で実用解析はとっておいたほうがよいので しょうか?

... 実用解析は,基礎数学と同様に,特定のコースのため の講義ではなくて生物資源学全般にわたる実用的な数 学の基礎を学ぶ授業です。もちろん化学コースにも役 立つでしょう。というか,数学を役立たせるかどうかは, コースによって決まるのではなく, 人それぞれの姿勢や 考え方次第だと思います。数学を全く使わずに研究した り仕事したりしている人はたくさんいるし, それはそれ で全く問題ありません。でも, その気になれば, 数学は どこでも役に立ち, しかも非常に鋭い切れ味で役に立つ ものです。

• 微小ってどこからが微小ですか?

... その範囲で関数(ベクトル場やスカラー場)が一様 であるという近似が十分な精度で成り立つ程度です。

187

第 33

マクスウェル方程式と電磁気学

33.1 マクスウェル方程式

ところで, なぜ我々は, このようなベクトルと偏微分 の嵐の道をたどっているのだろうか? 端的に言えば, そ れは, 「マクスウェル方程式」を理解するためである。

マクスウェル方程式は, 電磁気学の基本法則(支配方程 式)である。マクスウェル方程式は,物理学の基本法則 の中でも,際立って美しく, 完成度の高い方程式である。

ここで, 米国の物理学者リチャード・ファインマン*1の 言葉を借りよう。

「人類の歴史という長い眼から, 例えば今から1万年 後の世界から眺めたら, 19世紀の一番顕著な事件がマク スウェル方程式による電磁気法則の発見であったと判断 されることはほとんど間違いない。アメリカの南北戦争 も同じ頃のこの科学上の事件に比べたら色あせて一地方 の取るに足らぬ事件になってしまうであろう。(ファイ ンマン物理学III電磁気学,岩波書店)」

ちなみに,世界史を学んだ人にはわかるかもしれない が, 米国人にとって, 南北戦争(米国ではCivil Warと いう)は,英国との独立戦争と並んで,最も重大な歴史的 事件なのである。

さて, それほど重要なマクスウェル方程式とは, 以下 の4つの偏微分方程式である(記憶せよ):

マクスウェル方程式

✓ ✏

∇•E= ρ ϵ0

(33.1)

∇•B= 0 (33.2)

∇×E=−∂B

∂t (33.3)

∇×B=µ0j+ϵ0µ0

∂E

∂t (33.4)

✒ ✑

*1リチャード・ファインマン(1918-1988)。1965年,「量子電磁 力学」の功績で,日本の朝永振一郎らとともにノーベル物理学 賞受賞。ちなみに朝永振一郎は,筑波大学の前身である東京文 理科大学でこの研究を行った。

ここで, Eは電場, Bは磁束密度というベクトル場であ る。それらの定義は, 式(29.5)で述べた。

ρは電荷密度(単位体積あたりの電荷)である。電荷と は, 質量と同じように, 物質が根源的に持っている性質

(物理量)のひとつである。そういうものが自然界には 存在するのだとしか言いようがない。ρはスカラー場で ある。つまり, ある位置周辺では電荷は多く, 別の位置 周辺では電荷は少ない,という状況があってもOKだ。

jは電荷のフラックス, つまり単位時間あたり単位面 積を通過する電荷である。普通はこれを電流密度とい う。jはベクトル場である。つまり, ある位置周辺と別 の位置周辺で,電荷のフラックス(向きや大きさ)は違っ ていてもよい。

ϵ0は「真空の誘電率」と呼ばれる定数,µ0は「真空の 透磁率」と呼ばれる定数である。

ここで注意。本によっては式(33.4)のかわりに次式 を載せるものもある:

c2∇ ×B= j ϵ0

+∂E

∂t (33.5)

これは,式(33.4)の両辺をϵ0µ0で割り, 1

ϵ0µ0

=c2 (33.6)

と定義することで得られる。式(33.4)と式(33.5)は同 等の式であり, どちらを覚えても良い(違いは慣習にす ぎない)。ちなみに, 式(33.6)で定義される定数cが光 の速さを表すことを, すぐあとで学ぶ。

● 問763 マクスウェル方程式を5回書いて記憶せよ。

● 問764 (33.6)を使って,式(33.4)と式(33.5)が 同じ方程式であることを示せ。

マクスウェル方程式は,EとBを,電荷の在り方(電 荷密度と電流密度)に関連付ける方程式である。それは,

EとBそれぞれのdivergenceとrotationがどう決ま るかを記述している。これらを組み合わせると, どんな 状況であっても, EとBを決定することができる。電 磁気学における現象は, EとBそのものや,それによっ て電荷が力を受ける運動として表現できる。従って, 電 磁気学ではマクスウェル方程式が基本法則なのである。

なぜマクスウェル方程式が成り立つのかは, 誰にもわ からない。そのように自然は造られているとしか言いよ うがない。人間は, 様々な実験事実につじつまがあうよ うな方程式を探して, 試行錯誤の結果, この方程式を探 り当てたのだ。

似たようなことは, 物理学や科学の歴史の至る所にあ る。自然現象を統一的に説明する「基本法則」を人間が 知るには, その手がかりは自然現象の中にしかない(神 のお告げや宇宙人のメッセージを得る手段を誰かが持っ ているなら話は別だが)。そして科学者は, さまざまな 複雑な自然現象を, 実験という手段で整理し, その結果 を「うまく説明する」ことのできる理論を, 手を替え品 を替えてひねりだし, 「つじつま合わせ」を延々と繰り 返す。「つじつま合わせ」と聞くと,なんだかずるくてせ こいことのように聞こえるかもしれないが, 実際, 神な らぬ人間ができるのはそれしかないのだ。

ただ, 我々が日常生活の嘘や失敗をごまかすための

「つじつま合わせ」と科学の「つじつま合わせ」が大き く異なる点がある。前者は, とにかくその場がしのげれ ばOKであり,時には事実を歪めることもあるかもしれ ない。しかし,後者には, そのようなことは許されない。

事実を「無かったこと」にはできないし, 「つじつま」

はあらゆる角度から徹底的に検証され, 矛盾があったら 棄てられるのである(これは, 推理小説で探偵が試行錯 誤して犯人を見つけるプロセスに似ている)。そのよう な厳しいチェックを耐えて生き残るわずかな理論だけが

「基本法則」なのである。

しかし, 我々のような後世の人々がそのような基本法 則を学ぶときには, ついつい, 「なぜそれが成り立つの だろう」とか「もっとわかりやすく説明してくれ」と考 えてしまう。つまり,その基本法則の「背後」には,もっ とすっきりしたわかりやすい事実や論理やアイデアが あって, それを使えば目の前の難しげな基本法則とやら をすっきり理解できるのではないか, と思ってしまうの である。しかし, そのような試みは, たいてい, 失敗す る。凡人である我々がそんなことに成功するくらいなら ば, 長い時間をかけて多くの科学者たちが苦闘したはず

がないのである。

人は, 新しい概念に出会ったときに, それを, 素直に 受け入れることに抵抗する。できることならば, 自分の 中に既にある概念に近づけて理解し, 消化しようと試み る。しかしそれは, 往々にして,自然や真実のあり様を, ねじ曲げ, 矮小化してしまう危険がある。「難しい理論 をわかりやすく解説する」という話は, 多くがそういう ものである。そういうのを読んだり聞いたりするのはい いけれど,それで「わかった気になる」のは危険である。

自分の思い込みやイメージを離れて, ものごとをある がままに受け入れることは難しい。それができる柔軟 さと強さのことを, 知性や教養と呼ぶのではないだろう か? 数学や物理学は,その試金石でもある。

ドキュメント内 生物資源の基礎数学教材 (ページ 192-196)