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解析結果

ドキュメント内 博 士 論 文 (ページ 161-175)

第 4 章 本防食被覆材の補強効果の検証

5.1 非線形有限要素解析による再現解析

5.1.4 解析結果

5.1.4 解析結果

図5.8 荷重-鉛直変位の比較(Case1)

図5.9 荷重-鉛直内空変位の比較(Case2)

図5.10 荷重-鉛直内空変位の比較(Case3)

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

荷重(kN/m)

変位(mm)

試験結果 解析結果

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

荷重(kN/m)

変位(mm)

試験結果 解析結果

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

荷重(kN/m)

変位(mm)

試験結果 解析結果

(2) ひび割れ発生荷重

本解析での初期ひび割れ発生荷重を表5.4に示す。また,図5.11は荷重と鉛直変位 の関係図上に初期ひび割れの発生個所を追記したものである。

解析結果から,本防食被覆材の塗布なしの場合(Case1)は,上部・下部のコンクリ ートで鉛直ひび割れが発生したのち,側部の水平ひび割れが発生して最大荷重に至っ ていることがわかる。

一方で,本防食被覆材を塗布した場合(Case2,3),側部のコンクリートに水平ひび 割れが発生しても,即座に最大荷重に至ることはなく,載荷荷重が増加していること がわかる。また,本防食被覆材の弾性係数がコンクリートの弾性係数に比べて低いこ とから,コンクリートに大きな変形が生じるまでは,防食被覆材に発生する引張応力 は相対的に低い。また,本防食被覆材の引張強度はコンクリートの引張強度に対して 十分に高く,このため上部・下部のコンクリート部で最初のひび割れが発生してい る。

防食被覆材の塗布厚が厚い場合(Case2)は,側部のコンクリートに水平ひび割れが 発生した以降に防食被覆材にひび割れが発生し,さらに載荷荷重が上昇している。し かし,防食被覆材の塗布厚が薄い場合(Case3)は,側部のコンクリートの水平ひび割 れと防食被覆材のひび割れがほぼ同時に発生し,塗布厚の厚いCase2より載荷荷重の 上昇は少ない。このことから,防食被覆材の塗布厚と塗布されるコンクリートの部材 厚によって,補強効果は異なることがわかる。

表5.4 ひび割れ発生荷重一覧 解析

ケース ひび割れ位置

初期ひび割れ 発生荷重

(kN/m)

Case1

上部 75.6

側部 120.3

下部 75.6

Case2

上部 コンクリート 59.7 防食被覆材 99.2

側部

コンクリート 78.8 防食被覆材 -

下部 コンクリート 59.7 防食被覆材 99.2

Case3

上部

コンクリート 68.2 防食被覆材 104.1

側部 コンクリート 109.8 防食被覆材 -

下部

コンクリート 68.2 防食被覆材 104.1

0 50 100 150 200

0 0.5 1 1.5 2 2.5

荷重(kN/m)

鉛直変位(mm)

0 50 100 150 200

0 0.5 1 1.5 2 2.5

荷重(kN/m)

鉛直変位(mm)

0 50 100 150 200

0 0.5 1 1.5 2 2.5

荷重(kN/m)

鉛直変位(mm) Case1

Case3

75.6 kN/m 120.3 kN/m

Pmax120.3 kN/m

Pmax176.6 kN/m Case2

59.7 kN/m 78.8 kN/m

99.2 kN/m

Pmax146.3 kN/m

68.2 kN/m

109.8 kN/m 104.1 kN/m

(3) ひび割れ進展および開口状況

本解析でのひび割れ進展深さと最大開口幅を表5.5に,各ケースでの応力状態とひ び割れ開口状況を図5.12~図5.15に示す。なお,上部と下部は同等のひび割れ状況 であることを踏まえ,ひび割れ開口幅と進展深さの関係図としてまとめて示す。

解析結果から,防食被覆材の塗布なしの場合(Case1)は,上部・下部の鉛直ひび割

れが45%まで進展しているのに対し,側部の水平ひび割れが僅かに開口した段階で最

大荷重に至っている。

本防食被覆材の塗布厚が厚いCase2については,最大荷重時には,鉛直ひび割れよ りも側部の水平ひび割れの方が進展している状況となっており,上部・下部の開口幅 は塗布なしの場合(Case1)よりも大きい。また,防食被覆材の発生応力(引張側)も 大きくなっていることから,防食被覆材が変形しながら引張応力を負担することで構 造体の耐力が増加したものと考えられる。防食被覆材の塗布厚が薄いCase3について は,最大荷重時には, Case1に比べて側部の水平ひび割れが進展しているが,塗布厚

が厚いCase2ほどの進展は見られなかった。

本防食被覆材を塗付した場合(Case2,3)のひび割れ開口幅と進展深さの関係を見る と,上部・下部の鉛直ひび割れは,本防食被覆材とコンクリートの界面から進展して おり,本防食被覆材が内面に塗布されていることでひび割れ開口の進展を抑制してい ることがわかる。一方,側部の水平ひび割れに対しては,本防食被覆材が内面の圧縮 側に塗布されているため,直接,ひび割れ開口の進展を抑制している状況は確認でき ない。

したがって,本構造の上部・下部のひび割れのように,内面から外側に向かって進 展するひび割れに対しては,内面に塗布された本防縮被覆材がひび割れ開口の進展を 抑制することで,構造体の耐力向上に寄与しているものと考えられる。

表5.5 ひび割れ進展深さ・最大開口幅

解析

ケース ひび割れ位置

剛性変化点 最大荷重時

荷重 (kN/m)

ひび割れ 進展深さ

(mm)

ひび割れ 最大開口幅

(mm)

荷重 (kN/m)

ひび割れ 進展深さ

(mm)

ひび割れ 最大開口幅

(mm)

Case1

上部

- -

120.3

90 (45%) 0.037

側部 - - 10 (5%) 0.002

下部 - - 90 (45%) 0.037

Case2 上部

コンクリート

152.6

70 (47%) 0.019

176.6

105 (70%) 0.088 防食被覆材 4 (20%) 0.013 12 (60%) 0.078

側部 コンクリート 70 (47%) 0.030 145 (97%) 0.397

防食被覆材 - - - -

下部

コンクリート 70 (47%) 0.019 105 (70%) 0.088 防食被覆材 4 (20%) 0.013 12 (60%) 0.078

Case3

上部 コンクリート

- -

146.3

85 (47%) 0.023 防食被覆材 - - 5 (100%) 0.017

側部

コンクリート - - 25 (14%) 0.004

防食被覆材 - - - -

下部

コンクリート - - 85 (47%) 0.023 防食被覆材 - - 5 (100%) 0.017

※( )内は各材料の部材厚さに対するひび割れ最大進展深さの割合を示す。

図5.12 応力状態とひび割れ開口状況(Case1:最大荷重時)

0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10

0 50 100 150 200

ひび割れ開口幅(mm)

内側からの距離(mm) 開口幅0.037 mm

進展深さ90 mm

0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10

0 50 100 150 200

ひび割れ開口幅(mm)

内側からの距離(mm)

開口幅0.002 mm

進展深さ10 mm

上部・下部

側部

コンクリート

コンクリート

:ひび割れ進行方向

応力(N/mm2 正:引張 負:圧縮

10

8

6

2

0

-2

-4

[変位量×5000表示]

:ひび割れ進行方向

応力(N/mm2 正:引張 負:圧縮

10

8

6

2

0

-2

-4

防食被覆材

0.20 0.40 0.60 0.80 1.00

ひび割れ開口幅(mm)

0.00 0.08 0.16 0.24 0.32 0.40

0 50 100 150

ひび割れ開口幅(mm)

内側からの距離(mm)

コンクリート部 進展深さ105 mm

コンクリート

コンクリート部 開口幅0.088 mm

上部・下部

20

防食被覆材部 開口幅0.078 mm 防食被覆材部

進展深さ12 mm

コンクリート 防食被覆材

コンクリート部 開口幅0.397 mm

コンクリート部 進展深さ145 mm

側部

[変位量×2000表示]

図5.14 応力状態とひび割れ開口状況(Case3:最大荷重時)

:ひび割れ進行方向

応力(N/mm2 正:引張 負:圧縮

10

8

6

2

0

-2

-4

0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10

0 50 100 150

ひび割れ開口幅(mm)

内側からの距離(mm) 0.00

0.02 0.04 0.06 0.08 0.10

0 50 100 150

ひび割れ開口幅(mm)

内側からの距離(mm) コンクリート部 進展深さ85 mm

コンクリート 防食被覆材

コンクリート部 開口幅0.023 mm

上部・下部

5

防食被覆材部 開口幅0.017 mm 防食被覆材部 進展深さ5 mm

コンクリート部 開口幅0.004mm コンクリート部

進展深さ25 mm

5 側部

コンクリート 防食被覆材

[変位量×5000表示]

:ひび割れ進行方向

応力(N/mm2 正:引張 負:圧縮

10

8

6

2

0

-2

-4

0.02 0.04 0.06 0.08 0.10

ひび割れ開口幅(mm)

0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10

0 50 100 150

ひび割れ開口幅(mm)

内側からの距離(mm)

コンクリート部 進展深さ70 mm

コンクリート 防食被覆材

コンクリート部 開口幅0.019 mm

上部・下部

20

防食被覆材部 開口幅0.013 mm 防食被覆材部

進展深さ4 mm

コンクリート 防食被覆材

コンクリート部 開口幅0.030 mm

コンクリート部 進展深さ70 mm

側部

[変位量×2000表示]

(4) 荷重増加に伴う,ひび割れ開口と防食被覆材の応力分布の挙動

前述までに,本防食被覆材を塗付した場合は,ひび割れ進展方向が内側から外側に 向かう区間(正の曲げモーメントが作用する区間)に関しては,ひび割れの開口の進 展を抑制する効果が確認できた。該当箇所の荷重増加に伴う応力状態とひび割れ状況 を図5.16および図5.17に示し,本防食被覆材の挙動を分析した。

上部・下部のコンクリートに初期ひび割れが発生する時点を見ると,コンクリート 部分に引張強度(2.13 N/mm2)を上回る引張応力が発生していることがわかる。一方 で,同時点の本防食被覆材部分の応力が2.0 N/mm2未満とコンクリート部分より低い 応力となっているが,これは本防食被覆材の弾性係数がコンクリートに比べて低いた めであり,本防食被覆材にひび割れが発生する程度の引張応力に至るには十分に余裕 がある状態と推察できる。

Case2の場合,本防食被覆材内の引張応力は,コンクリートとの境界面付近から高

くなっており,この位置から除々にひび割れが進展することがわかる。これは,コン クリートのひび割れ開口の進展が著しくなり,その影響を受けているものと考えられ る。Case3の場合も同様ではあるが,本防食被覆材の塗布厚が比較的薄いため,本防 食被覆材内での応力差が表れにくく,材料全体に高い応力が発生している。

Case2の場合,最大荷重時はひび割れが大きく進展しており,本防食被覆材に引張

強度程度(11.2 N/mm2)程度の引張応力が発生していることがわかる。すなわち,コ ンクリートで引張応力を負担することは困難であり,構造全体の耐力は本防食被覆材 の引張強度に依存していると考えられ,一般的な鉄筋コンクリート構造物の鉄筋の役 割を本防食被覆材が果たしていると推察できる。

しかし,Case3のように塗布厚が薄い場合は,本防食被覆材が引張応力を負担し始 める時点から最大荷重(防食被覆材が破断する時点)までの余裕が少ないため,鉄筋 コンクリートのような効果が十分に期待できないものと考えられる。

上部・下部コンクリート 初期ひび割れ発生時

側部コンクリート ひび割れ発生時

防食被覆材部 ひび割れ発生時

防食被覆材

ひび割れ進展時 最大荷重時

荷重・鉛直変位上部応力状態防食被覆材部拡

0 50 100 150 200

0 0.5 1 1.5 2 2.5

荷重(kN/m)

鉛直変位(mm)

0 50 100 150 200

0 0.5 1 1.5 2 2.5

荷重(kN/m)

鉛直変位(mm)

0 50 100 150 200

0 0.5 1 1.5 2 2.5

荷重(kN/m)

鉛直変位(mm)

0 50 100 150 200

0 0.5 1 1.5 2 2.5

荷重(kN/m)

鉛直変位(mm)

0 50 100 150 200

0 0.5 1 1.5 2 2.5

荷重(kN/m)

鉛直変位(mm)

防食被覆材 防食被覆材 防食被覆材 防食被覆材 防食被覆材

ドキュメント内 博 士 論 文 (ページ 161-175)