第 3 章 下水汚泥焼却灰を活用した樹脂系防食被覆材の開発
3.3 本防食被覆材の層構成,仕様
(既往の防食被覆材の層構成の例)
(本防食被覆材の層構成)
図3.1 本防食被覆材と既往の防食被覆材の層構成の比較
(2) トップコートと防食被覆層の2層による耐久性能の確保
本防食被覆材のトップコートは防食性の高い樹脂を用いているが,低粘度のため厚塗 りによるピンホールへの対応が難しい。このため,トップコートと防食被覆層の2層で ピンホール対応を含む耐久性能を確保することとした。
(3) 全層への同一のエポキシ樹脂の使用
3層全てに同一のエポキシ樹脂を使用した。これにより,下地が乾燥する前に,層間 で異なる材料を使用した場合に生じやすい,異種材料の混合による品質低下を防ぐこと ができるとともに,防食被覆層の硬化前にトップコートの塗布が可能になるなど,施工
既設コンクリート
(腐食・劣化部)
※超高圧ジェットで除去
既設コンクリート
(健全部)
既設コンクリート
(健全部)
耐硫酸性モルタル等 で補修(断面修復)
防食被覆層 既設厚みまで,
断面修復を 行うのが原則
(素地調整部)
既設コンクリート
(腐食・劣化部)
※超高圧ジェットで除去
既設コンクリート
(健全部)
既設コンクリート
(健全部)
必要な耐荷性能が得ら れる最小限度の厚み
(素地調整部)
防食被覆層(断面修復層を兼ねる) 5.0㎜以上※
※素地調整部を除く 主 剤 エポキシ樹脂 【質量比37%】
硬化剤 ポリアミン
充填材 粒度調整灰 【質量比20%】
その他 【質量比43%】
トップコート 0.5㎜
エポキシ樹脂
防食被覆と断面修復
(素地調整を含む)を 同一材料で行う
プライマー 0.2㎜
エポキシ樹脂
既設厚みより薄くなる ことが想定される
<防食被覆材>
3.3.2 防食被覆層の仕様 (1) 主剤の選定
表3.2に示すように,主剤は防食性,接着性,粒度調整灰との混練性などを考慮し,
エポキシ樹脂を選定した。硬化時の収縮が少ない特徴があり,接着後に収縮応力が残存 せず,接着状態の維持が可能である。
なお,マンホール内などの狭小空間での人力施工の安全性を考慮し,揮発性材料を使 用しないこととした。
表3.2 基本材料の比較
防食性 接着性 揮発性材料 の使用
粒度調整灰
との混練性 コスト 不飽和
ポリエステル ○ ○ 使用 可 低
ビニル
エステル ○ ○ 使用 可 低
エポキシ ○ ◎ 不使用 可 中
ポリウレア・
ウレタン △~○ ◎ 使用 不可 中
フッ素系材料 ◎ ○ 不使用 不可 高
(2) 硬化剤の選定
エポキシ樹脂の硬化剤には,アミン系,酸無水物系,ポリアミド系などがあるが,
本防食被覆材では,常温硬化性,耐薬品性,接着性の良好なアミン系硬化剤を選定し た。また,可使時間,硬化時間,粘度,水中硬化特性などを考慮し,成分調整された ポリアミン系硬化剤を使用した。
(3) 主剤と硬化剤の配合比※
エポキシ樹脂の主剤と硬化剤の配合比は,使用する材料の分子量とエポキシ基および アミン基の数により定まるが,本研究で選定した主剤と硬化剤の配合比は100:50であ る。
※主剤と硬化剤の配合比の算定例
一般的なエポキシ樹脂の主剤と硬化剤による硬化反応のイメージを図3.2に示す。
主剤と硬化剤の配合比は,主剤のエポキシ基(▽)の個数と硬化剤の活性水素(Nと結 合しているH)の個数が同一となる条件で定まる。
表3.3に主剤と硬化剤の配合計算例を示す。
主 剤
簡略表記
エポキシ基を▽で表記すると と簡略表記できる。
硬化剤
簡略表記
アミン基を○で表記すると と簡略表記できる。
主 剤
+ 硬化剤
(主剤のみ) (主剤+硬化剤)
エポキシ樹脂は,硬化剤のアミン基(○)が複数の結合節を出して,主剤の エポキシ基(▽)と結合し,三次元網目構造を構築することで硬化する。
図3.2 エポキシ樹脂の硬化反応の模式図
CH2-CH-CH2-O- -C- -O-CH2-CH-CH2-O- -C- -O-CH2-CH-CH2 CH3
CH-- 3
OH-
CH3
CH-- 3
O O
X
C=C - R -C=C
O O
NH2-CH2- -CH2-NH2
N-C - R -C-N
表3.3 配合計算例
配合計算例 本研究で使用した 材料の場合 主 剤
・分子量:342g/mol*1
・エポキシ基当量*1:171
・エポキシ樹脂分子1個当たりのエポキシ基2個 硬化剤
・分子量:103g/mol
・活性水素当量*2:20.7
*硬化剤分子1個当たりの活性水素5個 配合比 ①主剤
主剤分子量(エポキシ基:2個)×5 342×5=1710g/mol
②硬化剤:
硬化剤分子量(活性水素:5個)×2 103×2=206
<配合比>
①:②=1710:206=100:12
<配合比>
①:②=100:50
*1 エポキシ基当量:エポキシ基1個当たりのエポキシ樹脂主剤の分子量
*2 活性水素当量:活性水素1個当たりの硬化剤の分子量
CH2-CH-CH2-O- -C- -O-CH2-CH-CH2 CH3
CH-- 3
O O
NH2-CH2-CH2-NH-CH2-CH2-NH2
3.4 防食被覆層の配合設計