第 2 章 既往の技術,文献
2.5 下水管路施設に適用可能な防食被覆材の開発に向けた課題の整理
2.3では,塗布型ライニング工法に求められる基礎的な性能を整理した。2.4では,
下水管路施設内の厳しい施工条件や下水管路施設特有の性能を整理した。
既往の基準で求められている基礎的な性能(表2.6,表2.7)を満足するだけでは,
厳しい下水管路施設内の施工環境下において,剥がれ等の課題に対応することは困難で ある。
また,既往の塗布型ライニング工法では,耐荷性能や耐久性能を確保するための塗布 により,下水管路施設特有の性能である,下水の流下機能や維持管理空間としての機能 が阻害される。
このため,厳しい施工条件下でも,基礎的性能及び下水管路施設特有の性能の維持・
向上が可能な防食被覆材の開発に向け,既往の基準で求められる基礎的な性能に加え,
下水管路施設内の厳しい施工条件への対応や,下水管路施設特有の性能を確保する上で の具体的な課題について独自に検討した。また,それらの課題に対応するための開発要 素,開発課題を明確にした。 (表2.10)
表2.10 下水管路施設に適用可能な防食被覆材の開発に向けた課題の整理(1/2)
防食被覆材に求められる性能等 新たな防食被覆材の開発
①塗布型ライニング工法に求められる基礎的な性能 ②管路施設特有の施工 条件,性能
開発要素 主な開発課題
断 面 修 復 層
耐荷性能 ・劣化したコンクリート断面と同じ厚さの断 面修復材が,既設コンクリートと一体化し 耐荷性能を有すること。
・被覆対象コンクリートが湿潤な状態であっ ても良好な接着性が得られ,コンクリート との一体性が確保されること。
施工環境制約
・高湿度の施工環境下 でも良好な耐荷性能 や接着性が得られる こと。
耐荷性能 接着性
・求められる強度を得られる仕様
・接着性の高い材料の選定
・層間の剥がれを防止可能な層構成や仕様
耐久性能 良好な耐硫酸性を有すること。 防食性
接着性
・防食性の高い材料の選定
・層間の剥がれを防止するとともに,ピンホールの発生を 想定した層構成や仕様
施工性 施工性が良好であること。 施工時間制約
・限られた施工時間 で施工できること。
・短い時間でも硬化 すること。
施工時間の短縮
硬化時間の短縮
・層間の段取り替えや施工時間の短縮が図れる層構成及び 仕様
・材料の混練時間の短縮が可能な配合
・硬化時間の短縮が可能な材料の選定 施工空間制約
・狭い施工空間内でも 施工できること。
人力施工 ・大型機械を使用せず,人力で施工可能な工法
作業の安全性が確保できること。 施工空間制約
・狭い施工空間内でも 安全に施工できるこ と。
安全性 ・非揮発性材料の選定
作業効率確保のため,厚付け施工(1回の塗り 厚2㎝)が可能であること。
厚塗りにより自重が増 加しても剥がれ等が発 生しないこと。
軽量化 ・軽量化が可能な配合
水理性能 維持管理 性能
管路の流下断面,マンホ
ール内の作業空間を縮小 しないこと。
薄層化 ・薄層化が図れる層構成
・薄くても求められる耐荷性能や耐久性能が得られる層構 成や仕様
表2.10 下水管路施設に適用可能な防食被覆材の開発に向けた課題の整理(2/2)
防食被覆材に求められる性能等 新たな防食被覆材の開発
①塗布型ライニング工法に求められる基礎的な性能 ②管路施設特有の施工 条件,性能
開発要素 主な開発課題
防 食 被 覆 層
耐久性能
硫酸に対する耐酸性を有すること。 防食性 ・防食性の高い材料の選定
断面修復層との接着安定性能を有するこ と。
施工環境制約
・高湿度の施工環境下 でも良好な接着性が 得られること。
接着性 ・接着性の高い材料の選定
・層間の剥がれを防止できる層構成や仕様
硫黄浸透における環境遮断性能を有する こと。
防食性 ・防食性の高い材料の選定
耐アルカリ性能を有すること。 耐アルカリ性 ・耐アルカリ性の高い材料の選定
作業の安全性が確保できること。 安全性 ・非揮発性材料の選定
適切な養生時間を確保できること。 施工時間制約
・硬化に必要な養生時 間が確保できるこ と。
施工時間の短縮
硬化時間の短縮
・層間の段取り替えなど施工時間の短縮が図れる層構成 や仕様
・材料の混練時間の短縮が可能な配合
・硬化時間の短縮が可能な仕様