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コンクリート製角柱供試体を用いた補強効果の検証

ドキュメント内 博 士 論 文 (ページ 103-125)

第 4 章 本防食被覆材の補強効果の検証

4.2 はり部材等を用いた補強効果の検証

4.2.3 コンクリート製角柱供試体を用いた補強効果の検証

・円形マンホール内面への  塗布を想定し,本防食被覆  材を引張側,圧縮側に塗布  したコンクリートはり部材  に対する補強効果

・補強メカニズム

・塗布位置の異なるコ ン クリート供試  体の曲げ試験における,曲げ強度を  比較

・変位,ひずみを測定し,塗布位置の異 なる供試体について,ひび割れ発生 から破壊に至る挙動を比較 モルタル製角

柱供試体等を 用いた基礎実

4.2.1

実験名

はり部 材,コン クリート 平板

写真4.1 モルタル製角柱供試体の3点曲げ試験の状況

2) 実験結果

実験結果を表4.3に示す。本防食被覆層を構成する各層の補強効果を概観するため,

破壊荷重値を比較した。

表4.3 基礎実験結果一覧

*全ケースとも,n=1である。

*Case.3’は,防食被覆層を単独で成形(40mm×5mm×160mm)し,防食被覆層の case 概念図 層構成 供試体厚 破壊荷重値 備考

No 比率

Case1 モルタル供試体のみ 35mm 2864 N 1.00

Case2 (モルタル+)プライマーのみ 35mm 3650 N 1.27

Case3

(モルタル+)

プライマー+ 防食被覆層

40mm

(35+5mm) 4881 N 1.70

Case3’

(モルタル+)

防食被覆層のみ (プライマーなし*)

40mm

(35+5mm) 2757 N 0.96

防食被覆層は モルタル部と 付着していない。

Case4 Case3 +

トップコート

40mm

(35+5mm) 4878 N 1.70

●プライマー0.2mm, ●防食被覆層5mm, ●トップコート0.5mm

160 mm 35 mm

( W 40mm)

防食被覆材による補強効果は,次の通りである。

① プライマーのみを塗布したケース(Case2)は,断面形状が同様のモルタル供試体のみ

(Case1)と比較して,最大荷重値が 1.27 倍に増加した。この現象はプライマーの含

浸によるモルタル供試体底部の初期ひび割れの抑制効果によるものと推察される。

② プライマーと防食被覆層を塗布したケース(Case3)では,モルタル供試体のみ

(Case1)と比較して最大荷重値は1.7倍となり,補強効果が認められた。

① 防食被覆層のみのケース(Case3')は,防食被覆層のみの試験片とモルタル製角柱 をプライマーなしで積層した重ね梁構造で,補強効果は認められなかった。モルタ ルと防食被覆層との付着がない状態では,防食被覆層の応力分担や変形抑制効果は 期待できないことが明らかになった。

④ プライマー,防食被覆層,トップコートを塗布したケース(Case4)とトップコート を塗布していないケース(Case3)の最大荷重値に差は確認できなかった。

以上より,本防食被覆材による補強効果には,モルタルと防食被覆層の境界部の一体 性が重要であり,一体性の確保にはプライマーが有効であることがわかった。また,補 強効果は,主としてプライマーを含む防食被覆層によるもので,トップコートの寄与は 無視できることがわかった。

(2) プライマーの効果に関する実験 1)実験目的

本防食被覆材は,既設コンクリート面の腐食・劣化部位を除去した後,プライマーを 塗布し,防食被覆層,トップコートの順で塗布する。前述した基礎実験の結果から,本 防食被覆材による補強効果は,主として防食被覆層によるものであること,また既設コ ンクリートとの一体性の確保が重要であり,そのためにプライマーが有効であること,

プライマーにも補強効果があることが示唆された。そこで,プライマーの効果や機能に ついて,施工性向上と付着力向上の観点から,実験により検証した。

2)実験内容

写真 4.2 に示すように,コンクリート平板の半分をプライマーあり(0.2 ㎜塗布), 残り半分をプライマーなしとして次の2つの実験を行った。コンクリート平板は,歩道 用コンクリート平板(JIS A 5371)を使用し,超高圧ジェット(200MPa)により表面処理を し,防食被覆材を塗布するコンクリート面は気乾状態,圧縮強度は33.6N/㎟であった。

なお,いずれの実験も供試体数は,1体である。

*左側半分にプライマーを塗布 写真4.2 実験に使用した平板

① 施工性試験(プライマーによる施工性向上効果)

プライマーの有無による垂直な施工面に対する防食被覆材の施工性を確認する。

(試験手順)

プライマーを半分塗布したコンクリート平板を水平に設置し,混練した防食被覆 層80gを10mm厚となるようにプライマーあり/なしのそれぞれの面に押圧塗布す る。その後,コンクリート平板を垂直に起こし,ズレ等の有無を確認する。

② 接着力試験(プライマーによる接着力向上効果)

プライマーの有無によるコンクリート面と防食被覆層の接着力を確認する。

(試験手順)

プライマーありの試験体は,防食被覆層(10mm)を通常の押圧で塗布し,プライ マーなしの試験体は防食被覆層(10mm)の樹脂が硬化するまで錘を用いた強制的な 押圧を加え,接着状態を形成した。なお,接着力の計測は,建研式接着力試験器を 用いた。

3)実験結果

実験結果を表4.4に示す。

① 施工性試験では,プライマー塗布なしのケースでは,コンクリート平板を垂直 にした時点で防食被覆層は剥がれ落ちたのに対し,プライマーを塗布したケース では垂直面にも接着したままであった。(写真4.3)

② 接着力試験では,プライマー塗布あり/なしともに母材(コンクリート)が破壊 し,樹脂側にコンクリートが接着している状態であった。(写真 4.4) プライマー の塗布がない場合は表層破壊に近い状態で破壊が生じているが,プライマーを塗布 した場合は,プライマーの含浸性と平板材料の強度により,コンクリートの内部数

㎜まで防食被覆層とコンクリートが一体となって外力に抵抗することが確認でき た。

これは,プライマーなしのケースでも長時間圧着させることで,防食被覆層を構 成するエポキシ樹脂がコンクリートに浸透し,接着力が発現したものと推察され る。一方,プライマーとしてエポキシ樹脂を使用しているため,プライマーを塗布 したケースでは,より多くのエポキシ樹脂がコンクリート内部に浸透する。このた め,コンクリートの表層部の骨材同士の接着力を向上させる等によりコンクリート 平板が補強されたものと推察される。この結果は,基礎実験におけるプライマーの 補強効果を裏付けるものとなった。コンクリート補強及び接着力向上の現象模式図 を図4.4に示す。

表4.4 プライマー塗布硬化試験の結果

項目 評価方法 プライマー塗布あり プライマー塗布なし

①施工性試験 施工の可否 施工可能 施工不能

②接着力試験 接着力の計測 3.08 N/mm2 1.78 N/mm2

(プライマー塗布あり) (プライマー塗布なし)

図4.4 接着力向上の現象模式図

プライマーの浸透によるコンクリート補強効果 材料に含まれる樹脂成分による接着

(コンクリート平板を水平に 設置し,防食被覆材を塗布)

(コンクリート平板を 垂直にした直後)

*プライマーなしの防食被覆層は 剥がれ落ちた。

写真4.3 施工性試験の状況および結果

プライマー塗布あり プライマー塗布なし

試験状況

試験後状況

母材破壊状況

4.2.2 モルタル製角柱供試体を用いた補強効果の検証

(本防食被覆材なし) (本防食被覆材あり)

図4.6 ひずみゲージの設置位置

写真4.5 モルタル製角柱供試体の4点曲げ試験の状況

(2) 実験ケース

実験ケースは,基準となる本防食被覆材なしとモルタル製角柱供試体の底部を一定 厚切削した試験片(35mm,30mm,25mm)に本防食被覆材を5mm塗布した3ケースを設 定し,それぞれn=3とした。

防食被覆材 Hcot=5mm

(3) 実験結果

1) 破壊荷重と曲げ強度

4点曲げ試験における最大荷重値の試験結果(破壊荷重値),並びに同試験結果から 算定した,本防食被覆材を含む部材全体の見かけの曲げ強度を表4.5に示す。コンク リート部と本防食被覆材のひび割れ位置は一致し,曲げ破壊時にも一体性は失われて いなかった。(写真4.6参照)。図4.7に示す通り,防食被覆材比率が12.5%より大き い全てのケースで,本防食被覆材なしのケースより見かけの曲げ強度が大きく,防食 被覆材比率が増加するほど,見かけの曲げ強度が大きくなった。

表4.5 供試体の破壊荷重値と見かけの曲げ強度

*1 上表中の曲げ強度は,本防食被覆材を含む全厚(高Ht)の中心を中立軸として,コンクリ ートの曲げ強度算定式fb=Pl/bh2を用いて算定。

防食被覆材の弾性係数がコンクリートの1/4~1/3程度と低いこと,塗布厚さがモルタ

ルの1/7~1/5と薄いことから,複合断面における中立軸の位置の設定では,コンクリ

ートと防食被覆材の材料特性の違いを無視した。この条件の下で,補強後の部材断面 厚さを「コンクリート厚+防食被覆材厚」と設定して曲げ強度を算出し,「見かけの曲げ 強度」とした。

*2供試体の垂直変位を表す。

項目 記号又は算式 単位 本防食被覆材 なし

40-0 35-5 30-5 25-5

B mm 40 40 40 40

高さ モルタル部 Hc mm 40 35 30 25

防食被覆材 Hcot mm 0 5 5 5

合計 Ht mm 40 40 35 30

防食被覆材

比率 Hcot/Ht % 0.0 12.5 14.3 16.7

N 3,687 10,312 6,366 4,975

N 4,286 7,801 7,637 6,456

N 3,305 8,662 7,051 6,770

N 3,687 8,662 7,051 6,456

P N 3,759 8,925 7,018 6,067

- 1.0 2.4 1.9 1.6

曲げスパン l mm 120 120 120 120

曲げモーメント M=P・l/6 N・mm 75,187 178,500 140,360 121,340

断面係数 Z=1/6B・Ht2 mm3 10,667 10,667 8,167 6,000

曲げ強度 N/mm2 7.0 16.7 17.2 20.2

*1 - 1.0 2.4 2.4 2.9

mm 0.320 0.644 0.564 0.786

mm 0.356 0.661 0.677 0.798

mm 0.296 0.802 0.827 0.890

mm 0.320 0.661 0.677 0.798

mm 0.324 0.702 0.689 0.825

*2 - 1.0 2.2 2.1 2.5

本防食被覆材 あり

No.1

平均値 No.2 No.3

中央値

No.1

平均値

No.2 No.3

中央値

fb=M/Z

 =Pl/(BHt2)

本防食被覆材なし 本防食被覆材あり

40-0 35-5 30-5 25-5

*○はひび割れ(破断)位置を示す。

写真4.6 4点曲げ試験実施後の供試体外観

図4.7 供試体の本防食被覆材比率と見かけの曲げ強度との関係

2) 荷重と変位の関係

各ケースにおける変形特性を概略比較するため,荷重-変位曲線を図4.8に示す。本 防食被覆材を塗布したモルタル供試体は,本防食被覆材がないモルタル供試体と比較 して,破壊荷重値に加え,垂直変位も大きく,特に防食被覆材比率が16.7%である供 試体(25-5)では破壊時の垂直変位量が2倍以上になっている。本防食被覆材は,弾 性係数が低いため部材が一定量変形するものの,コンクリートよりも高い引張強度に

0 5 10 15 20 25

0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0%

見かけの曲げ強度(N/mm2

防食被覆材比率(防食被覆材厚Hcot/供試体厚Ht

本防食被覆材なし 本防食被覆材あり

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