第 5 章 結果
III. マルチレベル分析による労働者個人、職場組織全体のアウトカムに関連する要因の検討 93
3. 職場組織全体のアウトカムの下位概念と関連する要因の検討
99
表21. 参加型職場環境改善の必要性の認識のマルチレベル分析
(N=440)
100
足度を独立変数として加えたモデル 2 と、モデル 2 に職場レベルでの特性(文脈要因)、職場での 対人関係、職場環境、職場の一体感、変化への対応、手続きの公正性、参加型職場環境実施年 数、職場環境改善実施事例数を加えたモデル 3 とで、null model との職場間分散を比較した。な お、文脈要因として職場レベルで加える変数は、職場グループごとの平均得点を算出して、その値 を分析に用いた。
1) <職場全体の良い雰囲気によるコミュニケーションと相互理解の促進>のマルチレベル 分析
<職場全体の良い雰囲気によるコミュニケーションと相互理解の促進>を従属変数、個 人レベ ルの特性と職場レベルの特性を独立変数に加えたマルチレベル分析の結果を表 22 に示す。
Null model(モデル1)での職場間分散は 0.096/0.030=3.20 と 2 より大きいことから、職場間分散 は有意であることが確認された。モデル 2 は、個人レベルの構成要因を追加したことで、職場間分 散が 0.096 から 0.081 となっている。したがって、(0.096-0.081)/0.096*100=15.6 であることから、職 場間分散の 15.6%は個人レベルの特性である「年齢」、「参加度」、「満足度」で説明できることが示 された。モデル 2 に職場レベルの変数である文脈要因を加えたモデル 3 では、職場間分散は 0.039 となっている。したがって、(0.081-0.039)/0.096*100=43.8 であることから、職 場間 分 散の 43.8%が職場レベルの特性である「職場での対人関係」、「職場環境」、「職場の一体感」、「変化へ の対応」、「手続きの公正性」、「実施年数」、「改善実施数」で説明できることがわかった。
なお、構成要因である職場環境改善への「満足度」が有意に関連していた。
101
表22. 職場全体の良い雰囲気によるコミュニケーションと相互理解の促進のマルチレベル分析
(N=440)
2) <職場全体としての取り組みの浸透と拡大>のマルチレベル分析
<職場全体としての取り組みの浸透と拡大>を従属変数、個人レベルの特性と職場レベルの特 性を独立変数に加えたマルチレベル分析の結果を表 23 に示す。
Null model(モデル1)での職場間分散は 0.100/0.031=3.23 と 2 より大きいことから、職場間分散 は有意であることが確認された。モデル 2 は、個人レベルの構成要因を追加したことで、職場間分 散が 0.100 から 0.084 となっている。したがって、(0.100-0.084)/0.100*100=16.0 であることから、職 場間分散の 16.0%は個人レベルの特性である「年齢」、「参加度」、「満足度」で説明できることが示 された。モデル 2 に職場レベルの変数である文脈要因を加えたモデル 3 では、職場間分散は 0.042 となっている。したがって、(0.084-0.042)/0.100*100=42.0 であることから、職 場間 分 散の 42.0%が職場レベルの特性である「職場での対人関係」、「職場環境」、「職場の一体感」、「変化へ の対応」、「手続きの公正性」、「実施年数」、「改善実施数」で説明できることがわかった。
なお、構成要因である職場環境改善への「満足度」、文脈要因である「変化への対応」が有意に 関連していた。
切片
係数 標準誤差 p値 係数 標準誤差 p値
年齢 -0.004 0.002 .138 -0.003 0.002 .251
参加度 0.015 0.032 .638 0.016 0.032 .620
満足度 0.287 0.034 .000 0.293 0.034 .000
職場での対人関係 -0.143 0.203 .487
職場環境 0.035 0.100 .729
職場の一体感 0.119 0.315 .707
変化への対応 0.396 0.304 .200
手続きの公正性 0.333 0.205 .112
実施年数 0.140 0.105 .191
改善実施数 0.062 0.039 .123
職場間分散(標準誤差)
文脈要因
共分散パラメーター
0.096(0.030) 0.081(0.028) 0.039(0.017)
モデル1 モデル2 モデル3
2.515 2.515 2.487
構成要因
102
表23. 職場全体としての取り組みの浸透と拡大のマルチレベル分析
(N=440)
3) <職場全体の一体感と結束力の強化>のマルチレベル分析
<職場全体の一体感と結束力の強化>を従属変数、個人レベルの特性と職場レベルの特性を 独立変数に加えたマルチレベル分析の結果を表 24 に示す。
Null model(モデル1)での職場間分散は 0.089/0.029=3.07 と 2 より大きいことから、職場間分散 は有意であることが確認された。モデル 2 は、個人レベルの構成要因を追加したことで、職場間分 散が 0.089 から 0.074 となっている。したがって、(0.089-0.074)/0.089*100=16.9 であることから、職 場間分散の 16.9%は個人レベルの特性である「年齢」、「参加度」、「満足度」で説明できることが示 された。モデル 2 に職場レベルの変数である文脈要因を加えたモデル 3 では、職場間分散は 0.028 となっている。したがって、(0.074-0.028)/0.089*100=51.7 であることから、職 場間 分 散の 51.7%が職場レベルの特性である「職場での対人関係」、「職場環境」、「職場の一体感」、「変化へ の対応」、「手続きの公正性」、「実施年数」、「改善実施数」で説明できることがわかった。
なお、構成要因である職場環境改善への「満足度」、文脈要因である「手続きの公正性」が有意 切片
係数 標準誤差 p値 係数 標準誤差 p値
年齢 -0.006 0.003 .027 -0.005 0.002 .066
参加度 -0.010 0.033 .765 -0.009 0.033 .778
満足度 0.278 0.035 .000 0.283 0.035 .000
職場での対人関係 -0.254 0.210 .233
職場環境 0.124 0.103 .236
職場の一体感 -0.523 0.325 .115
変化への対応 0.934 0.314 .005
手続きの公正性 0.336 0.211 .120
実施年数 0.145 0.108 .190
改善実施数 0.069 0.040 .096
職場間分散(標準誤差)
文脈要因
共分散パラメーター
0.100(0.031) 0.084(0.030) 0.042(0.018)
モデル1 モデル2 モデル3
2.421 2.415 2.390
構成要因
103 に関連していた。
表24. 職場全体の一体感と結束力の強化のマルチレベル分析
(N=440)
切片
係数 標準誤差 p値 係数 標準誤差 p値
年齢 -0.003 0.003 .198 -0.002 0.003 .371
参加度 -0.015 0.034 .663 -0.014 0.034 .672
満足度 0.308 0.036 .000 0.315 0.036 .000
職場での対人関係 -0.035 0.191 .856
職場環境 0.050 0.094 .599
職場の一体感 -0.223 0.298 .459
変化への対応 0.500 0.290 .091
手続きの公正性 0.522 0.194 .010
実施年数 0.111 0.099 .269
改善実施数 0.069 0.037 .068
職場間分散(標準誤差)
モデル1 モデル2 モデル3
2.511 2.508 2.481
構成要因
文脈要因
共分散パラメーター
0.089(0.029) 0.074(0.027) 0.028(0.015)
104