第 3 章 予備研究
II. 結果
3. 職場組織全体のアウトカム
職場組織全体のアウトカムは、【職場全体の雰囲気の肯定的な変化】、【相互理解とコミュニケー ションの促進】、【職場全体の一体感と結束力の強化】、【職場全体への取り組みの浸透と拡大】 の 4 カテゴリーが抽出された(表 4)。
39 表4. 職場組織全体のアウトカムの項目
カテゴリー サブカテゴリー
職 場 全 体 の 雰 囲 気 の 肯定的な変化
職場全体で安全や健康について話し合える雰囲気になった 職場全体の雰囲気が良くなった
相 互 理 解 と コ ミ ュ ニ ケ ーションの促進
職場全体のコミュニケーションが促進されるようになった
労働者同士が相手の特徴をよく知ることで、互いの理解がより深まっ た
労働者同士で話す機会が増え、いろいろな情報が共有されるようにな った
職 場 全 体 の 一 体 感 と 結束力の強化
労働者同士で互いに協力し合う姿が見られるようになった 職場全体の連帯感が生じ、労働者同士の信頼関係が強くなった 職場全体のチームワークがより良くなった
職 場 全 体 と し て の 取 り 組みの浸透と拡大
職場全体に参加型職場環境改善の取り組みが定着するようになった 職場全体に良好事例が広がり、水平展開されるようになった
1) 職場全体の肯定的な雰囲気の変化
【職場全体の雰囲気の肯定的な変化】とは、参加型職場環境改善実施後に職場全体の雰囲気 が肯定的に変化していったことである。
参加型職場環境改善により、事故が起きたとしても職場でそのことについて前向きに話し合うこと ができるようになり<職場全体で安全や健康について話し合える雰囲気になっていた>。また、<
職場全体の雰囲気が良くなっていった>の2つの変化がみられた。
「改善して、また事故が起こるってこともあります。それが話せる環境であるか、そこで止まるので はなくて、また話ができる場所ができている。場面とか。雰囲気とか。」(M さん)
「改善実施前に比べて職場の雰囲気が良くなりましたというような声もいくつかの職場でも聞かれ ています。」(F さん)
2) 相互理解とコミュニケーションの促進
【相互理解とコミュニケーションの促進】とは、労働者同士の互いに理解が深まり、職場全体のコ ミュニケーションが促進されたことである。
参加型職場環境改善では、仕事上で困っていることや互いの仕事の進め方などを話し合い、共
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有する場面があり、これらの場面を通じて相手の特徴や考え方を知ることになり、<労働者同士が 相手の特徴をよく知ることで、互いの理解がより深まって>いき、<労働者同士で話す機会が増え、
いろいろな情報が共有されるようになっていった>。このように互いの理解が深まり、様々な情報が 共有される場を通して、<職場全体のコミュニケーションが促進されるようになっていった>といった 3 つの変化から構成された。
「関係性の薄い部署の人でも、あの人はこういう考え方をするんだなとか。それをどういうふうに人に 伝えるんだなというのも分かっていって。いろんなことを知ることができて良かったかな。コミュニケー ションを深めることができたかなと思いますね。」(B さん)
「コミュニケーションとかいろんなことでお話をするというか。なかなかミーティングの習慣というのが なかった職場もあるので。これを機にミーティングの機会を設けるようになって、いろんなことを細か にお話するということで、情 報の共 有、そういったものができるようになってきたという職場もありま す。」(F さん)
「仕事上、どうしても同じ国のスタッフと並んで仕事をするばかりではないので、その中で、いろい ろ仕事のやり方とか教え合わないといけなくなってくるので。その辺でコミュニケーションは取りやす くなったんじゃないかなと思います。」(D さん)
3) 職場全体の一体感と結束力の強化
【職場全体の一体感と結束力の強化】とは、職場全体の連帯感や信頼関係が強くなり、チームワ ークが強くなっていくことである。
参加型職場環境改善を実施している職場では、<労働者同士で互いに協力し合う姿が見られ るようになって>おり、<職場全体のチームワークがより良くなっていた>。皆で協力して職場環境 改善に取り組む経験の中で、<職場全体に連帯感が生じ、労働者同士の信頼関係が強くなった
>のように、職場全体の一体感や結束力が強化されるという変化がみられた。
「率先してやっているスタッフを見て、まわりの子が協力してくれるようになったんです。我々のチ ームのスタッフが掃除をすると、それを見て手伝ってあげようという子が何人か出てきた。」(D さん)
「やはり成果の一つとしては、チームワークが確かに良くなったと思います。全体的に。」(E さん)
「連帯感というのは、その時期はあったかなと思います。」(A さん)
「それはすごく信頼関係が深まった気はしましたよ。」(C さん)
41 4) 職場全体への取り組みの浸透と拡大
【職場全体への取り組みの浸透と拡大】とは、職場全体で参加型職場環境改善活動が定着し、
職場で実施された改善が良好実践として他の職場に水平展開されていることである。
ここでは 2 つの変化がみられた。<職場全体に参加型職場環境改善の取り組みが定着>し、取 り組みが否定されるのではなく、受け入れられ、さらに職場が自発的に積極的に取り組む姿がみら れるようになっていった。このような中で取り組んだ改善事例は、<職場全体に良好事例として広が り、水平展開され>、取り組みが拡大していった。
「以前は「今度パトロール嫌だな」というような感じだったが、最近は「こういったところが危ない箇 所があるので見に来てくれ」とか、職場のほうから逆に言っていただいて、そこを見てみんなで対応 を考える、というような形を取るように変わってきています。」(K さん)
「改善事例が水平展開したというか、結構みんなにワーッと広がった」(C さん)