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推進者のアウトカム

ドキュメント内 目次 第 (ページ 37-43)

第 3 章 予備研究

II. 結果

2. 推進者のアウトカム

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張っているから、自分も頑張らざるを得ないなというような感じのところは確かにありますね。」(C さ ん)

「今だいぶ異動とかで 60 名の入れ替わりになっていますけど。当時のスタッフとは特に信頼関係 が。それを体験した人たちというのは信頼関係が強まっているというのは未だに感じます。」(B さん)

「自分たちで環境を改善した職場というものには愛着が生まれるのだなということ。」(B さん)

5) 成果に基づく自信と達成感の強化

【成果に基づく自信と達成感の強化】とは、自分たちなりの工夫をしながら、自分たちの手で実 施していくことができるという自信が芽生え、成果を承認されることで意欲が向上し、達成感が強化 されていくことである。

労働者は職場環境改善の計画立案や実施の際に、低コストで改善を進める、皆で知恵を出しな がら工夫していくなど、参加型アプローチの手法を活用することで<お金をかけなくても知恵を出し 合いながら改善できることに気づき>、労働者が<自分たち自身の手で改善ができることを、体験 を通じて実感する>といった労働者の自信につながっていった。さらに、<職場環境改善の成果を 褒められ、承認されることで意欲が高まって>いき、<労働者が皆で取り組んだことで達成感を得 ることができた>といった 4 つの段階を示す変化がみられていた。

「お金にものを言わせると結構なんでもできるんですけど。それをしないで、職員の知恵でいかに してやっていくかという部分がこの参加型のひとつですね。」(L さん)

「環境は自分たちの手で変えることができるということが一つです。これが当たり前、しようがない じゃなくて、できることもあるということですね。」(B さん)

「いいですよ、この活動は、とか、見に来て褒められたりすると、じゃ、次来たときはもっとみんなで という、そういう感じになっていましたので。さらに、改善活動としてやったことをまとめたことで、自分 たちがやったことが目に見えた形ということもあるし、成果が出たということでやりがいもある。」( A さ ん)

「先生方も来ていただいているし、褒めてくださるということが一番みんなのモチベーションが上が ったと思います。私たちのモチベーションももちろん上がっていきましたけれども。やっていることが 認められたというところの達成感は非常に強かったと思います。」(C さん)

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【期待を超えた成果の実感】、【労働者との関係性の構築と信頼感の醸成】、【自身の成長と自信 の獲得】、【全員が参加できる継続的な仕組みづくりを目指した戦略的な取り組み方法の獲得】の 5 つのアウトカムが抽出された(表 3)。

1) 安全や健康リスクに対する感度の向上

【安全や健康リスクに対する感度の向上】とは、推進者として日頃から安全や健康の意識を高く 持ち、事故が起こったとしてもその原因を究明することで、職場に存在する安全健康リスクに対する 感度が高まっていることである。

推進者として、安全や健康の意識を高く持ち、対策を講じることで安全で健康な職場が実現して いくことがわかると、<安全や健康について日頃からアンテナを張っておく必要性を感じるようにな った>。そして、<事故が起きたとしても、なぜ事故が起こったのか原因を考えるようになっていった

>。これらの変化を通して、小さな怪我でも大きな事故につながる可能性があることに気づき、<職 場に存在する安全や健康のリスクに対する感度が高まっていった>という 3 つの変化の段階がみら れた。

「常にどこかに意識していて、自分たちが何かを変えることで、より安全とか健康が守れるのであ れば、日頃からアンテナを張っておかなければいけないことだなというのは感じ始めました。」(B さ ん)

「事故とかケガが起こる度になぜケガが起こったのか、どうしたら防げるか、ということは必ず話し 合います。それを話すことができるということが、私はすごくいいことだと思います。」(N さん)

「自分がそういうことを担当する前って、ちょっとしたケガとかを連絡しなかったり、このぐらいは大丈 夫、と思っているところがあったんだけれども、やはり自分が進める側になってくると、それが大きな 事故につながったり、積み重なっていくと大変なことになるということがわかってきた。」(N さん)

34 表 3. 推進者のアウトカムの項目

カテゴリー サブカテゴリー

安全や健康リスクに対する 感度の向上

推進者として安全や健康について日頃からアンテナを張っておく必要性を感じるようになった 推進者として職場に存在する安全や健康のリスクに対する感度が高まった

推進者として事故が起きた際にもなぜ事故が起こったのか原因を考えるようになった

期待を超えた成果の実感

推進者にとって職場の課題ととらえていたことが解決され、安全で働きやすい職場になった 推進者として、期待を超えた成果を実感することができた

推進者として職場の人たちが取り組みを肯定的に受け入れて実践してくれることに嬉しく思うようになった

労働者との関係性の構築 と信頼感の醸成

推進者が、参加型職場環境改善の取り組みを通じて労働者とのコミュニケーションがとりやすくなった 推進者として、労働者とのコミュニケーションをとることの重要性を認識するようになった

推進者として、労働者から様々な意見やアイデアが出てくることの重要性を認識するようになった 推進者が職場の人たちに信頼感をもって仕事を依頼できるようになった

推進者として、労働者自身が決めたことは、守ってくれることがわかった

自身の成長と自信の獲得

推進者として、その職場で培ってきた文化や風習に心配りしながら職場環境改善を進めていく大切さを実感するようになった 推進者として何をどうすればよいのかわからなかったのが、経験を通じて何をすべきが分かるようになった

推進者として、その職場に適した参加型職場環境改善の進め方がわかるようになった 推進者自身が一緒に実践することで、職場の皆の取り組みが進むことがわかった 推進者として、前向きな思考で取り組むようになった

推進者として自信をもって取り組めるようになった

全員が参加できる継続的 な仕組みづくりを目指した 戦略的な取り組み方法の 獲得

推進者として、参加型職場環境改善の取り組みを皆が受け入れ、参加できる方法を考え、工夫するようになった 推進者として、皆のやる気や意識を高める方法を考えるようになった

推進者として、試行錯誤を重ねながらできるところから少しずつ始めて、徐々に取り組みを広げていく方法を考えるようになっ た

推進者として、メンバー全員が納得して取り組むことの重要性を認識するようになった

推進者として、参加型アプローチの意味を自分なりにとらえ、職場全体で進めることの重要性を感じるようになった

推進者として、自分たちの職場だけでなく他の職場の良い取り組みを参考にし、取り入れることの重要性を感じるようになっ た

推進者として、参加型職場環境改善の取り組みを繰り返し継続していく必要性を認識し、次の改善に向けてアイデアや工夫 を考えるようになった

35 2) 期待を超えた成果の実感

【期待を超えた成果の実感】とは、参加型職場改善によって安全で働きやすい職場になるだけ でなく、この取り組みを皆が肯定的に受け入れていることに対して推進者として嬉しさを感じ、期待 を超えた成果を実感するようになっていったことである。

職場環境が改善されることで、<職場の課題ととらえていたことが解決され、安全で働きやすい 職場になった>ことを推進者は成果として感じていた。そして推進者は、<職場の人たちが参加型 職場環境改善を肯定的に受け入れて実践してくれていることに嬉しい>という感情を抱いていた。

これらの参加型職場環境改善により推進者に生じた成果は、取り組みを始める当初に予測してい た成果をはるかに上回る、<期待を超えた成果として実感されるようになった>。

「休憩室のレイアウトの変更と、姿勢の改善というのが主な改善だったのですけれども。スタッフ 全員、仕事がしやすくなったと感じてくれたようですね。」(B さん)

「少しずつ職場のほうで工夫しているような場面が見えたりすると、みんな考えてもらっているなと か、少しでもしやすくしているなとか、そういうのがはっきり分かるのでうれしくなります。」(M さん)

「スタッフがそれぞれの改善した点に愛着を持って職場で働くという姿は、結局、活 動前の期待 を超えて良かったと思います。それまではこういうことは全然。うん、予測もしなかったことでした。」

(B さん)

3) 労働者との関係性の構築と信頼感の醸成

【労働者との関係性の構築と信頼感の醸成】とは、参加型職場環境改善の取り組みを通じて、

推進者が労働者とのコミュニケーションをとりやすくなり、新たな関係性が構築されることと、そのよう な関係性の構築により、労働者の主体性が重要であることに気づき、推進者が労働者への信頼感 を醸成していくことである。

ここでは 5 つの段階を示す変化がみられていた。推進者は、参加型職場環境改善の取り組みを 通じて、<労働者とコミュニケーションがとりやすくなっていた>ことを感じ、<労働者とのコミュニケ ーションをとることの重要性を認識するようになった>。また、職場環境の改善の取り組みを進めて いく中で、<労働者自身が決めたことは、労働者が確実に遂行してくれることに気づき>、労働者 自身が決めることの重要性を認識し、推進者が中心となって決めていくのではなく、<労働者から 様々な意見やアイデアが出てくることが大切であることを認識する>ようになっていき、労働者から の意見が多く出るように心がけるようになった。そして、このような労働者との関係性が築かれていく ことで、仕事を依頼するときにも、<推進者が職場の人たちに信頼感をもって仕事を依頼できるよう

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