第 4 章 研究方法
I. 本研究における概念と測定用具
4. 内容妥当性および表面妥当性の検討
54 2) 職場環境改善による直接的なアウトカム
どのような内容の職場環境改善が実施されたか、つまり、職場環境改善そのものの評価である 職場環境改善の内容と参加型職場環境改善プログラムにより職場の安全健康課題が解決された かの「課題解決感」を近位アウトカムとして測定した(図 4、測定用具⑤)。また、遠位アウトカムとし て、仕事の生産性と職務満足感、心身の健康状態について測定した(図 4、測定用具⑥)。
仕事の生産性については、新職業性ストレス簡易調査票より、仕事のパフォーマンスを測定する ための3つの下位尺度、職務の遂行、創造性の発揮、積極的な学習を用いて、参加型職場環境 改善のアウトカムとして実施後の変化を聞いていることが分かるように、すべての質問項目の語尾を
「~するようになった」と変化を問うている形に修正して設定した。職務の遂行は、「今月の自分の 仕事の出来は、他の人に比べてよかったと思うようになった」、「指示された仕事をきちんとやり遂げ るようになった」、「自分に期待されている仕事は十分にこなせるようになった」の 3 つの質問項目で 構成されている。創造性の発揮は、「仕事でいろいろ工夫したり、アイデアを出せるようになった」 、
「仕事上の問題に対して、新しい解決策を考えるようになった」 、「仕事について新しいやり方を提 案するようになった」の 3 つの質問項目から、積極的な学習は、「仕事で自分を上手に高めることが できるようになった」、「新しい事をマスターすることで刺激を受けるようになった」、「新しいことを経 験して成長するようになった」の 3 つの質問項目から構成した。下位尺度ごとの質問項目を合計し 項目数(3)で割った平均値を尺度得点として使用した。職務満足感は、新職業性ストレス簡易調 査票より、仕事の満足度を測定するための項目「仕事に満足するようになった」を用いた。
心身の健康状態は、健康関連 QOL を測定する包括的尺度である SF8 Health Survey(福原,
鈴鴨,2004)(以下、SF-8™とする)を用いた。SF-8™の使用にあたっては、所定の手続きに従い使 用登録を行い、使用許諾を得た。SF-8™では、ここ 1 カ月の心身の健康状態について、全体的健 康感(6 件法)、身体機能(5 件法)、日常役割機能(身体)(5 件法)、体の痛み(6 件法)、活力(5 件法)、社会生活機能(5 件法)、日常役割機能(精神)(5 件法)、心の健康(5 件法)の 8 つの側 面から測定した。各質問項目の設定(質問内容、回答法)についてはオリジナル のものをそのまま 使用した。データ分析においては指定のスコアリングプログラムを用いて処理した得点を用いた。
4. 内容妥当性および表面妥当性の検討
55
職場環境改善を実施した職場の労働者と推進者のアウトカムとして適切か、 曖昧な表現はないか を尋ねた。結果として、アウトカムの質問項目の内容は、参加型職場環境改善を実施した職場の 労働者と推進者のアウトカムとしてすべての項目において妥当なものであるとの回答が 5 人全員か ら得られた。
2) 表面妥当性の検討
アウトカムの質問項目について表面妥当性を検討するために、参加型職場環境改善の実施経 験のある職場で働く労働者 5 名、ならびに、参加型職場環境改善において推進者としての役割経 験のある者 5 名に、本調査に用いる予定の労働者用質問紙と推進者用質問紙に回答を求め、質 問紙回答に要する時間と、質問項目の文章表現のわかりやすさ、答えやすさについて評価を依頼 した。結果として、質問紙すべての内容に回答した 10 名全員が 15 分以内に回答できたとし、質問 項目の内容は全体的にわかりやすく、答えにくい項目はなかったとの回答が得られた。
56
図 4. 本研究における概念と測定用具
57