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労働者個人のアウトカムの分析

ドキュメント内 目次 第 (ページ 76-82)

第 5 章 結果

II. 参加型アプローチを用いたことによる労働者個人、推進者個人、職場組織全体のアウトカム

1. 労働者個人のアウトカムの分析

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対人関係の平均値が 3.03±0.55(全国平均 2.88±0.66)、職場環境の平均値が 2.55±0.90(全 国平均 2.78±0.99)であった。

⑤ 月の平均残業時間

推進者の月間の残業時間は、0~120 時間(平均 6.8±15.8 時間)で、0 時間が 28 人

(35.4%)、1~5 時間が 27 人(34.2%)、6~10 時間が 13 人(16.5%)、11~15 時間が 2 人

(2.5%)、16~20 時間が 3 人(3.8%)、21 時間以上が 4 人(5.1%)、無回答が 2 人(2.5%)であっ た。

⑥ 月の外勤・出張回数

推進者の月間の外勤・出張回数は、0~10 回(平均 3.2±2.7 回)で、0 回が 7 人(8.9%)、1~5 回が 59 人(74.7%)、6~10 回が 10 人(12.7%)、無回答が 3 人(3.8%)であった。

(5) 身体的側面および精神的側面の健康認識(SF-8™の平均得点)

推進者の SF-8™日本語版の各尺度得点は、身体機能の平均値が 49.8±9.0(全国サンプル 49.8±6.8)、日常役割機能(身体)の平均値が 49.9±5.2(全国サンプル 50.1±6.6)、身体の痛み の平均値が 50.0±9.0(全国サンプル 50.1±8.6)、全体的健康感の平均値が 49.4±5.71(全国サ ンプル 50.0±7.3)、活力の平均値が 47.6±7.1(全国サンプル 50.1±6.8)、社会生活機能の平均 値が 48.7±7.3(全国サンプル 50.0±7.6)、日常役割機能(精神)の平均値が 47.0±6.6(全国サ ンプル 49.9±6.3)、心の健康の平均値が 47.4±6.8(49.7±7.1)、身体的サマリスコアの平均値が 49.7±6.9、精神的サマリスコアの平均値が 45.9±7.7 で、全国サンプルとほぼ同程度であった。

(6) 推進者経験年数

推進者としての経験年数は、1~5 年(平均 1.4±0.8 年)であり、1 年目が 58 人(73.4%)、2 年 目が 16 人(20.3%)、3 年目が 2 人(2.5%)、4 年目が 2 人(2.5%)、5 年目が 1 人(1.3%)であっ た。

II. 参加型アプローチを用いたことによる労働者 個人、推進者個人、職場組織全体のアウトカム

72 1) 記述統計量

研究者が作成した 18 項目の記述統計量は、表 9 に示す通りである。各項目の有効回答率は 100%であった。平均値は 2.30[W6]~2.74[W2]であった。平均値+標準偏差が最大得点以上とな る天井効果、平均値-標準偏差が最低得点以下となる床効果を示す項目はなかった(表 9)。

表 9.労働者個人のアウトカムに関する項目の記述統計量

2) IT(Item-Total 相関)

労働者個人のアウトカム 18 項目において、欠損値のない 533 人のデータで IT 相関を確認した。

修正済項目合計相関の絶対値は、0.754~0.869 で、強い相関が確認された。

項目 N 最小値 最大値 平均値 標準偏差

(SD) 平均値

+SD 平均値

-SD W1 仕事や職場環境に関連した安全や健康に関心を持つようになった 533 1 4 2.56 0.70 3.26 1.86

W2 職場環境を改善したいという気持ちを持つようになった 533 1 4 2.74 0.73 3.47 2.01

W3 自分自身が、意識をして何かを変えることで自分たちの安全や健康

を守れることに気づいた 533 1 4 2.61 0.72 3.33 1.89

W4 安全や健康向上のための行動に積極的に取り組むようになった 533 1 4 2.45 0.69 3.14 1.76

W5 強制ではなく自主的に職場環境改善に取り組むようになった 533 1 4 2.47 0.71 3.18 1.75

W6 安全や健康を向上する視点からの様々な意見を上層部に言えるよう

になった 533 1 4 2.30 0.71 3.01 1.59

W7 参加型職場環境改善の取り組みの必要性について理解するように

なった 533 1 4 2.58 0.72 3.30 1.86

W8 職場の皆と一緒に楽しみながら取り組みに参加するようになった 533 1 4 2.43 0.71 3.14 1.71

W9 実際に体験することで、参加型アプローチで取り組む意味を肯定的

にとらえることができるようになった 533 1 4 2.51 0.73 3.24 1.77

W10 参加型職場環境改善の取り組みを継続していく重要性を認識するよ

うになった 533 1 4 2.54 0.74 3.28 1.80

W11 仕事上の困りごとや工夫したことを話し合うことで、思いを共有できる

ようになった 533 1 4 2.51 0.71 3.22 1.80

W12 改善をともに進めたメンバーとの情緒的な結びつきが深まった 533 1 4 2.34 0.74 3.08 1.60

W13 互いの頑張りや意欲に励まされ、自分も頑張る気持ちになった 533 1 4 2.41 0.73 3.14 1.69

W14 皆で改善した職場に対して愛着を持って大切に使っていこうという気

持ちを持つようになった 533 1 4 2.51 0.76 3.27 1.75

W15 職場環境改善の成果を褒められ、承認されることで意欲が高まった 533 1 4 2.35 0.75 3.10 1.61

W16 自分たち自身の手で改善ができることを、体験を通じて実感するよう

になった 533 1 4 2.51 0.74 3.25 1.77

W17 お金をかけなくても知恵を出し合いながら改善できることに気づいた 533 1 4 2.61 0.75 3.36 1.85

W18 皆で取り組んだことでの達成感を得ることができた 533 1 4 2.47 0.78 3.25 1.68

73 3) 探索的因子分析

(1) 因子数の決定

項目分析の段階では項目を削除せずに、探索的因子分析(最尤法、プロマックス回転)を行っ た。因子間に相関関係があることを仮定し、斜交回転であるプロマックス回転を行った。 固有値の 下限を1としたところ、【労働者個人のアウトカム】では 1 因しか抽出されなかったが、モデルに従い 5 因子に指定し分析を行った。また、その前後の因子数においても因子分析を行い、因子負荷量、

クロンバックαの比較をし、因子の解釈をしながらもっともよいと考えられる因子数として、3 因子と 判断した。

項目選定基準は、因子負荷量が 0.40 以上であること、複数の因子に 0.4 以上の負荷量を有し ないこととし、18 項目中、因子負荷量が 0.40 未満であった 1 項目(「実際に体験することで、参加 型アプローチで取り組む意味を肯定的にとらえることができるようになった」)、複数の因子に 0.4 以 上の負荷量を有した 2 項目(「自分たち自身の手で改善ができることを、体験を通じて実感するよう になった」、「皆で取り組んだことでの達成感を得ることができた」)の合計 3 項目を除外した。15 項 目でプロマックス回転を行ったところ、表 10 に示す 3 因子構造となった。表中の W のアルファベッ トとそのアルファベットに続く数字(例、W1)は、労働者個人のアウトカムの質問項目の番号を、その 隣の( )内の数字は項目作成時に想定した下位概念の番号を示している。

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表 10. 労働者個人のアウトカムの探索的因子分析(最尤法・プロマックス回転)

(N=533)

(2) 因子の命名

探索的因子分析によって抽出された因子 は以下のように命名した。命名にあたっては、概念枠 組みを参考にしつつも、観測変数が示している内容を重視した。

第Ⅰ因子は、7 項目から構成され、仮説モデルにおける構成概念【労働者の情緒的な結びつき の深まりによる職場の愛着形成】を示す W13「互いの頑張りや意欲に励まされ、自分も頑張る気持 ちになった」(因子負荷量 0.96)、W12「改善をともに進めたメンバーとの情緒的な結びつきが深ま った」(因子負荷量 0.93)、W11「仕事上の困りごとや工夫したことを話し合うことで、思いを共有でき るようになった」(因子負荷量 0.70)、W14「皆で改善した職場に対して愛着を持って大切に使って いこうという気持ちを持つようになった」(因子負荷量 0.65)に該当する 4 つの項目はすべて含まれ ていた。W15「職場環境改善の成果を褒められ、承認されることで意欲が高まった」は、仮説モデル では【成果に基づく自信と達成感の強化】に、W6「安全や健康を向上する視点からの様々な意見

因子の解釈

W13 4 互いの頑張りや意欲に励まされ、自分も頑張る気持ちになった .959 -.025 -.030 W12 4 改善をともに進めたメンバーとの情緒的な結びつきが深まった .925 .028 -.111 W15 5 職場環境改善の成果を褒められ、承認されることで意欲が高まった .841 .026 .000 W11 4 仕事上の困りごとや工夫したことを話し合うことで、思いを共有できるように

なった .696 .110 .066

W6 2 安全や健康を向上する視点からの様々な意見を上層部に言えるようになっ

.646 .052 .120

W14 4 皆で改善した職場に対して愛着を持って大切に使っていこうという気持ちを

持つようになった .646 .223 .040

W8 3 職場の皆と一緒に楽しみながら取り組みに参加するようになった .634 -.007 .275

W2 1 職場環境を改善したいという気持ちを持つようになった -.113 .898 .066

W3 1 自分自身が、意識をして何かを変えることで自分たちの安全や健康を守れ

ることに気づいた .143 .749 -.007

W1 1 仕事や職場環境に関連した安全や健康に関心を持つようになった .099 .698 .065

W4 2 安全や健康向上のための行動に積極的に取り組むようになった .349 .542 .001

W5 2 強制ではなく自主的に職場環境改善に取り組むようになった .368 .455 .072

W17 5 お金をかけなくても知恵を出し合いながら改善できることに気づいた .210 .425 .205 W7 3 参加型職場環境改善の取り組みの必要性について理解するようになった -.065 .073 .927 W10 3 参加型職場環境改善の取り組みを継続していく重要性を認識するように

なった .161 .174 .595

因子負荷量平方和 10.09 0.609 0.306 寄与率(%) 67.269 4.062 2.043 累積寄与率(%) 67.269 71.331 73.374

因子間相関

1.000 .809 .731

1.000 .802

1.000

仮説モデル における 構 成概念

項目 因子

参加型職場環境改 善の必要性の認識 安全衛生に対する 意識の向上と行動 する力の獲得 情緒的な結びつき の深まりによる職場 メンバーとの関係性

の促進

項目 番号

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を上層部に言えるようになった」は、仮説モデルでは【自主的に行動する力の獲得】に、W8「職場 の皆と一緒に楽しみながら取り組みに参加するようになった」 は仮説モデル【参加型アプローチに 対する肯定的な理解】に含まれている項目であるが、成果を承認されることや職場の皆と一緒に取 り組む姿勢は情緒的な結びつきが深まっていることを示し、上層部に意見を言うという行為は職場 メンバーとの関係性が促進された上に成り立っていると解釈できることから、<情緒的な結びつきの 深まりによる職場メンバーとの関係性の促進>と命名した。

第Ⅱ因子は、仮説モデルにおける構成概念【安全や健康に対する意識の向上】の 3 項目 W2

「職場環境を改善したいという気持ちを持つようになった」W3「自分自身が、意識をして何かを変え ることで自分たちの安全や健康を守れることに気づいた」、W1「仕事や職場環境に関連した安全や 健康に関心を持つようになった」が上位を占めており、安全衛生に対する関心や気持ちが変化し ている様子を示していた。W17「お金をかけなくても知恵を出し合いながら改善できることに気づい た」は、仮説モデルにおいて【成果に基づく自信と達成感の強化】に該当する項目であったが、こ の項目は職場環境改善に対する考え方の変化を示しており、安全衛生活動に対するあらたな気 づきを獲得したと解釈できる。W4「安全や健康向上のための行動に積極的に取り組むようになっ た」、W5「強制ではなく自主的に職場環境改善に取り組むようになった」は、仮説モデルにおいて

【自主的に行動する力の獲得】の項目であったが、行動する力もその前提には安全衛生に対する 考え方の変化や意識の向上があると解釈できるため、<安全衛生に対する意識の向上と行動する 力の獲得>と命名した。

第Ⅲ因子は 2 項目から構成され、すべて仮説モデルにおける構成概念【取り組みの必要性の認 識】に該当する項目であった。W7「参加型職場環境改善の取り組みの必要性について理解するよ うになった」(因子負荷量 0.93)、W10「参加型職場環境改善の取り組みを継続していく重要性を認 識するようになった」(因子負荷量 0.60)であり、因子名は、<参加型職場環境改善の必要性の認 識>とした。

4) 信頼性の検討

労働者個人のアウトカムの 15 項目全体の Cronbach’s αは 0.969、<情緒的な結びつきの深 まりによる職場メンバーとの関係性の深まり>7 項目では 0.949、<安全衛生に対する意識の向上と 行動する力の獲得>6 項目では 0.932、<参加型職場環境改善の必要性の認識>2 項目では 0.886 であり、十分な内的整合性を確認した。

ドキュメント内 目次 第 (ページ 76-82)