• 検索結果がありません。

アウトカム

ドキュメント内 目次 第 (ページ 56-59)

第 4 章 研究方法

I. 本研究における概念と測定用具

3. アウトカム

アウトカムは参加型アプローチを用いたことによるアウトカムと職場環境改善による直接的なアウ トカムの 2 つのアウトカムから構成した。また、アウトカムの時系列モデルを採用し、プログラム実施 後にすぐに出現する近位アウトカムと近位アウトカムに引き続き生じる遠位アウトカムの 2 段構えとし た。

1) 参加型アプローチを用いたことによるアウトカム

近位アウトカムとして、労働者個人のアウトカム、推進者個人のアウトカムを用いて測定した(図 4、

測定用具③)。労働者個人 のアウトカムは、労働者個人に生じた安全や健康に関する意識や行動 の変化、関係性の変化とした。推進者個人のアウトカムは、推進者個人に生じた安全や健康に関 する意識や行動の変化、関係性の変化とした。労働者個人、推進者個人のアウトカムは、「参加型 職場環境改善を通じてあなた自身に起きた変化について伺います」の問いで、労働者個人のアウ トカムについては 5 つの下位概念、推進者個人のアウトカムについては 5 つの下位概念に関する 意識や行動、関係性の変化により測定した。

遠位アウトカムとして、職場組織全体のアウトカムを測定した(図 4、測定用具④)。職場組織全 体のアウトカムは、労働者ならびに推進者個人が認識した職場全体の雰囲気の変化や関係性の 進展、さらには職場全体に参加型アプローチの取り組みが浸透し、拡大するといった職場組織全

52

体の変化とした。職場組織全体のアウトカムは、「参加型職場環境改善を通じて、あなたの職場に 起きた変化について伺います」との問いで、4 つの下位概念に関する変化を測定した。

労働者個人、推進者個人、職場組織全体のアウトカムはすべて 4 件法で尋ねた。参加型アプロ ーチを用いたことによるアウトカムの各質問項目を表 6 に示す。

53

表 6.参加型アプローチを用いたことによるアウトカム質問項目一覧

W1 仕事や職場環境に関連した安全や健康に関心を持つようになった W2 職場環境を改善したいという気持ちを持つようになった

W3 自分自身が、意識をして何かを変えることで自分たちの安全や健康を守れることに気づいた W4 安全や健康向上のための行動に積極的に取り組むようになった

W5 強制ではなく自主的に職場環境改善に取り組むようになった

W6 安全や健康を向上する視点からの様々な意見を上層部に言えるようになった W7 参加型職場環境改善の取り組みの必要性について理解するようになった W8 職場の皆と一緒に楽しみながら取り組みに参加するようになった

W9 実際に体験することで、参加型アプローチで取り組む意味を肯定的にとらえることができるようになった W10 参加型職場環境改善の取り組みを継続していく重要性を認識するようになった

W11 仕事上の困りごとや工夫したことを話し合うことで、思いを共有できるようになった W12 改善をともに進めたメンバーとの情緒的な結びつきが深まった

W13 互いの頑張りや意欲に励まされ、自分も頑張る気持ちになった

W14 皆で改善した職場に対して愛着を持って大切に使っていこうという気持ちを持つようになった W15 職場環境改善の成果を褒められ、承認されることで意欲が高まった

W16 自分たち自身の手で改善ができることを、体験を通じて実感するようになった W17 お金をかけなくても知恵を出し合いながら改善できることに気づいた W18 皆で取り組んだことでの達成感を得ることができた

F1 安全や健康について日頃からアンテナを張っておく必要性を感じるようになった F2 職場に存在する安全や健康のリスクに対する感度が高まった

F3 事故が起きた際にもなぜ事故が起こったのか原因を考えるようになった

F4 職場の課題ととらえていたことが解決され、安全でより健康的な働きやすい職場になった F5 参加型職場環境改善を通して、期待を超えた成果を実感することができた

F6 職場の人たちが参加型職場環境改善の取り組みを肯定的に受け入れて実践してくれることに嬉しく思うように なった

F7 参加型職場環境改善の取り組みを通じて労働者とのコミュニケーションがとりやすくなった F8 労働者とのコミュニケーションをとることの重要性を認識するようになった

F9 労働者から様々な意見やアイデアが出てくることの重要性を認識するようになった F10 職場の人たちに信頼感をもって仕事を依頼できるようになった

F11 労働者自身が決めたことは、守ってくれることがわかった

F12 その職場で培ってきた文化や風習に心配りしながら職場環境改善を進めていく大切さを実感するようになった F13 推進者として何をどうすればよいのかわからなかったのが、経験を通じて何をすべきが分かるようになった F14 その職場に適した参加型職場環境改善の進め方がわかるようになった

F15 自分自身が一緒に実践することで、職場の皆の取り組みが進むことがわかった F16 前向きな思考で取り組むようになった

F17 自信をもって参加型職場環境改善に取り組めるようになった

F18 参加型職場環境改善の取り組みを皆が受け入れ、参加できる方法を考え、工夫するようになった F19 皆のやる気や意識を高める方法を考えるようになった

F20 試行錯誤を重ねながらできるところから少しずつ始めて、徐々に取り組みを広げていく方法を考えるようになった F21 メンバー全員が納得して取り組むことの重要性を認識するようになった

F22 参加型で取り組む意味を自分なりにとらえ、職場全体で進めることの重要性を感じるようになった

F23 自分たちの職場だけでなく他の職場の良い取り組みを参考にし、取り入れることの重要性を感じるようになった F24 参加型職場環境改善の取り組みを繰り返し継続していく必要性を認識し、次の改善に向けてアイデアや工夫を考

えるようになった

O1 職場全体で安全や健康について話し合える雰囲気になった O2 職場全体の雰囲気が良くなった

O3 職場全体のコミュニケーションが促進されるようになった

O4 労働者同士が相手の特徴をよく知ることで、互いの理解がより深まった O5 労働者同士で話す機会が増え、いろいろな情報が共有されるようになった O6 労働者同士で互いに協力しあう姿が見られるようになった

O7 職場全体に連帯感が生じ、労働者同士の信頼関係が強くなった O8 職場全体のチームワークが良くなった

O9 職場全体に参加型職場環境改善の取り組みが定着するようになった O10 職場全体に良好事例が広がり、水平展開されるようになった 職場全体の雰囲気の

肯定的な変化 相 互 理 解 と コミ ュ ニ ケーションの促進 職場全 体の 一体 感と 結束力の強化 職場全体としての取り 組みの浸透と拡大

質問項目 カテゴリー名

労働者 との 関係 性の 構築と信頼感の醸成

自身の 成長 と自 信の 獲得

全員が参加できる継続 的な仕組みづくりを目 指した戦略的な取り組 み方法の獲得 労働者個人の

アウトカム

推進者個人の アウトカム

職場組織全体 のアウトカム

安全や健康に対する 意識の向上 自主的に行動する力 の獲得

参加型アプローチに対 する肯定的な理解

労働者の情緒的な結 びつきの深まりによる 職場の愛着の形成

成果に基づく自信と達 成感の強化

安全や健康リスクに対 する感度の向上

期待を超えた成果の実

54 2) 職場環境改善による直接的なアウトカム

どのような内容の職場環境改善が実施されたか、つまり、職場環境改善そのものの評価である 職場環境改善の内容と参加型職場環境改善プログラムにより職場の安全健康課題が解決された かの「課題解決感」を近位アウトカムとして測定した(図 4、測定用具⑤)。また、遠位アウトカムとし て、仕事の生産性と職務満足感、心身の健康状態について測定した(図 4、測定用具⑥)。

仕事の生産性については、新職業性ストレス簡易調査票より、仕事のパフォーマンスを測定する ための3つの下位尺度、職務の遂行、創造性の発揮、積極的な学習を用いて、参加型職場環境 改善のアウトカムとして実施後の変化を聞いていることが分かるように、すべての質問項目の語尾を

「~するようになった」と変化を問うている形に修正して設定した。職務の遂行は、「今月の自分の 仕事の出来は、他の人に比べてよかったと思うようになった」、「指示された仕事をきちんとやり遂げ るようになった」、「自分に期待されている仕事は十分にこなせるようになった」の 3 つの質問項目で 構成されている。創造性の発揮は、「仕事でいろいろ工夫したり、アイデアを出せるようになった」 、

「仕事上の問題に対して、新しい解決策を考えるようになった」 、「仕事について新しいやり方を提 案するようになった」の 3 つの質問項目から、積極的な学習は、「仕事で自分を上手に高めることが できるようになった」、「新しい事をマスターすることで刺激を受けるようになった」、「新しいことを経 験して成長するようになった」の 3 つの質問項目から構成した。下位尺度ごとの質問項目を合計し 項目数(3)で割った平均値を尺度得点として使用した。職務満足感は、新職業性ストレス簡易調 査票より、仕事の満足度を測定するための項目「仕事に満足するようになった」を用いた。

心身の健康状態は、健康関連 QOL を測定する包括的尺度である SF8 Health Survey(福原,

鈴鴨,2004)(以下、SF-8™とする)を用いた。SF-8™の使用にあたっては、所定の手続きに従い使 用登録を行い、使用許諾を得た。SF-8™では、ここ 1 カ月の心身の健康状態について、全体的健 康感(6 件法)、身体機能(5 件法)、日常役割機能(身体)(5 件法)、体の痛み(6 件法)、活力(5 件法)、社会生活機能(5 件法)、日常役割機能(精神)(5 件法)、心の健康(5 件法)の 8 つの側 面から測定した。各質問項目の設定(質問内容、回答法)についてはオリジナル のものをそのまま 使用した。データ分析においては指定のスコアリングプログラムを用いて処理した得点を用いた。

4. 内容妥当性および表面妥当性の検討

ドキュメント内 目次 第 (ページ 56-59)