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推進者個人のアウトカムの分析

ドキュメント内 目次 第 (ページ 82-90)

第 5 章 結果

II. 参加型アプローチを用いたことによる労働者個人、推進者個人、職場組織全体のアウトカム

2. 推進者個人のアウトカムの分析

推進者個人のアウトカム 79 人のデータを対象に分析を行った。

1) 記述統計量

研究者が作成した 24 項目の記述統計量は、表 11 に示す通りである。各項目の有効回答率は 100%であった。平均値は 2.39[F17]~2.82[F8, F9]であった。平均値+標準偏差が最大得点以 上となる天井効果、平均値-標準偏差が最低得点以下となる床効果を示す項目はなかった (表 11)。

78

表 11. 推進者個人のアウトカムに関する項目の記述統計量

2) IT(Item-Total)相関

推進者個人のアウトカム 24 項目において、欠損値のない 79 人のデータで IT 相関を確認した。

修正済項目合計相関の絶対値は、0.396~0.802 で、中等度から強い相関が確認された。

項目 N 最小値 最大値 平均値 標準偏差

(SD)

平均値

+SD 平均値

-SD F1 安全や健康について日頃からアンテナを張っておく必要性を

感じるようになった 79 1 4 2.81 0.56 3.37 2.25

F2 職場に存在する安全や健康のリスクに対する感度が高まった 79 1 4 2.76 0.54 3.30 2.22 F3 事故が起きた際にもなぜ事故が起こったのか原因を考えるよ

うになった 79 1 4 2.61 0.56 3.17 2.04

F4 職場の課題ととらえていたことが解決され、安全でより健康的

な働きやすい職場になった 79 2 4 2.77 0.55 3.33 2.22

F5 職場ドック事業を通して、期待を超えた成果を実感することが

できた 79 1 4 2.46 0.62 3.07 1.84

F6 職場の人たちが職場ドック事業の取り組みを肯定的に受け入

れて実践してくれることに嬉しく思うようになった 79 1 4 2.68 0.65 3.33 2.03 F7 職場ドック事業の取り組みを通じて職員とのコミュニケーション

がとりやすくなった 79 1 4 2.66 0.62 3.28 2.04

F8 職員とのコミュニケーションをとることの重要性を認識するよう

になった 79 1 4 2.82 0.53 3.35 2.30

F9 職員から様々な意見やアイデアが出てくることの重要性を認

識するようになった 79 1 4 2.82 0.55 3.37 2.27

F10 職場の人たちに信頼感をもって仕事を依頼できるようになっ

79 1 4 2.67 0.59 3.26 2.08

F11 職員自身が決めたことは、守ってくれることがわかった 79 2 4 2.70 0.49 3.19 2.21 F12 その職場で培ってきた文化や風習に心配りしながら職場環境

改善を進めていく大切さを実感するようになった 79 2 4 2.78 0.52 3.31 2.26 F13 職場ドック推進リーダーとして何をどうすればよいのかわから

なかったのが、経験を通じて何をすべきが分かるようになった 79 2 4 2.75 0.54 3.29 2.20 F14 その職場に適した職場ドック事業の進め方がわかるようになっ

79 1 4 2.54 0.62 3.16 1.93

F15 自分自身が一緒に実践することで、職場の皆の取り組みが進

むことがわかった 79 2 4 2.78 0.59 3.38 2.19

F16 前向きな思考で取り組むようになった 79 2 4 2.75 0.54 3.29 2.20

F17 自信をもって職場ドック事業に取り組めるようになった 79 1 4 2.39 0.61 3.00 1.78 F18 職場ドック事業の取り組みを皆が受け入れ、参加できる方法を

考え、工夫するようになった 79 1 4 2.58 0.59 3.17 1.99

F19 皆のやる気や意識を高める方法を考えるようになった 79 2 4 2.67 0.55 3.22 2.12 F20 試行錯誤を重ねながらできるところから少しずつ始めて、徐々

に取り組みを広げていく方法を考えるようになった 79 2 4 2.78 0.50 3.28 2.29 F21 メンバー全員が納得して取り組むことの重要性を認識するよう

になった 79 1 4 2.76 0.54 3.30 2.22

F22 参加型で取り組む意味を自分なりにとらえ、職場全体で進め

ることの重要性を感じるようになった 79 2 4 2.78 0.52 3.31 2.26

F23 自分たちの職場だけでなく他の職場の良い取り組みを参考に

し、取り入れることの重要性を感じるようになった 79 2 4 2.80 0.59 3.38 2.21 F24 職場ドック事業の取り組みを繰り返し継続していく必要性を認

識し、次の改善に向けてアイデアや工夫を考えるようになった 79 1 4 2.71 0.62 3.33 2.09

79 3) 探索的因子分析

(1) 因子数の決定

項目分析の段階では項目を削除せずに、探索的因子分析(最尤法、プロマックス回転)を行っ た。因子間に相関関係があることを仮定し、斜交回転であるプロマックス回転を行った。固有値の 下限を1とし、【推進者個人のアウトカム】では 4 因子を抽出した。項目選定基準は、因子負荷量が 0.40 以上であること、複数の因子に 0.4 以上の負荷量を有しないこととした。

24 項目中、因子負荷量が 0.40 未満であった 2 項目(F4「職場の課題ととらえていたことが解決 され、安全で働きやすい職場になった」、F21「メンバー全員が納得して取り組むことの重要性を認 識するようになった」を除外し、22 項目でプロマックス回転を行ったところ、表 12 に示す 4 因子構 造となった。表中の F 数字(例、F1)は、推進者個人のアウトカムの質問項目の番号を、その隣の

( )内の数字は項目作成時に想定した下位概念の番号を示している。

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表 12. 推進者個人のアウトカムの探索的因子分析(最尤法・プロマックス回転)

N=79

因子の解釈

F12 4 その職場で培ってきた文化や風習に心配りしながら職場環境改善を進めて

いく大切さを実感するようになった .920 -.075 -.155 .016

F20 5 試行錯誤を重ねながらできるところから少しずつ始めて、徐々に取り組みを

広げていく方法を考えるようになった .835 .123 .053 -.227

F22 5 参加型で取り組む意味を自分なりにとらえ、職場全体で進めることの重要性

を感じるようになった .672 -.071 -.288 .397

F9 3 労働者から様々な意見やアイデアが出てくることの重要性を認識するように

なった .670 .088 -.079 .174

F19 5 皆のやる気や意識を高める方法を考えるようになった .589 .038 .048 .141 F24 5 参加型職場環境改善事業の取り組みを繰り返し継続していく必要性を認識

し、次の改善に向けてアイデアや工夫を考えるようになった .532 .330 .204 -.124 F23 5 自分たちの職場だけでなく他の職場の良い取り組みを参考にし、取り入れる

ことの重要性を感じるようになった .504 .099 .338 -.265

F8 3 労働者とのコミュニケーションをとることの重要性を認識するようになった .497 -.090 .365 .080 F15 4 自分自身が一緒に実践することで、職場の皆の取り組みが進むことがわ

かった .469 .092 .213 .073

F10 3 職場の人たちに信頼感を持って仕事を依頼できるようになった .406 -.290 .345 .383 F14 4 その職場に適した参加型職場環境改善事業の進め方がわかるようになった -.069 .968 .048 -.096 F17 4 自信をもって参加型職場環境改善事業に取り組めるようになった -.074 .806 -.043 .194 F18 5 参加型職場環境改善事業の取り組みを皆が受け入れ、参加できる方法を考

え、工夫するようになった .133 .707 -.188 .196

F13 4 参加型職場環境改善推進リーダーとして何をどうすればよいのかわからな

かったのが、経験を通じて何をすべきが分かるようになった .139 .468 .132 .096

F16 4 前向きな思考で取り組むようになった .167 .425 .124 .124

F2 1 職場に存在する安全や健康のリスクに対する感度が高まった -.163 -.030 .848 .082 F3 1 事故が起きた際にもなぜ事故が起こったのか原因を考えるようになった -.039 -.005 .726 .200 F1 1 安全や健康について日頃からアンテナを張っておく必要性を感じるようになっ

.011 .054 .686 .044

F6 2 職場の人たちが参加型職場環境改善事業の取り組みを肯定的に受け入れ

て実践してくれることに嬉しく思うようになった .001 .185 -.053 .764 F7 3 参加型職場環境改善事業の取り組みを通じて労働者とのコミュニケーション

がとりやすくなった .009 .038 .274 .593

F5 2 参加型職場環境改善事業を通して、期待を超えた成果を実感することができ

.046 .126 .152 .517

F11 3 労働者自身が決めたことは、守ってくれることがわかった -.156 .047 .189 .434 因子負荷量平方和 10.534 1.127 0.837 0.764 寄与率(%) 47.884 5.641 3.833 3.598 累積寄与率(%) 47.884 53.525 57.358 60.955

因子間相関

1.000 .671 .679 .659

1.000 .527 .545

1.000 .543

1.000

自身の成長と自信の獲

安全や健康リスクに対 する感度の向上

労働者との関係性構築 による成果の実感

仮説モデル における 構 成概念

項目 因子

項目番号

皆で進める継続的な仕 組みづくりを目指した戦 略的な方法の獲得

81 (2) 因子の命名

探索的因子分析によって抽出された因子は以下のように命名した。

第Ⅰ因子は、10 項目から構成され、仮説モデルにおける構成概念【全員が参加できる継続的な 仕組みづくりを目指した戦略的な取り組み方法の獲得】を示す F20「試行錯誤を重ねながらできる ところから少しずつ始めて、徐々に取り組みを広げていく方法を考えるようになった」、F22「参加型 で取り組む意味を自分なりにとらえ、職場全体で進めることの重要性を感じるようになった」、 F19

「皆のやる気や意識を高める方法を考えるようになった」や、仮説モデルの構成概念【労働者との 関係性の構築と信頼感の醸成】の項目である F9「労働者から様々な意見やアイデアが出てくること の重要性を認識するようになった」が上位を占めた。これらの項目は、参加型職場環境改善を継続 するために、職場のメンバーと一緒にすすめていくことの重要性、そのような仕組みをつくるための 戦略的な方法を試行錯誤しながら獲得することを示していた。また、戦略的な方法として、F24「参 加型職場環境改善事業の取り組みを繰り返し継続していく必要性を認識し、次の改善に向けてア イデアや工夫を考えるようになった」や F23「自分たちの職場だけでなく他の職場の良い取り組みを 参考にし、取り入れることの重要性を感じるようになった」は継続的な取り組みを目指した戦略的な 方法であり、F8「労働者とのコミュニケーションをとることの重要性を認識するようになった」や F10

「職場の人たちに信頼感を持って仕事を依頼できるようになった」は、職場のメンバー皆ですすめる ための戦略的な方法の具体的な行動と解釈できる。F12「その職場で培ってきた文化や風習に心 配りしながら職場環境改善を進めていく大切さを実感するようになった」と F15「自分自身が一緒に 実践することで、職場の皆の取り組みが進むことがわかった」は、仮説モデルにおける【自身の成長 と自信の獲得】に該当する項目であるが、文化や風習に心配りを忘れないことや皆と一緒に実践 することの重要性を理解することは、継続的に参加型職場環境改善をすすめる上での戦略的な取 り組み方法の一つとして解釈できることから、<皆で進める継続的な仕組みづくりを目指した戦略 的な方法の獲得>と命名した。

第Ⅱ因子は、5 項目から構成され、仮説モデルにおける構成概念【自身の成長と自信の獲得】

の 4 項目、F14「その職場に適した参加型職場環境改善事業の進め方がわかるようになった」、F17

「自信をもって参加型職場環境改善事業に取り組めるようになった」、F13「参加型職場環境改善 推進リーダーとして何をどうすればよいのかわからなかったのが、経験を通じて何をすべきが分かる ようになった」、F14「前向きな思考で取り組むようになった」が含まれていた。これらの項目は、推進 者として参加型職場環境改善 に関与し、一人の人間として成長して自信を獲得していく様を示し

ドキュメント内 目次 第 (ページ 82-90)