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労働者個人のアウトカム

ドキュメント内 目次 第 (ページ 33-37)

第 3 章 予備研究

II. 結果

1. 労働者個人のアウトカム

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なお、本研究は、聖路加大学研究倫理審査委員会の承認を得て行った(承認番号 12-014)。

29 表 2. 労働者のアウトカムの項目

カテゴリー サブカテゴリー

安全や健康に対する意識の向上

労働者が仕事や職場環境に関連した安全や健康に関心を持つようになった 労働者が職場環境を改善したいという気持ちを持つようになった

労働者自身が意識をして何かを変えることで自分たちの安全や健康を守れることに気づいた

自主的に行動する力の獲得

労働者が安全や健康向上のための行動に積極的に取り組むようになった 労働者が強制でなく自主的に職場環境改善に取り組むようになった

労働者が安全や健康を向上する視点からの様々な意見を上層部に言えるようになった

参加型アプローチに対する肯定的 な理解

労働者が参加型職場環境改善の取り組みの必要性について理解するようになった 労働者が職場の皆と一緒に楽しみながら取り組に参加するようになった

労働者が実際に体験することで、参加型アプローチで取り組む意味を肯定的にとらえることができるようになった 労働者が参加型職場環境改善の取り組みを継続していく重要性を認識するようになった

労働者の情緒的な結びつきの深ま りによる職場の愛着の形成

労働者が仕事上の困りごとや工夫したことを話し合うことで、思いを共有できるようになった 労働者が改善をともに進めたメンバーとの情緒的な結びつきが深まった

労働者が、互いの頑張りや意欲に励まされ、自分も頑張る気持ちになった

労働者が皆で改善した職場に対して愛着を持って大切に使っていこうという気持ちを持つようになった

成果に基づく自信と達成感の強化

労働者が職場環境改善の成果を褒められ、承認されることで意欲が高まった

労働者が自分たち自身の手で改善ができることを、体験を通じて実感するようになった 労働者がお金をかけなくても知恵を出し合いながら改善できることに気づいた

労働者が皆で取り組んだことでの達成感を得ることができた

30 2) 自主的に行動する力の獲得

【自主的に行動する力の獲得】とは、労働者が安全や健康状態をより良くするために積極的、自 主的に行動する力を得ることである。

作業中の危険有害要因から身を守るための作業服や保護具の着用がなかなか徹底されなかっ た職場で、安全向上のための具体的な行動として、労働者自身が 作業服を適切に着用し、保護 具の使用を徹底するなど、<労働者が安全や健康向上のための行動に積極的に取り組む>姿が みられるようになり、<強制でなく自主的に職場環境改善に取り組むようになった>こと、さらには 現状を改善するために、<安全や健康を向上する視点からの様々な意見を上層部に言えるように なった>といった積極的な行動の変化の 3 つから構成されていた。

「(作業服の着用について)昔は半袖で帽子もかぶらない。自分たちの作業の効率だけしか考え ずに、そういった対応をとっていたんですけども。それを今はきっちり着用するようになってきている ところも、一つの職場の大きな変化かなと思います。」(K さん)

「もう何度も注意しました。マスクをしていない人も結構いましたので、する人としない人ともうはっ きり分かれていたんです。一応、下の事務所には全部備えてありますので、朝来たり、休憩時間に 来て持って行く人もいますけれども、今はもう全員です。」(E さん)

「いちいち言わなくても向こうから、自らやりますので。これまでは、もう口うるさく何回も言っても聞 かないで。そういう変化はありました。」(E さん)

「今までは言われたものに従うだけだったのが、自分たちでも安全意識が高まったことで、会社に 提言できるようになったというのは、会社にとっても彼らにとってもいいことだと思う。それはすごく良 かったなと思います。」(D さん)

3) 参加型アプローチに対する肯定的な理解

【参加型アプローチに対する肯定的な理解】とは、参加型職場環境改善を実際に体験し、この 手法へ理解が深まることで生じた、参加型アプローチに対する肯定的な労働者個人の考え方の変 化である。

ここでは 4 つの段階を示す考え方の変化がみられた。参加型職場環境改善を実施しているプロ セスの中では、職場環境改善に取り組むための時間が必要となり、業務が増えることによる負担感 や職場全体の意思決定の中で参加型職場環境改善の導入が決まったことによるやらされ感など ネガティブな感情も生じていた。しかし、<労働者が職場の皆と一緒に楽しみながら取り組むように なった>のようなネガティブな体験を上回るポジティブな体験を取り組みの中で経験し、この方法の

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理解者が増え、<労働者が参加型職場環境改善の取り組みの必要性について理解し>、<実際 に体験することで、参加型アプローチで取り組む意味を肯定的にとらえることができるようになった

>。このように、労働者が実際に参加型職場環境改善 を体験し、肯定的な経験を重ねることで、<

取り組みを継続していく重要性を認識するようになった>といった変化がみられた。

「やらされ感も確かにあったんですけれども、だけど、その中で楽しんでいる人たちが多かったな というのはありましたね。」(C さん)

「この参加型の活動に対してきちっと答えてくれるような人たちがいらっしゃるということは、やはり それだけこういう取り組みをして、みんなが認識してきたというのはあるかなと思います。」(G さん)

「参加した彼女らも、やり始めは何のことか分からなかったけれども、その後はやはり自分たちも 意識した感じが見えましたね。良い活動だなということを感じてもらえたと思います。」(E さん)

「気をつけようとか、危ないという意識が活動をしていかないと続かないのかなと。そこで切れちゃ うと、また知らないうちに、いつものように戻ってしまうような気はしますね。なので、継続しないと意 味がないのかなというふうには思います。」(M さん)

4) 労働者の情緒的な結びつきの深まりによる職場の愛着の形成

【労働者の情緒的な結びつきの深まりによる職場の愛着の形成】とは、グループ討議や成果発表 の場で、仕事上で困っていることや工夫していることを共有 するといった経験を通じ、また、互いを 励ましながら取り組みを進めることで、改善をともに進めたメンバーとの情緒的な結びつきを強め、

改善をした職場に愛着が形成されていくことである。

労働者が参加型職場環境改善のプロセスにおいて、<仕事上の困りごとや工夫点を話し合うこ とでそれぞれの考えを共有し>、また、労働者同士、<互いの頑張りや意欲に励まされ、自分も頑 張るといった気持ちを持つようになる>といった思いを共感するようになっていった。そして、<改善 をともに進めたメンバーとの情緒的な結びつきを深める>ことで、職場自体に対して新たな感情が 芽生え、<皆で改善した職場に対して、愛着を持って大切に使っていこうという気持ちを持つように なっていった>といった思いの変化がみられた。

「夏季研修として、年1回は必ず職員と嘱託(職員)の方と、代替(職員)の方でとにかく全員そろっ た研修をしていると、やはりその中で普段思っているけれどもなかなか言えないことが結構出たりし て。言われてみると、そういうことってよくあるよねというような話が結構出てきてはいたんです。」( M さん)

「あの人も頑張っているんだから、頑張りましょうか、というような感じかなと思います。お互いが頑

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張っているから、自分も頑張らざるを得ないなというような感じのところは確かにありますね。」(C さ ん)

「今だいぶ異動とかで 60 名の入れ替わりになっていますけど。当時のスタッフとは特に信頼関係 が。それを体験した人たちというのは信頼関係が強まっているというのは未だに感じます。」(B さん)

「自分たちで環境を改善した職場というものには愛着が生まれるのだなということ。」(B さん)

5) 成果に基づく自信と達成感の強化

【成果に基づく自信と達成感の強化】とは、自分たちなりの工夫をしながら、自分たちの手で実 施していくことができるという自信が芽生え、成果を承認されることで意欲が向上し、達成感が強化 されていくことである。

労働者は職場環境改善の計画立案や実施の際に、低コストで改善を進める、皆で知恵を出しな がら工夫していくなど、参加型アプローチの手法を活用することで<お金をかけなくても知恵を出し 合いながら改善できることに気づき>、労働者が<自分たち自身の手で改善ができることを、体験 を通じて実感する>といった労働者の自信につながっていった。さらに、<職場環境改善の成果を 褒められ、承認されることで意欲が高まって>いき、<労働者が皆で取り組んだことで達成感を得 ることができた>といった 4 つの段階を示す変化がみられていた。

「お金にものを言わせると結構なんでもできるんですけど。それをしないで、職員の知恵でいかに してやっていくかという部分がこの参加型のひとつですね。」(L さん)

「環境は自分たちの手で変えることができるということが一つです。これが当たり前、しようがない じゃなくて、できることもあるということですね。」(B さん)

「いいですよ、この活動は、とか、見に来て褒められたりすると、じゃ、次来たときはもっとみんなで という、そういう感じになっていましたので。さらに、改善活動としてやったことをまとめたことで、自分 たちがやったことが目に見えた形ということもあるし、成果が出たということでやりがいもある。」( A さ ん)

「先生方も来ていただいているし、褒めてくださるということが一番みんなのモチベーションが上が ったと思います。私たちのモチベーションももちろん上がっていきましたけれども。やっていることが 認められたというところの達成感は非常に強かったと思います。」(C さん)

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