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本研究への示唆

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第 3 章 予備研究

IV. 本研究への示唆

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の一体感と結束力の強化、職場全体への取り組みの浸透と拡大がアウトカムとしてみられた(吉川 悦,2013b)。Kogi(2012)は、参加型アプローチの共通特徴として、対策指向であること、良好実践 に焦点をあてること、段階的なアプローチを採用していることを指摘している。参加型アプローチで は、改善点を検討するために、まず、職場の良い点を確認することから始まる。そして、職場に存在 する様々な問題点を悪い点として挙げるのではなく、どのように改善すれば働きやすい職場になる か、といった改善すべき点として具体的な行動を考えていく。この具体的な行動を考える際のヒント として、他の職場ですでに行われている良好実践を参考にし、実現可能な対策を段階的に実施し ていくことを推奨している。このようなポジティブな取り組み姿勢による段階的な改善事例の積み重 ねが、互いを支え、尊重する職場の雰囲気を作り出すことにつながり、職場の雰囲気が良くなって いったのではないかと考える。

相互理解やコミュニケーションの促進は、参加型職場環境改善によって労働者や推進者のアウト カムにみられた関係性の進展が、職場組織全体に波及した結果であると推察される。既存の研究 では、参加型職場環境改善によるコミュニケーションの向上(杉原,2013)が報告されているが、予 備研究結果から、同じ職場内での相互理解やコミュニケーション促進にとどまらず、他部門、他職 場など、参加型職場環境改善をきっかけとして事業場全体の相互理解とコミュニケーションが促進 されたことが特徴的であった。さらには、職場環境改善という同じ目標に向かって取り組み、小さな 成果を蓄積していくことで達成感を高め、それが職場集団、組織全体の一体感や結束力を強化し、

やがてはこの取り組みが職場組織全体に定着し、良好事例が水平展開され、さらに拡大していくと いう職場組織全体のアウトカムの特徴が明らかになった。

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による近位アウトカムであり、職場組織全体の変化は、アウトカムが出現するまでに 時間を要し、な おかつ組織レベルの行動変化は困難性も伴うため、遠位アウトカムと位置付けることができると考え る。

これらの検討結果から、予備研究より抽出された労働者個人のアウトカム、推進者個人のアウトカ ム、職場組織全体のアウトカムと、参加型職場環境改善の文献検討より得られたアウトカム(表 5)か ら、参加型職場環境改善活動のアウトカムを検討するための枠組みを図 3 に提示する。参加型職 場環境改善活動のアウトカムには、その活動に参加するメンバーの特性や職場特性といった先行 要因と、参加型職場環境改善の参加度や満足度 といったプログラムへの関与が影響していること が示唆された。参加型アプローチの概念分析から、先行要件 として、職場や労働者の特性、職場 のニーズ、職場に存在するリスクがあることから(吉川悦,2013a)、参加型職場環境改善のアウトカ ムの先行要因として、参加するメンバーの特性、すなわち年齢や性別、婚姻の有無、子供の有無、

職場経験年数、職位といった人口学的な背景と、職場特性として業務内容や職場規模(人数)、

平均残業時間、外勤・出張の回数、職場環境、職場の雰囲気があると考えることができる。また、

佐々木他(2010)によると、実施された参加型職場環境活動への参加の度合いやその効果の有無 によってアウトカムに差が出てくることを指摘しており、参加型職場環境改善プログラムへの参加度 や満足度といったプログラム要因があると考える。

参加型アプローチの帰結には、産業安全保健活動の推進、自主管理の強化、安全・健康な職 場の実現、生産性や QOL 向上への貢献が指摘されている(吉川悦,2013a)。予備研究の結果で は、参加型職場環境改善により、労働者・推進 者等の安全や健康に対する意識や行動の変化や 関係性の進展、職場組織全体の変化のアウトカムが抽出されており(吉川悦,2014b)、生産性や QOL 向上などのアウトカムは得られなかった。このような生産性や QOL 向上のアウトカムは、既存 の研究でも評価指標として測定されているため(Tsutsumi et al., 2006)、職場満足度と仕事の生産 性の向上、心身の健康状態の改善をアウトカムに加えた。本研究では、予備研究で明らかになっ た労働者、推進者、職場組織全体におけるアウトカムといった参加型アプローチを用いたことによ るアウトカムについて、集団としての傾向やアウトカムとその関連要因を検討することが重要と考え、

予備研究で明らかになったアウトカムと、本来の参加型職場環境改善の直接的な目的である職場 環境改善の内容や職場の安全健康課題の解決 感、文献検討にて抽出された職務満足感、仕事 の生産性、心身の健康状態をアウトカムに加え、参加型職場環境改善のアウトカムを構成する要 素とした。本研究では、予備研究で明らかになったアウトカムを含む、参加型職場環境改善のアウ トカムの構成要素を量的に把握し、これらのアウトカムに関連する要因について統計学的手法を用

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表 5. 文献検討より得られた参加型職場環境改善によるアウトカム

参加型職場環境改善によって改善された安全で健康的な職場環境や職場環境が改善される ことで解決した職場の安全健康課題といった職場環境改善による直接的なアウトカム

職場環境改善の内容 Itani et al., 2006; Kawakami, 2006; Krungkraiwong et al., 2006; Kogi, 2006; Kawakami et al., 2008; Lee et al., 2009

職場環境改善にかかる費用 Kawakami, 2006;

ターゲットとする健康課題に関連した健 康状態の改善

Koda et al., 1999; Udo et al., 2004; 吉 川 他 , 2007;

Kobayashi et al., 2008; Rivilis et al., 2008; Pehkonen et al., 2009; Tsutusmi et al., 2009; 佐々木他,2010; 新村 他,2011

労働災害の減少 Koda et al., 1999; Krungkraiwong et al., 2006; 吉川他,

2006

欠勤率の低下 Rivilis et al., 2008

作業関連疾患の減少 Rivilis et al., 2008; Pehkonen et al., 2009 職務満足感の向上 Kobayashi et al.,2008

仕事の生産性の向上 Tsutusmi et al., 2009 参加型アプローチを用いたことによるアウトカム

参加者の安全と健康に対する知識と態 度の変化

Pehkonen et al., 2009; Manothum&Rukijkanpanich, 2010;

渡辺他,2010; Driessen et al., 2011 産 業 安 全 保 健 に対 する職 場 の自 主 性

の形成

Kawakami et al., 2004; Nilvarangkul et al., 2006;

Kawakami, 2006; 渡辺他,2010 労働者と事業者の改善に対する主体的

な態度の醸成

Krungkraiwong et al., 2006; Manothum&Rukijkanpanich, 2010

労 働者の相 互 理 解や職場 のコミュニケ ーションの向上

杉原,2013

事業者・労働者と専門家や行政、コミュ ニティとのネットワークの構築

Malchaire, 2006; Pehkonen et al., 2009; Kawakami et al., 2008

*斜字で示したものは定性的指標

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(点線内は予備研究で抽出されたアウトカム、斜字は文献検討から抽出されたアウトカム)

図 3. 本研究における参加型職場環境改善活動のアウトカムの枠組み

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