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方法

ドキュメント内 目次 第 (ページ 62-69)

第 4 章 研究方法

II. 方法

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職場検討会では、事前に職場環境改善アクションチェックリストが配布され、グループ討議ではアク ションチェックリストを参考にしながら意見交換する。

アクションチェックリストとは、人間工学分野の知見に基づき、働きやすい職場環境や業務設計 のために重要な改善行動をリスト化したもので、参加型職場環境において必須のツールである(吉 川悦,吉川徹,2012)。職種や職場の特性に合わせて改変することが可能であり、通常 20~30 項 目の質問項目で構成されている。アクションチェックリストの項目は、アクションフレーズとよばれる行 動を示す文章(例、短時間のミーティングを開催する、レイアウトを見直す)で作成されており、自分 の職場でその改善(対策)が必要かを「はい」「いいえ」で選択する構成となっている。すべての項目 をチェックすると自分たちの職場で必要な改善策が視覚化できるようになっている対策指向のツー ルである。職場検討会でのグループ討議結果は、総合討議を行い検討会参加者に共有される。こ の職場検討会での話し合いの結果を参考に、職場単位の環境改善計画が立案される。職場環境 改善はすぐに実施できるもの、実現可能性があるものを重視し、職場全体で協議しながら決定して いく。職場環境改善計画は実施担当者や実施時期を決定し、計画書として事務局に提出する。そ の後、計画に沿って職場環境改善を実施し、職場環境改善報告書を事務局に提出し、年度内に 実施された職場環境改善が事業場全体で共有される仕組みとなっている。

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(出典:吉川徹,小木(2015).メンタルヘルスに役立つ職場ドック 2015,pp14 の図を一部改変)

図 5. 参加型職場環境改善の年間スケジュール例

3. データ収集期間

2013 年 11 月から 2015 年 4 月

4. 調査時期

調査の時期は、参加型職場環境改善による変化を確認するため、参加型職場環境改善の導入、

計画立案、実施、成果報告の一連のプロセスを経験した後の時期とする。調査の目安としては、事 業場での成果報告会終了後 1 か月から 3 か月以内とした。

5. 必要標本数

因子分析に必応な標本数は、石井(2005)によると項目の 5~10 倍とされ、田中(1996)によれば

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2~5 倍とされている。本研究で使用する質問紙の中で、アウトカムに関する質問項目は、労働者 用質問紙が合計 28 項目、推進者用質問紙が合計 34 項目であることから、必要標本数は、労働 者用質問紙 28 項目×5~10 倍=140~280、28 項目×2~5 倍=56~140、推進者用質問紙 34 項目×5~10 倍=170~340、34 項目×2~5 倍=68~170 となる。これらの結果から、本研究にお ける必要標本数は 70~170 程度となる。参加型職場環境改善では、推進者の役割を持つ者は実 施職場に 1 名である場合が通常なので、推進者の質問紙の回収率を 70~80%と想定すると、送 付する推進者用質問紙の数は、110~580 名分を目安とする必要がある。

労働者用質問紙は、推進者用質問紙を送付した職場に所属する労働者への全数調査とする。1 職場の労働者数は、職場の規模によって様々であるが、最小で数名、最大で 100 名強であり、200 職場の労働者を全数調査する場合、合計で最大 5,000 名程度の配布数となることが予測される。

近年の事業場で働く労働者を対象とした健康に関する質問紙調査の回収率を概観すると、鈴木,

松岡の調査(2012)では、労働者 6,290 名中 3,245 名から回答を得られており、回収率は 51.6%で あり、井上,川上の調査(2013)では、5,000 名に対して質問紙を送付し、2384 名(回収率 47.7%)

から質問紙の回答を得ていた。本調査とはテーマや質問紙の内容に違いがあり、一概に比較はで きないが、先行研究での回収率を踏まえたうえで、50%程度、2,500 部程度の回収を見込んでよい のではないかと考えた。

マルチレベル分析で必要とされるデータ数については様々な意見があ り、上位集団を最低でも 20 とし、各集団内に十分なサンプル数が含まれていることが望ましいという指摘もあり、有効な推定 結果を得るためには、全体としてのサンプル数だけでなく、グループ数と各グループ内のサンプル 数の両方が一定数以上必要であるといわれている。Kreft and de Leeuw(2006)によると、グループ が 150 の場合、グループあたりのデータ数は 5 で十分であると述べており、グループ数 60 の場合、

グループあたりのデータ数は 25、グループ数 30 の場合、グループあたりのデータ数は 30 との目安 を示している。そのため、本研究では 50 職場以上のリクルートが必要であると判断した。

6. 対象者のリクルート

1) 本年度、参加型職場環境改善を導入する予定またはすでに導入した事業場を研究者の ネットワークを活用して紹介してもらい、該当事業場における参加型職場環境改善の実施 責任者(以下、責任者)に、文書(資料1)および口頭で研究協力を依頼した。

2) 調査協力が得られた責任者より、参加型職場環境改善の実施担当者(以下、担当者)を 紹介してもらい、文書(資料 2)および口頭で研究協力を依頼し、職場単位で、労働者用、

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推進者用の調査票等(資料 4~5)の配布を依頼した。

3) 調査票等の資料は、労働者用質問紙と推進者用質問紙共通の依頼用紙(資料 3)、労働 者用質問紙(資料 4)、推進者用質問紙(資料 5)を 1 人分ずつ封筒に入れ、回答用紙用 封筒を同封した上で、職場ごとに必要人数分をまとめて事業場の担当者に送付した。

4) 質問紙は無記名で記入し、回収は職場ごとに回収用ボックスを設置し、その中に質問紙 の回答内容が見えないように個別に封筒に入れてもらい回収した。対象者の研究協力の 同意は、回答された質問紙の返送をもって研究への協力の承諾とした。このことを質問紙 調査の依頼用紙(資料 3)に記載した。ただし、職場に回収用ボックスを設置するため、質 問紙に回答したことや回答用紙用封筒をボックスに入れたか否かを、労働者および推進 者など互いに知られる恐れがあるため、研究協力をしない場合でも、そのことが他者に知ら れないようにするために、白紙のまま封筒に入れ、封をして回収用ボックスに提出してもらう よう依頼用紙(資料 3)に記載した。

5) 質問紙の返送締切日は、質問紙が対象者の手元に届いてから 2 週間後に設定した。

7. 分析方法

統計パッケージ IBM® SPSS®Statistics 21.0 および AmosTM 21.0 を使用して、以下の手順で分 析を実施した。

1) 回収率、有効回答率を算出した。

2) 各質問項目に関し、記述統計量(度数、範囲、平均、標準偏差)を算出した。

3) 回答の偏り(天井効果、床効果)を確認し、項目間相関係数(Pearson の相関係数)の検討 により、項目分析を行った。

4) 探索的因子分析を行い、因子負荷量、因子間相関を確認した。

5) 内的整合性をみるために、Cronbachαを算出した。

6) 妥当性の検討として、内容妥当性、表面妥当性、構成概念妥当性について探索的因子 分析、確認的因子分析を行った。

7) 6)で明らかになった推進者個人のアウトカムの下位概念と先行要因ならびにプログラム要 因との関連を検討するために重回帰分析を行った。ここでの重回帰分析は複数のステップ に分けて独立変数を投入し、標準化回帰係数β、決定係数 R2を観察していく階層的重 回帰分析を用いた。階層的重回帰分析 では、ステップⅠで先行要因の変数を、ステップ

Ⅱでプログラム要因の変数を強制投入法で投入した。

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8) 労働者個人のアウトカムと職場組織全体のアウトカムが職場集団による影響を受けていな いかを検討するためにマルチモデル分析を行った。マルチモデル分析は、階層線形モデ ルや線形混合モデルとも呼ばれている分析方法である。個人のアウトカムと職場組織全体 のアウトカムが関連しているのかをみる際に、職場集団のサンプリングによるランダムな効 果がないか、その影響を制御して分析を進めることができる。マルチレベル分析を行うにあ たっては、集団内類似性の評価を実施し、個人レベルで収集したデータを集団レベルに 操作化することに対する妥当性を検討した。集団内類似性は集団内合意を示す合意指 標rwg、集団内の類似性を評価するために ICC(1)と ICC(2)の 3 通りの方法にて検討した。

集団レベルでの分析を行う妥当性が確認できた場合は、労働者個人のアウトカム、職場組 織全体のアウトカムの下位概念を従属変数、個人特性や職場特性要因の各変数を独立 変数としてマルチレベル分 析を行った。まず、従属変 数のみで独立変数を何も加えない null model で分析を行い、マクロレベル分散が統計的に有意であるかを確認し、職場間で アウトカムの下位概念が異なるか(職場間でバラつきがあるか)を確認した職場間のばらつ きが確認された場合は、このバラつきが何によってもたらされたのか、個人レベルでの特性

(構成要因)を独立変数加えたモデルと職場レベルでの特性(文脈要因)を独立変数に加 えたモデルとで職場間分散を比較し、どの変数が従属変数と有意な関連をみとめるか検 討し、アウトカムと関連する要因の探索を試みた。なお文脈要因として職場レベルで加える 変数は、職場としての特性をあらわすため、職場グループごとの平均値を算出して、その 値を分析に用いた。

8. 倫理的配慮

1) 調査協力が得られた事業場の担当者に、推進者用、労働者用の調査票等の配布を依頼 した。

2) プライバシー、個人情報の保護として、質問紙は無記名で記載し、個人で 回答用紙用封 筒に入れて封をしてもらい、職場ごとに設置された回収用ボックスにいれてもらうよう依頼し た。回収用ボックスは未開封のまま、研究者あてに郵送してもらうよう、担当者に依頼した。

職場に回収用ボックスを設置することで、質問紙 への記入の有無、回答用紙用封筒を回 収用ボックスに入れたか否かを職場の労働者や推進者に知られてしまうことを防ぐために、

白紙のまま質問紙を封筒に入れ、封をして提出しても構わないことを質問紙調査の依頼用 紙(資料 3)に記載した。

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