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緩和ケア病棟における鍼灸治療の実態調査

第四章 病院での緩和ケアにおける他職種と鍼灸師の関係性

第一節 緩和ケア病棟における鍼灸治療の実態調査

第一項 質問紙調査回答者の特性

緩和ケア病棟入院料加算を受けている医療機関 244 施設を対象に質問紙を送付したとこ ろ、98施設(回答率40.2%)から回答が得られた。回答者は男性48名、女性49名で、平均

年齢は50.3±8.2歳であった。また、回答者の職種は医師50名、看護師45名、その他 3

80であり、緩和ケア従事年数は7.7±5.2年であった(表4-1)。

第二項 鍼灸師による鍼灸治療実施の有無と実施状況

回答を得た98施設中、現在鍼灸師による鍼灸治療が「実施されている」のが6施設(6.1%)

「過去に実施されていた」のが6施設(6.1%)、「実施されていない」のは86施設(87.8%)で あった(表4-2)。

現在鍼灸師による鍼灸治療が「実施されている」6施設について、緩和ケアに従事する鍼 灸師が「1名」としたのが5施設、「5名」としたのが1施設であった。また、鍼灸師の立

80 対象を病棟長ないし看護師長としたが、理学療法士が1名、MSWが1名、事務職が1名が回答した。回答内容には 不足がなかったため、3名のデータも分析データに含めた。

場として、「施設の常勤」が2施設、「施設の非常勤」が3施設、「外部施設からの派遣」が 1施設であった。緩和ケアに鍼灸治療が導入される頻度は、「年に数回程度」が3施設であ った。鍼灸師に対して鍼灸治療を依頼する人を複数回答で訪ねたところ、「医師」が4施設、

「看護師」が2施設、「患者本人・家族」が2施設であった。鍼灸治療が実施される場所と して、「病棟」と回答した施設が 5 施設と多かった。一度の鍼灸治療に要する平均時間は、

「30 分」が3施設であった。治療対象となる愁訴については、「疼痛」を挙げたのが3 施 設であり、その他「だるさ」、「便秘」、「廃用による不快」が挙げられていた(表 4-3)。緩 和ケアへ鍼灸治療を導入してから経過した期間について、3年経過しているのが2施設、10 年以上経過しているのが2施設であった。

また、緩和ケアにおいて鍼灸師による鍼灸治療が行われることになった理由については、

「骨転移に伴う脊髄損傷患者の痛みに対して他の手立てが無効であったため」や「緩和ケ ア病棟発足時より必要性を考えて」など医療者側の意図によるものと、「もともと外来で(鍼 灸を)行っており、患者が時々希望するため」や「患者から施術の希望あり、当院外来で 鍼灸を実施している部署があり連携できたため」など、患者側の希望によるものの 2 つの 理由が見られた。

第三項 チーム医療の一員として鍼灸師がケアに携わることへの考え

現在鍼灸治療が「実施されている」6施設のうち、緩和ケアチームに鍼灸師が参画してい

るかについて、「いいえ」と回答したのが3施設で、その他は無回答であった。

また、鍼灸師がチーム医療の一員としてケアに携わることについての考えを全施設に尋 ねたところ、回答を得た98施設のうち、今後「積極的に携わるべき」と回答したのが8施 設(8.2%)、「状況によっては携わるべき」と回答したのが68施設(69.4%)であり、チーム医 療の一員として鍼灸師が携わることに70%以上の回答者が肯定的な見解を抱いていた(表 4-4)。この理由としては、「症状緩和に寄与すると考えます」などの症状緩和としての意義、

「非薬物療法として様々な症状に対応できること」や「内服が困難な症例に効果が期待で きるのではないか」など薬物療法の代替としての意義、「補完療法として患者さんにとって の選択肢が増えることに意味があると考える」など患者の治療手段の選択肢が増えること の意義、「いろいろな視点で患者を捉えることができ、ケアに関わって欲しい」などケア視 点の広がりの意義などが指摘されていた。

一方、「携わる必要はない」と回答したのは6施設(6.1%)、「携わることに関心がない」は 11施設(11.2%)であった。理由として、「現在では鍼灸の希望は一例もない」ことや、「病院 で鍼灸師を雇う金はない」という鍼灸師の身分保障の問題、「現在の治療方法で病状がコン トロールできているから」や「代替療法としては鍼灸でなくてもアロマやリフレクソロジ ー、音楽療法などがあるし、鍼灸は衛生面から見ても病棟として取り入れづらい」など鍼 灸を取り入れる必要性がない点や衛生面での扱いづらさが指摘されていた。

第四項 「緩和ケアに鍼灸が関わること」についての考え

「緩和ケアに鍼灸が関わることをどのように考えるか」という自由記述の問いに対して、

得られた 92 の自由記述をカテゴリー分類した結果、【ケアの多様性としての意義】、【関わ る上で求められる条件】、【病院で行う難しさ】、【緩和手段としての有用性】、【受け入れ姿 勢】、【必要性のなさ】、【よく知らない鍼灸】の7つに分類された(表4-5)。

【ケアの多様性としての意義】では、鍼灸がケアの<多様な選択肢の一つ>であること や、<多職種が関わることの意義>が指摘されていた。また、<従来利用していた患者へ の提供>をすることの意義が指摘されていた。【関わる上で求められる条件】では、鍼灸治 療により<症状緩和>が得られることや<患者ニーズの存在>がケアに関わる条件として 指摘されていた。また「どのような症状や患者に有効か」という<適応条件の検討>の必 要性に加え、緩和ケアの<チームとしての関わり>に参画できる必要性も指摘されていた。

【緩和手段としての有用性】では、<症状緩和としての必要性>があることや<有効事例 の存在>が指摘されていた。加えて緩和ケアにおける鍼灸の<効果の認識>があることや、

患者の<安楽につながる手段>という認識も指摘されていた。

一方で、【病院で行う難しさ】では、<費用の問題>を指摘するものや、<病棟で行う難 しさ>そのものを指摘するものが見られた。【必要性のなさ】では症状緩和の手段としての

<必要性のなさ>や、<有効性の報告の少なさ>が指摘されており、鍼灸治療の<侵襲性 の問題>も指摘されていた。【よく知らない鍼灸】では、緩和ケアの中で鍼灸に何ができる かわからないという指摘が見られた81