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2.  コンピタンスリストの作成

2.3.   質問紙調査による支持の確認と改定

2.3.3. 結果と考察

2.3.3.1. 回答者 

回答者(有効回答)は 169 名であった。主要な回答者属性の分布を以下に示す。 

・メーカー、デベロッパー勤務が 74%、コンサルティングファーム、事務所が 19%、その 他(大学、研究機関など)が 7%。 

・エンジニアが 82%、マネージャーが 18%。 

・所属部署は多岐に渡っている。そのうちユーザビリティ部署所属は 27%。 

・年代は 20 代〜50 代に幅広く分布している。30 代が中心(37%)。 

・男性 75%、女性 25%。 

2.3.3.2. 全体的な支持傾向 

以下に挙げる個別評価、重要度評価の集計を職位(マネージャー、エンジニア)毎に行 い、回答傾向の分析を行った。 

・支持率…(4.必要+3.やや必要)の回答数/全回答数 

・強い支持率…(4.必要)の回答数/全回答数 

・重要度…チェック数/全回答数 

表  2-11 と表  2-12 に、マネージャー、エンジニアそれぞれのコンピタンスへの支持率お よび強い支持率の回答を示す。 

支持率を見ると、マネージャーでは 32 項目が 90%以上、50 項目が 80%以上、エンジニ アでは 31 項目が 90%以上、45 項目が 80%以上と、ほとんどの項目が高い支持率を得てお り、調査に用いたコンピタンス項目はおおむね支持されていることが明らかとなった。 

今回の調査で支持されなかったものは、人類学や民族誌学に関する知識、社会学に関する 知識などである。これらは要求分析といった開発の上流工程におけるユーザビリティ活動で 特に必要と考えられているものであるが、全般的にこれらが支持されていないことから、現 時点では仕様検討や評価業務がユーザビリティ活動の中心であることが伺える。また、マネ ージャーではプロトタイプ作成能力が、エンジニアでは経営学に関する知識が必要とされて おらず、それぞれの役割を端的に表す結果となっている。 

その他、コンピタンスリスト第2版の作成に際して追加、分割されたコンピタンスについ ては、概ね他のコンピタンス概念と同様の支持を得られているが、その中では「12.ユニバ ーサルデザインに関する知識」の支持が高い。 

表  2-13 にコンピタンスに対する重要度回答の結果を示す。全体的な傾向を見ると、マネ ージャーのコンピタンスとしては、ビジネス能力や経験・実績、考え方が重要視されており、

エンジニアのコンピタンスとしては、専門能力や考え方が重要視されているが、ビジネス能 力があまり重要視されていないことがわかる。 

   

表  2-11  マネージャーのコンピタンスに対する支持率 

85.8% 37.3% 4 1 19 82 63

86.4% 34.9% 3 1 19 87 59

79.9% 20.7% 3 3 28 100 35

66.3% 19.5% 13 3 41 79 33

51.5% 10.1% 14 12 56 70 17

83.4% 48.5% 4 3 21 59 82

94.7% 60.4% 4 1 4 58 102

89.9% 50.9% 4 1 12 66 86

82.2% 32.5% 6 1 23 84 55

90.5% 53.3% 3 2 11 63 90

85.8% 59.8% 11 2 11 44 101

91.7% 56.2% 4 2 8 60 95

90.5% 50.9% 4 3 9 67 86

95.3% 65.1% 1 2 5 51 110

96.4% 75.1% 2 1 3 36 127

93.5% 59.8% 2 2 7 57 101

91.7% 58.0% 2 1 11 57 98

98.8% 79.3% 1 1 0 33 134

95.9% 75.7% 2 1 4 34 128

92.9% 71.0% 7 1 4 37 120

97.0% 81.7% 2 1 2 26 138

98.2% 89.3% 2 1 0 15 151

95.3% 82.2% 3 1 4 22 139

86.4% 50.9% 7 2 14 60 86

98.2% 93.5% 2 1 0 8 158

96.4% 79.3% 2 2 2 29 134

97.0% 89.3% 3 1 1 13 151

98.2% 89.9% 2 1 0 14 152

98.2% 91.7% 2 1 0 11 155

98.8% 89.9% 1 1 0 15 152

97.6% 75.1% 2 1 1 38 127

96.4% 76.3% 1 1 4 34 129

97.0% 87.6% 1 1 3 16 148

93.5% 75.1% 3 1 7 31 127

97.6% 91.1% 2 1 1 11 154

85.8% 38.5% 5 4 15 80 65

89.9% 50.3% 3 1 13 67 85

89.3% 51.5% 3 2 13 64 87

91.1% 50.3% 3 1 11 69 85

82.2% 49.1% 4 1 25 56 83

93.5% 65.1% 3 1 7 48 110

89.3% 58.6% 4 1 13 52 99

89.9% 53.3% 3 1 13 62 90

80.5% 36.1% 2 3 28 75 61

39.6% 10.7% 6 20 76 49 18

84.0% 55.6% 3 5 19 48 94

88.8% 49.1% 4 1 14 67 83

92.3% 64.5% 2 3 8 47 109

95.9% 75.7% 2 1 4 34 128

97.6% 74.0% 3 1 0 40 125

87.6% 58.0% 3 3 15 50 98

94.1% 76.9% 3 2 5 29 130

94.7% 57.4% 2 4 3 63 97

97.0% 82.8% 3 1 1 24 140

89.9% 61.5%

98.8% 93.5%

39.6% 10.1%  

     

表  2-12  エンジニアのコンピタンスに対する支持率 

94.1% 58.6% 2 1 7 60 99

93.5% 58.6% 2 1 8 59 99

82.2% 29.6% 2 4 24 89 50

61.5% 12.4% 12 5 48 83 21

46.2% 9.5% 15 14 62 62 16

42.6% 2.4% 6 14 77 68 4

98.2% 83.4% 2 1 0 25 141

84.6% 53.8% 5 3 18 52 91

79.3% 38.5% 7 1 27 69 65

91.7% 66.9% 3 2 9 42 113

84.6% 50.3% 11 3 12 58 85

92.3% 60.4% 3 3 7 54 102

78.7% 23.7% 6 5 25 93 40

96.4% 84.0% 1 2 3 21 142

93.5% 61.5% 2 2 7 54 104

94.7% 67.5% 2 1 6 46 114

66.3% 16.6% 3 6 48 84 28

97.6% 73.4% 1 1 2 41 124

94.7% 59.8% 1 2 6 59 101

88.2% 55.0% 7 1 12 56 93

96.4% 75.7% 2 1 3 35 128

98.2% 75.7% 1 1 1 38 128

94.7% 66.3% 2 1 6 48 112

91.7% 65.7% 5 2 7 44 111

83.4% 24.3% 1 2 25 100 41

88.8% 46.2% 1 3 15 72 78

84.6% 27.2% 1 3 22 97 46

84.0% 29.6% 1 2 24 92 50

82.2% 26.0% 2 2 26 95 44

95.9% 68.6% 1 1 5 46 116

97.0% 78.7% 1 1 3 31 133

96.4% 76.3% 1 1 4 34 129

80.5% 31.4% 2 2 29 83 53

74.0% 17.8% 3 4 37 95 30

70.4% 11.8% 4 4 42 99 20

83.4% 36.1% 7 4 17 80 61

91.7% 66.3% 2 1 11 43 112

91.1% 67.5% 2 1 12 40 114

95.9% 75.7% 1 1 5 34 128

90.5% 68.6% 1 1 14 37 116

97.6% 87.0% 1 1 2 18 147

95.3% 76.3% 1 1 6 32 129

96.4% 73.4% 1 1 4 39 124

95.3% 69.2% 1 2 5 44 117

81.1% 51.5% 5 3 24 50 87

82.8% 40.8% 3 5 21 71 69

89.9% 44.4% 1 3 13 77 75

72.2% 18.9% 4 4 39 90 32

97.6% 85.8% 2 1 1 20 145

95.3% 75.1% 3 1 4 34 127

91.1% 69.2% 3 2 10 37 117

97.0% 69.8% 3 1 1 46 118

95.9% 72.8% 2 3 2 39 123

97.0% 78.7% 3 1 1 31 133

87.3% 54.0%

98.2% 87.0%

42.6% 2.4%  

     

表  2-13  コンピタンスに対する重要度回答 

29.0% 42.0% 49 71

24.9% 43.8% 42 74

12.4% 21.9% 21 37

5.3% 5.9% 9 10

2.4% 4.7% 4 8

16.6% 1.2% 28 2

24.3% 36.7% 41 62

16.0% 30.8% 27 52

11.2% 17.8% 19 30

21.9% 30.2% 37 51

24.3% 21.9% 41 37

26.0% 32.5% 44 55

13.6% 5.9% 23 10

15.4% 24.9% 26 42

29.0% 24.9% 49 42

15.4% 23.7% 26 40

28.4% 7.1% 48 12

59.2% 53.8% 100 91

23.1% 21.9% 39 37

14.8% 20.1% 25 34

14.8% 26.6% 25 45

66.3% 39.6% 112 67

20.1% 20.7% 34 35

9.5% 21.3% 16 36

44.4% 15.4% 75 26

22.5% 27.2% 38 46

53.3% 12.4% 90 21

51.5% 5.3% 87 9

63.3% 5.9% 107 10

37.3% 32.5% 63 55

16.6% 29.6% 28 50

18.9% 29.6% 32 50

28.4% 3.0% 48 5

18.9% 4.1% 32 7

47.3% 2.4% 80 4

6.5% 7.7% 11 13

14.8% 29.6% 25 50

6.5% 32.0% 11 54

17.2% 50.3% 29 85

4.7% 42.0% 8 71

11.2% 29.6% 19 50

20.1% 49.1% 34 83

19.5% 34.3% 33 58

8.3% 35.5% 14 60

1.8% 19.5% 3 33

29.0% 27.2% 49 46

39.6% 33.1% 67 56

26.0% 5.9% 44 10

47.9% 61.5% 81 104

40.8% 46.7% 69 79

21.3% 29.6% 36 50

15.4% 14.8% 26 25

23.7% 34.9% 40 59

42.0% 43.8% 71 74

24.5% 25.5%

66.3% 61.5%

1.8% 1.2%  

 

2.3.3.3. コンピタンス間の関係 

続いて、重要度のデータをもとに、コンピタンス間の関係性について分析を行った。 

まず、数量化理論Ⅲ類(朝野, 2000;  境野, 1996;  島田・原田, 2000;  田中・脇本, 1983)

 

 

解1および解2のカテゴリースコアをそれぞれ図  2-3、図  2-4 に示す。 

   

  図  2-3  カテゴリースコア(解1) 

 

  図  2-4  カテゴリースコア(解2) 

 

また、同様に重要度データに対して Ward 法によるクラスター分析 cluster analysis(廣 野・林, 2004; Sall, Creighton, & Lehman, 2004; SAS Institute, 2002;  田中・脇本, 1983; 

上田, 2003)を行った。分析には、JMP バージョン 5.1.2(SAS Institute Japan,  東京)を

定係数 0.2149)による2階層のクラスタリングを行った。 

クラスター分析の結果を表  2-14 に示す。 

   

  図  2-5 デンドログラム 

 

字フ訣知科学 関する知識 存フ人間工学 関する知識 分フ心理学 関する知識

切フ社会学 関する知識

ボフ人類学や民族訢学 関する知識 ポフ経営学 関する知識

マフUI 関する知識

ミフ調査 評価手法 関する知識(字)調査 実験 ン方法 ムフ調査 評価手法 関する知識(存)統計手法

字布フ調査 評価手法 関する知識(分)各種調査 評価手法 字字フUリル 関する知識

字存フ ニバ ン 関する知識

字分フ法令や規格 基準 関する知識 字切フ利用状況 関する知識

字ボフ開発プ 関する知識 字ポフ製品 技術 関する知識

字マフ 商品企画 関する知識

字ミフ論理的思考能力 字ムフ機転能力 存布フ タ訣知能力 存字フ想像力

存存フコ ン能力 存分フ自律能力 柔軟性 存切フ体力

存ボフプ 推進能力(字)プ ン能力 存ポフプ 推進能力(存)要件収集分析力

存マフプ 推進能力(分)折衝 調整能力 存ミフプ 推進能力(切)チ 運営力 存ムフプ 推進能力(ボ)プ 管理力 分布フ説明能力(字)プ ン能力

分字フ説明能力(存)文章表現力

分存フ情報収集力

分分フ人材ネッ ワ 構築力 分切フ教育能力

分ボフ組織 ネ 能力 分ポフ英語

分マフ調査 評価能力(字) ン能力 分ミフ調査 評価能力(存) ンタ 実施能力

分ムフ調査 評価能力(分)観察能力

切布フ調査 評価能力(切) 実施能力 切字フ調査 評価能力(ボ) ン ン評価実施能力 切存フ調査 評価能力(ポ)分析能力

切分フ要求分析 要件定義能力 切切フ ン 開発能力 切ボフプ タ プ作成能力

切ポフ開発経験 切マフ業務経験

切ミフ人脈

切ムフ 活動 対する興味 関心

ボ布フ 対する考え方

ボ字フもの 対する考え方

ボ存フ共感性

ボ分フ新しいもの 領域への積極性 ボ切フ責任感

表  2-14  クラスター分析結果 

90.7 3 30.22 0.5037

29.3 3 9.78 0.1630

179.0 4 44.75 0.7458

107.3 3 35.78 0.5963

611.6 12 50.97 0.8494

479.6 10 47.96 0.7993

409.2 10 40.92 0.6820

208.8 4 52.19 0.8698

227.6 5 45.52 0.7587

3070.6 54 56.86 0.9477

955.2 54 17.69 0.2948

2115.5 54 39.18 0.6529

0.3111  

 

これらをマッピングしたものを図  2-6 に示す。各コンピタンスは番号で示してある。番 号とコンピタンスの対応については表  2-13 を参照されたい。 

   

中央上部に必要な基本能力・知識(大分類 A)、中央に重要な基本能力・考え方(大分類 D)、右下にユーザビリティ業務を遂行するための専門能力(大分類 C)、左にマネージメン ト業務を遂行するためのビジネス能力(大分類 E)、中央左部にあまり重要視されないコン ピタンス(大分類 B)が分布している。また、大分類 A は、A1.ヒューマンファクターに関 する知識、A2.UI やプロセスに関する知識、A3.経験、A4.動機・モチベーション、A5.デザ イン開発活動関連の5クラスターから構成される。 

5大分類毎のコンピタンス、全体の三角形状の配置や、大分類 A 内のクラスター構成で A1 や A2 が右下に位置することなどから、基本能力や知識を基に、ユーザビリティ業務を 遂行するための専門能力と、マネージメント業務を遂行するためのビジネス能力が存在する ことが伺える。また、大分類 C と大分類 E を除いた中央近辺のコンピタンスには、重要度 の差が見て取れる。その他、コンピタンス単位で見ると、例えばユーザビリティ評価関連の コンピタンス(40、41)が最も専門性の高いものと捉えられていることが示唆されている。