4. 収斂と改定
4.2. コンピタンスリストの改定
4.2.1. 検討①コンピタンスとユーザビリティ活動の対応表作成(3.3)
3.3 において、コンピタンスとユーザビリティ活動の対応表の作成を行った。本項では、
改めて 3.3 の結果に対する分析を行い、コンピタンスリストの改定につながる要件の抽出を 行う。
4.2.1.1. 分析
調査を通じて、19 のユーザビリティ活動が4大分類、9クラスターに分類された。また、
それぞれの大分類、クラスター毎に必要とされるコンピタンスのパターンが示された。
4大分類とは、以下に示す4項目である。
それぞれの分類について以下に改めて概説する。
a.調査評価活動とは、ユーザーの利用状況の調査やユーザビリティテストなどの活動を意 味し、b.設計デザイン活動とは、要件定義や仕様検討、デザイン活動などを意味する。また、
c.戦略的活動は、コンサルティングや組織のマネージメントといった活動を意味し、d.セン ター活動とは、ユーザビリティに関する情報収集や提供、モニター制度や施設の管理・維持 といった活動を意味する。
続いて、コンピタンスリストの改定要件を得るために、この4大分類におけるコンピタン ス毎の特徴を検討する。
まず、d を除く大分類 a〜c において共通して重要と考えられるコンピタンスを表 4-1 に 挙げる。これらは、程度の差はあるものの、活動分類に関わらずユーザビリティ専門家に求 められるコンピタンスであると考えられる。
表 4-1 a〜c に共通して重要と考えられるコンピタンス
重要視されるコンピタンス
やや重要視されるコンピタンス
ここには、A.興味、関心、態度の半数が含まれる。また、B2.製品ドメインの知識、D.
基本能力のほとんどが含まれる。なお、「11.ユーザーインタフェース(UI)に関する知識」
は、特に分類 b で強く要求されている。
F.ユーザビリティエンジニアリング能力では、「49.分析考察能力」「50.要求分析、要件定 義能力」が含まれる。この2コンピタンスは特に分類 a で強く要求されている。
続いて、共通してあまり重要と考えられていないコンピタンスを表 4-2 に示す。
ここでは、B1.ユーザビリティ関連学問分野の半数と「16.実験計画法に関する知識」。「40.
英語」がこの分類に含まれる。特に心理学、社会学および人類学や民族誌学に関する知識は 全ての活動領域において必要とされていないことがわかる。
表 4-2 共通してあまり重要と考えられないコンピタンス
最後に、必要とする分野が限定されているコンピタンスを表 4-3 に示す。
B3.調査評価手法に関する知識、B5.マネージメントに関する知識、F.ユーザビリティエン ジニアリング能力、G.ユーザビリティマネージメント能力がこの分類に含まれる。
これらのコンピタンスは、主に特定のユーザビリティ活動に必要とされるもので、専門性 の高いコンピタンスと考えることができる。
それほど重要視されていないコンピタンス
重要視されていないコンピタンス
表 4-3 必要とする分野が限定されているコンピタンス
4.2.1.2. コンピタンスリスト改定のための要件
本調査で得られた結果からは、表 4-4 に示す内容をコンピタンスリストの改定要件とす べきであると考えられる。
主に分類 a および b 向けのコンピタンス
主に分類a向けのコンピタンス
主に分類 b 向けのコンピタンス
主に分類 c 向けのコンピタンス
表 4-4 コンピタンスリスト第3版からの改定要件(検討①)