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3.  コンピタンス概念についての理解の深化

3.5.   本章の結論

45 26

41

A1

A9 8

31

47

A19

  図  3-23  インタビュー実施能力(#45) 

     

46 1

6

13

26

31

A8

A9 A8

A19

47

  図  3-24  観察能力(#46) 

 

ザビリティ活動によって、必要とされるコンピタンスには様々な違いがあることを示した。

そして、19 のユーザビリティ活動が、大きく9つのクラスターに分類されることを示した。

また、9つのクラスターはさらに、調査評価活動と設計デザイン活動から構成される直接的 活動と、戦略的活動とセンター活動から構成される間接的活動に大きく分類されている。 

実際の組織設計および運営においては、コンピタンスの観点のみから業務範囲を検討する 訳ではないが、業務担当者のコンピタンス適合度は、適切な業務遂行においては重要な意味 をもつもののひとつであり、そこに様々な方向性、特に直接的活動において調査評価活動と 設計デザイン活動という2つの大きな方向性があることは、ユーザビリティ組織の活動を検 討する際に、十分考慮に含められるべき内容であろう。 

最後に、ユーザビリティ活動およびユーザビリティ専門家のコンピタンスに対する有識者 を対象にした調査を通じた構造モデルの作成によって、コンピタンス及びユーザビリティ活 動間の関係性を示した。 

これらの構造モデルから、まず、コンピタンス概念の多層性が確認された。また、具体的 に、根源的なコンピタンスや活動に近いコンピタンスが明らかになった。 

「ユーザビリティ業務経験」、「ユーザビリティ活動に対する興味関心」、「学習意欲」、「ユ ーザーインタフェースに関する知識」、「UCD、HCD に関する知識」などは、ユーザビリテ ィ活動を行う上で根源的なコンピタンスであることが示されている。このような根源的なコ ンピタンスに対する知見には、高等教育における教育目標や、企業における新人採用時の視 点といった、比較的長期的な視座に立った人材育成への示唆が含まれている。 

また、多くのコンピタンスが「コミュニケーション能力」や「分析考察能力」に結実して いくことが示されている。これらのコンピタンスは、他のコンピタンスとの関係性が高く、

中間的なコンピタンスとして、コンピタンスの中でも中核的な役割を担っている。これらの コンピタンスは、中期的な学習や教育の目標として、また中期的な視座による社内外からの 中途人材採用の重要観点としての活用が考えられる。 

「ユーザーインタフェースに関する知識」や「製品・技術に関する知識」といった知識、

ユーザビリティエンジニアリング能力の多くは、直接的活動を通じて OJT で得やすいコン ピタンスであることが示されているが、一方で、ユーザビリティ活動の実施だけでは、知識 や基本能力の多くはなかなか身に付かないことも示されている。つまり、必要な知識につい ては別途 OJT とは異なる学習が必要であることが示唆される。 

ユーザビリティエンジニアリング能力の一部、「リサーチデザイン能力」、「インタビュー 実施能力」、「観察能力」も、OJT では獲得しにくいコンピタンスである。これらのコンピ タンスは、3.3 によれば、A.調査評価活動の全ての活動において重要視されるコンピタンス であり、ユーザビリティエンジニアリング能力といえども、OJT とは異なる学習が必要で あろうことが示されている。 

その他、「ユーザビリティテスト活動」は多くのコンピタンスに影響を与えており、OJT の効果が高いユーザビリティ活動であると考えられる。 

まとめると、本章では、コンピタンスリストの提示に留まらず、ユーザビリティ活動との 関係、またコンピタンス同士の関係について論を進めることによって、ユーザビリティ専門 家のコンピタンスについての理解をより深めるための様々な知見を示した。 

 

【付記】 

本章の主要な内容は、Sato, Kurosu, Takahashi, & Takahashi(2005b)、ニューメディ ア開発協会(2005)に収録されている。ここで示すものは、それらを修正・加筆したもの である。